実践ドイツ語講座…vol.87
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□□□イタリア語&ドイツ語翻訳家・養成&完成集中セミナーのお知らせ□□□
イタリアのボルツァーノで、イタリア語&ドイツ語翻訳の集中講座を開催します。
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9月15日(月)〜18日(木):ドイツ語翻訳家・養成&完成集中セミナー
9月22日(月)〜25日(木):イタリア語翻訳家・養成&完成集中セミナー
*19〜21日は 「ドロミティ渓谷」 をエクスカーションします。イタリア
国家認定ガイドの澤山さんのオリジナル企画による素晴らしいツアーです。
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■ 実践ドイツ語講座....vol.87 http://www.polyglot.jp
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皆さん、こんにちは。
今号からニューライターの宮城保之さんによる連載がスタートします!
ますます濃く充実してまいりましたvol.87をお楽しみ下さい。
━━[INHALT] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.古くて新しいインドヨーロッパ(印欧)語比較研究:その背景と周辺−2 川原潮子
2.時事ドイツ語購読〜オーストリアのニュースから 宮城保之
3.ドイツ日記2004/第23回 中岡ともの
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□□□ 7月以降の1日セミナー(東京)のお知らせ □□□
8月2〜4日(土・日・月の各午後): ドイツ語初級・TGV(超速習)
8月9〜10日(土・日の各午後): 仏、伊、西3か国語入門
(マリオ・ペイの入門書による)
8月16日(土): 英語翻訳のテクニック 〜講義と演習〜
8月30日(土): ラテン語・超入門
9月6〜7日(土日): スペイン語・初級TGV(超速習)
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1.古くて新しいインドヨーロッパ(印欧)語比較研究:その背景と周辺−2 川原潮子
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(vol.86からのつづき)
(研究史に関する以下の記述は,主に風間喜代三『言語学の誕生:比較言語学小
史』岩波新書,1978,田中克彦『言語学とは何か』同,1993,および上記神山
(2006)を参考にしています。)
1) インドヨーロッパ語比較研究の展開
1-1) 名称について
本題に入る前に,この語族に対する名称について少し述べておきましょう。イ
ンドヨーロッパ語族(英 Indo-European)という名称は,「名付け親」がわかっ
ています。イギリス人のトーマス・ヤング Thomas Young (1773-1829) が1814年
に使用したのが初出であると,かの OED (Oxford English Dictionary) の Indo-
European の項にも書いてあります。
余談になりますが,このヤング氏は一見平凡な名前ながら,歴史のあちこちに
顔を出す,なかなか興味深い人物です。ひとつには,ロゼッタストーン Rosetta
Stone に刻まれたヒエログリフ(エジプト象形文字)の解読競争において,フラ
ンス人シャンポリオン Jean-Franc,ois Champollion (1790-1832) のライバルと
いう役回りで登場します。
ロゼッタストーンは,エジプト遠征のナポレオン軍が1799年に港町ラシード(
一名ロゼッタ)近郊で発見した石碑で,古代エジプトのヒエログリフと,その筆
記体であるデモティク(民衆文字),それにギリシア語のテキストが刻まれてい
ます。(このときのエジプト遠征軍は,古代オリエント研究の専門家を何人も同
行していました。)結局,遠征は失敗に終わって,ロゼッタストーンは「戦利品
」としてナポレオンの宿敵イギリスの手に渡り,いまもロンドンの大英博物館
British Museum の至宝となっています。
当時,古代エジプトの文字は,だれも読むことのできない「失われた文字」で
した。しかしロゼッタストーンは,既知のギリシア語との対訳碑文であったこと
が,解読の手がかりとなりました(同一の内容を複数の言語で刻んだ対訳碑文は,
多民族を支配した古代帝国では,ときおりみつかるものです)。ヒエログリフ解
読者の栄誉が,イギリス人ヤングでなくフランス人シャンポリオンのものになっ
たことは,ロゼッタストーンの発見とその後の経緯を考えると,興味深い因縁も
感じられます。
博物館などで古代エジプトの遺物を見ると,非常に多くの品にヒエログリフが
刻まれています。これが読めるのと読めないのとでは,古代エジプトを理解する
うえで大違いだということは,容易に想像がつきます。ヒエログリフの解読はま
た,のちにメソポタミア起源の楔形文字など,「失われた文字」が次々読み解か
れる端緒ともなりました。
他方でヤングは,もともと医者で科学者でもあり,今日の日本ふうに言うなら
ば「理系」の人でした。科学史上では,「光の干渉」の実験を行ない,ニュート
ン Isaac Newton (1642-1727) 以来の「光の粒子説」に対し「波動説」を唱え
たことで知られます。また力学の弾性の分野で,弾性率を表わす「ヤング率」に
その名を残しています。
「理系」のヤングが,なぜ言語や文字という「文系」の領域に首を突っ込むよ
うになったかというと,余技にしていたカリグラフィーがきっかけだったようで
す。カリグラフィーとは装飾的な「花文字」を書く一種の能書術で,ハンカチな
どにきれいに刺繍されるイニシャルの字体を思い浮かべてもいいでしょう。古い
写本の各章の頭文字などには,凝った花文字がよく使われています。そのために
古文書の修復を頼まれる機会があり,それがきっかけとなってこうした研究には
まっていったらしいのです。
さて,このように興味深い人物を名付け親にもつインドヨーロッパ語族 Indo-
European という名称は,フランス語でもそのまま indo-europe'en として使われ,
広く各言語に受け入れられていきます。しかしドイツ語では,これを訳した Indo-
europaeisch という用語はあまり普及せず,代わりにインドゲルマン語族 Indo-
germanisch という名称が,非常に好んで使われました。
先に述べたように,少なくとも19世紀の間は,この分野の研究を主導したのは
ドイツ語圏の研究者たちでしたから,研究書や論文のタイトルにもこの用語を使
ったものがたいへん多く,日本の研究者でも「インドゲルマン」という用語を使
っている例があります。
しかしこの名称は,ドイツ以外では支持されず,むしろ批判の対象になってき
ました。この用語がなぜドイツ人研究者たちの心をとらえて離さなかったのか,
この用語の問題点や,それが普及したことによる弊害には,どんなことがあった
のか――,それについてはまたのちほど,立ち返って考えてみたいと思います。
蛇足ながら,Indo-European や Indo-germanisch の前半の Indo- の末尾に現
われる -o は,言語や民族を表わす形容詞を2つ(以上)重ねる場合の「つなぎ」
の音で,たとえば Indian-European だとか indisch-germanisch などと並べる代
わりに,このように一語化するわけです。ときに「印度」などと書かれる日本語
の「インド」という語形とは,直接関係ありませんので注意してください。
同様の -o- は,英語でいうと Anglo-Saxon,Greco-Roman(ギリシア・ローマ
の)などの例があります。また,かつてチェコスロヴァキア Czechoslovakia
(独Tschechoslowakei)という国が,1992年まで存在していましたが,これはチ
ェク Czechとスロヴァク Slovak という2つの民族(ともに言語的にはスラヴ諸語)
からなる国家でした。分離した現在は,本来ならそれぞれ「チェキア(またはチ
ェク)」と「スロヴァキア」と呼ぶべきですが,日本では「つなぎの -o- 」を伴
った形のまま機械的に分離した結果,前者を「チェコ」と呼び慣わしているわけ
です。
(つづく)
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2.時事ドイツ語購読〜オーストリアのニュースから 宮城保之
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今年6月、オーストリア・スイス共催でサッカー欧州選手権が開催されました。ド
イツに破れ惜しくも予選敗退したオーストリアチームについての記事を2回に分け
てお届けします。
Co´rdoba muss weg
Brav waere gemein (klingt wie ganz nett), Oesterreichs Fussballer haben
eine sehr brave EURO
gespielt. Die Mannschaft ist sicher nicht an den nationalen Erwartungen
gescheitert, es gab naemlich
keine. Zumindest nicht vor ein paar Monaten. Da ging es um die Hoehe der
Blamagen. Setzt man aber
die Kroaten zum Auftakt unter Druck und verliert nur 0:1, gleicht man spaeter
in der Nachspielzeit
gegen Polen zum 1:1 aus, traeumt dieses im globalen Fussball eher unbedeutende
Land vom Viertel-,
vom Halb- oder gar vom ganzen Finale.
(つづく)
【訳例】
コルドバは去らねばならない
お利口な子供のようであるというのは、卑しいことだろう(無難にふるまう、と
いうのと同様に)。オーストリアのサッカー選手たちは、欧州選手権を大変お利
口にプレーした。オーストリアチームは確かに国の期待のためにしくじったりは
しなかった。つまり、全く期待されていなかった。少なくとも二、三ヶ月前には。
そのころには、どのくらい恥をさらすことになるかということが問題だった。だ
がいきなりクロアチアを圧倒し0対1というスコアでの敗戦にとどまり、その後ポ
ーランドに対しロスタイムで1対1で引き分けたりすれば、世界のサッカーにおい
てはむしろ大した意味を持たないこの国は、準々決勝、準決勝、あるいは決勝ま
でも進むと夢見ることになるのだ。
【語句・文法解説】
・Co´rdoba・・・1978年サッカーワールドカップ・アルゼンチン大会、ドイ
ツ対オーストリア戦がコルドバで催されました。結果は、3対2でオーストリ
アの勝利。オーストリア人はこれを「コルドバの奇跡(Wunder von Co´
rdoba)」と呼びます(ドイツでは「コルドバの屈辱(Schmach von Co´
rdoba)」)。ちょうど30年後の今年、サッカー欧州選手権予選にて同カード
がウィーンで開催されることになり、オーストリアのファンたちは「Wien wird
Co´rdoba(ウィーンがコルドバになるぞ)」と奇跡の再現を願ったのでした。
・weg muessen・・・去らねばならない
・brav・・・英語・フランス語ののbraveと同様、ラテン語のbarbarus(異国
の、無作法な)に由来する語。が、現代ドイツ語ではほぼ子供に対してのみ用
いられ、その従順さを褒める「お利口な」、「お行儀のよい」といった意とな
ります。大人に対して用いられるbrav spielenには、「正確だが、特に秀でて
もいないプレー(や演奏など)」という、ややネガティブな含意があります。
「お上手な」、「優等生的な」といってもいいでしょうか。
・waere > sein・・・接続法II式による条件文です。
・gemein・・・allgemein、gemeinsamといった関連語からも分かるように、元
々「共通の」という意味を持つ語ですが、多くに共通であるものというのはた
いてい凡庸で無価値であることから、「卑しい」「腹立たしい」といったネガ
ティブな意味が生まれました。
・ganz nett・・・nettは「親切である」の意ですが、ganz nettは事柄や人物
に対して、bravと同様に、「優れてはいるが、抜きん出てはいない」というニ
ュアンスで用いられます。
・EURO・・・UEFA European Football Championship(UEFA欧州選手権)の略。
ドイツ語ではEuropameisterschaft(略してEM)とも呼ばれます。サッカー強豪
国の多くがヨーロッパにあるため、当地ではワールドカップに匹敵するほどの
人気・話題性を誇ります。
・-e Mannschaft・・・チーム
・an Dat. scheitern・・・(Dat.のために)失敗する。scheiternはsein支配
の自動詞です。
・es geht um Akk.・・・(Akk.が)重要である。
・-e Blamage・・・恥さらし。フランス語動詞bla^mer由来のblamieren(恥を
かかせる)が、18世紀ドイツにてフランス語風に名詞化された、いわば「独製
仏語」です。発音は「ブラマージ(ェ)」となります。
・Setzt man..., gleicht man...,・・・共にwennの省略による倒置文です。語
数制限のある新聞記事では、省略形が多く用いられます。
・-r Auftakt・・・弱拍によるフレーズの始まりを指す音楽用語として知られ
ていますが、ここでは「幕開け」といった意味になります。
・Akk. unter Druck setzen・・・(Akk.を)圧倒する。
・zum 1:1 ausgleichen・・・1対1の同点にする。1:1は"Eins zu Eins"と読み
ます。
・-e Nachspielzeit・・・ロスタイム
・von Dat. traeumen・・・(Dat.を)夢見る、望む
・-s Viertel-, Halb- und ganze Finale・・・準々決勝、準決勝、決勝。決勝
戦というよりは決勝リーグそのものを指すFinaleは元々、曲の終結部を表す音楽
用語として17世紀にイタリア語から取り入れられました。スポーツに転用される
のは20世紀になってからです。語尾がeですが、女性ではなく中性名詞です。
本記事は下記サイトより引用しています。
http://derstandard.at/?url=/?id=3379152
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3.ドイツ日記2004/第23回 中岡ともの
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(vol.85からのつづき)
もともと私がいたこのWohngemeinschaftには他の日本人学生が住んでいました
が、その本人はまだ通学しており私に話しかけてきたときがありました。その
人は学校に申し出て別のWohngemeinschaftに移ったとのことですが、とくに、
大家に対しての不信感をあらわにしていました。しかし、もともと語学学校の
日本人学生は日本人同士でたまっていていい感じはしなかったし、私もそのグ
ループに関わるきっかけがなかったこともあり(外見から日本人というよりは
他のアジアの国からの留学生に見えるようです)、そのときはWohngemeinschaft
ってそんなものだろう、と別に何も感じていませんでした。しかし、大家とイ
タリア人のいさかいがあったときから私もこの大家に対して少し不信感が生ま
れてきました。具体的にどうこうというわけではないのですが、アジア人に対
して偏見があるのにも関わらず、経済的な理由で無理にアジア人に対してフレ
ンドリーを装っているのではないかと思い始めたのです。
まず、アジア人学生をWohngemeinschaftに受け入れると斡旋料が高かったらし
いのです。さらに、私が滞在を1カ月短縮したときに学校を通じてキャンセル
料を支払っていたのですが、そのときに別の部屋貸しの件にふれて「あのとき
もキャンセル料をもらうようにしておけばよかった」と口にしていたので、悪
い習慣を教えてしまったかなと思いました。
部屋も北向きの一番小さな部屋です。ドイツ人は部屋の向きはあまり気にしな
いということを耳にするときもありますが、このWohngemeinschaftでも一番人
気のない部屋で、長期的に借り手がつかない部屋ということは事実だったので
はないでしょうか。そのため、とにかく寝る場所さえあればいいという短期の
語学学校の生徒に貸していくほうが効率がよかったのかもしれません。
一番感じたのは私が料理をしているときでした。滞在費を少しでも節約したか
ったのと料理が好きなので息抜きのために朝・昼・夜を問わず自炊をよくして
いました。しかし、ごはんとみそ汁とおかずを一緒につくろうとするとどうし
てもレンジを3つつかってしまいます。オーブンや鍋ひとつで料理が完了する
ドイツ人の習慣からはかなりかけ離れており、他のWohngemeinschaftのメンバ
ーとの会話で「光熱費がかかる」とこそこそいっていたようなのであまりいい
気はしていなかったのかもしれません。しかし、私にそのことは直接いえない
のです。使用契約でキッチンの使用権は保障されていますので、キッチンの使
用を制限することで私に訴えられても仕方ないのです。
夕食をつくらないように、友達とクラブにいけば? コンサートにいけば? と
いうこともよくいわれましたが、コンサートはオフシーズンでしたし、クラブ
も興味はありません。映画は行きましたが、映画の前後に家でご飯を食べるの
で、光熱費を減らそうという大家の思惑どおりに事は運ばなかったようです。
私の退去後にイギリス人学生が入ると決まった途端、非常に喜んで、早く出て
行ってもらいたいという印象も受けました。
他の生徒に聞くと、とくに旧東ドイツ地域のWohngemeinschaftを選んだ学生は、
コンロの火の加減について注意を受けることもあったようです。お金のために
誰でもいいから貸したい、という状態なのだろうか、つまり、ベルリン市全体
がお金がない、という雰囲気で包まれているのではないか、と漠然と思い始め
ました。確かにそういう視点で街を見渡してみるといままで見えなかった街の
抱える裏の面が見えてきました。
(つづく)
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