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2009/05/15

《たとえ話》で分かる物理222号◆たとえ話「ティコとプトレマイオスの対話」

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       楽しい《たとえ話》で直感的に分かる物理の考え方
                2009/5/15  222号 3137部
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田原です。
こんにちは。

先週は、ケプラーに関する資料を読みました。

今回、僕の中で評価が高まったのは、ティコ・ブラーエです。

今日のたとえ話は、ティコ・ブラーエの中に見られる科学精神を
テーマにしてみました。

それでは、たとえ話スタートです!


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■ティコとプトレマイオスの対話
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プ:ティコ君、天上は神の世界なのですよ。
  神は、「完全」でなくてはならないのです。
  だから、天体の運動は、「完全」の象徴である「円」でなくてはならない
  のです。

ティ:トレミー君。私も天体が「円」であることには賛成だ。
   しかし、君の天動説モデルによる予想は、実際の観測とズレがあるでは
   ないか。
   
   私は、そういったズレがあることが我慢できないのだ。
   本当のことを知りたいのだよ。

10年後、二人は喫茶店でばったりと会った。

プ:お久しぶりです。あいかわらず観測していますか?

ティ:ええ、世界の誰よりも精確な観測をね。
   私が信じているのは、私の観測結果だけだ。
   誰かが言ったことなんぞ、信じられないが、
   私の観測結果の正確さだけは信じられるよ。

プ:以前、お会いしたときは、天動説側につくか、地動説側につくか
  迷っていましたが、結局、どちらに着くことにしたのですか?

ティ:私は、「視差」を観測することによって、あらゆる天体までの
   距離を測定した。

   その結果、恒星天球は移動していないことが判明した。
   つまり、地球は動いていないのだ。

プ:では、地球の周りを太陽や月、5つの惑星が回っているという
  私の天動説を支持してくれるのですね。

ティ:いや、視差の測定によって、地球からの距離がほとんど変わらない
   のは、太陽と月だけだ。

   だから、この2つは、地球の周りを回っているに違いない。

   しかし、他の惑星は、地球からの距離が大きく変化する。
   プトレマイオス君の周転円モデルは、あまりにも不自然すぎる。
   
   そこで、私は、新しいモデルを考えた。

   静止している地球の周りを、月と太陽が回り、太陽の周りを、
   5つの惑星が回るのだ。こう考えると、周転円が必要なくなる
   のだ。あとは、私の精確な観測結果とぴったり合うかどうかを、
   確かめるだけだ。

プ:なるほど。。。。それなら、確かに周転円は必要ありませんね。
  でも、神は、そんなバランスの悪い宇宙を作ったのでしょうか?

ティ:私は、神だけでなく「視差」も信じているのだよ。

★たとえ話終了★

ティコの生きていた時代に、彗星が現れました。

当時は、彗星は大気現象だと考えられていました。
ガリレオ・ガリレイですら、大気現象だと書いています。

その中で、ティコは、彗星の「視差」を測定し、その視差が、
月よりも小さいことから、少なくとも彗星が月よりも遠い天体であると
結論します。

また、超新星に視差がほとんど見られないことから、
超新星が恒星天球と同等の距離にある現象であることを示します。

ティコは、それまでに信じられていた

「月より遠い世界は、永久不変である」

という説を、精密な観測によって覆すのです。


「継続的で精確な観測」が、強力な道具になることをはじめて示した
点で、ティコが近代科学に与えた影響は、とても大きいです。


ティコは、自分の観測結果にもとづいて「地球は止まっている」と結論しました。

これは、神学的な理由で地球を中心だと考えていた天動説論者と結論は同じですが、
意味は大きく違います。

ティコがもし望遠鏡を持っていれば、ティコは恒星の年周視差を発見し、
その結果から、地球が動いていると結論したことでしょう。


信頼するに足る観測結果から、結論を導くというティコの態度を知った後に、
ティコの天体モデルを見ると、ティコなりの整合性にあふれていることに気づき、
感動を覚えます。


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■編集後記
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田原の物理(大学編)力学が、もう少しで完成です。

大学編で扱っている内容は、微積の込み入った計算が出てくるので、
独学で学ぼうとすると、計算でつっかかってしまって、なかなか進めない
のです。

田原の物理(大学編)では、できるだけ丁寧に計算を追っています。
僕自身が、その場で計算しながら画面に数式を書いていますので、
計算に飛びがありません。

参考書などだと、「これより」という一言の中に10行くらいの計算が
つまっていることもあったりしますから、なかなか読みこなせないのです。

計算を確実に理解することができるというのが、田原の物理(大学編)で
学ぶメリットの一つですね。

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