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2007/11/29

早稲田ウィークリー メールマガジン 2007年11月29日号

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ワセダがもっともっとよくわかる!

 ◆◇◇早稲田ウィークリー メールマガジン◇   2007年11月29日号  
                     http://www.waseda.jp/student/weekly.html
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■編集員より

 大学時代、なぜか親戚の子守をすることが多かった。一緒に遊んで時間を持た
せるわけだが、ウケが良くかつ兄妹3人をまとめて面倒見ることができる便利な定
番ネタが、「お絵かき対抗戦」だった。一人をお題出題者兼審判役にして、私を
含む残りのメンツでお題に沿ったものを描き、審判役の独断のみで「誰の作品が
一番良かったか」を判定し、ポイントが加算。お題が分からずとんでもないもの
を描いてしまっても、審判にウケればそれでOK。何回戦も繰り返してポイントを
積み重ね、優勝者を決定する。優勝しても「すご〜い」で終わるだけなのだが、
これがみな結構熱くなる。出題役もなんとか面白いものを描かせようと、凝った
お題をあれこれと探し出す。すべて未就学児童〜小学校低学年の子どもたちだっ
た。やっぱり子どもはお絵かきが好きなんだなあと思った次第。

 子どもに限らず私自身もいつのまにやら夢中になってしまうこの企画、もとも
とはTVのバラエティー番組からいただいたものだ。それに興じる出演者たちがや
けに楽しそうで、自分もやってみたいと思ったのが始まりであるような記憶があ
る。

 この大学広報紙『早稲田ウィークリー』の編集という仕事も、それが大事な事
であるのだろう。「大学時代、こんな記事が読めたら」、「ほかの学生はどんな
大学生活を送っているのだろう」、「面白い講義ってあるのか?」等々、当事者
である学生、そのときの気持ちを手がかりに、読んで面白い紙面をお届けできれ
ばと思っている。

 …こんなことを思い出しながら先日、甥っ子と久しぶりにこれをやって遊んで
みた。惨敗だった。さすがに今の子ども向け番組の怪獣を、固有名詞だけを手が
かりに描こうというのは、無理だよ、甥。いや、なんとか頑張ってみたんですけ
どね。甥の嘲笑が、耳に残っています。
                                   (牛)

[Topics]

○ 第1回 早稲田大学坪内逍遙大賞 村上春樹氏に決定! 奨励賞は川上未映子氏に

○ ぴーぷる:プロ将棋棋士 廣瀬 章人さん

○ よく分かる 研究最前線:
 小笠原義秀教授 オープン教育科目「ロッキー山脈で地球を科学するセミナー」

○ 薦!:『坊っちゃん』

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 第1回 早稲田大学坪内逍遙大賞
  村上春樹氏に決定!
  奨励賞は川上未映子氏に
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 第1回早稲田大学坪内逍遙大賞が決定し、11月19日に授賞式が行われ、各受賞者
に白井克彦総長より賞状とメダル・賞金が渡された。会場は招待者、各新聞・雑
誌等のマスコミ、学内外関係者などでいっぱいとなり、大盛況のうちに式は終了
した。


 <本賞の目的>

 本学では、東京専門学校文学科を創設した坪内逍遙の精神を発展させることを
願って、このたび創設した「早稲田大学坪内逍遙大賞」の記念すべき第1回受賞者
として、大賞に村上春樹氏、奨励賞に川上未映子氏が決定。この賞は広範な文化
・芸術活動のなかから、隔年で「大賞」1名(1団体)、「奨励賞」1名(1団体)
を選んで顕彰することを目的としている。


<大 賞>
 村上 春樹(むらかみ・はるき)氏
 1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部(演劇専修)卒業。『風の歌を聴
け』(1979)で群像新人文学賞を受賞し、デビュー。『羊をめぐる冒険』(1982)
で野間文芸新人賞、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(1985)
で谷崎潤一郎賞を受賞。『ねじまき鳥クロニクル』(1994、1995)で読売文学賞
受賞。 2006年、フランク・オコナー国際短編賞、フランツ・カフカ賞を受賞。ノ
ンフィクションに『アンダーグラウンド』(1997)、『約束された場所で−
underground2』(1998)があるほか、アーヴィング、カーヴァー、フィッツジェ
ラルド等のアメリカ文学の翻訳多数。

[授賞理由]
 現代小説の可能性を多くの長・短篇で切り開き、『アンダーグラウンド』など
ノンフィクション作品でも圧倒的な存在感を示した。また、レイモンド・カーヴ
ァー全集、ティム・オブライエン、J・D・サリンジャー、レイモンド・チャンド
ラー、 F・スコット・フィッツジェラルドなどをはじめとする優れた翻訳によっ
て、新しい日本語を構築した。 

[村上春樹氏の受賞の言葉から]

 早大出身者を対象とするものではないということだが、僕は、いろいろな事情
で、結果的に7年間も早稲田大学に在籍してしまいました。
 学生時代は坪内博士記念演劇博物館、演博と言っていましたが、演博は好きな
場所でよく足を運びました。いつも静かであまり人もいなくって。映画・演劇を
専攻していた僕は、とにかくシナリオを書きたかった。演博にある古いシナリオ
を、次々に読んでは、まるで白日夢を見るように頭の中で映画をこしらえていま
した。映画を見に行くお金が無くて、演博を使っていたのですが、こういう作業
が小説家になってから大変役に立っています。貧乏もたまには役に立ちます。長
く続くとつらいですけど。
 僕は、30年近く小説を書いてきて、好きなことを好きなようにやってきました。
何かに貢献したとかしなかったという思いはありません。熱心な読者の存在こそ
が一番の勲章です。
 しかし、今回このような賞をいただき、わずかでも文学の新しい展開に寄与で
きたとしたら、大変嬉しいことです。


<奨励賞>
 川上  未映子(かわかみ・みえこ)氏
 1976年大阪府生まれ。2002年、ビクターエンタテインメントより未映子の名前
で歌手デビュー。雑誌「ユリイカ」に詩を発表しながら、2006年、随筆集『そら
頭はでかいです、世界がすこんと入ります』を上梓、さらに小説『感じる専門家
 採用試験』を発表。2007年、「早稲田文学」に発表した『わたくし率 イン 歯
ー、または世界』が芥川賞候補となる。CDアルバムに『夢見る機械』(2004)、
『頭の中と世界の結婚』(2005)がある。

[授賞理由]
 『わたくし率 イン 歯ー、または世界』で示された稀有な筆力と思考力は、読む
ものに強いインパクトとショックを与え、まったく新しい日本語表現を見事に切
り開いている。また、エッセイ集『そら頭はでかいです、世界がすこんと入りま
す』も小説と比肩する、疾走する潔癖さとでも言える豊富な内容を持っており、
身体性と観念性をたくみに行き来するこの作家の魅力を裏打ちする。

[川上未映子氏の受賞の言葉から]

 物語はそのへんに浮かんでいて、物語の方から作者に向かって飛んでくる。あ
る時は村上春樹さんに、ある時は私に飛んできて、作者は忘れ去られても物語は
残ります。物語が私を目指して飛んできた時に、きちんと受け止めて物語をつむ
ぎ出せるように、しっかりと体力をつけておきたいと思っています。


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  ○ぴーぷる○
 プロ将棋棋士 廣瀬 章人さん
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 「好きこそ物の上手なれ」、この言葉がぴったり。父と兄の指す将棋に興味を
持ち、たちまち将棋は生活の一部となった。「子どもだったからでしょうか、迷
わずプロを目指しました」。12歳でプロ養成所へ入所。周囲からは確かな将来性
を認められていた。「それよりも養成所に入ることを許してくれた両親にはあり
がたい思いでいっぱいです」。プロ棋士となってもなお、周囲への感謝を忘れず、
はにかむ廣瀬さん。

 「将棋以外にも、さまざまな経験を積みたい」と早稲田大学入学を決めた。18
歳から20歳の期間は将棋界では貴重な成長時期のため、受験勉強や学校での勉学
との両立が難しく、大学卒のプロ棋士は珍しい。大学生とプロの二足のわらじを
履いた彼は、日々勉強、練習、対局に追われている。「他人と同じことをやらな
い」という心意気は、将棋を指すときの思考と重なっている。

 「今までで一番うれしかった瞬間」は、プロ棋士へ昇段した時のこと。「感動
でいっぱいなのに、実感がわかなくて…。友だちに喜びと報告の入り交じったメ
ールを送りまくりました(笑)」。それから2年、異例の早さで5段へ昇段。その
時の一局はのびのびと指せ、わずか2時間で勝負を決めた。「短時間で勝利できた
ことはすがすがしいですが、プロとして、手筋をよく吟味し、今後は、与えられ
た持ち時間でじっくり指すつもりです」。将棋の奥深さが、彼に将棋への尽きぬ
興味と努力を生み出させる。現在は12月の順位戦に向けて目下、奮闘中。

 「将棋は人生のパートナー。付き合いづらいけれど(笑)。でも常に苦楽を共
にしたい」。嫌いになったことがない将棋が、今は彼の職業だ。「プロは応援し
てくれる人がいる。そこがアマとの大きな違い。自分一人のための将棋ではなく
なるのですから」。決意を込めた口調で語る。彼自身のたゆまぬ努力とそれを支
える周囲の熱い応援が、彼をまた一回り大きな棋士へと成長させていくだろう。


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 ○よく分かる 研究最前線○
 小笠原義秀教授 オープン教育科目「ロッキー山脈で地球を科学するセミナー」
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 〜フィールドトリップに参加して感じたこと〜

 社会科学部3年 平本 有佳

 私は、2007年度オープン教育センター開講の「ロッキー山脈で地球を科学する
セミナー」を受講した。まず、前期からの事前の学習を行い、夏休みに実際にロ
ッキー山脈の大自然の中でのフィールドワークに取り組み、46億年の地球の歴史
を探求してきた。

 授業が開始された4月、いろいろな学部から集まった受講生は全員、「地球科
学」の初心者だった。実際のフィールドを理解できるレベルに達するまで、半年
間、分厚い英文の教科書を用いてのプレゼン、パソコンの地図ソフトやGPS(こち
らもすべて英語表記)の技術習得などをこなした。未知の分野の学習は難しく感
じることもあったが、「トリップを成功させよう」という目標に向かって、メン
バー同士で協力・分担して乗り越えた。皆の積極性はトリップに出てからも変わ
らなかった。例えば、岩石採取の時は、誰かがハンマーを振れば、誰かが梱包の
準備をして、GPSで記録をとる、というように自然とチームワークができていっ
た。

 私たちが思いきり勉強できたのは、もちろん小笠原先生のご指導があったから
だ。先生は、地球科学の面白さについて、熱心に、時に厳しく教えてくれた。San
 FranciscoからJackson Holeまで、ずっと車を運転。昼食はビーフジャーキーと
ペプシだけ。私たち学生以上にハードな状況のもと、地球への好奇心を一瞬も失
わない真剣な姿勢から「努力すること」、「成し遂げること」の大切さを学んだ。

 また、このフィールドトリップに参加してから、「物事を広く深く見ること」
を強く意識するようになった。地球科学の学習において、視点の中心には常に
「自然」が置かれる。このことは、私の専攻である民法の学習とはまったく違っ
た。「私人間」のルールである民法は「人」を中心とした学問なのだ。自分の専
攻と異なる「見方」に触れることで、「何を見るか」だけではなく「どのように
見るか」ということの大切さにも気付かされた。

 壮大なロッキーを目の前にして地球の大きさを肌で感じ、仲間や先生と過ごし
た10日間は、私にとって一生ものの経験になった。この授業に出会えたことは、
非常に幸運なことであったと思う。

 現在私は、ロッキーの素晴らしさをもっと多くの人に知ってほしいと考え、ト
リップの成果をWebサイトにまとめる作業を続けている。


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 ○薦!○
  『坊っちゃん』 夏目 漱石 著 1950年 岩波書店
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 <「想い」の物語>

 人間関係の網のなかで身動きがとれず、周囲にも、自分自身にも目配りをする
余裕がなくなって気持ちがすさんできたとき、波瀾万丈の冒険小説やミステリー
で気を紛らわせたり、幸福な、あるいは不幸な恋人たちの物語につきあって自分
を重ねてみたりした経験は、誰にでもあるだろう。だがここでは、そのどちらで
もない、夏目漱石の『坊っちゃん』を挙げておきたい。

 主人公の「坊っちゃん」には、正式な名前がない。『吾輩は猫である』の猫と、
語りのうえでは同じ境遇だ。両親に愛されていないと感じている「名なし」の若
者が、何とか学業を終え、四国のとある中学校へ数学教師として赴任する。そこ
で繰り広げられるドタバタは、落語調の軽妙な語りにのせられた現在進行形の話
のように読まれがちだが、実は、常に回想のなかで語られた過去の物語である。

 語り手の現在と過去をつないでいるのが、「清という下女」の存在だ。彼女は
坊っちゃんがどれほど失敗しようと、どれほどたたかれようと、その「真っ直ぐ
でよい御気性」を信じ、褒め、励まし、つまりは実母のごとき無償の愛で彼を包
む。すると彼女の想いは、かつては四国にいて、いまは東京のどこかでこの物語
をつづっている語り手の胸に、まっすぐ届く。『坊っちゃん』は、純粋な、ほと
んど匿名の悔いのなかで書かれた「想い」の物語なのである。「再読」をお薦め
したい。

<評者> 堀江 敏幸(ほりえ・としゆき) 文学学術院教授


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[今週の早稲田ウィークリー 目次] Webでもご覧ください!

◎ 第1回 早稲田大学坪内逍遙大賞 村上春樹氏に決定!
◎ ぴーぷる:プロ将棋棋士 廣瀬 章人さん
◎ えび茶ゾーン
◎ よく分かる:研究最前線 超高圧変成作用起源ダイヤモンド
◎ 2007年度司法試験結果
◎ 現場レポート:ヨルダンおよびイラクへのODA―インターンシップを通じて学んだこと―
◎ 現場レポート:ワセダが変える、理系博士の将来像―早稲田大学が初代STOの称号を認定―
◎ わせだかいわい:高田牧舎
◎ Weekly Flash
◎ ぐろーかる・らうんじ:From Australia to Waseda
◎ Glocal Rounge:From Waseda to Australia
◎ 学生注目!!:読書の秋に漫画はいかが
◎ こんな授業! どんなゼミ?:「実験ファイナンス」仮想市場でのトレーディング
◎ とっておきの話:アイルランド詩人 ミホール・オシール
◎ 薦!:『坊ちゃん』
◎ ミニコラム:ワセ☆ネタ 第6回 ネタの宝庫誕生! デジタル歴史館
◎  杜の手帳(学内のイベント情報)

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