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ビオトープ。それは生き物が生きていく為に必要な場所のこと。でも、間違ってとらえられていたりします。自然やビオトープについて、日常の中から発信します。正しい知識のもとに、いっしょに環境を考えていこう。

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2009/07/04

人と自然の研究所「ビオトープって何だ!」━ 放流ホタル~その行く末から学ぶもの~ ━

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■□■━━ 放流ホタル~その行く末から学ぶもの~ ━━■□■


 梅雨入りし、雨の日が続くこの頃ですが、たまの晴れ間、夜に穏やかな光を放ちながら
飛ぶ生きものがいます。そう、皆さんご存知のホタルです。この時期はホタルを観賞しに
出かける方も少なくないのではないでしょうか?


 そんな初夏の風物詩ホタルですが、人間が地域開発を推し進めていった結果、多くの
生息場所がその開発で失われていき、それに比例してホタルの数も減っていきました。


 ですが、昔から親しまれてきたホタルが減ってしまっていることを数多くの人が危惧し、
ホタルやその生息場所の保全といった活動は、他の生物に比べかなり活発に行われてきま
した。しかし、その保全のやり方に少し問題があるところもあります。その例として、
ここでひとつゲンジボタルの話をしましょう。



 昔、ホタルが沢山見られた場所で宅地開発が行われ、一時はほとんど見られなくなって
しまいました。しかし、市民の声により水路などが整備され、環境が落ち着いてから
ホタルが放流されることになりました。成虫で放されたホタルはきれいに光り、地域の人
たちの目を楽しませたそうです。

 さて、その後。光を放っていたオスのホタルは無事にメスとカップルになり、交尾をし
メスは卵を産もうと水路に飛んでいきました。すると・・・卵を産みつけるコケがありま
せん!

 整備された水路には、ホタルの産卵場所となる、水辺に近い湿り気のある場所に生育
するコケがなかったのです。結局そのホタルは産卵場所を見つけられず、子孫を残すこと
ができませんでした。

 しかし、万が一の確率で無事に卵を産めたホタルのカップルがいたとします。産み落と
されたその卵は3~4週間後に孵化し、ホタルの幼虫は水路でエサを探し始めます。しかし、
今度はエサとなるカワニナなどの巻貝がいません!

 カワニナも放流されたのですが、水路の流れが速く、カワニナがエサとする落ち葉など
が少なく、あまり繁殖できなかったのです。エサを食べられなくなってしまったホタルは、
息絶えてしまいました。

 それでも万が一、少ないカワニナを食べて成長することができたホタルの幼虫がいれば、
大きくなり、翌年の5月頃には成虫になるための準備をします。そこで、蛹になるために必
要な、やわらかく常に湿った土がある場所を探します・・・が、近くには見つかりません!

 1~2m程度の高さであれば、ブロック塀などでも這って越えていくのですが、それでも
やわらかく常に湿った土を見つけられなかったため、蛹になることが出来ず、とうとう
成虫になることが出来ずにその一生を終えてしまいました。



 さて、みなさん、ここまで読んでどう思いましたか?


 市民の声でせっかく整備されたゲンジボタルの生息場所なのに、当のホタルにとっては
全く棲みやすい場所ではなく、放流されても生きていくことや子孫を残していくことが
困難な場所だったのです。イベントで毎年ホタルを放流しているようなところは、生きて
いける環境ではなかったということですよね。
人の気持ちとは裏腹に、間違った自然再生になってしまっていたのです。


 では、ゲンジボタルにとっての生息場所、つまりビオトープは、どのように保全・再生し
ていけばよいのでしょう?それは、前述の話を読んでいると分かるのではないでしょうか?


 産卵、蛹化、食べものなど、ホタルが生きていくうえでいつ何が必要なのかをよく知る
ことです。それを把握していなければ、ホタルの生息場所を保全・再生することは絶対に
できないのです。


 前述の話にでてきたこと以外にも、水量と水温が安定した流水であること・人工的な照明
がない・休憩場所となる茂みや木陰があることなど、他にも様々な条件があります。
それらをしっかり把握して保全・再生しなければならないのです。


そしてもう一つ、とても大切なことが、放流されたホタルがどこからきているかということ
です。もしペットショップや繁殖を行っている業者から買っていれば、遺伝子の多様性の
喪失につながってしまい、ゆくゆくは遺伝子を劣化させ、ホタルを絶滅に追い込んでしまう
ことになりかねません。


 ですから、昔からその土地に暮らしていたホタルが自然と戻ってきてくれるような、
近くの環境とのつながりも考えた再生を行う必要があるのです。そうでなければ、本当の
意味での自然再生にはならないのです。


 これらのことは、ホタルに限らず、どんな生きものにも言えることです。彼ら生きものの
ことをちゃんと知ってあげることが、守ることのまず第一歩なのです。



 ホタルというのは、古くは奈良時代の日本書紀にも記され、その後は様々な詩歌にうた
われてきたほど、日本人の愛してきた昆虫です。ホタルの観賞も保全活動も盛んなのは、
今もまだ日本人がホタルを愛している証拠です。


 これからもホタルの光を楽しみたい、そして守っていきたいという気持ちがあるのなら、
ホタルのことをもっとちゃんと知っておかなければならないということですね。



〔引用・参考文献〕
 東京にそだつホタル:http://members.jcom.home.ne.jp/hotaru-net/index.html

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