2009/06/17
メールマガジン★授業成立プロジェクト★189号
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ メールマガジン「授業成立プロジェクト(JSP)」 第189号 2009年6月17日発行 (毎週水曜日発行) HP http://www.jugyo.jp/js-pro/ □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ★目次★ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1 連載 特別支援教育−指導と支援のハイブリッド−(第2回) 田中博司(東京都)青山新吾(岡山県) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回は、田中さん、青山さんによる特別支援教育の「対話」型提案の2 回目です。今回のテーマは「お友達支援」。みなさん、指導・支援の中で、 この手法を意識されていますか? 田中さんの丁寧な省察にうなづきの提案です。 (石川 晋) ----------------------------------------------------------------- 1 連載 特別支援教育−指導と支援のハイブリッド−(第2回) 田中博司(東京都)青山新吾(岡山県) ------------------------------------------------------------------ ■〜 ”お友達支援”について考えました! 〜■ 田中博司(東京都) 今回は、かつての授業参観での私自身の失敗から、「お友だち支援」に ついて考えてみます。 「お友だち支援」とは、青山新吾先生の『学級担任のための教育技術』 (学事出版)で示されている特別支援教育の授業技術10の原則の中の一 つです。 参観日の国語の授業で、漢字ミニテストをすることになっていました。 漢字が特に苦手なA君の保護者に、事前に電話でお願いをしておき、自 宅でしっかり練習をさせてもらいました。授業の中でも、テスト直前にド リルで確認する時間を設けました。その甲斐あってA君は、参観者の見る 中で、テストをしっかり行うことができました。 ところが、私自身がここで安心してしまい、油断してしまったのかもし れません。大きな失敗をしてしまいます。 この後の授業で、たまたま漢字のへんが話題になり、予定にはなかった 手へんの漢字集めゲームを行うことにしました。 まず、「手へんの漢字」と板書。 『手へんの漢字を、ノートにできるだけたくさん書きましょう。』 制限時間は1分。タイマーで計ります。このようなゲームは何度もやっ ているので、みんなすぐにノートに書き出しました。 1分後、全員を起立させた。 『○○さんから順番に手へんの漢字を一つずつ順番に言ってください。』 自分が書いたものが全て出てしまったら、座るというルールです。 これも、いつものパターンなので、スムーズに進んでいきました。 ところが、5人目のA君のところで、発表が止まってしまいました。 担任の話を聞いて、状況を理解することが苦手なA君は、最初の段階で 課題を取り違えていたようです。自分が書いた答えが出てしまったら、座 っていいというルールも把握しきれていませんでした。 みんなが立ったので、仕方なく一緒に立ち、そのまま自分の順番がまわ ってきてしまったので、どうしていいか分からなくなっていました。 結局、担任がA君の机の横に行き、ノートの様子を見て、座っていいよ と声をかけました。 参観中だったので、本人にも、その子の保護者にも、つらい思いをさせ てしまったことを深く反省しました。 この場面では、どんな支援ができたのか、授業後ふりかえりました。 「1分の間に個別対応する」「板書で丁寧に説明をする」「急な予定変 更を避ける」などが考えられました。ただ、こうした支援は、実際の授業 では分かっていても、やりきれないこともあります。 私はこの時一番有効だった支援は、『となりの人とペアでみつけましょ う』という指示だと考えます。 つまり、「お友だち支援」ができる場を担任が設定してあげるというこ とです。 もし、漢字探しゲームをとなりの友だちと一緒にやっていたら、A君は ゲームに参加できたはずです。そしてとなりの子と同じようにノートに漢 字を書き出し、自分の番でそれを発表したことでしょう。その時ノートに 書いた漢字が出尽くしてしまっていても、となりの子と一緒に座ることが できたと思います。 一斉指導の中でも個別指導は大切です。でも前述の漢字テストの取り組 みのように時間や場所が必要となることが多いです。時には高度な対応の 技術が要求されることもあります。だからわかっていてもうまくできない こともあると思います。 また、全体の中で個別に指導されることは、自分ができていないことが まわりに知られることになるので、いやがる場合もあります。授業参観と もなれば尚更です。 だからこそ、この「お友だち支援」が効果的だろうと思います。通常の 学級で支援ができるのは、担任だけではありません。友だち同士のかかわ りも立派な支援です。 時には担任の支援よりも大きな力を発揮することもあります。 参観日の失敗から、「お友だち支援」の在り方について見直すことがで きました。日頃から子どもたち同士がお互いに支援し合える学級集団をつ くり、その支援ができる場を与えていくことを心がけていこうと思います。 ■〜 ナチュラルな子ども同士の関係と特別支援教育 〜■ 青山 新吾(岡山県) 「お友達支援」について考察された文章拝見しました。 僕にとっては、細やかな実践と実直な省察に、心惹かれる原稿でした。 特別支援教育は、一人一人の子どもを見つめ、必要な個別の指導・支援 を構想します。田中先生は、その子どもが漢字を苦手としていること、そ して、家庭での配慮とテスト直前の配慮によって学習効果が上がることを 把握していらっしゃいます。そして、細やかな配慮を行っています。 見事です。 実際の授業では、その後の活動で、指示が伝わっていなかったために、 本人の状況理解がうまくいかなかったようです。 状況理解のための支援方策には、いろいろ考えられます。「板書で丁寧 に説明する」等田中先生ご指摘の通りです。でも、毎日の授業の中では、 授業のリズム、その活動の授業内におけるウエイト(重要性)等を考えた 時にそれらの支援方策が必ずしも使えないことはあると思います。田中先 生が「分かっていても、やりきれないこともある」と書かれているのが言 い得て妙だと感じます。 ポイントは「分かっていても」なのだと思えます。「分かっている」こ とは重要だけれども、いつもできるとは限らないということです。 納得の省察です。 そしてご提案の「お友達支援」です。 学習活動の中でのさりげなさ。ナチュラルな子ども同士の関係が、結果 的に子どもにとっての支えとなるのだというご提案だと感じました。 子どもたちにとっては、特定の誰かを支えるために行っていることでは ないはずです。 一緒に学ぶことの大切さがポイントであり、それによって、子どもたち 一人一人が支えたり支えられたりすることがあることを感じとり、学び取 っていくのだと思えます。 ナチュラルな子ども同士の関係が、特別支援教育の大切な視点になる。 今回のご実践と実直な先生の省察から多くのことを学びました。 ------------------------------------------------------------------ 【編集後記】 ------------------------------------------------------------------ 「子どもたちにとっては、特定の誰かを支えるために行っていることで はないはずです」という青山さんの端的な指摘に、「あっ」と気づかされ ました。「一緒に学ぶこと」は、特別なことではなく、まさに学びの基本 なのですよね。こうしてお二人で交わされていく「対話」も、「一緒に学 ぶこと」の説得力ある例示になっているんだ、とも思いました。 授業づくりネットワーク7月号は、特別支援教育の特集号です。青山さ ん、田中さんはもちろん、学事出版から新刊『続 特別支援教育 手軽に すぐに使える教材・教具集』が出版になったばかりの池田康子さんなど多 士済々のライターによる永久保存版です。ぜひ、書店でお求めください。 学事出版のHPでも購入できますよ! http://www.gakuji.co.jp/ 「授業成立プロジェクト」のHPにもお越しください。 http://www.jugyo.jp/js-pro/ 次号は6月24日発行の予定です。私(石川)の『”授業成立”で眠れ ないあなたのための読書ノート』の2回目。うーん、連載原稿で取り上げ る本を何にするか考えていると、眠れなくなりそう・・・。 (晋) ================================================================== メールマガジン「授業成立プロジェクト」 第189号(読者数1366) 2009年6月17日発行 授業成立プロジェクトリーダー 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp 【本プロジェクトに関心を持った方は、ぜひメールを下さい】 編集責任者 中村健一(山口) kenek728@yahoo.co.jp 副編集長 土作 彰(奈良) tuttyan@kcn.jp 石川 晋(北海道) zvn06113@nifty.com 編集メンバー 平山 雅一(北海道) m-hira@f3.dion.ne.jp 中嶋 卓朗(宮城) nakaj@cd6.so-net.ne.jp 中條 佳記(奈良) qqvz2hg9k@lagoon.ocn.ne.jp 田中 博司(東京) o-tnk@mti.biglobe.ne.jp 青山 新吾(岡山) mxf02541@nifty.com 桑原 健介(福岡)kensuke1106@jcom.home.ne.jp メルマガ発行サポーター 佐藤 正寿(岩手) msts5sato@nifty.com 【ご意見・ご感想をお待ちしています。→中村健一 kenek728@yahoo.co.jp 校内研でワークショップをしたい等の問い合わせもお待ちしています。】 登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000158144.html ==================================================================



