2009/06/03
メールマガジン★授業成立プロジェクト★第187号
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ メールマガジン「授業成立プロジェクト(JSP)」 第187号 2009年6月3日発行 (毎週水曜日発行) HP http://www.jugyo.jp/js-pro/ □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ★目次★ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1 若手教師の悩み(その18) 千葉県・小学校教諭・教師8年目 2 悩みにお答えします 横浜市立子安小学校(初任者担当)教諭 野中 信行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ お待ちかね、野中信行さんの「若手教師の悩み」に答える連載の新年度 2回目です。 今回は、「あいさつ指導」。国語の授業名人として著名な野口芳宏さん は、機会あるごとに、「教育には不易と流行がある」とおっしゃられます。 野口さんの指摘でいえば、「あいさつ指導」はまさに「不易」の課題。若 手教師の「あいさつ指導の悩み」への、野中さんの回答を、ぜひ、じっく りとお読み下さい。 (石川 晋) ----------------------------------------------------------------- 1 若手教師の悩み(その18) 千葉県・小学校教諭・教師8年目 ------------------------------------------------------------------ 持ち上がりで、6年生を担任しています。 あいさつについての悩みです。 朝,子どもが教室に入って来る時,教師には「おはようございます。」 とあいさつができます。 しかし,子ども同士はあいさつをしません。別に人間関係が悪いという わけでもありません。普通に会話をしています。 「教師と子ども」だけでなく,「子ども同士」でもあいさつをする教室 にしたいのですが,できません。 子ども達には,あいさつが響く教室にしたいということと,あいさつの 必要性を語りました。 そして,いろいろな手だてを考え,実践してきました。 たとえば、次のようなことをしてきました。 (1)「朝,○人の人にあいさつをしましょう。」 →何人にできたか数を毎日記録する。 (2)「朝,○人の人にあいさつをしてもらいましょう。」 →何人にできたか数を記録する。 (3)「朝、○人の人に自分から先にあいさつしましょう。」 →何人にできたか数を記録する。 (4)朝の会の時に,時間を取って全員にあいさつをさせる。 (5)「自分はきちんとあいさつができる。」という宣言ができた人に は名札に緑のリボン をつける。 (6)朝,昇降口で全校の児童に,クラスみんなであいさつをする。 これらキャンペーン的なことをしている時は,盛り上がり,あいさつを するのですが,キャンペーンが終わってしばらくすると,またしなくなり ます。だから,またキャンペーンをする。しばらくするとやらなくなる。 2年間これを繰り返してきました。結局,自分のやっていることでは,子 ども達に本当にあいさつをする心を育てていないのかと無力感を感じてい ます。 子ども同士のあいさつが響きあう教室にしたいです。どうすれば,子ど も同士があいさつをするようにできるのでしょうか? キャンペーン的な指導は,結局はきっかけ作りにしかならないように感 じています。 だから,「している子を褒め続け,していない子を叱り続ける。」これ しかないと思うのですが・・・。これを根負けせず,1年間続けることが 大切であると考えるのですが、どうでしょうか? ----------------------------------------------------------------- 2 悩みにお答えします 横浜市立子安小学校(初任者担当)教諭 野中 信行 ------------------------------------------------------------------ 37年間の教師生活の中で、子供たちはさまざまに変わっていきました。 教室の中での取り組みも、大きく変わっていきました。 今回若手の先生が問題にしておられる「あいさつ」もそのひとつでした。 私も、クラスの目標として、この先生と同じように「教師と子供」だけ でなく、「子供同士」のあいさつを強調して、何度も取り組みました。子 供同士のあいさつが響き合う教室を願ったのです。 しかし、ここ10年ばかり様変わりをしてきました。 結果は、この先生の学級と同じでした。キャンペーン的なことをしてい る時は、盛り上がり、あいさつができるのです。ところが、その取り組み が終わると、すっかりあいさつも消えていくことの繰り返しになりました。 もっと子供たちを叱咤激励して取り組ませればいいことなのか。 もっと長期間の取り組みにしていくべきことなのか、と考え込みました。 そして、はたと気づいたのです。家庭ではどのようになっているのかと。 そこで、アンケートをとってみました。 資料を消失し、ここでその結果の数字をあげることはできませんが、愕 然とした結果でした。 子供たちは、家庭の中で、家族同士であいさつを交わすことをすっかり なくしていたのです。 ほとんどの家庭で、「おはようございます」「行ってきます」「おかえ りなさい」「おやすみなさい」…などを言い交わす習慣をなくしていたの です。だからこその結果になったのでした。 私はいつも考えます。 子供たちを支えている生活の幅は、学校で教師が取り組める生活の幅よ りもずっとずっと広く、深いということです。ここを勘違いして、学校で 教師は何でも出来ると思わないことです。 この若手の先生は、考えておられます。 「キャンペーン的な指導は、結局はきっかけ作りにしかならないように 感じています。だから、『している子を褒め続け、していない子をしかり 続ける』これしかないと思うのですが…。これを根負けせず、1年間続け ることが大切であると考えるのですが、どうでしょうか?」 私の経験から言えば、1年間続けても、結局次の学年になったら消え去 っていくのだと思います。子供たちの内面に届いていないからです。 大切なのは、私たちの言葉や指導が、子供たちの内面に届き、そして子 供たち自らが向上的に行動していく活動を作り上げていくことです。 もし、この「あいさつ」をほんとうに子供たちの中に定着していきたい と願うならば、学校全体の中に広げなければ効果がありません。一クラス の取り組みで云々できる段階ではありません。家庭で取り組んでないこと を学校から発信していこうと志すならば、学校が、この「あいさつ」を、 意識的、計画的、継続的な取り組みとして行うことが必要だと思います。 しかも、1年生が6年生になるぐらいまでの長期の取り組みです。 その結果、この取り組みを家庭にまで広げていけるならば素晴らしいこ とです。 私が知っている学校では、この試みがなされていて、いつも気持ちがい いあいさつが交わされています。 もし、このような取り組みが先生の手に余るならば、さっさと別の目標 を設けて取り組みを変えていくことです。その目標が子供たちの実態に合 わないということは、学級経営では起こりえることですから。 決め手は、先生がよく<子供たちの実態>を見ておいて、その実態にあ った有効な目標を作りだしていけるかどうかにかかっているのです。 ------------------------------------------------------------------ 【編集後記】 ------------------------------------------------------------------ 今回の回答、いろんなことを考えさせられました。 野中さんは、平素から、教師が一番苦しむのは「日々」だ、とおっしゃ っておられます。「あいさつ」の指導とは、まさに「日々」の指導であり、 野中さんのようなベテランの先生ですら、その「日々」に苦しんでいらっ しゃるのだ、と。そして、その「日々」の積み上げを「協働」で行いつづ けることこそ、大切なのだ、と。 野中さんの新しい本が出版になりました。現職の教師として担任を持っ た最後の「日々」を書き綴ったブログが本になったものです。みなさん、 ぜひお手にとってご覧ください。 『「野中信行のブログ教師塾」〜「現場」を生き抜くということ』(学 事出版、1800円)。下記は野中さんの現在のブログです。こちらに新刊の 情報が紹介されています。 http://nonobu.way-nifty.com/blog/2009/05/post-c285.html amazon等でも、数日中に販売開始になります。要チェック! 「授業成立プロジェクト」のHPにもお越しください。 http://www.jugyo.jp/js-pro/ 次号は6月10日発行の予定です。お楽しみに。 (晋) ================================================================== メールマガジン「授業成立プロジェクト」 第187号(読者数1354) 2009年6月3日発行 授業成立プロジェクトリーダー 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp 【本プロジェクトに関心を持った方は、ぜひメールを下さい】 編集責任者 中村健一(山口) kenek728@yahoo.co.jp 副編集長 土作 彰(奈良) tuttyan@kcn.jp 石川 晋(北海道) zvn06113@nifty.com 編集メンバー 平山 雅一(北海道) m-hira@f3.dion.ne.jp 中嶋 卓朗(宮城) nakaj@cd6.so-net.ne.jp 中條 佳記(奈良) qqvz2hg9k@lagoon.ocn.ne.jp 田中 博司(東京) o-tnk@mti.biglobe.ne.jp 青山 新吾(岡山) mxf02541@nifty.com 桑原 健介(福岡)kensuke1106@jcom.home.ne.jp メルマガ発行サポーター 佐藤 正寿(岩手) msts5sato@nifty.com 【ご意見・ご感想をお待ちしています。→中村健一 kenek728@yahoo.co.jp 校内研でワークショップをしたい等の問い合わせもお待ちしています。】 登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000158144.html ==================================================================



