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2006/11/20

特約付定期預金はがんじがらめ □セミリタイヤ資産運用心得帖<第48回>□

◆□◆ 南山宏治の”セミリタイヤ資産運用心得帖” <第48回> ◆□◆ 



先週の「おぷしょんがてぇへんだ!」をお楽しみいただけましたでしょ
うか? 


さて、今回は最近流行の「特約付定期預金」を題材に、この低金利
下の日本で、どうやって好(高)金利を生み出すことができるのか?
を、技術的かつ実利的な観点で解剖したいと思います。 


最後に、こわ〜い税金上の取り扱いも取り上げますから、楽しんで
読み進んでくださいね。 


さて、債券の利回りを上げるためには、オプションという取引を組み
合わせることがあると御隠居、八っつぁん、熊さんに説明してもらい
ました。 

実は、銀行で取り扱われている預金にも、ずいぶん前からこのオプ
ションが組み込まれた商品が販売されています。 


銀行によってその名は違いますが、一般的には、 


              「特約付定期預金」 


と呼ばれて販売されています。 


「特約」という言葉が付いているがごとく、この預金はもともと設定さ
れた金利が満期 までもらえるかどうかは分からないものの、表面上
とても見栄えのよい金利を提供する商品に仕上がっています。 


それでは、最近再上場した外資系銀行の実際の商品を好事例とし
て考えてみましょう。 



                 ********* 

<<金利ステップアップ型 満期日繰上特約付定期預金 >>


期間:10年 

<金利> 

1年目から4年目:1.5%  →

5年目:1.8%  ↑

6年目:2.0%  ↑

7年目:2.2%  ↑

8年目:2.4%  ↑

9年目:2.7%  ↑

10年目:3.0% ↑ 

<特約> 
4年目以降、毎年期限前償還の特約付き。つまり、4年目以降の金
利が もらえるかどうかは、預けた時点ではわからない。 
また、期限前償還の決定権は銀行にある。 

                 ********* 


この預金の特徴は、


(1)5年目以降の金利が、少しずつ上がっていき、オトク感を醸し出
していること。

(2)4年後に、銀行の決定により預金が解約される可能性があること。

(3)中途解約できない。


の3点です。



では、(1)が本当に得かどうか考えて見ましょう。

仮に、この預金が10年間中途解約されなかったとして、1年間で平
均どのくらいの金利がもらえるか、計算してみましょう。


答えは、年2.01%です。
<(1.5%×4+1.8%+2.0%+2.2%+2.4%+2.7%+3.0%)÷10>


次にこれが、たとえば10年国債の利回りと比べて、オトクかどうか考
えます。

10年国債の利回りは約1.7%です。最後まで、中途解約がないとす
ると、この預金のほうが年0.31%有利ということになります。


一見、有利そうですね。


ところが、この預金には致命的な弱点があります。それは、金利が
低下していくと、銀行はこの高金利を払うことが出来なくなる可能性
が多くなり、繰上解約される確率が高まることです。

これは、その商品説明書にもはっきり書いてあります。↓↓
http://tinyurl.com/yf89fo


一方、国債は金利が下がれば、価格が上昇しますので、結局利回
りは上がるわけです。


つまり、この特約付預金は、預け入れた際の金利水準と同じか、そ
れ以上に上昇すれば、満期まで運用される可能性は高いものの、
途中で金利が下落に転じると、繰上解約(=運用できない)され、債
券で運用したときのような、価格上昇メリットが得られない預金であ
るということです。


ただし、金利が上がれば、所与の条件で満期まで運用される可能
性があります。(但し、その場合も中途解約は出来ませんので、より
高い金利を得る可能性は自ずからありません。)



(2)と(3)については、この特約付預金の最大のポイントです。


それは、銀行がこの預金を途中解約する権利を預金者から買い、
預金者は途中解約する権利を銀行に売っているということです。


ここは分かりにくいですね。


通常の預金は、預金者に解約する権利があります。

たとえば、年2%の普通の定期預金を預けて、6ヵ月目に金利が下が
って1%になったとしましょう。

このとき、銀行は「金利が下ったので、あなた様への利息支払が負
担になるので、預金を解約させてほしい。」とは言いません。


特約付預金の場合は。途中で銀行の都合により、「金利が下がった
から、預金を中途解約させてもらいますね」と言えるわけです。


はい! これはまさに先週紹介したオプション取引ですね。


銀行は「預金を売る権利を買う」プット・オプションの買い、預金者は
「預金を売る権利を売る」プット・オプションの売り、を預金取引の中
に内包させているのです。


恐るべし。


先ほどの国債の利回りと、仮に上手くいったときの特約付預金の
利回り差を比較してください。


特約付預金の利回りは、国債の利回りよりも年0.31%高かったです
ね。

これが、預金者がプット・オプションを銀行に売って得ているオプショ
ン料の一部だと考えてもらって構いません。
その分、”金利”が上乗せされているわけです。


実際は、銀行はもっと有利な価格でオプションを仕入れていますか
ら、この程度”金利”を上乗せすることは、痛くもかゆくもありません。
このような条件をつけても、十分銀行は儲かるのです。


一番の問題は、金利が何%に下がったら、中途解約されるのかが
ハッキリしないことです。
オプション取引をする場合は、必ずその条件が示現する価格が提示
されて始めて、取引をすることとなります。


たとえば、この特約付預金の場合、日本国債の金利が1.5%を下回
ったら中途解約されるとか、一年もの定期預金の平均レートが1%を
下回ったら中途解約されるとか、の条件は明示されていません」。


つまり、中途解約の明確な条件が示されていないがゆえに、預金者
は、暗中模索でこの金融商品に運用せざるを得ないわけです。


何が有利で、何が不利か?このあたりの臭覚を磨くのも南山式セミ
リタイヤ資産運用術の極意です。


                  ************

では最後に、税金の問題です。


特約付預金から得られる利息は、通常の利息と同じ利子所得と考え
られるかもしれません!


本当のところには、さにあらず。


オプション料を上乗せする定期預金の税制は、


A. 純粋な金利部分=利子所得
B. 上乗せ部分のオプション料=雑所得


と金融庁から指針が出ています。↓↓

「米ドル転換特約付定期預金の預入に際して受領するオプション料」に対する税金   
http://www.nta.go.jp/category/tutatu/shitsugi/syotoku/02/26.htm 


この事例では為替オプションのオプション料について説明しています
が、本来的には何のオプションでも、その性格は同じです。


一般投資家がこのあたりを認知して確定申告するとは思えませんが、
税制上は一応そういうふうになっているようです。


ワケノワカラナイ金融商品が、ますます増えてくる今日このごろです。




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グロスクリエイト 南山宏治
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