2009/11/18
そのころ昼下がりの資料室では
▼「スペル」のサム・ライミ監督作「ザ・ギフト」を見逃すな! http://plain-story.cocolog-nifty.com/ps/2004/03/the_gift.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【基本3分!映画レビュー】わかりやすい映画案内 NO.228 2009.11.18 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●目次(INDEX)● ■【ヒマラヤ杉に降る雪】 ■【そのころ昼下がりの資料室では NO.01「伝説の名機とフラスコと」】 ■【これを黒澤明監督作品のリメイクといってはいけない】 ■【ドラマ離れ層にダイレクトに響く「JIN -仁-」】 ■【編集後記】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■【ヒマラヤ杉に降る雪(SNOW FALLING ON CEDARS)】 ――――――――――――――――――――――――――――――――― ▼「ヒマラヤ杉に降る雪(SNOW FALLING ON CEDARS)」 スコット・ヒックス監督 1999年 アメリカ 〔1〕ログライン(Log line)(ストーリーを述べてある一文) ――――――――――――――――――――― 第2次大戦直後の反日感情が残るアメリカの片田舎で漁師が亡くなり、 日系人が殺人容疑で逮捕される。町の青年記者がこの事件の真相を探る。 〔2〕ストーリー(Story)簡略に ――――――――――――――――――――― 第2次大戦後のアメリカ・ワシントン州の田舎町(島)で漁師のカール・ ハイネが水死体で発見される。 殺人容疑で起訴されたのは、カールと同じ町に住む漁師で日系人のミヤ モトカズオ。 街中が注目する裁判に、記者としてやってきたイシュマエル(チャンバ ーズ)。彼はかつて、被告の妻ハツエと恋人の関係であった。 裁判は被告の不利に進んでいく。提出される数々の証拠品。さらにカー ルとミヤモトとの間には土地をめぐる問題があったことが判明する。 そんなかなイシュマエルは灯台の記録から、ある事実を手にする。その 事実は裁判の行方を左右する証拠である。 イシュマエルは事件のあった船をもう一度調べてみることにする。 判決の日はすぐそこまで近づいていた……。 〔3〕メインキャラクター(Main Character)主な登場人物 ――――――――――――――――――――― △イシュマエル・チェンバーズ 地元新聞記者。被告の妻ハツエとはかつて恋人同士であった。 ▽ハツエ 被告(ミヤモトカズオ)の妻。イシュマエルと恋人同士だったが、 第2次大戦によってふたりは引き裂かれてしまった。 △ミヤモト・カズオ ハツエの夫。第2次大戦ではアメリカ合衆国陸軍兵士として戦う。 終戦で島に戻ると、買ったはずの土地が別の人物の手に渡っていた。 土地をめぐるトラブルでカール・ハイネを殺害した容疑で逮捕される。 △アート・モーラン 町の保安官 △ネルス 被告ミヤモトカズオの弁護士 △アルヴィン・フックス 検事 〔4〕・1 ソーシャル・コンフリクツ (Social Conflicts) 社会的葛藤 ――――――――――――――――――――― 被告ミヤモトカズオは裁判で不利な立場に立たされる。なぜなら、事件 の晩に濃霧の海でカールに会ったことを隠していたから。それは、反日 感情によって自分が殺人犯だと疑われしまうことを避けようとしたから。 また、カールとは土地をめぐる問題があった。そのため土地を手に入れ ようとカールを殺害したにちがいない、と思われてしまうと心配したか らだ。 〔4〕・2 インターナル・コンフリクツ (Internal Conflicts)内的葛藤 ――――――――――――――――――――― イシュマエルはハツエのことを忘れられないでいる。そのため事件に関 する情報をつかんでも、すぐに行動に移そうとはしない。 イシュマエルは自分を、よき記者であった父とは、ほど遠いと思って いる。 〔4〕・3 モンタージュ ――――――――――――――――――――― (一連の短いシーンのことを示し、一般的にはシーン全体で1つの情報 を伝える) イシュマエルとハツエが恋に落ちた様子や、ふたりが密会する様子をい くつかのシーンで伝えている。 イシュマエルの父の葬式シーン。島の日系人体表の人達が、お悔やみを 言いに葬式に現れる。これは、イシュマエルの父が記者としていかに公 正であったかを伝えている。 〔4〕・4 モチーフ(繰り返されるイメージ、リズム、サウンド) ――――――――――――――――――――― この作品には「水」と「魚」のイメージが繰り返し用いられている。 漁で獲れた魚。戦場の浜に打ち上げられた魚の死骸。 水死体で網にかかるカール。海に漂うカール。 戦場で水中に浮かぶイシュマエル。 海岸で遊んでいるイシュマエルとカール。 〔4〕・5 コネクション(映画と観客をつなくもの) ―――――――――――――――――――― △安全・安心 ミヤモトカズオは家族とともに幸せに暮らしたい。だが戦争から帰って みると自分の土地が違う人の手に渡っていた。土地を取り戻そうとする ミヤモトに、カールが溺死したことで殺人の容疑がかかる。 △尊敬・自尊 (人はだれしも尊敬され、スキルや貢献に対して感謝されることを望む) イシュマエルは亡くなった父に追いつけないと思っている。父は反日感 情が高まっていた戦争中も日系人に対して公正な記事を書きつづけてい た。そのため、父を尊敬し、慕う人たちがたくさんいる。 〔5〕Comments(論評、批評、意見) ―――――――――――――――――――― テーマを語るうえで重要なのは作品の場所や時代設定である。その点、 この作品は効果的な設定をしている。 テーマ :公正な心 正義 支配されない心 ロケーション:第2次大戦直後のアメリカの田舎町 ケース :殺人容疑で日系人逮捕 この作品は、人々(観客)の心に訴えかけるテーマを持っている。 ・家族と安全に暮らしたい(そのためのひとつの手段として土地を手に いれたい) ・人から尊敬されたり感謝されたい。 この二つの欲求をそれぞれミヤモトカズオとイシュマエルが表している。 さらに、イシュマエルは戦争で引き裂かれたハツエのことを想いづつけ ている。ハツエはすでに結婚しているが、あきらめきれない(愛する人 と一緒になりたいという欲求)。 ひとりの人間の力ではどうすることもできない事柄(戦争・事故)など が世界を支配している。それによって生み出される偏見、憎しみ。(こ こでは日系人に対する偏見)こういった執念から解放されることは容易 ではない。 イシュマエルは気づく。ハツエに対する愛から解放されることもまた容 易ではない――と。 イシュマエルは灯台で手に入れた情報をもとに、ミヤモトカズオの無実 を証明するために行動を起こす。 この作品の効果的な点は、テーマやメッセージを伝えるためにふさわし い舞台・時代設定になっているということ。 ただイシュマエルとハツエの関係やイシュマエルの戦争体験など、過去 の事柄を伝えるモンタージュ(一連の短いシーン)などが、どの時間と 空間のものなのかが、わかかりづらいかもしれない。 作品を貫く、静かで落ちついた作りは観客を作品の世界へじっくりと引 き込んでいく。 自分の生まれた国から出て他国へいくと、そこには文化や生活習慣や言 葉や考え方の違いがある。そこに葛藤が生まる。葛藤を通して人は成長 する。 これはストーリーの基本である。 基本をおさえた物語をじっくりと鑑賞したい人におすすめである。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 映画や音楽を一層楽しめるヘッドホンをみつけよう。 http://headphone-m.jugem.jp/ モニタ用ヘッドホン。携帯電話用ヘッドホン。インナーイヤーヘッドホン。 巻き取りヘッドホン。折りたたみヘッドホン等各種。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■【そのころ昼下がりの資料室では NO.01】 ――――――――――――――――――――――――――――――――― ▼「そのころ昼下がりの資料室では」 「★マリカジ★のメッセンジャーPC講座」のサイドストーリー。 マリちゃんが派遣されてきたIT企業の資料室での物語。 これはワンセグ機能付携帯電話が普及しはじめた頃のお話。 登場キャラクター ――――――――――――――――――――― △派遣サダヒロ 男性。20代前半。携帯電話とカラオケが好きな自称サーファー。外見 はイマドキのチャラ男っぽいが、何事もやるときはやる! という根性の 持ち主。好奇心も旺盛。まるで学生が保健室にサボりに行くかのように、 なにかと会社の資料室に行っては昔の雑誌をパラパラめくったり、資料 室長と雑談したりしている。 ▽室長コナツ 女性。30代半ば。資料室室長。会社のシステム系のプロジェクトを任 されているらしい。資料室の古い図案・書類・雑誌は棚に整理整頓され ており、歴史・文化にも造詣が深いという。資料室が上層階の役員用個 室の近くにあることから、会社を創立した一族の令嬢ではないかとの噂 も囁かれる。薄化粧で地味な格好が多いが、社内の若い女性社員やスタ ッフの間ではクールビューティーと噂される。 これは公式モバイルサイトに連載したコンテンツに一部加筆・編集した ものです。 ●第1回「伝説の名機とフラスコと」 ――――――――――――――――――――― 〈資料室:昼〉 派遣サダヒロ「資料室はここですかぁ?」 室長コナツ 「はい、そうですけど……どちらさま?」 派遣サダヒロ「こんにちわぁ。サダヒロといいます。1週間前から派遣 社員でお世話になってまス」 室長コナツ 「サダヒロくんね。わたしは室長の……」 派遣サダヒロ「うわぁ! これめっちゃレトロでいいかんじや~ん。こ れ使って仕事したら格好いいだろうなぁ」 室長コナツ 「それは使えないよ」 派遣サダヒロ「どうしてっスか? こんなにかっこいいのに」 室長コナツ 「それはApple IIだから。しかも社内で唯一のアップルマ シンよ」 派遣サダヒロ「アァゥポォゥル?」 室長コナツ 「普通に『アップル』と発音していいんだけど……」 派遣サダヒロ「こんなにシブくてカッコいいのに社内に1個しかないの はもったいないっスね」 室長コナツ 「昔の名機だからね。それこそ博物館に収蔵されるほどの ね。社内の博物館ともいえるこの資料室にあるのは似合 っているかもしれないけどね」 派遣サダヒロ「へぇ~博物館かぁ。知的な響きがして超COOL!」 室長コナツ 「そ、そう? そんなふうに言ってくれるなんて、キミっ て変わってるね」 派遣サダヒロ「うぉ! 本棚にいっぱい雑誌があるじゃないっスか。向 こうの机の上には学生のころ理科室でよく見かけたフラ スコもある!」 室長コナツ 「フラスコは湯沸しポット代わりよ。それで、キミは資料 室になんの用事かな?」 派遣サダヒロ「パソコンの操作方法知りたいなら資料室のきれいなおネ ェさんに訊きなよ、っていわれたんス」 室長コナツ 「キミ、そうとう女の子を泣かせてるでしょ」 派遣サダヒロ「そんなことないっスよ。ていうかエクセルで現在の日付 を入れたいんスけど、パソコンのこと聞くにはぜったい ココだってい聞いたもんで」 室長コナツ 「パソコンのことならまかせて。エクセルで日付挿入? それなら簡単よ。日付を挿入するセルを選択して [Ctrl]+[;]で押せばいいのよ」 派遣サダヒロ「すげぇ! さすが博物館の館長さんだ」 室長コナツ 「おいおい、わたしは室長の……」 派遣サダヒロ「コナツさんでしょ。またいろいろ教えてもらいまスんで よろしくっス」 室長コナツ 「なんでわたしの名前を知ってるの?」 派遣サダヒロ「女性社員さんが教えてくれたんスよ。パソコンのことな らコナツさんだって。でも資料室は役員用個室のある上 層階にあるから、足を運ぶのはちょっと遠慮しちゃうと 言ってましたよ」 室長コナツ 「……そうなんだ」 派遣サダヒロ「あれ? 元気ないっスね。パソコンのスキルを教えてく れたときのコナっちゃんの笑顔はステキだったのにな」 室長コナツ 「コナっちゃんって! それをいうならサダヒロくんの名 字は何なのよぉ」 派遣サダヒロ「サダヒロっスよ。貞弘武っていうんス。ではまた!」 室長コナツ 「なんだ名字がサダヒロなのね。ってお~い、扉はちゃん と閉めていきなさいよ~もぉ!」 ▽今回のポイント 現在の日付を挿入するには、 日付を挿入するセルを選択して[Ctrl]+[;]。 ▽便利度(最大3つ)★★★ 難易度(最大3つ)★ 【注】PC技(ショートカットキー)の類については、動作を保証しま せん。ストーリー内の1要素という役割のためです。ご了承くだ さい。 【ご感想・ご意見・出版・メディア関連のお問い合わせは、このマガジ ンに返信にてどうぞ】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■【これを黒澤明監督作品のリメイクといってはいけない】 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」(樋口真嗣監督)を観た。 黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」のリメイク作品だと言い張るそれは、 公開当時に伝え聞いていた評判どおりというべきか、予想どうりの残念 な作品といわざるを得ない。 とはいえキャスティングはわるくない。真壁六郎太役の阿部寛も雪姫役 の長澤まさみも、山の民である百姓二人のうちのひとり新八役に宮川大 輔(お笑い芸人)も、イメージにそこそこ合っている配役だ。 しかし山の民である百姓二人のうちのひとりの武蔵役にジャニーズアイ ドル松本潤がキャスティングされて「いい男ぶって」しまっている。 黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」での百姓、太平と又七はけっして二枚 目ではなかった。だからよかったのだ。 太平と又七がスターウォーズシリーズのドロイド「C3PO」と「R2D2」の 着想元となったのは有名な話。これらドロイドは「いい男(いいドロイ ド)ぶって」いただろうか? もちろん正義の味方という意味では「いいドロイド」なのだが、「C3PO」 と「R2D2」がやんややんや言い合いながら活躍するからこそよいのだ。 とくにR2-D2はジェダイの騎士でもなければ、特殊プログラミングがされ ているドロイドでもない。どこにでもいる量産型ドロイドのひとつに過 ぎない。だが、それがいいのだ。 なぜなら超人たちが大活躍するスターウォーズという物語では、観客を その物語世界へと導いてくれる橋渡し役が必要だからだ。 人には遠い世界の物語に想いを馳せて楽しむ能力がある。しかしどんな に程遠い世界の登場人物の中にも、どこかしら自分と共通する部分を見 い出さないと感情移入がしづらいのだ。そこで活躍するのがR2-D2である わけだ。R2-D2が私たちを物語世界へと導いてくれるのだ。 黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」でも、雪姫や真壁六郎太といった身分 的にも能力的にも超人(ふうつの人ではないとう意味)たちの冒険に、 太平と又七といった庶民が関わることで観客が物語世界にリンクできる よう絶妙に計算されて作られている。 振り分けられた役割をしっかり担うことで、それぞれの部品がカッチリ と組み合わさって滑車が回り、物語が動き出すようになっているのだ。 こうして動き出した物語は力強くもなめらかに速度を増し、その心地よ い乗り心地にいいつしか観客は我を忘れてのめり込む。 そんな最高の乗り心地を体験させてくれるのが黒澤明監督の「隠し砦の 三悪人」である。 ところがそのリメイクだと言い張る(?)「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」では、振り分けられた役割を無視するキャラクターのおかげ で、乗り心地どころの話ではなくなってしまっている。 もしも「R2D2」がジェダイマスターのようなしゃべり方をして共和国軍 の兵士に命令を下し、まるで自分の女であるかのようにレイア姫にタメ 口をきいたらどうだろう。 ドロイドの分際で! 身の程知らず! と言われて鉄クズに変えられて しまうにちがいない。 「R2D2」はジェダイの騎士やレイア姫をサポートする役割をしっかり果 たすからこそ愛されるキャラクターとなることができたのだ。 だから山の民の百姓である武蔵(松本潤)が「いい男ぶる」ことは意味 がないどころか、物語を途中で崩壊させてしまっていることがおわかり いただけたとおもう。 さて「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」を観て思い出したのが、黒 澤明監督の「隠し砦の三悪人」での祭のシーンだ。 キャンプファイヤーのように中心に火を焚き、そのまわり名もなき民た ちが踊る。その迫力がすさまじい。 黒澤明監督「隠し砦の三悪人」でもっとも印象的なのがその祭のシー ンだというのには理由がある。なぜなら、それが普通ではないからだ。 ここでいう「普通ではない」というのは、民俗学や文化人類学において いうところの「ハレ」と「ケ」のうち、「ハレ」を描写したものだから という意味である。 「ハレ」は儀礼や祭などの「非日常」を、「ケ」はふだんの生活である 「日常」をいう。 名もなき民たちの日常「ケ」と対比される非日常「ハレ」を描いた祭の シーンは、そういう意味でふつうではなく、物語の中でも「ふつうでは ない」「ハッとする」部分をつくることで、この映画作品を観ることで 非日常という節目に触れて日常を生きる生命力を得てほしいという願い が込められていると考えられる。 映画はつくりものである。映画は私たちの日常ではない。 映画を観るという非日常(ハレ)の時間をもつことで、日常(ケ)を生 きる力を養う。 映画にはそういう役割があるのではないか。 現代は共同体が祭を行う力を失ったかのようにみえても、祭は姿を変え えて私たちと共に生きつづけている。 祭はときにアイドルや歌手やバンドのコンサートやライヴとなったり、 スポーツ観戦や格闘技観戦になったりしている。 ちなみに現代は「祭」が音楽やスポーツや格闘技に姿を変えているが、 かつての日本では芸術がその担い手であった。 芸術によって非日常(ハレ)を感じさせ、日常を生きる力を提供する。 芸術にはそういった力があったのだ。 さて黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」が傑作といわれるのは優れたスト ーリーやプロットによるというのが定説だ。もちろんそのとおりなのだ が、映画という表現媒体で非日常(ハレ)をみせてくれるからというの も大きな理由だ。 だから黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」に祭のシーンがあるのは、偶然 でも行きあたりばったりでもない。むしろ祭のシーンのために「隠し砦 の三悪人」を撮ったのではないかとも思う。 そんなわけだから、黒澤明監督の後継者ともいわれる北野武監督が自ら の監督作「座頭市」で祭のシーンを取り入れ、タップダンスを披露して かなり力を入れているのは偶然ではないでだろう。 ところが「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」の祭のシーンをみると 「原作映画に祭のシーンがあるからリメイク作品にも取り入れました」 以外の理由が感じられない。 もしも「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」の樋口真嗣監督が黒澤明 監督の「隠し砦の三悪人」の祭のシーンの意味を少しでも理解しようと したならば、山の民で百姓である武蔵に雪姫を口説かせるわけがない。 「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」の監督は「ローレライ」を撮っ た特撮屋の樋口真嗣である。 そのため「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」でも特撮が目立って いる。これがとても特撮っぽい。特撮だからしょうがないのだが、な んというか、むかしのモロバレ感がある特撮っぽさの匂いが強すぎる のだ。そのため作品にヘタなチープ感を漂わせてしまっている。 そういったわけで予想どうりの残念な作品なのだが、こんなのリメイ クだと認めない! という多くの声をきっかけに、若い人を中心に黒 澤明監督の「隠し砦の三悪人」を観る人が増えてくれれば、とおもう。 おわりに、非日常(ハレ)を感じさせ、日常を生きる力を提供する芸 術を江戸時代の絵画を例に解説してくれるこちらを紹介しておこう。 http://mikkemon.seesaa.net/article/133011270.html ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 黒澤明監督「隠し砦の三悪人」の「祭」のシーンでハッ! とさせる のと同じような効果と役割を、かつての日本では芸術が担っていたの だ。 「しょこたん」こと中川翔子が描く、楳図かずお風のイラストをみたこ とがあるだろうか。 アイドルの外見とは似つかわしくないとおもえるグロテスクな画風。ち ょっと「ひく」ぐらいのオドロオドロしいその画に、人々は魅了され、 そこに非日常を感じる。非日常=「ハレ女しょこたん」が人気の理由に すこしでも関連性を見出せたなら、きっとあなたの好奇心を刺激するだ ろう。http://mikkemon.seesaa.net/article/133011270.html ▼黒澤明監督「隠し砦の三悪人」 http://mikkemon.seesaa.net/article/133011484.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■【ドラマ離れ層にダイレクトに響く「JIN -仁-」】 ――――――――――――――――――――――――――――――――― ~バランス感覚に優れ、妙な「イヤラシサ」がないのが人気の理由~ 「JIN -仁-」は視聴率がいいそうで、TBSにとってはこれ以上うれしい ことはないんじゃないでしょうか。 「MR.BRAIN」を放映したTBSとは思えない安定した作りの「JIN -仁-」 にはオドロキです。 やっとドラマのTBSの本領発揮というか、原点へ戻れたということなの かな。 「JIN -仁-」は原作がいいから、というのもあるだろうけれど、キャス ティングにしろCGにしろセットにしろ、それぞれが節度をもっていると ころがいいね。 やはり、人気があるだけのアイドルといった類がキャスティングされて いないのがGOOD. アイドルっぽいのは小出恵介ぐらいだけど、彼はアイドルというより俳 優といったほうがしっくりくる。俳優がアイドルっぽい人気をたまたま 得たというかんじだ。 綾瀬はるかはコメディからシリアスまでこなせる女優であり、どんな作 品でも役柄をきっちり演じる逸材です。「JIN -仁-」でもいい演技みせ ています。また、麻生祐未もひじょうにいい味を出しています。 吉原の『大門切手』とか、ご飯の盛り方とか、産婆が大名行列を横切る とか、当時の江戸の様子がわかるあたりも歴史ファンにはたらまらない でしょう。 幕末江戸の町並みを再現したCGもさらりと使われているぐらいで、ほか はセットでの撮影がメインってかんじなのも抑制がきいています。 なまじCG屋がシャシャリ出てくると「3丁目の夕日」とかいうモロお涙 頂戴の「イヤラシサ」がにじみ出てしまう危険があるので、必要なとこ ろだけ使う抑制の効いた正しいCGの使用法を守っていることに好感がも てます。 それから歴史上の有名人も登場しますが、ヘタにいじらずに視聴者のイ メージをなぞらえた俳優を使っています。 現代は幕末と似たような歴史的転換期にあるとみる人々も多いですから、 時代を反映しているともいえます。 なんでタイムスリップしたのか? あの胎児はなんなのか? などのミ ステリーの要素もある。 こういうドラマありきのドラマってこの頃はほとんどなくなっていまし たから、「JIN -仁-」はドラマ離れしていた層にダイレクトにうったえ かける魅力をもっていたんだとおもいます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■【編集後記】 ――――――――――――――――――――――――――――――――― ご好評をいただいた「★マリカジ★のメッセンジャーPC講座」のサイ ドストーリーをお届けしています。 マリちゃんの同僚らしき男子(だんし←なつかしい響き!)が昼休みに 出かけていく先は……。 タカがはじめてパソコンを使ったのはNECの機種だったとおもう。 そこに薄くペラペラの一太郎のフロッピーディスクを入れて使ったなぁ。 MacintoshではPerformaだったかな。 Apple IIはさすがに触ったことないです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼やさしい言葉で明快に伝える!日本語力の磨き方 http://plainjapanese.seesaa.net/ わかりやすい文になる文章術。明快な文章の書き方。 みるみるわかりやすい文になるリライト術を公開。 ▼映画にみるキリスト教文化と聖書 http://movies-bible.seesaa.net/ ▼【書籍出版企画】 ■エンタメ式!みるみるわかりやすい文にする技術 ~やさしい言葉で明快に伝える!日本語力の磨き方~ ~みるみるわかりやすい文になる12のリライト術~ (文章チェックリスト〈70項目〉付) http://plainjapanese.seesaa.net/article/126029660.html 企画に興味を持たれた方、ご感想・ご意見・執筆依頼・出版・メディア 関連のお問い合わせは、このマガジンに返信にてお気軽にどうぞ。 -------------------------------- ・映画評論家 ・ストーリー・アナリスト ・ライター ・コラムニスト ・わかりやすい日本語アドバイザー -------------------------------- ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【基本3分!映画レビュー】わかりやすい映画案内 ブログ http://plain-story.cocolog-nifty.com/ps/ 発行システム「まぐまぐ!」 登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000152956.html マガジン解除はご自身でお願いします。解除受付しておりません。 発行者 高田 ご意見・ご感想 本誌に返信にてどうぞ。 Copyright (C) 2005-2009 Takada All Rights Reserved. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


