2009/12/19
▲▼ ウィークリー?ながみね ▼▲ 116【空間デザイナーに憧れた暴力団組員】
ウ ィ ー ク リ ー ? な が み ね ・━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 2009.12.19 ◇◆ 法治国家ニッポンを “身近に”“おおまかに”パッケージ! ◆◇ この法律系メールマガジン「ウィークリー?ながみね」は、法律・裁判に関する 最近のニュースを振り返り、つまみぐいできるかたちに加工しながら、頑張って 週刊で配信できることを目指していく、ちょっぴり心もとないメールマガジンです。 東京地裁の法廷傍聴リポートを添え、さらに、ながみねが現在たくらんでいる、 思いつき企画の断片を、おそるおそる様子を見ながら小出しに試しちゃう、 ちょっぴり自己中心的なメールマガジンだ、との見方もあります。 ∴∵∴∵∴∵∴∵∴ も く じ ∵∴∵∴∵∴∵∴∵ ● 今週注目の 法律系テレビ番組 ● 札幌地裁つまみぐい 「空間デザイナーに憧れた、元暴力団組員」 ○ 裁判傍聴プレミアムマガジンのお知らせ ⇒ 覚せい剤に手を出した弁護士 < 自由な企画帳 > ● 「検証! “裁判員”お言葉集」 … 黎明期の裁判員参加裁判から ● 連載小説「ヌレギヌ屋」 第24話 「地下アジト」 ● 札幌地裁つまみぐい (続き) ● 一行編集後記 ▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲ 今週注目の 法律系テレビ番組 2009年12月22日(火) 5:35~6:00 NHK教育 (再放送) 『知る楽』 歴史は眠らない 裁判員制度への道 <全4回> 第3回 今年5月に裁判員制度が施行され、国民一人ひとりが裁判と向き合う時代が来た。 裁判の歴史の中に、国民の司法参加が実現したことの背景と意味を改めて問い直す。 国民の司法参加は、実は日本でも戦前に実現していた。昭和3年から18年まで行われて いた陪審制である。それが15年の短期間で終わったのはなぜか? その謎を探ると見えて くるのは、裁判に対する日本人の価値観だ。この陪審制は国民の権利を実現したものでは なく、国家の権威を維持するためのものだった。国民の司法参加の類例として、陪審制の 導入と停止の経緯を読み解く。 * 出演 【解説】一橋大学大学院教授…青木人志,【語り】和田源二 2009年12月22日(火) 19:00~20:54 フジテレビ 『カスペ!』 強奪! 逃亡! 証拠隠滅! 消えた犯人逮捕の決定的瞬間 番組ナビゲーターに、稲垣吾郎が登場! わずかに残された「物証」をもとに、スゴ腕 刑事たちが事件の真相を暴きだす!警察密着推理ドキュメンタリーの第3弾! 日々起きる凶悪犯罪。平成20(2008)年の犯罪件数は約180万件にも上る。しかし、その 犯罪を解決に導くものがある。それは「物証」。今回は、連続車上荒らし・死亡ひき逃げ など、誰もがいつ巻き込まれても不思議ではない犯罪を、多角度から取材。犯人も気づか ない小さな遺留品から導かれる、凶悪事件の裏側。番組ではCGや再現映像を駆使、時に 「物証」が指し示す真相を実験等で検証。ナビゲーター稲垣吾郎が、わかりやすく、そして ミステリアスに、視聴者を事件のナゾへと誘います。 出演 【ナビゲーター】 稲垣吾郎 〈取材県警〉 岡山県警 埼玉県警 滋賀県警 2009年12月22日(火) 22:25~22:50 NHK教育 『知る楽』 歴史は眠らない 裁判員制度への道 <終> 第4回「苦闘のバトン」 * 明治初期の陪審論争、戦前の陪審制、そして戦後GHQの司法制度改革。国民の司法 参加は何度も議論に上がりながら、定着することなく現在を迎えた。こうした日本人の 経験の少なさから、裁判員制度に疑問を唱える声は少なくない。ではなぜ、先送りにされ 続けてきた国民の司法参加が、いま実現したのか? 戦後の裁判制度の歩みを検証し、 私たちが裁判に参加することの意味を改めて考える。 * 出演 【解説】一橋大学大学院教授…青木人志,【語り】和田源二 2009年12月26日(土) 12:15~12:40 NHK総合 『バラエティー生活笑百科』 ▽縮んでしまったセーター ▽ドロまみれの靴 * くらしの中の相談ごとを笑いの中で解決するバラエティー。今回のゲストは歌手の はいだしょうこ。自分の経験をまじえ明るく楽しいトークを披露する。出演は笑福亭仁鶴 ほか。 相談は、編み物が得意で、知り合いに頼まれ、高価な毛糸でセーターを編んであげた。 ところが、知り合いがセーターを手洗いしたところ、縮んで着られなくなった。ダメに なった毛糸代を払わなければならないのかを問う「縮んでしまったセーター」と「ドロ まみれの靴」。 【出演】はいだしょうこ,笑福亭仁鶴,辻本茂雄,横山たかし・ひろし,海原やすよ ・ともこ,今いくよ,弁護士…近藤正昭, 【アシスタント】平野あゆみ (以上、Yahoo!テレビの情報より) ※ 東京近郊の放送予定を基準としていますので御了承ください。 ▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲ 法律系ニュース・つまみぐい! □□■ PLAN □■ ■ 『 裁判傍聴録 “札幌地裁つまみぐい” 』 【 空間デザイナーに憧れた、元暴力団組員 】 12月**日 10:30 札幌地裁710号法廷 42歳の男。公園駐車場で車中での覚せい剤使用と、自宅での大麻所持で裁判を受けて いる。 同じく薬物での前科があり、執行猶予中の犯行。 また、架空の焼き肉屋起業の話を 知人に持ちかけて融資金をだましとった詐欺の前科もあるという。 今回、実刑は確実とみられる。 そんな被告人は、高校在学中から卒業後にかけて、手に職を付けようと、玉かけ師、 アース溶接、ガス溶接、そろばん、簿記など、数々の資格を取得していた。 19歳のころ、無免許で交通事故を起こした際、警察の取り調べでは、母親の旧姓を借りて 偽名を名乗っていた。 被告人の父は消防士、姉は公立中学校の教師という公務員家庭であり、「うちの苗字を 使うな」といわれていた模様。 実質的な絶縁・勘当状態か。 その後、暴力団に入るも、まもなく辞め、 大手建具・リフォーム会社と懇意になり、空間デザイナーに憧れ、デザインの 勉強を始める。その後、請負で仕事をもらい、かつてはかなりの収入を得ていたという。 現在は、水産加工会社を立ち上げ、従業員6名。 しかし、今回の件を起こしたため廃業し、従業員は全員解雇。「申し訳ないと思います」 と、被告人はくちびるを噛みしめながら、謝罪の言葉を絞り出した。 最初に覚せい剤に手を出した目的は「多忙時の眠気覚まし」だと供述しているが、実際に 眠気が覚める効果は得られず、「初めてタバコを吸ったときのようにクラクラ」しただけ。 ただ、将来への不安感から逃避をはかるため、2回3回と手を出してしまった。 「クルマの中で友人を待っていて、眠たくなったのなら、仮眠を取ればよかったんじゃ ないですか?」「クルマにポンプ(注射器)まで持ちこんで、あなた最初からやるつもり だったんじゃないの?」……検事からの容赦ないツッコミが飛ぶ。 「たしかにそうです」「すみません」と、被告人は平謝りするばかり。 服役を終えて出所したら、空間デザインへの憧れはとりあえず横に置き、今までと同じ 水産業の仕事をしたいと話した。 そして、できれば交際相手の女性と一緒に暮らしたいという。 その息子(5歳)は前夫 の子だが、今ではすっかり被告人になついているという。 ただ、その女性は「本当に自分と交際しているつもりなのかどうか不安。他の女と遊び 歩いているようだし」と、彼の「本気度」を心配している模様。 そのことを検察官が指摘すると「私は交際相手だと思っています。女友達はいますが、 重複して付き合っているわけではないです」と、声を張る被告人。 それでも、結婚については「仕事が軌道に乗るまでは……」と、言葉を濁した。 検察官の論告読み上げ中、被告人は終始、法廷の床の一点を見つめてうつむいていた。 求刑は懲役1年6カ月。 「被告人は多くの資格を保有しており、水産加工業以外でも正業に就く機会は十分に 得られるはず。交際中の女性とその子どもを幸せにする覚悟もあり、今後の更生も期待 される」と弁護人は弁論し、法律上きわめて例外的な扱いである「再度の執行猶予」を 裁判官に求めた。 <結審直前、被告人の最終陳述は、巻末でお送りします > ==【ここまで読んでくださっている、皆さんへ】================================== ただいま、裁判傍聴録の有償配信を実施しております。 人間という存在の哀しさ、くだらなさ、憎めなさ、かわいらしさ、そして、家族の温かさ、 また、世の中に隠された残酷な矛盾を、傍聴録を通じてあぶり出し、現実社会を浮き彫りに する記録を残し続けます。 ただいま、週2回(水曜・土曜)の配信となっております。 どうぞよろしくお願いいたします。 『ナマの犯罪法廷! 人生と世の中を“感じて”“考える”裁判傍聴録』 http://premium.mag2.com/mmf/P0/00/81/P0008174.html (※今月中は無料で試し読みできます) <<< 配信済み・配信予定の傍聴録 >>> ◇ 12月2日配信 「ダウンタウン松本人志さんにネット上で殺害予告/「初めから殺すつもりなど全く なかった」と語る被告人の犯行動機は?/弁護人が示談の申し出。松本さんの返事は?」 ◇ 12月5日配信 「栃木・足利事件(1990年の幼女誘拐殺害)再審第2回公判 どこよりも詳しい傍聴録 を目指します(前編)/菅家さんの無実を証明した鈴木広一鑑定人への尋問/市販され ているDNA鑑定キットを使うほうが、再現性・信頼性が高い」 ◇ 12月9日配信 「栃木・足利事件(1990年の幼女誘拐殺害)再審第2回公判 どこよりも詳しい傍聴録 を目指します(後編)/菅家さんの無実を証明した本田克也鑑定人への尋問/DNA研究 の第一人者は、自作の道具で鑑定/検察のツッコミに対し、露骨にムッとする態度」 ◇ 12月12日配信 「元ジャニーズJr.の男性にストーカー行為を続けた42歳ファンの女(前編)」 ◇ 12月16日配信 「元ジャニーズJr.の男性にストーカー行為を続けた42歳ファンの女(後編)」 ◇ 12月19日配信 「出会い系サイトと覚せい剤に手を出した、札幌弁護士会の副会長(前編)」 ◆ 12月23日配信予定 「出会い系サイトと覚せい剤に手を出した、札幌弁護士会の副会長(前編)」 ◆ 12月26日配信予定 「『高相法子を釈放せよ』…爆破予告で暴走したのりピーファン44歳(前編)」 ◆ 12月30日配信予定 「『高相法子を釈放せよ』…爆破予告で暴走したのりピーファン44歳(後編)」 【ご案内文】(ブログ内) http://miso.txt-nifty.com/tsumami/bocho-mag.html 過去のバックナンバー一覧 http://miso.txt-nifty.com/tsumami/bocho-backno.html ▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼ 最新刊のお知らせ 【おっぱい都市宣言】? 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わかりきったこと、的外れなことを質問してしまって、人々に笑われないだろうか? 個人的には、そんなこと全く気にする必要はなく、「何でも言える雰囲気」が、良質な 刑事裁判の必要条件であると考えていますが、 それにしても、この裁判員制度が刑事裁判に取り入れようと試みている「市民感覚」 とは、いったい何なのでしょう……。 そして、実際に成功しているのかどうか。 「裁判員元年」が終わりにさしかかろうとしている今、具体例を挙げながら考えて みたいと思います。 ■ 「先ほど話された人物像と、調書の内容が食い違う点がひっかかるんですけれど…… 確認の仕方はどうだったのですか」 全国初の裁判員裁判(東京地裁 2009年8月3日~6日)において、裁判員から史上初めて 飛び出した質問。 [2009/08/04 東京地裁 女性裁判員](裁判長:秋葉康弘) ⇒⇒ 近隣トラブルで被告人に刺殺された事件で、女性被害者の長男が、証人として出廷 した際の尋問手続き中。 「母親(被害者)」の人物像、「自分の話が正確に記録されたかどうか、供述調書に サインする前に確かめたかどうか」という意味の確認です。 証人は、「正直、覚えていないです。気が動転して、記憶がまるきりないです」 と答えると、当の女性裁判員は「ありがとうございました」と、質問を終えています。 取り調べの調書と法廷での話との食い違いに気づき、指摘し、真相に近づこうと 努める法律家としての基本姿勢は、法律の素人である裁判員にも決して不可能では ないことを示すエピソードです。 ■ 「ナイフは、亡くなったお嬢さんの遺品ということでしたね。それを大事にしていな かったのかな、遺品なのに使ってしまうのかな、と」 [2009/08/05 東京地裁 女性裁判員](裁判長:秋葉康弘) ⇒⇒ 同じく、近隣トラブル刺殺事件の被告人質問にて。 この裁判員の質問に対し、「あのナイフは海に潜ってアワビなんかを取ってくる やつで……」と、的外れな回答をした被告人。 「いえ、そういう大事なものを、脅しで使って、気が引かなかったのか、という 趣旨の質問です」と、秋葉裁判長が助け船を出すことにより、「そこまで気が回り ませんでした」という答えを得た裁判員法廷。 「遺品を凶器として使う理由」……この種の視点は、プロの法律家が抜け落とし がちなものだと思われます。もちろん、マニュアル思考に囚われない優秀な方なら 気づくのでしょうが。 ■ 「言っていいんですかね」 [2009/08/12 さいたま地裁 裁判員](裁判長:田村真) ※ 記者会見 ⇒⇒ 全国2例目の裁判員裁判(殺人未遂)の判決後。 記者から「判決言い渡し後に裁判長から出された、被告人に対する説諭は、裁判員 の皆さんの気持ちを代弁したものですか」との質問が出て、ある裁判員が地裁職員の ほうを見ながらひとこと。 職員は横に首を振り、のちに地裁は「評議内容にかかわる質問で、守秘義務違反の おそれがあると判断した」と公式発表しました。 ただ、別の裁判員裁判では、裁判長自らの口から「裁判員の皆さんの総意です」と あえて断って説諭する例も少なくなく、運用のブレも指摘されています。 なお、裁判長の説諭は「まだ30代半ばで刑期を務めても、十分やり直しが利く。 一日も早く社会復帰し、立ち直ってほしい」とされています。 ■ 「給料から借金を払った後で飲み食いするのが普通の感覚。それをやらないで、 なければ盗みに入るのか。そこが一番残念。普通ちょっと考えられないわけなんですね」 [2009/09/02 青森地裁 男性裁判員] ⇒⇒ 全国3例目、初めて性犯罪(強盗強姦罪)を審理。 22歳の若き被告人に対して、同じ地域に住むも赤の他人である年配の男性裁判員が 説教をするという光景。 近所のトラブルに何でも首を突っ込む世話焼きオヤジがあちこちに存在した昔なら、 当たり前だったのかもしれませんが、今や絶滅寸前でしょうかね。 誰かから「普通ちょっと考えられない」と言われるのは、他人の価値観を押しつけ られているようで嫌われますが、遊びで作った借金ですし、やったことは凶悪犯罪 ですし、この場合は一般常識を根拠に説教されても仕方がないかも。 「被告人自身、悪いことをやったのはわかっているはず」と同情を寄せて、 「初対面の者から頭ごなしに常識論を説かれても、反発心を生むだけで、被告人の 更生には繋がらない」とする考え方もありえます。 その場限りの関係性だからこそ、説教した後のフォローには細心の注意を払う必要が あると思いますね。このようなかたちで「市民感覚」を取り入れるのなら、せめて、 裁判員と被告人の間の段差は無くすべきでしょう。 ■ 「そこであなたが逃げていれば、こんな(強姦)事件にならなかったのに」 [2009/09/02 青森地裁 女性裁判員] ⇒⇒ 同じく性犯罪(強盗強姦罪)を審理。裁判員6人中、女性は唯一、この方だけだった ようです。 本件は4件の侵入盗のうち、2件は強姦が伴った事件でした。 最初、19歳のころに盗み目的で忍び込んだマンション。そこに住む女性が近づいて きて、被告人は身を潜めたことを供述。それに対する裁判員のコメントです。 たしかに、ここで逃げていれば強姦が成功することなく、それに味をしめた 2件目の強姦強盗も起きなかったでしょう。 ただ、「何があったのか」を明らかにする裁判で「こうだったらよかったのに」と いう仮定の話をしても仕方がありません。 このあたりは、良くも悪くも、法律家が行わないタイプの質問といえるでしょう。 もちろん、そう問いかけたくなった裁判員の気持ちも理解できます。素人を審理に 加える以上、そうした素朴な感情論を否定せず受け容れることすらも、裁判員制度の 趣旨には含まれていると考えるのが自然です。 借金返済に困り、追いつめられて盗みに入るところまでは、百歩譲って理解する としても、なぜ強姦なのか? 「強姦するつもりはなかった」「女性に暴力を振るうことはいけないと叔父に言わ れていたから、殴ったり蹴ったりはしなかった」「でも、生意気な口答えをしてきた から、その罰として強姦をした」と、その独善的な理由を説明した被告人。 事件当時、被告人は包丁や手錠を準備して持ち歩いていたといいます。これだけ では、強姦目的の証拠としては薄いですし、判決でも「強姦目的での侵入」は認定 されませんでしたが、「あわよくば」の気持ちはあったのかもしれません。 幼いときに両親が離婚し、母親に引き取られるも、その母親を亡くし、長い間 祖母が預かって育てられたという被告人。それにしても「父性的・母性的な愛情が 不足していたため」と冷静に理由づけるには、あまりにも凄惨な強姦事件でした。 ■ 「内容を聞くだけで心が苦しくなり、気分が悪くなりましたが、現実を知らなければ 正しい判決を出せないとも思いました」 [2009/09/04 青森地裁 40代男性裁判員] ※記者会見 ⇒⇒ 性犯罪(強盗強姦罪)を審理しての記者会見にて。 法廷では、女性が強姦被害に遭った生々しい一部始終を、女性検事が事細かに朗読 したことが話題になっていました。 被害者の名誉やプライバシーを守るか、その場で素人の裁判員が見聞きして理解 できる審理を進めるか、両方が大切な要請であるだけに、そのサジ加減が問われます。 この裁判員のコメントは、率直な感情が吐露されたものでしょう。それだけに、 この裁判員制度というシステムが、一般国民の良心に依存しているモロさが露呈して いるようにも思います。 性犯罪は裁判員裁判の対象から外すことも検討されていますが、どうなることやら。 ■ 「一番つらいです。酒も飲むので、どうしようかと」 [2009/09/04 青森地裁 40代男性裁判員] ※記者会見 ⇒⇒ 一生守らなければならない守秘義務について、記者から質問されての回答 裁判員の務めは、なかなか経験できるものではありませんし、周囲からしきりに 詳細を尋ねられることもあるでしょう。 サービス精神が旺盛な方は、特に要注意です。 < 次号に続きます > ==[PR]== 裁判員が、【守秘義務】をまもらないと、どうなる? ブランコに乗っている子どもの背中を押し続けたら、【監禁罪】? ナンパ男がくれた名刺の「社長」は、ウソだった。これって【私文書偽造】? お笑い芸人の一発ギャグに【著作権】はありますか? >> 2009年2月10日…TBSラジオ「Battle Talk Radio アクセス」にて紹介。 ~ イラストやアイコンで楽しみながら理解できる、法律のビジュアル事典 ~ ◆ 罪と罰の事典 ― “裁判員時代”の法律ガイド ◆ どんな犯罪で、法廷に裁判員が召集されるのか、一目でわかります。 小学館より、好評発売中です。 http://www.web-nihongo.com/dictionary/dic_tsumi_to_batsu/d-index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【不定期連載小説】 『ヌレギヌ屋』 第24話 「地下アジト」 ───────────────────────────────────── 龍田ジョージは、最新の電磁波クッカーの上に置かれた雪平鍋に、白味噌を溶いて いた。 「おい、ぼっちゃん! お湯、沸騰させちゃダメだって!」 龍田をアダ名で呼ぶ辛島リョータが、脇から割り込んできて、クッカーの出力を弱める スイッチに手をかけた。 「まだ沸騰してないでしょう。大丈夫ですよ」 「これ、ダシ入れてんの? あーあ、豆腐デカすぎるってぇー。 包丁どこ?」 やたら味噌汁づくりの段取りにうるさい辛島をなだめながら、龍田は相変わらず、みんなの ぶんの朝食を支度し続ける。冷蔵庫に向かい、アジの開きを何枚か取り出してきた。 辛島も龍田を手伝い、まな板の上の具材を慣れた手つきで切り直している。本人としては 龍田の手伝いというより、尻ぬぐいをしているつもり。 リーダー格の託麻は、お世辞にも器用な男ではない。むしろ、日常生活に関しては、数々の ドジをはたらき、周囲に苦笑いをもたらす存在だ。 が、サイバーネットワークを介した“仕事”に関しては、尋常でない集中力を発揮する。 誰もマネできない情報収集システムを自前で開発し、辛島ら“仲間”の利益に大きな貢献を してきた。それは疑いようのない事実だった。 多少のドジな面は大目に見られるどころか、むしろ魅力的に映ってしまう。 昨夜半までの雨もウソのようにあがり、今朝はいい天気。 とはいえ、地下23メートルの深度に設置されたこの部屋に、直接朝日がまぶしく差し込みは しない。 外の世界の晴れ渡りぶりを伝えるのは、光ファイバーにより自然の日光を取り入れて 煌々と輝く間接照明ぐらいのものだ。 「よし、できた。ポンタは?」 数十本の塗り箸が咲いた箸立てを、テーブルの中央に置きながら、龍田は洗馬ゴローの 名を呼んだ。 「アイツは相変わらずだよ。ほっとこう」 誰かが突き放す言葉を吐いたのをヨソに、龍田は出入り口に歩みを進め、廊下の奥に 消えた。そして、洗馬用の個室ドアに向かって、「ポンタ、朝飯できたけど、どうする」と、 繰り返し問いかけた。 洗馬は1カ月ほど前から、内鍵をかけて個室にこもったまま出てこなくなっていた。近くの コンビニで菓子パンを大量に買い込み、トイレの用を除いては引きこもって、個室でコソコソ と何かやっている様子だ。 不幸にも、洗馬の個室とトイレが隣り合っているため、ほとんど彼の姿を見ない。龍田は、 洗馬がトイレの個室に入っているのに気づくと、やはりドアに向かって何度も、「ポンタ、 ポンタ」と呼びかけ、部屋ごもりの理由をしつこく優しく問うた。 龍田が根負けしてトイレから立ち去り、しばらくしてブクブク太った洗馬が静かに顔を出し、 やがて、自分の部屋に吸い込まれた。続いて、部屋の内鍵がはまる乾いた音、ついたてを 立てている鈍い音が、いくつも響いた。 長い間、風呂に入っていないのだろう。周辺には異臭が立ちこめていた。 ヌレギヌ屋一味のアジトは、まるで独身寮のようになっている。龍田は各メンバーに個室 を用意していた。 手先が器用な辛島は、元鍵屋のピッキング犯だ。2号室。龍田の隣に居を置く。 鍵屋の信用を失墜させたとして、業界から完全追放され、シャバと刑務所の往復を繰り返す 人生を送っていた。 元コンピュータの悪質クラッカーで、今では龍田の助手を務める洗馬のこもる個室の鍵 だって、辛島にかかればモノの数分で開いてしまうだろう。が、辛島は「あんなヤツ、 ほっとけ」というスタンスであり、問題解決への協力を得られそうにない。 いつも早起きの川尻ゴローは、定年退職後に痴漢に目覚めた常習犯だった。 満員電車に 身を潜め、まるで他の男性乗客の仕業であるかのような腕や指の角度を計算しながら、 しかも自分の存在に気づかれないよう、女性の身体に触ることにかけては、天下一品。 いったん警察にマークされかけたが、その後は多彩な変装をして乗り切っていた。 地中深くに設置されたアジトには、通信向けの電波が届かない。携帯での会話が終わり、 地上からアジトへ降りてきたのは、通称「ミスティ」を名乗る男。腰をかがめながら 「メシできた?」という一声とともに、アジトの共用ルームに入ってきた。 背が高く、彫りの深い顔つき。以前は一流商社の好成績を収めたセールスマンにして、 総額数十億円の被害(成果)を叩き出して全国に指名手配された伝説の詐欺師だ。 15歳のころにフルムーン旅行中の航空機墜落事故で両親を亡くしたミスティ。彼には、 祖父母の家に預けられ、来年中学校に上がろうとする妹がいる。 < つづく > ▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼ 皆さまのおかげです! 発行人の本 >>> (例)「遺言」とは、兄弟姉妹が数十年ぶりにマジでケンカする原因の文書…など、 法律用語辞典のパロディ本 (2009年6月初版) ◆『ズレまくり! 正しすぎる法律用語』(阪急コミュニケーションズ) http://www.amazon.co.jp/gp/product/4484092115 >>> 報道ニュースの裏側も、アイコンやイラスト、グラフでスッキリわかる。 罰則から世の中が見えてくる。(2009年2月初版) ◆『罪と罰の事典 ― “裁判員時代”の法律ガイド』(小学館) http://www.amazon.co.jp/gp/product/4093877963 >>> 強盗犯から裁判官になった男の、苦しまぎれな一言。 さらに海外の珍発言まで網羅! (2008年9月初版) ◆『裁判官の人情お言葉集』(幻冬舎新書) http://www.amazon.co.jp/gp/product/4344980964 >>> ナゾだらけの「憲法の番人」と「国民審査」を、ちゃかしつつ解説する一冊 (2007年12月初版) ◆『サイコーですか? 最高裁!』(光文社) http://www.amazon.co.jp/gp/product/4334975313 >>> 法律は冷静だが、法廷は温かい。 そして、あまりにも人間くさいホンネが飛び交う。 (2007年3月初版) ◆『裁判官の爆笑お言葉集』(幻冬舎新書) http://www.amazon.co.jp/gp/product/4344980301 (※いずれも、アマゾンドットコムへのリンクです) ▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼ おすすめメルマガ 愛されて300号、15万人超の読者数を誇る、お化けマガジン。東大医学部卒の 精神科医「ゆうきゆう」さんが、恋愛などの人間関係に悩む皆さんへ、毎週お届け する処方箋です。 とはいっても、小難しい話は一切ありません。身近な話題から、皆さんの日常 生活にとってプラスに作用する心理学知識を軽妙に披露。人柄、にじみ出とります。 個人的にも、純粋に「読み物」として勝負しているメールマガジンの先輩と して、学びたい部分もたくさんあります。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「浦島太郎は、どうしておじいさんにされちゃったの?」 「ウソをついたとき、人間の目はどちらを向く?」 答えを見たら、後悔するはず。 → http://www.mag2.com/m/0000034430.htm 世界中で読まれているメールマガジン、「セクシー心理学。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼ 札幌地裁つまみぐい (つづき) ■ 被告人の最終陳述 私自身の心の弱さが、一瞬のスキをつくってしまい、申し訳ないとお詫び申し上げます。 それとともに、今付き合っている彼女に対しては、感謝の気持ちもあります。 この世ではひとりで生きていくわけではなく、みんなに支えられ、感謝し、感謝され 生きていくものだと、今さらながら知りました。 同じことを繰り返さないよう、会社のみんな、家族のみんなに迷惑をかけないよう、 強く生きていこうと思います。 ======== ……イジワルな言い方をすれば、事前に用意して整えた「よくできている最終陳述」だ といえなくもないが、 勾留中に、自分の人生を見つめ直していなければ、このように事前に用意することすら できず、「申し訳ない」「二度とやらない」の一辺倒で流してしまいがちです。 この被告人の、これからの多幸を願う次第です。 ▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼ 一行 編集後記 M-1グランプリ。明日はお笑い好きにとっての祭典日です。笑い飯はこのまま去る気か!? ▼========================================================================= メールマガジン「ウィークリー?ながみね」 [Magazine ID:0000148642] 2009年12月19日付 通巻第116号 発行人:長嶺マサキ (週末に、あなたのメールボックスへ潜入します。ご注意下さい) |==========================================================================| ☆司法脱線ブログ『法治国家つまみぐい ~ 六法全書でニッポンを覗こう ~』 http://miso.txt-nifty.com/ ☆発行人は、こんなヤツ http://miso.txt-nifty.com/about.html ご意見やご感想、相互紹介、愛のメッセージも、こちらからお願いします。↑ ※ 頂戴したご意見やご感想は、このマガジン上で匿名・仮名等でご紹介し、私が 返事のメッセージを付ける場合がございます。あらかじめご了承ください。 =========================================================================▲


