診断士2次試験突破のノウハウ[第84号]
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中小企業診断士【第2次試験突破のノウハウ】
第84号(2007/05/01)
[発行者]経済産業省登録 中小企業診断士 相楽昌利
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このメールマガジンでは、新試験制度移行後の中小企業診断士【第2次試験】
の過去問題を中心に、解答作成のプロセスを詳細に解説していきます。
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前回は「平成15年度:事例 III」の第2問の分析を行ないました。
合格者の再現解答との比較を行ってみたところ、クレームの原因については「
要求を正確に伝えていない」「要求を正確に把握できていない」といった内容
が最も多いようです。改善策については「製造指図書自体を改善する」「あい
まいな要求をできる限り数値化する」といったものが多かったです。当メルマ
ガで挙げた「サンプル試着によるフィット感のチェック」はあまり見当たらな
かったですね。まぁチェック結果を製造指図書に具体的に記入することを盛り
込んでおいたので「あいまいな要求をできる限り数値化する」に近いと言って
もいいかも知れません。もし私が採点者だとして、そんな「優しい」解釈をし
てあげるかどうかは微妙なところですが...
それでは、「平成15年度:事例 III」の第3問の分析を始めます。
<<<<<<<<< 過 去 問 分 析 >>>>>>>>>
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ ┃
┃ 平成15年度 事例 III(生産・技術戦略) ┃
┃ ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
【第3問】//////////////////////////////
中小企業診断士であるあなたに、C社から「納期の短縮」及び「コストの削減」
を図るための生産方法の改善についてアドバイスが求められている。提案する
改善内容とその理由を200字以内で簡潔に説明せよ。
///////////////////////////////////
【題意の把握】────────────────────────────
解答として求められている内容は「生産方法の改善のアドバイス」ですが、解
答の記述内容に制約が設けられています。設問文中の
・納期の短縮
・コストの削減
がそれに当たります。要するに、生産方法の改善アドバイスなら何でも書いて
良いということではなく、上記の2点が改善されるアドバイスでなければなら
ないというのが今回の設問での制約ということになります。
また、解答として記述すべき内容は
・改善内容
・その理由
の2つが求められています。
したがって、
・現在の生産方法の「どこを」「どのように」改善すれば納期短縮とコスト
削減が図れます
・なぜなら「こうだから」です
といったストーリーを記述して欲しいというのが出題者の想いではないかと考
えられます。ロジカルシンキングの上下の関係(SoWhat/WhySo)
を使って解答作成プロセスの検証ができそうですね。
次の【与件文との関連】では【生産の現状】を中心にC社の生産方法に関する
問題点を見ていきたいと思います。
【与件文との関連】──────────────────────────
早速【生産の現状】から関係のありそうな箇所を抜粋してみます。
「C社の靴の製造の流れは以下のとおりである。まず、計測した顧客の足
のデータに基づき、(1)既存の木型に皮の貼り付けやパテでの盛り付
けをして簡易型を作成する「型作成」の工程から始まる。以下、(2)
「抜き(革の断裁を行う工程)」、(3)「製甲(甲の部分の縫製を足
踏み式ミシンで行う工程)」、(4)「つりこみ(機械を使って甲の部
分と中敷を木型に装着する工程)」、(5)「バフ(革と靴底がしっか
りと圧着できるように、機械で革の表面を削る工程)」、(6)「底付
け(機械で甲の部分と靴底とを圧着する工程)、仕上げ」などの工程を
順次経て完成品となる。どの工程もある程度の熟練を要する。」
「C社の熟練技能者6名は、原則として上記1〜6までの各工程について、
それぞれ1名ずつ分担している。他工程の応援をそれぞれが行うように
しているが、実際には工程ごとに仕事の負荷が異なることもあり、負荷
の多い担当者から不満の声も出ている。」
これらの記述内容からC社の生産方法の特徴として
・工程は6つ
・1つの工程のみ担当(単能工)
・工程ごとに仕事の負荷が異なる
であることが読み取れます。また「どの工程もある程度の熟練を要する」との
ことですが、C社の6名の熟練技術者は「他工程の応援をそれぞれが行う」こ
とが可能であることも読み取ることができます。
また、ほとんどの工程が機械で処理されていることも分かります。納期の短縮
のみに着眼すると負荷の多い工程の設備を増やして処理能力を上げるという考
え方もあるかと思いますが、設備が足りないと言えるほどの根拠が見当たらな
いため、これは却下したほうが良さそうです。
ここでC社の生産方法の特徴から問題点と考えられることを挙げてみます。
・ある工程(複数?)の負荷が他と比べて多くなっている
・生産リードタイムがその工程の負荷に依存している
ちなみに月の稼働日数を平均20日として、2002年度の販売数量5,00
0足を生産するには
5,000足÷(20日×12ヶ月)≒21足/日
と1日当たり約21足を完成品としなければなりません。1足当たりの納期が
3週間という与件文の記述から考えると、負荷の多い工程に仕掛りが21足以
上滞留している可能性は非常に高いと考えられます。
従って工程ごとの負荷にバラツキがあることで、本来1足を仕上げるのに適切
と考えられる生産リードタイムが必要以上に長くなってしまっていることが大
きな問題であると認識しました。
さらに「負荷の多い担当者から不満の声が出ている」との記述から
・負荷の多い工程を担当する熟練技能者の残業
・他工程を担当するの熟練技能者の手待ちのムダ
などのコストが発生していることも考えられます。
ここまでの検討でそれぞれの課題が何となく見えてきたので一旦整理しておき
たいと思います。
リードタイムの短縮:ボトルネック工程の処理能力向上による納期の短縮
作業コストの削減 :残業、手待ちなどムダなコストの削減
ということでこれらの課題をクリアする方法を考えなければならないわけです
が、どうも現状の単能工の生産方法に問題があるような気がします。となると
生産方法の改善点は「多能工生産方法への移行」ということになるのですが、
果たしてそれで上記の課題はクリアできるのでしょうか。
まずリードタイムの短縮ですが、ボトルネックとなっている工程の負荷は分散
できそうです。これまで負荷の集中していた工程を複数の熟練技能者が担当す
るわけですからこれは当然と言えます。
さらに各熟練技能者の作業量が平準化されることで、残業や手待ちといったム
ダな作業コストの低減も可能と言えるのではないでしょうか。
今回の参考解答には具体的に6名の熟練技能者にどのように工程を割り振るか
までは言及しませんが、将来的には「工程担当」ではなく「1足担当」のよう
に熟練技能者に各注文を割り当てる生産方法にできると良いのではないかと考
えています。
【使用可能なキーワード】───────────────────────
これまでの検討内容から解答作成に使えそうなキーワードを抽出しておきます。
・単能工生産方法
・多能工生産方法
・生産リードタイムの短縮
・ボトルネック(高負荷)工程の処理能力向上
・ムダな作業コスト(残業、手待ち)の削減
【文章構成の設計】──────────────────────────
文章構成としては設問の要求内容に基づき、以下のようなマトリクスで考えて
みたいと思います。
┌────────┬──────┬──────┐
│ │ 改善内容 │ その理由 │
├────────┼──────┼──────┤
│ 納期の短縮 │ (1) │ (2) │
├────────┼──────┼──────┤
│ コストの削減 │ (3) │ (4) │
└────────┴──────┴──────┘
まずは改善点ごとに記述するといった観点で横軸を中心にした場合
(1)→(2)→(3)→(4)
の順で解答を記述することになります。が、これまでの検討は上記の2点に対
する改善内容というよりも総合的な改善内容といった感じなので、記述に苦労
してしまいそうです。
したがって縦軸を中心とした記述
(1)→(3)→(2)→(4)
のほうがスンナリと書き始められそうですので、今回はこちらを採用してみた
いと思います。
もちろん、それぞれに適切な改善内容が考えられる場合には前者の記述方法が
望ましいと思われます。
最後に自身の再現解答を振り返っておきたいと思います。記述内容を要約して
みました。
改善内容:多能工化
その理由:工程負荷の平準化、工程待ちの削減による納期短縮
工程間在庫の削減によるコスト削減
受注 〜 納品までの責任感醸成と品質の向上
やはり多能工化をメインとした解答を書いたようです。工程間在庫の削減はち
ょっと飛躍しているかも知れませんね。与件文にそれが必要であることを匂わ
せる記述は無いと思われます。
そして最後に付け加えた理由はいかにもスペースを取り敢えず埋めました的な
内容ですね。こんなこと書いても多分1点ももらえないんじゃないかと思うん
ですが書いちゃうんですね。心理的に。何か書かなきゃってことで。
「参考解答」=============================
各熟練技能者が一つの工程のみを受け持つ現在の単能工生産方法から、複数の
工程を受け持つ多能工生産方法へ移行することを提言する。理由は、1)各熟練
技能者は他の工程の応援が可能であり、多能工生産方法への移行が円滑に行え
る、2)負荷の高い工程の処理能力の向上と負荷の分散により、生産リードタイ
ムの短縮が可能となる、3)各熟練技能者の作業量が平準化されることで残業や
手待ちといったムダな作業コストの低減が可能となる。
===================================
理由の一つ目に【使用可能なキーワード】に挙げていない多能工生産方法への
移行の可能性を書いてみました。現実的に可能な提言であることをアピールし
ています。ただ、ここまで書いてみて現状が単能工であることに思考が縛られ
すぎてしまったかなという反省もあります。もう少し違った観点から与件文を
分析してみれば、納期の短縮とコスト削減のそれぞれに対する具体的な改善内
容をアドバイスできるのかも知れません。
今回はここまでとさせていただきます。
次回は「平成15年度:事例 III」の第4問から分析します。
→ 次回の予定は【5月20日(日)】です。
**** 編集後記 ********************************************************
中小企業診断士試験の日程が1次試験、2次試験ともに発表されましたね。
このゴールデンウィークから1次試験受験生の学習も徐々に加速されてい
くのではないかと思われます。試験制度が変わって2回目の本試験となり
ます。昨年の科目合格者は多少負担が減るのではないでしょうか。そう言
えば、実務補習の同じチームに1年目ストレート合格者が2名もいました。
初学者の方も科目合格狙いと言わずに是非ストレート合格を勝ち取ってく
ださい。私は1次3回、2次5回でやっと合格ですが...ところで、今
回からメルマガの冒頭に名前を公表しています。官報にも掲載され、正式
に経済産業省に登録されたので載せちゃいました。これを機会に様々な方
との交流が広がっていくことを期待しています。
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このメールマガジンに対するご意見・ご感想などありましたら掲示板に書き込
んでください。 http://www.geocities.jp/lazybird_jp/bbs/
意見交換や知識交換の場になれば幸いです。
よろしくお願いします。
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