2009/12/14
【出版プロジェクト・物語小説編】
■■+++++++++++++++++++++++++++ ■■ 出版プロジェクト・物語小説編 2009.12.14 ■■ vol.115 ■■ 発行:The Appleseed Agency Ltd. ■■+++++++++++++++++++++++++++ このメルマガでは、作家のエージェント・株式会社アップルシード・ エージェンシーが、あなたがベストセラー作家になるための情報とテ クニックをお贈りします。 ■CONTENTS---------------------------------------------------- ★トピックス ★12月の新刊のご案内 ★連載コラム「誰でも書けるかな、駒込しじまの小説作法」 「小説を書いてみたいが、どうやって書いたらいいのかわからない」 「小説を書き始めてみたが、どうもうまく書けない」というあなたに 小説の書き方・文章の書き方本マニアのライターが贈る、 楽勝・小説入門、第四回です。 前回は「こんなルールがあるなんて全然知らなかった」「ために なる」などとメッセージをいただきました。 では、気になる今回のテーマは……「お話のきっかけ」です。 -------------------------------------------------------------- ■トピックス ~所属作家たちの近況をお知らせします~ -------------------------------------------------------------- ★「月刊現代」後継のノンフィクション雑誌「G2」に赤澤竜也さんが 「石原慎太郎と新宿・歌舞伎町」を寄稿しています。ぜひご覧くだ さい。 http://g2.kodansha.co.jp/ ★10万部を突破した緩和医療医の大津秀一さんの『死ぬときに後悔す ること25』(致知出版社)がフジテレビ「エチカの鏡」やNHK「 いっと6けん」でも紹介され、話題沸騰。 新作『感動を与えて逝った12人の物語』もあわせてご覧ください。 http://www.chichi.co.jp/koukaisurukoto.html ★リブロ作家養成ゼミ第二期生の北沢秋さんの戦国時代小説『哄う合 戦屋』(双葉社)が初版1万6000部で発売後、忽ち7刷6万部。今後、 王様のブランチでも紹介予定です。 http://mo-v.jp/?ea79 ★成井豊さんの『天使の耳の物語』が原作の演劇集団キャラメルボッ クス「エンジェル・イヤーズ・ストーリー」が始まっています。 いよいよ東京公演開催中! 詳細はこちらからご覧ください。 http://www.caramelbox.com/stage/angel/ ★赤坂真理さんの「週刊新潮」コラム『テレビの穴』が好評連載中。 http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/newest/ ★弊社サイトをリニューアルし、公式ブログと「はたらく社員のブロ グ」を始めました。弊社所属の作家さんたちの近況や、エージェン トたちの仕事ぶりが垣間見られますので、ぜひご覧ください。 公式ブログ:http://asagency.exblog.jp/ はたらく社員のブログ:http://aastaff.exblog.jp/ -------------------------------------------------------------- ■12月の新刊案内 -------------------------------------------------------------- ★『繁盛論 “人が集まる”7つの流儀』 神谷利徳/著 アスキー・メディアワークス http://mo-v.jp/?ec11 坐・和民、舌呑、一風堂…。約10年間で手がけた店舗は100店以上。 なぜ彼の元には仕事が舞い込むのか? なぜ彼が手がけた店は繁盛店 になるのか?すべてのビジネスに通じる真髄を敏腕店舗デザイナーが 熱く語ります。第三期作家養成ゼミ参加作品です。 ★『大人の「マネー学」入門 リスク編』 楠本くに代/著 実務教育出版 http://mo-v.jp/?eb72 なかなか気がつかない「投資の落とし穴」について、わかりやすく解 説。投資信託、株式、債券、保険、預金のほぼすべてのリスクがわか ります。「こんなはずではなかった!」「勘違いしていた!」と嘆き悲 しむ一般投資家たちを数多く見てきた著者だからこそ書ける、投資リ スクとの賢いつきあい方。 ★『県境マニア!』 石井裕/著 ランダムハウス講談社 http://mo-v.jp/?eb73 近年ブームの秘境駅やダム、酷道・険道、廃墟……と、くれば次は県 境!?たかが行政上の区分の県境、と侮るなかれ。日本に様々な特徴 ある県があるほど、同じように様々な県境が存在する。県境を跨ぐ駅 やホテル、神社など「何でこんなところに県境が!」と思わせるよう な所に県境があったりする。サブカル好きにはもちろん、ぜひとも旅 行・地理好きの方にもオススメな一冊です。 ★『声の力で人生をもっとよくする!』 水口聡/著 実務教育出版 http://mo-v.jp/?eb74 ウィーン在住のオペラ歌手が語る「声は、持って歩ける一生の財産!」 心とからだを元気にさせるのも、人の心を動かすのも、困難を乗り越 えさせてくれるのも、声の力だということを実感させてくれます。 ★『ハズさない上司』 櫻井浩昭/著 講談社 http://mo-v.jp/?eb75 「しない」ければ、あなたも部下も伸びる!「あれもこれも」と理論 や周りに振り回されるのはもうやめませんか?人材育成プロデューサ ーが「あなたが本当にやるべき事」の見極め方を教えます。 ★『日本人の知らないユダヤ人』 石角完爾/著 小学館 http://mo-v.jp/?eb77 国際弁護士として世界で活躍する著名な弁護士である著者が、50歳を 過ぎてユダヤ教への改宗を決意し、5年に及ぶ宗教指導者との一問一 答を経て合格。ユダヤ教の戒律、衣・食・住の日常生活がわかる興味 深い一冊です。 ★『天使の耳の物語』 成井豊/著 ポプラ社 http://mo-v.jp/?eb78 生真面目なお父さん、広告代理店勤めのお母さん、無口な息子、そし てどうも恋をしているらしい娘……いつのまにか心が離れてしまった 家族を取り戻したい、お父さんの奮闘記。演劇集団キャラメルボック ス「エンジェル・イヤーズ・ストーリー」の原作です。 ★『感動を与えて逝った12人の物語』 大津秀一/著 致知出版社 http://mo-v.jp/?eabd 『死ぬときに後悔すること25』の著者が、看取った患者さんたちの中 から心に残る12人を選び、その生き様を綴った一冊。今、混迷の時代 を生きる私たちが熟読玩味すべき、赤裸々な人生の感動が、そこには あります。 ★『哄う合戦屋』 北沢 秋/著 双葉社 http://mo-v.jp/?ea79 天文十八年。甲斐、武田と越後、長尾に挟まれた緩衝地帯、中信濃に 孤高の合戦屋がいた―。領主を担ぎ勢力を広げる一方で、不幸なまで の才能と抑えきれぬ天下への大望が、それぞれの運命の前に立ちはだ かる。史実を基にした壮大な人間ドラマ。 -------------------------------------------------------------- ■連載コラム「誰でも書けるかな、駒込しじまの小説作法」 -------------------------------------------------------------- 【第4回 実作編・その3】 こんにちは、駒込しじまです。 前回予告したとおり、今日は「お話のきっかけ」について話したい と思います。 ここで言うお話のきっかけとは、ストーリーアイデアの発端という 意味ではありません。 また同時に、書き出しをどうするかという話でもありません。 それらについては、先々また述べることになるかもしれませんが、 今は別の話です。 私・駒込しじまが常々「お話のきっかけ」と考えているのは、物語 をどう区切るのか、その感覚についてのことです。 少し哲学的な話になりますが、お付き合い下さい。 どのような内容をどのように書いたものであれ、小説というものは、 有限の時間を切り取ったものです。 たとえばそれが、マリオ・プーヅォの名作『ゴッドファーザー』で あれば、話の発端は1960年代半ばから1970年代にかけてのおおむね10 年間が舞台ですが、ストーリーの途中では、ゴッドファーザーことヴィ トー・コルレオーネがシチリアにいた1920年ごろまで遡ります。 つまりこの作品は、足かけ60年に及ぶある血族の歴史を描きながら、 その小説内舞台としては、10年間を描いていることになります。 もっとも、続編が求められる場合、作者はもっと遠い過去にも遡る ことが可能でしょうし、現在そのものかあるいは未来にまで、その範 囲を広げることもありますが、それは例外としましょう。 どんな小説作品も、過去から未来へと続く時間の中で、ある一定期 間を取り出して描くことに、変わりはありません。 実は、この時間の区切り方こそが、あなたの作品の規模と描写のス タイルを決定する、大事な要素なのです。 ごく一般的に言って、切り取られる時間の長さと作品の長さには、 一定の相関関係があります。 たとえば…… 1日を描いたもの――40~80枚(もちろん400字詰め換算です) 1週間を描いたもの――60~120枚 1月を描いたもの――80~200枚…… と言った具合になります。 上記はあくまで、平均的な目安にしか過ぎませんから、あなたの作 品がそれに合致していなくても、気にすることはありません。 ただしここで重要なのは、 「直接描写される小説内時間」と、 「間接的に言及される小説内時間」には大きな隔たりがあるというこ とです。 私たちがつい陥りがちな間違いの代表格として、 「話を大きく捉えすぎる」というのがあります。 たとえばあなたが、ある繁華街を舞台とした闇組織同士の相克を描 こうとした場合、参考資料を調べれば調べるほど、その範囲は広がる に違いありません。 特に、過去へ遡ってしまうことが多いはずです。 今現在のボスXが居るには、その先代のXXの存在が欠かせず、XXの存 在の理由は……といった過去への無限の遡及です。 これの典型が、聖書です。 新約、旧約の聖書、あるいはギリシア、ローマ神話や日本神話もま た、全ては 「この世のはじまり」をなんとかして活写しようとします。 しかし、小説においては、これはとても的外れなことです。 「物語を、どの範囲で区切るか」ということを、話のきっかけ、と考 えて下さい。 ミステリー系のハウツー本では、次のようなことがよく言われます。 いわく―― 「最初に死体をころがせ」 なるほど、かの有名ベストセラー、ダン・ブラウンの『ダヴィンチ・ コード』でも、話の冒頭は不可解な死体から始まります。 しかし、実際のところ、現在となっては、必ずしも謎の死体が最初 に転がるミステリーばかりではありません。 そこで、この名言を、次のように言い換えてはどうでしょう。 「ことが起きてしまったところから、書き出せ」 先に述べた「間接的に言及される小説内時間」を、ここでは一本の、 海苔巻きにたとえてみましょう。 海苔の規格は無視するとして、そこにはたとえば50年という長さがあ るとします。 しかし、あなたが新人賞応募用原稿として書くのは、そのうちの1年 であるとしましょう。 あなたは、50年分の長い海苔巻きの中程(それはおそらく現在に近い 部分)から、1年分を切り取る必要があります。 さて、そうして切り取ってきた海苔巻きを、読者にその端っこから食 べてもらう必要はないのです。 あなたにとっては、以下の式が成り立ちます(小説の話なのに数式な んて無粋なものですが)。 A=悠久の神話的時間>B=あなたの物語の潜在的時間>C=あなたが書くべき時間 さて、ここでCをうまく取り出せたあなたは、腕まくりをしてキーボー ドに向かうかもしれません。 しかし、ちょっと待って下さい。 これは、しばしばそうなるという喩えですが、あなたが取り出してき たCは、 読者がわくわくしながら読んでくれる範囲より、 《必ず長い》のです。 アメリカのミステリー作家、ローレンス・トリートが、アメリカ探偵 作家協会との共著『ミステリーの書き方』の中で、興味深い一節を書い ています。 (*筆者の手許に該当の本がないので、今回はうろ覚えの記憶で失礼し ます) トリート氏がまだ無名時代、いつも最初で最高の読者だった母親(彼 女もまたすでに著名な著述家だったそうです)に、書き上がったばかり の原稿を読んでもらいました。 ママ・トリートは、しばらくローレンスの原稿に目を落とした挙げ句、 ある一行を指さして、言ったそうです。 「ここが書き出しよ」 ローレンスは、力を込めた冒頭の数ページをジャンプされたことに腹 を立てましたが、翌朝、母が正しいと悟ったのだそうです。 その書き出しとは、 「静かに歩いたのに、ドナ・カリプソは、聞かれてしまった。」 ここでの教訓は、ローレンス・トリート氏が切り出してきた海苔巻き のCを、母親が否定したのではないということです。 「小説で描かれる時間の端っこと、読者に提供する最初の一行は、必ず しも一致しない」ということです。 ここには、 「とにかく最初に死体をころがせ」という以上に深い意味があるように 思います。 私・駒込しじまが今年特に感銘を受けた小説のひとつに、『ユダヤ警 官同盟』 という作品があります。 この作品の書き出しは、いささか凡庸とも言えるかもしれません。 アルコール浸りの中年刑事が、寝ようと思いかけた深夜、知り合いの ホテルマンから、ある客室で死体が見つかったと相談されるところから 始まります。 まさに「死体をころがせ」を地でいくような始まりなのですが、やむ なくその古びたホテル(実際その刑事は、そのホテルの一室に居を構え ています)の一室を訪ねるまでの間、ごくさりげない調子で、何故かれ がそこで一人暮らしをしているのかという理由が描写されます。 つまり、Cサイズの海苔巻きのある地点から物語りは始まるのですが、 ストーリーは時系列に従って進むのと同時に、さりげない調子で、過去 に向かっても遡るのです。 この作品の面白さは、逆行して描写されるその街《シトカ》の歴史が、 だんだん明らかになっていくことです。 冷静に考えれば、どのようなミステリーであれ、事件は小説時間の 《現在=いま》より、遡らざるを得ないわけですから、Cサイズの海苔巻 きをどこでカットしてその切り口を読者に示すのかは、とても重要です。 こう書くと、 「僕が(私が)書きたいのは、ミステリーではありません」という声が 聞こえてきそうですが、あえて言えば、全ての小説作品は、ミステリー とサスペンスの要素を持たなければ、成立しないのです。 「これからどうなるの?」と「いったい何があったの?」という、大き く分けて、この二つの謎を通してしか、あなたは読者の通読を得られま せん。 もちろん、文学作品は、どんな形であれ「コツ」で書かれるものでは ありませんし、そんなにヤワなものでもありません。 しかし、今回の最後にひとつヒントを書いておくなら、それは、 「主人公は、必ず困った状況にいること」というのが重要かもしれませ ん。 それは、必ずしも、命の危機である必要はないのです。 野暮な例をいくつか挙げましょうか。 「組織が扱っていた麻薬を長期間横流しにしていたことが露見しそうな主人公」 「多額のローンを抱えながら、リストラ対象になりそうな主人公」 「長年の不倫が妻に露見し、離婚の危機にある主人公」 「悪徳不動産業者に、アパートをロックアウトされてしまった無一物な主人公」 ……いくらでもあります。 さて、まとめましょう。 *小説は神話ではないので、ある一定の期間を切り出したものである。 ……仮説α *αによって切り出された時間と、小説で描写される時間は、必ずしも一 致しない。 ……仮説β *βで切り出した時間の中で、最初に読者の目に触れさせるのは、βの端 っことは限らない。むしろ、そこからエンディングに向かってのどこか である。 ……仮説γ *γにおいて、主人公は「困った状態」にあるのが望ましい。 上記が、駒込しじまの考える「お話のきっかけ」です。 さて、次回は何について話しましょうか。 「キャラクター小説の幻」とでも、仮に題しておくことにします。 (続く) 駒込しじま(こまごめ・しじま) 書籍編集者を経て、フリーライター。 10代の頃から、小説執筆のかたわら、小説の書き方・文章の書き方を 読み漁る。 -------------------------------------------------------------- メルマガをお読みの皆さんで、本にしたら絶対売れる!!という 企画・原稿をお持ちでしたら、弊社あてにご応募ください。 くわしくは企画原稿検討の要項 (http://appleseed.co.jp/0_1.php) をご覧ください。検討させていただきます。 ご意見・ご感想は(info@appleseed.co.jp)までお願いいたします。 【最後にお知らせ】 こちらにもどうぞご訪問ください。 ・株式会社アップルシード・エージェンシーのサイト http://www.appleseed.co.jp/ ・鬼塚忠「カフェリブロ作家養成ゼミ」 http://blog.goo.ne.jp/appleseed_august ・メルマガ「出版プロジェクト・ビジネス書編 http://www.appleseed.co.jp/magazine.html ________________________________________________________________ 配信 株式会社アップルシード・エージェンシー 編集 栂井理恵 文責 鬼塚忠 E-mail:info@appleseed.co.jp http://www.appleseed.co.jp/ 〒162-0824 新宿区揚場町2-12セントラルコーポラス401 TEL:03-3513-4325 FAX:03-3260-4437 ---------------------------------------------------------------


