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2009/10/30

人と自然の研究所「ビオトープって何だ!」━ 秋の化粧は誰のため? ━

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                                    NO.59
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               ■□■━━ 秋の化粧は誰のため? ━━■□■


 心地よく感じていた風が、徐々に肌寒く感じられるようになってきました。季節は
もうすっかり秋ですね。

 秋は色々と変化がある季節です。これから花を咲かせる植物もあれば、枯れていく
植物、実をつけ、子孫を残そうとする植物もあります。

 また、動物も冬に向けて準備を始める時期で、毛が冬毛に生え変わったり、子孫を
残して死んでいくものもいれば、冬を越すために木の実などを栄養として蓄え始める
ものもいます。

 そういった変化がある中で、ひときわ目立つ変化をしているのが、落葉樹等の
植物の葉です。落葉樹などはこの時期、冬に葉を落とすその前に、赤や黄色に紅葉
します。紅葉は人々の目を楽しませ、秋の代名詞とも言えるものです。

 正確には、赤く染まる葉のことを「紅葉」と言い、黄色く染まるものを「黄葉」と
言います。(※ここではまとめて「紅葉」と書きます。)



 では、なぜ葉は赤や黄色に紅葉するのでしょう?その仕組みを簡単に説明しましょう。

 光合成を行う葉緑体の中には緑色のクロロフィルが含まれているため、葉は通常
緑色をしています。ところが、葉が季節的に光合成をしなくなると、クロロフィルは
壊れてしまいます。

 そうすると、もともとあったカロチノイドという黄色い色素が現れて黄色くなったり、
後から葉の中に蓄積したブドウ糖などの糖分と紫外線の影響でアントシアンという赤色
の色素が現れ、赤くなったりするのです。

 落葉樹の場合、日照時間が少なく光合成の効率が悪い冬の間は、少ないエネルギーで
静かに春を待つため、その名の通り葉を落としてしまいます。紅葉は、その葉を落とす
前の準備の段階なのです。冬を越すために植物がとる、1つの戦略なのでしょう。



 しかし、あれほどきれいに色づく紅葉には、何か意味があるのでしょうか?それとも、
単なる落葉前の準備段階で、それ自体に意味はないのでしょうか? 

 例えば木の実は、赤や黒、濃い青などに色づいていますが、これには植物の戦略が
隠れています。

 植物は果実を種子ごと鳥に食べてもらい、消化しきれないタネの部分を糞と一緒に
落としてもらうことで、自分の子孫を拡げていくという戦略をもっています。そのため
には、果実を鳥に食べてもらわなければなりません。

 そこで、鳥に目立つような赤色や、鳥が認識できる波長である紫外線を反射する黒や
濃い青の果実をつけていると考えられています。


 このように、木の実の色にはそれなりの意味があるようですが、紅葉はどうなので
しょうか?

 ある調査研究で、紅葉する植物とアブラムシの関係について調べられており、紅葉色
が鮮やかであるほどアブラムシの寄生が少ないということが発見されています。しかし、
それらが直接害虫への耐性を高めるわけではなく、一部の種には色の好みもあるという
ことから、そのために植物が紅葉するようになったというには、説得力に欠けます。

 これ以外にも諸説あるようですが、紅葉することに意味があるのかどうかは、今のと
ころまだ明らかになっていません。



 現代の科学技術や洗練された研究によって、様々なことが明らかになっている一方で、
このように昔からある「紅葉」という現象でも、未だそれが意味を成すものなのかどう
かも明らかになっていないのですから、自然というものは本当に奥が深いものなのだと
思います。

 しかしながら、秋の紅葉にとどまらず、四季による自然環境の変化というものは
ある意味でとても神秘的であり、それがもたらす複雑な生態系のしくみは、いま叫ばれ
ている生物多様性という部分にも大きな影響を及ぼしているはずです。

 そんな四季があり、紅葉を楽しめる地域というのは、地球上にもそんなに多くはあり
ません。それを考えると、日本の多様性というのは私たちにとって当たり前のようでも、
実はとても貴重なものなのかもしれません。


 日本では平安時代あたりから、その美しさを愛でて楽しむ「紅葉狩り」をする風習が
あり、万葉集など様々な歌集にも紅葉のことが詠われています。現在でも多くの人々が
その美しい姿を見るために紅葉スポットへ出かけ、秋という季節を楽しんでいます。

 私たちがこれだけ美しさを愛で、大切にしている紅葉の姿。もしかしたら、植物は
人間に切ったりされないように、その姿を赤や黄色に染めているのかもしれませんね。



〔参考文献〕
 インターネット自然研究所 http://www.sizenken.biodic.go.jp/
 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』



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