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2005/10/05

メルマガ版 『それを教えちゃマズイだろ!』第11号 違法と合法の境目 −平成電電のケース−

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メルマガ版 『それを教えちゃマズイだろ!』 第11号
 
違法と合法の境目 −平成電電のケース−
 
No. 00011
不定期発行
                        Presented by Wild Investors
                        安間 伸 
                        Shin Amma, CFA 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
 
490億円の資金調達
───────────────────────────────────
  
まいどお世話になっています。

平成電電が1200億円の負債をかかえて民事再生法を申請しました。実は、親しい
投資仲間の間では以前から「ヤバイよねー」という話はしていたのです。

私はこの会社のことはよく知らなかったのですが、年間10%の高利回りを謳って
投資家から資金を集めていたことは聞いていました。その資金で購入した設備を
担保とし、その設備を使ってあげた収益が支払い原資になるという。プロであれば
聞いた瞬間に「なんじゃそりゃー!」と叫びたくなるほど、ツッコミどころ満載の
スキームです。

中古の電話設備なんかほとんど価値がありませんから、いくら担保に入っていても
意味がないでしょう。昔マイカルが倒産する寸前に、エスカレータまで担保に
入れた社債を発行したという話を思い出します。つまり競争の激しい電話業界で、
平成電電が勝ち残ったときだけ元本が帰ってくるというスリルあふれる商品です。

まあプロから見れば、シロウトを騙すインチキすれすれの商品と思われても仕方な
いですよ。ゼロ金利の時代に10%も出して調達しなければならないのですから、
デットというよりもエクイティに近いリスクを背負っていることにもなります。

そんなものに投資する人間はいねえだろと思っていたところ、知り合いが「10%
ってすごいよね。投資していい?」と聞いてきたので、「絶対にやめておけ」と
アドバイスしました。私も驚きましたが、なんとこの商品で約1万9000人から合計
約490億円を調達していたようです。

以下、ITメディアニュースより抜粋
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0510/03/news097.html

===============================
負債1200億円の“正体“

 負債総額の内訳は、CHOKKA設備のリース代金など計約900億円と、累積債務300億
円。平成電電はCHOKKAの設備の大半を「平成電電システム」と「平成電電設備」
という2社からリースで借り受けていたという。

 この2社は「平成電電」の名が付くものの、平成電電とは資本関係や役員の
相互派遣などはない、まったくの別会社だという。

 2社は特別目的会社(SPC)として、資金調達目的とした匿名組合「平成電電匿名
組合」を運営。資産を証券化し、「予定現金分配率10%相当」などと高利回りを
うたった金融商品として売り出し、これまでに約1万9000人から計約490億円を
調達してきたという。

 会見では、匿名組合の詳細や、2社と平成電電、佐藤会長との関係をただす質問が
相次いだが、佐藤会長は「資本関係のない別の会社がやったことで、詳細は分から
ない」と述べるにとどまった。

 平成電電も1年ほど前まで、CHOKKAの利益の一部を分配する個人向け投資商品
「平成電話パートナーシステム」を売り出し、約150人から計約20億円を調達して
いた。民事再生法の適用を受けた場合は契約上、返済義務がなくなるという。

 佐藤会長は「出資者に対しては責任を感じている。経営責任を果たすために営業
は継続し、できる限り良いスポンサーを探して全力で事業を再建する」と
コメント。再建後はスポンサーの意向に従って自身の去就を決めるとした。
===============================

この記事によると匿名組合方式のSPCで資金を集めていたのは「平成電電システム」
と「平成電電設備」であり、その2社と平成電電は資本関係も人的関係もないし、
保証もしてないということになっています。もちろん、平成電電がリース債務を
払えなくなればSPCにもカネが入らないわけで、投資家が資金を回収することは
ほぼ絶望的です。「民事再生法の適用を受けた場合は契約上、返済義務がなくな
る」という記述が平成電電が自分で発行した個人向け投資商品「平成電話パートナ
ーシステム」だけにかかっているのか、SPCへの債務も含んでいるのか不明ですが、
これによって借金を踏み倒すことができるのであれば巧妙ですね。

投資家にしてみれば「それってサギじゃんかよ!」と思うでしょう。しかし経営陣
が資金を持ち逃げしたとか、背任行為を行っていたとかいう証拠でもない限り、
犯罪にはなりません。「一生懸命やりましたが、力およばず残念な結果に終わり
ました」ということならば経営者としての能力が足りなかったということで
終わりです。

そしてこのあたりに「合法と違法」の微妙な境目があります。高配当をうたって
資金を集め、まとまったカネが集まったところで持ち逃げしてしまう方法は古典的
な詐欺の方法で、「ポンジースキーム」という名前まで付いています。しかし
持ち逃げすれば犯罪ですが、倒産するまでの間に高い給料をもらって経費を使いま
くっていただけであればどうでしょうか? 株主などから訴えられて、罪が立証され
てはじめて犯罪となるのであり、そうでなければただの「浪費家で無能な経営者」
です。投資家にしてみれば自分のカネを浪費されてしまったことには変わりないの
ですが、片方は違法で、もう片方は合法です。なんとも微妙ですがそのあたりの
事情は今後調査されると思いますので、結果を待ちたいと思います。

結局投資家としては、投資の収益の源泉が何なのかを確認し、自分で身を守るしか
ないのですね。しかしどうも日本の投資家は「高配当=高収益」と考えてしまう
傾向があるようです。配当は誰かがタダでくれるごほうびで、元本は当然に
保証されるものだとでも思っているのでしょうか。

「資産運用のカラクリ」シリーズでもたびたび述べていますが、配当とは
エクイティの払い出しであり、自分が会社に預けたカネを税金を払って取り返して
いるだけなのです。配当を出せば出すほど会社の現金が減り、株価は下がります。
逆に配当を抑えたら、内部留保が増えて株価(元本)は上がる可能性が高くなり
ます。

債券の場合も同じで、クーポンが高ければ価格も上がってキャピタルゲイン(償還
価格-購入価格)が下がります。クーポンが下がれば購入価格が下がってキャピタル
ゲインが上がります。投資家は両方を考慮した最終利回りをリターンと考えるので
あって、クーポンだけを見て銘柄を選ぶ人はいないでしょう。結局、「高い配当や
クーポンに惑わされるな!」ということなのです。

投資収益とは結局「配当(あるいはクーポン)+キャピタルゲイン」の合計ですか
ら、その支払いの根拠となっているのは会社の儲けであることを忘れては
なりません。平成電電の場合は支払いの保証は固定電話のビジネスと設備でした。
しかしいくら配当を高くしても、そのビジネスが10%以上の収益を上げなければ
元本が目減りすることになります。エクイティ並みのハイリスクで、リターンは
最大10%−−−「そんなリスクを取るぐらいなら、割安な株でも買うわい」
ということで、私の投資仲間は見向きもしなかったのです。

しかしこの商品に500億円近くも集まるとは、世の中にはカネが余ってるんだなあ
と感じている次第です。しかし同時に日本の投資家のナイーブさを見せつけられた
ような気がして、投資家教育の重要性を改めて痛感いたしました。


おまけ:サイトをリニューアルして
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こまめにチェックしてくれている方はとっくにご存知でしょうが、サイトを
リニューアルして約2ヶ月が経ちました。
http://www.amma1.com/

「資産運用の基礎」というDVDをテスト販売していたのですが、まずは好評です。
サンプル動画やカリキュラムを用意していますので、興味がある人は覗いてみて
ください。サンプル動画で私の顔を覚えてしまった人は、そのへんの飲み屋で
酔っ払っているところを発見しても、知らないふりをして黙っていることを
約束してください。

ワイルドインベスターズでは、人生に役立つ教育コンテンツを募集しています。
埋もれた才能や知識を発掘し、社会のインフラとして活用するためです。
すでに何人かの講師の方とDVD作成のプロジェクトが進んでいます。教える意欲と
才能があるのに、いまいち報われていないと感じている方はご連絡ください。
http://www.amma1.com/education/education_c.html

「それを教えちゃマズイだろ!」では、7月に投資用不動産を買おうとした顛末と、
それにまつわるエピソードを紹介しています。まだ読んでいない方はどうぞ。
http://www.amma1.com/info/index.html

うーむ、ここまで来るとカリキュラムや推薦図書を体系的に整備して
「投資家大学」みたいなページも作りたいなあ。これまで読んだ本をリストにして
まとめておけばよかった。まあ、学校も忙しくなってきたのでじっくりやります
よ。
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
 
メルマガ版 『それを教えちゃマズイだろ!』
発行責任者    安間 伸
バックナンバー   http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000148012
公式サイト     http://www.amma1.com/
メールアドレス   mailto: info@amma1.com
登録・解除     http://www.mag2.com/m/0000148012.htm
 
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