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2008/10/01

人と自然の研究所「ビオトープって何だ!」━ 消える秋の七草 ━

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                ■□■   ビオトープって何だ!   ■□■

                                    NO.46
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                 ■□■━━ 消える秋の七草 ━━■□■


 最近は朝晩もだいぶ冷え込み、もう秋の気配が漂っていますね。
夕方にもなるときれいな虫の音が聴こえてきます。


 さて、突然ですが、みなさん秋の七草を全て知っていますか?

 七草といえば、有名なのは春の七草。「セリ、ナズナ、オギョウ、ハコベラ、
ホトケノザ、スズナ、スズシロこれぞ七草」なんていいますよね。これらは
1月7日に無病息災を願って七草粥として食べたりする、いわば食用の植物です。

 では、秋の七草はどうでしょう?挙げていくと、ハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、
オミナエシ、フジバカマ、キキョウが秋の七草と呼ばれる植物です。これらは春の
それとは違い、特に食用にする植物ではありません。それよりも、秋にひっそりと
咲くその姿を観賞し、秋の訪れを楽しむことができる植物が秋の七草となっています。


 昔、山上憶良が万葉集で詠んだ以下の二首がその由来と言われています。

「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり)かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」
「萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」

尾花はススキ、瞿麦(クバク)はカワラナデシコ、女郎花はオミナエシ、朝貌は諸説
ありますが、一般的にはキキョウという説が有力です。このように、万葉集にも詠われ
た秋の七草は、昔から人々に親しまれ、馴染み深い植物だったに違いありません。


 しかし、そんな秋の七草も、今は色々な問題を抱えています。

ススキ
→昔は茅葺屋根の材料、家畜のエサなどとして必要だったため、それを育てるための
茅場という場所があり、地名にも残っているくらいです。しかし、今はその需要が
少ないために放置され、茅場は遷移して雑木林になるなどして減っています。それに
よって、茅場をビオトープとしていたカヤネズミなどは、近年かなりその姿を減らし
ています。
 
キキョウ、フジバカマ
→これらは今や、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧二類に指定されているくら
い減少しています。フジバカマは河川敷によく見られましたが、河川開発などで河川
が氾濫することがなくなり、肥沃で水分の多い場所が少なくなったためにその数が
減りました。キキョウは、生育場所である草地が管理されなくなって藪になったり、
開発されたことによって場所自体が減少したことで絶滅の危機に瀕しています。

ナデシコ
→秋の七草として詠われているナデシコの本来の種名はカワラナデシコ。環境省指定の
絶滅危惧種とはなっていないものの、園芸用として採取されたり、開発などにより
生育地を奪われ、その数を減らしています。

クズ
→生長が早く強いため、他の七草と違いその生育地は逆に増えています。また、庭園
装飾用や家畜の飼料用としてアメリカに渡ると、その有用性から広く利用されまし
たが、広がりすぎて今ではデビル・バイン(悪魔の蔓)と呼ばれるほど恐れられた
外来種になってしまっています。IUCN(国際自然保護連合)の定める世界の外来侵入
種ワースト100にも名前が並んでいるほどです。

 こうやって見ていくと、人間が昔の生活から現代の生活に変わったことで、秋の
七草を初め多くの生物に多大なる影響を与えているということが分かります。
逆を言えば、これまでは人と生物が密接に繋がり、うまくバランスをとって一緒に
生きてきたということです。

 しかし、生物がどのようにして生きているか、生物の視点で見ることができなく
なった今の多くの人間は、たやすく自然を破壊し、何の気なしにバランスを崩して
いるのです。


 このままいくと、キキョウやフジバカマの100年後の絶滅確率はほぼ100%と言われ
ています。秋の七草が幻の七草にならないためにも、千年前の歌人の気持ちになって、
まずはその美しさを実際に見て楽しんでみてはいかがでしょうか。七草だけでなく、
虫の音や季節の移ろいなど、千年前から変らない自然の魅力もまだまだ残っている
はずです。時間をかけてゆっくり味わって、歌を詠ってみるのもいいかもしれません。
そうすれば、色々な生物の気持ちも分かってくるのではないでしょうか。



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TEL 03-5465-2927(平日10:00〜18:00)
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