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2008/04/25

内藤証券メルマガ「中国株レポート」No.119

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2008/04/25 No.119
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
       ★内藤証券メルマガ「中国株レポート」★
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【1】比べてみれば何が見える?
―第9回「中国の大学事情 〜産学連携が進む中国〜」―
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★ ☆比べてみれば何が見える?☆★
―第9回「中国の大学事情 〜産学連携が進む中国〜」―

◆春本番 〜新生活がスタート!〜

 「比べてみれば何が見える?」。9回目の今回は「中国の大学
事情」です。4月に新年度が始まり、新生活をスタートさせた人
も周りにたくさんいるでしょうか。今回は「入学の季節」という
ことで、大学進学を通して日中の教育事情を考えていきたいと思
います。

 中国では、進学、就職の多くは9月からなのですが、そもそも
どうして大学進学するのでしょうか?このような根本的な問いに
相違点が色濃く現れるかもしれません。いくつか関連する調査が
あるので、まずはその内容を見てみましょう。

◇日本の学生の場合 〜楽しみなキャンパスライフ〜

 同志社大学が実施した「キャンパスライフに関するアンケート
調査」から、日本の学生が「大学進学」をする理由を見てみま
しょう。
http://www.doshisha.ac.jp/academics/institute/kyouiku/campuslife/cla2006.pdf

 進学理由として10の項目を列挙し、それぞれについて3つの選
択し(重要でない、いくらか重要、非常に重要)のいずれかを選
びます。「非常に重要」を選択した割合が一番高かったのは「学
生生活を楽しんでみたい」で54.7%。次に「幅広い教養を身につ
けたい」が48.8%、「就職に有利」が45.7%、「大学で学ぶ内容
に興味」が42.9%でした。

 大学生活を楽しみたい!受験勉強から解放され、親元を離れて
大学生活をエンジョイしたい……。思い返せば私もまさしくそう
でした。特に男子校出身の私にとっては、入学時はかなりワクワ
クしていた記憶があります(笑)。

◆中国の学生の場合 〜いい仕事を獲得するために!〜

 中国の学生はどうでしょうか?重慶市にある重点大学の一つ
「西南大学」は、2007年に市内の大学生・その保護者などを対象
に「大学進学の理由」についてアンケート調査を実施しました。
大学進学の一番の理由として一番多かった回答が「自分に適した
良い仕事を見つけるため」です。30%以上の学生、32.5%以上の
保護者が選択。これに「自家用車、マンションを持つようなホワ
イトカラーの生活をしたい」などを含め、“現実的な利益のた
め”とまとめると、学生の44%、保護者の49%に達するといいま
す。このほか別の調査では対象学生の32.3%が「両親の生活を改
善し、親孝行をするため」、10.8%が「両親の指示」という答え
を示しています。

 中国では卒業後の就職を主眼に大学生活を送る学生が多いのか
もしれません。大学側も、学生、保護者も同じように「就職」と
いう結果を求める……。留学時代も、現地の学生と大学生活の考
え方について違いがあることに驚いたことがあります。日本と異
なり、中国はまさしく勉強一色。毎日遅くまで真剣に勉強してい
ます。

◇超氷河期の真っ只中にいる学生たち〜厳しい競争を勝ち抜く〜

 「なぜ大学に進学するのか?」と問うならば、日本は「学生生
活自体」、中国は「卒業後の就職」に重きを置く学生が、それぞ
れ多いように見て取れます。日本も就職の重要度は大きいです
が、中国よりは下回ると思われます。この違いには、どのような
背景があるのでしょうか?

 日本では学生の就職戦線が一時の“氷河期”から、現在では
“売り手市場”に変わってきたといわれています。一方の中国
は、 “超氷河期”といえ、学生はかなり厳しい就職競争を勝ち
抜かなくてはなりません。昨年8月時点の報道によると、全国495
万人の卒業予定者のうち、100万人がまだ仕事が見つかっていな
いといいます。早くから厳しい就職競争の波にもまれ、学生にか
かるストレスはなかなかのものでしょう。

 中国は立身出世のために学歴が最重要です。特に農村部はしか
りです。こうして厳しい受験競争を勝ち抜いて入学したその後に
は、就職という新たな競争が待ち受けています。このような背景
が、大学進学の理由でも表れているのではないでしょうか。

◆大学という“株式会社” 〜産学連携の光と影〜

 中国の教育制度は日本とほぼ同じで、まず9年の義務教育。そ
の後は3年の高等中学(高校に相当)で、最後に大学があり、教
育界の頂点に君臨しています。トップに位置する大学の動向が教
育全体に与える影響は大きいでしょう。

 中国は今、高等教育に対するニーズが高まっており、教育市場
は拡大の一途です。こうしたなか、積極的に企業と連携し、教育
市場に出て行こうという大学も見られます。ただ、そのなかには
市場を重視するあまり、“金儲け”を重視しすぎる大学も少数な
がらあるようで、大きな社会問題になっています。入学希望者の
多さを逆手にとり、専門学校のような「学院」を設置。学生を入
学させ、十分な教育を施すこともなくお金だけを取る……。この
ような大学はまるで“株式会社”のように感じることがありま
す。大学は学生を教育して付加価値を加え、社会に提供するのが
本分です。利益ばかりを追い求める一方で、提供する財・サービ
スをなおざりにするのが株式会社の一番悪い形ならば、一部の問
題大学は残念ながら該当するかもしれません。

 産学連携を合言葉に大学は企業と積極的に結びつきます。それ
は大学により多くのビジネスチャンスをもたらし、結果的に大学
にお金をもたらすでしょう。ただ、これが極端な利益第一主義に
繋がりかねない可能性も否定できません。ビジネス的になりす
ぎ、企業の要求を満たすばかりだと、どうしても目の前の結果ば
かりを追い求めかねない……。こうした背景が、中国の学生が
「就職」を重要視することに影響しているのかもしれません。

 ただ、産学連携は基本的に大学、企業、社会、すべてにとって
プラスです。週刊誌『タイム』 (TIME)が発表する世界大学ラン
キング(2007年版)の上位50大学を見ると、アジアの大学では東
京大学が最高位となる17位に位置し、日本の大学は計3校。一方
の中国(香港を含まず)は36位の北京大学、40位の清華大学の2
校のみで、国際的な評価は日本の大学がまだまだ中国を上回って
いるのかもしれません。

 ただ、産学連携の面は、中国は日本よりもはるかに先を行って
いる可能性があります。大学発のベンチャー・ビジネスも活発
で、何より驚くのが、中国には大学発・関連する上場企業が多い
ことです。特にIT関連で見られ、弊社の取扱銘柄でも方正控股
(0418.HK)、北大青鳥(8095.HK)などがあります。企業と提携し
研究レベルを高め、優秀な人材を輩出することで更なる資金を呼
び込む。中国の大学は質・量ともに確実に伸びています。

◇結びに変えて 〜 中国の受験は大変!〜

 大学入学の理由を例にとり比較してみると、日中で産学連携、
ビジネス化という面で違いがあるようです。でも、大学を頂点と
する中国の教育界はバラ色ばかりでもなく、色々な問題を抱えて
いることも事実のようです。

 中国を見習い、日本の大学も更なる産学連携の推進などを通じ
て、社会に積極的に出て行くことが必要なのかもしれません。数
年前に独立行政法人化された国立大学は、今、大きく変わってき
ているようです。ただ、そこで無くしてしまってはもったいない
部分もあると思います。「大学は好きで勉強するのが本分であ
り、就職は就職で別」という考えもあり、私もこの考え方に賛成
です。実社会ですぐに役立たなさそうな学問でも、好きだから勉
強する。たまには友人と飲み明かす。そういう面でしょう。

 こう考えると、中国の学生は日本よりも厳しい環境におかれて
いるのかもしれません。学生たちのなかには、勉強、就職などが
大きな精神的な負担になる学生もいるでしょう。私はその辺りを
心配してしまいます。

 大学に入学するには厳しい受験競争を勝ち抜かなければなりま
せん。大学入試を頂点とする受験ですが、中国が日本と根本的に
異なる点は、実質的な中学校入試があることです。点数によって
中学校の選択範囲が決まり、それは将来の大学進学まで影響する
可能性もあります。一人っ子政策の中国では、子どもたちは甘や
かされやすいといいます。一方で期待も一身に受けるため、受験
競争によるプレッシャーは日本以上かも……。加えて受験はまさ
しく一発勝負。そのため特に大学受験に際し、希望と大きく異な
る大学、専門分野に進むことも起こりえます。

 NHKが放送した「激流中国」というドキュメンタリー番組。ご
覧になった方も多いと思いますが、その「小皇帝の涙」という回
で、昆明市の小学校の様子が紹介されていました。子どもたちが
かなり忙しく、相当のストレスを受けている姿が映し出されるの
を見て、私はかなり驚きました。

 受験競争の低年齢化、大学入学後に待ち受ける厳しい就職競
争……。そこには社会的な問題が潜んでいるかもしれません。

 中国は大学を通じて優秀な人材を輩出。彼らは厳しい競争にも
まれながらも、経済発展をけん引し、今後もそうなるのでしょう
か。「産学連携」は益々重要になり、企業も大学との繋がりが競
争力を左右していきます。ただ、そこには影の部分も見え隠れし
ています。ダイナミックに動く中国の教育について、私は期待感
と不安感を両方抱きながら、これからも注目していきたいなと思
います。

(中国部 畦田和弘)

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