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2008/10/02

フランス文化講座 vol.64

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■ フランス文化講座  vol.64             http://www.polyglot.jp
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皆さん、こんにちは。

いかがお過ごしでしょうか?
急に秋らしくなってまいりました。
町の人々の装いも秋服に・・・私もあわてて夏の残り香を残す浴衣をしまい込み、
ワードローブを秋冬仕様に変えつつある今日この頃です。

最近、友人に「和モンブラン」という京和菓子の老舗「甘春堂」のお菓子を
いただきました。あっさりとした小豆の甘みと栗の香りがほんのりと口に広がります。
玉露の雫とともに愉しむと一際だった美味しさを味わえます。

皆様もシャンソン♪枯葉♪など聴きながら、徹夜覚悟で秋の夜長を過ごしてみては
いかがでしょうか?
もちろん、
懐にマルセル・プルースト著の「失われた時を求めて」をしのばせて・・・

和菓子の味がマドレーヌの味に化けてしまうかもしれません(笑)。

では フランス文化講座64号をどうぞ。


━━[TABLE DES MATIERES] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1. フランス競馬へようこそ(9) 『第87回凱旋門賞』    福元恭子                          
2. パリ・サツマ(4) 『イリュストラシオン』       川島ありす
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10月4〜5日(土日・午後): おもしろロマンス言語学入門
10月11〜13日(土日月祝): フランス語会話・初級〜中級TGV(超速習)
10月18日(土): おもしろゲルマン言語学入門
10月19日(日・午後): おもしろ音声学
10月25日(土): 英語・フランス語比較文法

☆詳しい内容、11月までのその他の各国語のセミナーの予定は下記を参照
    http://www.polyglot.jp/polyglot2/seminar_info.htm
     お問合せは小川 seminar@polyglot.jp までどうぞ
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1. フランス競馬へようこそ(9) 『第87回凱旋門賞』    福元恭子
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パリのブローニュの森近くにあるロンシャン競馬場では、毎年10月第一土日は
「ロンシャンウィークエンド」という国際競走デーとなり、2日間に渡って
多数の国際競走が行われます。その中でも日曜日には、メインイベントの
国際G1競走「凱旋門賞Prix de l'Arc de Triomphe」が行われます。
競馬には馴染みがなくても、2年前の06年、日本最強馬にしてアイドルホース
だったディープインパクトが出走した凱旋門賞をニュースでご覧になった方も
多いでしょう。

凱旋門賞は欧州競馬のシーズン終盤の10月に行われるため、その年の有力馬
たちが出走する欧州競馬界最高峰のレースとし有名です。また、今年からは
産油国カタールのスポンサーが新しく付いて、賞金も今までから倍増し、
1着賞金は228万5600ユーロ(約3億5000万円)で、芝コースの
最高賞金レースだった日本のジャパンカップを抜いて凱旋門賞は名実ともに
世界一の競走となりました。

凱旋門賞は今年で87回目を迎えます。レースの設立は1920年。
当時、第一次世界大戦で衰退したフランス競馬の復興を願って、外国馬も出走
できる国際競走として設立されました。レースの名前は、第一次世界大戦の
戦勝記念として、シャンゼリゼ大通りにあるエトワール凱旋門から、
「凱旋門賞」と名付けられました。

凱旋門賞の歴代の優勝馬は、地元のフランス馬が圧倒的に多く、あとはほとんど
が近隣のヨーロッパ諸国の馬という状況。ここ10年ほどは、日本馬も出走する
ことが多くなりましたが、1999年のエルコンドルパサーの2着が最高で、
優勝にはまだ手が届いていません。今年は日本から2006年のダービー馬で、
2007年の天皇賞(春・秋)を制覇したメイショウサムソン(牡・5歳)が
出走を予定しています。

日本の競馬ファンは、日本代表メイショウサムソンの走りに期待していますが、
まずは、メイショウサムソンのライバルとなる地元欧州の競走馬たちの動向を
見てみましょう。

今年は、欧州競馬界全体的に、3歳の若駒の活躍が目立った年でした。
その中でも、ひときわ活躍が目立ったのが、フランスオークス馬で6連勝中の
ザルカヴァ(Zarkava、仏)という3歳の牝馬。彼女はデビューから無敗で、
3歳の牝馬で凱旋門賞にチャレンジしてきました。今までの勝ちっぷりも見事で、
本番と同じロンシャン競馬場の
2400mのヴェルメイユ賞では、スタートで致命的な出遅れをしたにもかかわらず、
ゴールでは後続に2馬身差の圧勝というパフォーマンスを見せました。
ブックメーカーによると1番人気になっているようです。

その他に、今のところ凱旋門賞に出走を予定しているのが、
ヴィジョンデタ(Vision d'Etat、仏)、デュークオブマーマレード
(Duke of Marmalade、愛)、ソルジャーオブフォーチュン
(Soldier of Fortune、愛)、ユームザイン(Youmzain、英)、
ペイパルブル(Papal Bull、英)などの地元欧州の有力馬たち。

ヴィジョンデタはフランスの3歳牡馬で、今年のフランスダービー
(ジョッケクルブ賞)優勝馬です。こちらもザルカヴァと同じくデビュー以来
無傷の6連勝中。9月半ばに行われた3歳馬限定の前哨戦ニエル賞を勝ち、
凱旋門賞に駒を進めてきました。

アイルランドの4歳馬のデュークオブマーマレードは、今年G1レース
5連勝と絶好調。同じ4歳で同厩舎のソルジャーオブフォーチュンも今期G1を
1勝、2着1回の成績ですが当初からこの凱旋門賞を目標に調整してきたようです。
イギリスの5歳馬ユームザインは去年の凱旋門賞2着馬で、今年こそはと雪辱に
燃えています。5歳馬のペイパルブルも今年7月のイギリスの
キングジョージ&クインエリザベスSで2着と、古馬陣も強敵揃いです。

さて、凱旋門出走のため8月20日にフランスへ飛び立った日本代表の
メイショウサムソンですが、現在はパリのシャンティーにある調教施設に滞在し、
本番に向けて調整が行われています。メイショウサムソンは、凱旋門賞の
3週間前に行われた前哨戦フォア賞を回避して、体調の調整に専念していますが、
現地のメディアには、前哨戦に出走しないことがマイナス要因と取られ、
低評価を受けています。

しかし、本番2週間前には、本番に騎乗する武豊ジョッキーが0泊3日の
強行軍で、メイショウサムソンの実戦形式の調教のため、わざわざフランスの
シャンティーまで出向くという気合の入れようです。メイショウサムソンに
とっては、「ぶっつけ本番」でのレースですが、きっと万全の体調で日本の
ファンの期待に応える走りを見せてくれることでしょう。

さて、今年の凱旋門賞はどんなドラマが待ち受けているのでしょうか。
凱旋門賞について詳しくはフランスギャロに凱旋門賞の特設HP(仏語)も
あります。http://www.prixarcdetriomphe.com/fr/index.html
レースは日本時間で10月5日日曜日の深夜に行われます。
結果はこのコラムでもまたお伝えしましょう。   


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2. パリ・サツマ(4) 『イリュストラシオン』      川島ありす
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フランスで十九世紀に創刊された新聞にイリュストラシオン(L'illustration)
というものがある。

挿絵入りの新聞で度々、日本関連の記事も掲載されていた。

当然ながら日本の文化がヨーロッパの表舞台に堂々と姿を現したのが
1867年に開催されたパリ万国博覧会であったため、
それに関する記述が多く残されている。

この万博では徳川幕府の他に前述のように薩摩琉球王国そして
肥前が「日本政府」として展示コーナーを出していた。

確かにこの万国博覧会の舞台裏では
政治的な部分で徳川幕府の権力の衰えを露呈することになってしまったが
文化芸術面では、徳川幕府のコーナー「大君館」(タイクンカン)は
多くのフランス人芸術家や美術コレクターたちを存分に魅了した。

漆器や七宝工芸にほどこされたひとつひとつの繊細な技巧、
陶器類の優雅で色鮮やかな洗練された色使い・・・

彼らはルーブルやフォンテーヌブローでもお目にかかったことのない
華麗な展示物の数々に感嘆のため息をもらしたという。

それらの美しき宝物たちはフランス貴族たちがこぞって
大金をはたき、買い集めた。

1867年のパリ万博の「大君館」(タイクンカン)は
まさ264年の徳川幕府の歴史が築いた江戸文化の凝縮された形そのもので
あった。

絢爛豪華な江戸文化はこのとき、やっとフランスという世界の舞台に立ち、
日の目を見たのである。

ところが皮肉にもその江戸幕府はまもなく
終焉を遂げようとしている・・・

まさに命尽きるまで鳴き続ける夏の蝉のように
その最期の美しさをヨーロッパの地で「芸術」という形で光放ったのだ。

一方でイリュストラシオン紙は1868年2月22日号に
「ひとつの革命が日本で完遂された」という内容の記述を残している。

大政奉還である。

そしてその「革命」とは倒幕・維新であった。

しかしながら、私個人は正確にはこの幕末期は
「革命」からは程遠く、あくまで「維新」であると思っている。

「革命」=Revolutionはあくまで市民が立ち上がり、国の体制を変えること。
フランス革命からも伺えるようにそこには権力者に対する残忍な仕打ちが
待ち受けている。
ルイ16世もマリーアントワネットも市民によってその首をとられた。

ニッポンの明治維新はそのあたりが異なる。
あくまで立ち上がったのは下級武士たち。
裏舞台では商人たちの活躍もあったと思われるが、
倒幕はあくまで武士によるものであり、美しき武士道に乗っ取った形で
遂げられる。

最期の将軍、一橋慶喜公に対しても人としての敬意を払い、
その命を奪うことはなかった。
江戸城が焼き討ちに遭うことも避けることができた。

「その倒幕の首謀となったのは
あの1867年のパリ万国博覧会で藩旗をひるがえしていた薩摩藩であるが
落ち目のタイクン(大君=徳川幕府)の旗のそばで誇らしげに
丸に十の字の旗がたなびいていた」

西郷・大久保をはじめ、多くの薩摩下級武士たちが
フランスのモンブラン伯爵までも巻き込み、
パリ万国博覧会で快挙をあげ、倒幕、新政府確立へと
ニッポンを変えていき、自らの命を奪っても
将軍の命を奪うことはせず、また江戸城を焼き討ちに
することもなく武士のモラルを守りぬいたのだ。

これはやはり「革命」ではなく、維新=Restaurationなのである。

これについてはまた次号にて私の独断と偏見にて意見を
述べさせていただきたいと思う。

それにしてもこの小さな島国ニッポン、幕末のニッポンが
大きくフランスの文化人や知識人たちに影響を与えたことを
誇らしく思う。


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