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2008/04/30

人と自然の研究所「ビオトープって何だ!」━ 春の妖精 ━

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                                     NO.41
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                   ■□■━━ 春の妖精 ━━■□■


 4月に入り、徐々に暖かく、過ごしやすい気候になってきましたね。

 私たち人間がこの季節を気持ちよく過ごしやすいと思うように、生物も
この季節になると活発に動き始めています。

 道を歩いていても、よくチョウを見かけるようになりましたし、道端に生える
植物がたくさんのきれいな花を咲かしています。



 そんな‘春’という季節ですが、今よりもう少し前、早春と言われるような
3,4月にしか姿を見せない植物があるのをご存知ですか?

 いくつかの種がありますが、それらを植物業界では“春植物”や“スプリング
エフェメラル”と呼びます。

 スプリングエフェメラル(Spring Ephemeral)とは、「春の儚い命」とか
「春の妖精」という意味で、春先の短い間しか姿を現さないという、まさに
その生態的な特徴から名付けられているんです。

 名の知れたものでは、カタクリ、フクジュソウ、ニリンソウ、アズマイチゲ
などがあります。



 これらのスプリングエフェメラルはどこに生育しているかというと、主に
落葉広葉樹林の林床です。

 落葉樹林と常緑樹林の大きな違いは、冬場に葉が落ちるか残っているかです。
それは当然なのですが、冬に落葉すると、春先までは陽光が林床までよく届き
ます。

 そのことによって、落葉樹林の中にも3,4月には暖かく且つ光合成ので
きる環境ができるので、そこでスプリングエフェメラルは短い期間ですが、
葉を出し花を咲かせているんです。

 まさに、春の短い間だけ見ることができる儚い命といった感じですね。



 ただ、姿を現しているとき以外の時期にいなくなってしまう訳ではありません。

 実は、スプリングエフェメラルは姿を現している間に行う光合成で、地中の
地下茎や球根にも栄養を蓄えて、次の春が来るまでずっと地下茎や球根のみの
状態でひっそりと過ごしているのです。

 このような生活史を知ると、しっかりと落葉広葉樹林という環境に合わせて
生きている感じがよく分かりますね。



 しかし今、スプリングエフェメラルは環境省や各県の絶滅危惧種に指定され
ている種も少なくありません。どうしてでしょう?


 それは、スプリングエフェメラルのビオトープである落葉広葉樹林という
環境が失われてきているからに違いありません。

 落葉広葉樹林は雑木林と言われるような場所に多く、昔は人が利用することで
維持されていた環境でもあります。


 しかし、時代の流れと共に雑木林の価値が薄れてしまい利用されなくなり、
放置されることによって暗い藪や常緑樹林に変わっていってしまい、落葉広葉
樹林という環境が失われてしまった場所が多くあるのです。

 また、山林の中の落葉広葉樹林にもスプリングエフェメラルはよく見られ
ますが、それを目当てに来た登山客に逆に踏まれてしまったり、その優美さ
ゆえの盗掘なども実際に起こっていて、それも数が減っている原因になって
いるようです。



 スプリングエフェメラルは虫媒花(虫によって花粉が運ばれ、受粉する)
なのですが、花期が短いため、虫をちゃんと呼べるように、きれいで大きめの
花を咲かせているとも言われています。

 儚く美しいものは、私たち人間をも魅了します。そんなスプリングエフェメ
ラルが数を減らしているのは、残念でなりません。


 これからも、早春にその美しい妖精のような姿が見られるように、私たちは
そのビオトープである落葉広葉樹林という環境をしっかりと維持し、残していく
べきでしょう。それはまた、スプリングエフェメラルだけではなく、多様な命を
支えているビオトープなのですから。





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        ★ 「ビオトープ管理士」について ★
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●ビオトープ管理士は、環境省の入札参加資格審査申請における有資格者
として指定されているほか、国土交通省、農林水産省、宮城県、長野県、
岐阜県、京都府 をはじめ各地の行政機関で業務入札の際の要件などとし
て活用されています。また、三重県や茨城県では施設の職員の採用条件、
最近では埼玉県などのように指定管理者の選定理由、民間でも企業の
採用条件や社会貢献活動の実務者育成のために活用されるケースも増え
ており今後ますます活躍が期待されてきています。

詳細は(財)日本生態系協会 http://www.ecosys.or.jp/eco-japan/
へご確認ください。
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