[人に教える技術・人を育てる技術: 0070] 危険予測と客観性
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[人に教える技術・人を育てる技術: 0070]
(2008年5月22日号)
こんにちは。Fairfield です。
いつもご愛読ありがとうございます。
唐突ですが、私、最近、普通自動車の二種免許を取得しました。
英語教師がどうしてそんなもの必要か、な〜んて話はさておいて、
(そのうち機会があればこのメルマガでご紹介しますが・・・)
とにかく、教習所に通わず、自力で練習し、免許センターでの一発
試験に挑戦してきました。
学科試験は1回で合格したのですが、技能試験(場内&路上)は2
回不合格で、3回目でやっと合格しました。
このことから、私は多くのことを学びました。
人に英語を教える毎日では、人を評価したり、人に合格・不合格を
与えたりするばかりで、自分が評価される機会はほとんどありませ
ん。
自分が評価されるという経験から、私は生徒達の気持ちがよ〜く分
かったような気がします(笑)
このメルマガをお読みの皆さんも、是非ご自身で「新しいこと」に
挑戦し、育てる相手、教える相手の気持ちを知る努力をしてみると
良いと思います。
さて今日は、二種免許の取得に必要な「取得時講習」を通じて感じ
たことを書いてみます。
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今日のテーマ:「危険予測と客観性」
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二種免許の取得時講習の1つに、「危険予測」という項目がありま
した。
「危険予測」というのは、文字通り、自動車を運転する際に発生し
うる危険を予測するものです。
例えば以下のようなものです。
・物陰から自転車が飛び出してくるかもしれない。
(→速度を落として走行する)
・停車中の自動車のドアが突然開くかもしれない。
(→横の距離を開けて走行する)
・前の車が突然急ブレーキを踏むかもしれない。
(→車間距離を十分とって走行する)
他にもいろいろありますが、多くの場合、「運転中」を想定してい
ます。
ところが、指導員の話を聞いていて印象に残ったのは、「運転前」
にも危険予測の必要性がある、ということです。
例えば、「酒を飲んで運転しない」「同乗者にシートベルトを締め
させる」などです。
この場合、もちろん「事故を起こす危険性」や「事故に遭った際に
同乗者に負傷させてしまう(加害者になってしまう)危険性」のこ
とを想定してます。
このように、「これから先の未来に起こりうるあらゆる危険性」を
予測することが、車を運転する人間には必要だ、ということです。
これを怠ると、人の命に関わったり、自分の人生に深い傷を負った
りすることにつながりかねないのです。
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指導員が話してくれたもので、強く印象に残ったものがあります。
数年前、あるハイヤーが成田空港に会社役員2名を迎えに行った帰
りのこと。
運転手自身はもちろんシートベルトを締めていました。
ところが後部座席に座った重役2名は締めていませんでしたし、運
転手も重役に対して「シートベルトを締めてください」とは言えず
にそのまま運転してしまいました。
そして、高速走行中、路面が凍結したカーブに差し掛かった時、車
が横にスリップしました。
そのまま車は電柱に激突し、「く」の字に折れ曲がるように車は大
破しました。
シートベルトをしていた運転手は「軽い打撲」で済み、そして
シートベルトをしていなかった2名の重役は・・・・
どちらも「即死」でした。
事故車を検証して、シートベルトをしていれば「軽い打撲」で済ん
だ可能性が高かったろうに、ということが分かったそうです。
ここで想像してみてください。
『この運転手はその後どうなっただろうか?』
自分の運転で2人も死なせてしまったのですから、その後の人生に
深い傷跡を残しただろうということは想像するに難くないでしょう。
あの時、シートベルトを締めさせていれば。。。
あの時、スピードをもう少し落としていれば。。。
このように、自責の念を一生抱えたまま、遺族に謝罪の念を感じた
まま、ずっと過ごしているのでしょうか。
こうなってしまっては、もはや後の祭りです。
「危険予測」をしていれば、このようなことが発生する確率を下げ
ることができたはずなのに。
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さて、前置きが長くなりましたが、このような「危険予測」という
のは、私達が「人に教える・人を育てる」場合にも重要なことと言
えそうです。
道路上の運転とは違って「人の命に直接関わりがある」とは思えな
いかもしれませんが、実は、「職場」や「家庭」においても人の命
に関わるような危険が見え隠れしています。
その最たるものの1つは「うつ病」です。
「うつ病」は人の命に関わる病気です。
身近にうつ病の人がいたり、自分自身がうつ病になったことのある
人なら分かるでしょうが、「うつ病」が自殺につながる可能性もあ
ります。
「うつ病」になる原因は様々です。
しかし、多くの場合、「危険予測」をすることで回避することがで
きるはずです。
普通、うつ病は突然やって来るものではありません。
時間をかけ、徐々に精神が蝕まれていくのです。
一般的に、次のような段階を経ると言われています。
【1】過度のストレスがかかる
例1:自分の能力を大きく超える仕事を要求される。
例2:批判的な目にさらされた環境に置かれる。
例3:自分の力では解決できないような問題を突きつけられる
↓
【2】ストレスがかかった状態が長期間続く
原因の例1:その状況から抜け出すことを「無責任」と感じてし
まう。(→責任感が強い人に多い)
原因の例2:その状況から抜け出すことを「敗北」と感じてしま
う。(→それまでに挫折したことのないようなプラ
イドの高い人や、負けず嫌いな人に多い)
原因の例3:自分だけで問題を解決できないと認めることができ
ない、あるいは認めたくない。(→頑固な人、融通
の利かない人に多い)
原因の例4:「人に助けを求める」や「断る」などがうまくでき
ない。(→自分の考えを人に伝えるのが苦手な人、
プライドの高い人、負けず嫌いな人に多い)
原因の例5:気分転換を試みても、常にそのことを考えてしまい
身体や心が安まらない。(→切り替えの弱い人に多
い)
↓
【3】身体や精神に不調を感じるようになる(軽度〜重度)
例1:朝、起きにくくなる。あるいは、逆にやたら早起きになる。
例2:寝付きが悪くなり、睡眠が浅くなる。
例3:頭痛やめまいの頻度が高くなる。息苦しい、息切れが起き
やすくなる。
例4:疲れがとれにくくなる。風邪のような症状がずっと治らず
に続く。
例5:食欲が減り体重が急に減る。あるいは逆に食べ過ぎて体重
が増える。
例6:消化器系に異常を感じ始める。(胃が痛い、胃がむかつく、
下痢や便秘など)
例7:片耳が聞こえなくなったり、唇・舌・のどの痛みやしびれ
が続く。またひどい肩こりに悩まされる。
例8:生理不順になる、あるいは生理が止まる(女性の場合)
例9:外にでかける気力が無くなる。人混みの中を歩いたり、乗
り物に乗るとめまいがしたり、息がつまったりする。
例10:仕事をやる気力が出にくい。趣味でやっていたこともや
る気にならなくなる。性欲も低下する。
例11:人と話すのがおっくうになる。友人や恋人にも会いたく
なくなる。
例12:計算などの細かい作業や、文章を読むなどが長時間続け
られなくなる。テレビや新聞も見たくなくなる。
例13:集中力がなく、ぼんやりすることが多くなる。判断力も
弱くなる。
例14:同じミスを繰り返したり、本来の能力を発揮できなくな
る。
例15:自分のやっていることや、自分の存在自体が無意味に思
えてくる。また、意味もなく不安になったり、悲しくな
ったりする。笑顔を作るのに苦労する。
例16:未来に目標を持つことができず、生きているのが辛くな
る。時々、いっそ死んでしまいたくなる。
以上のような段階を経て、人は「うつ病」になっていきます。
最後の【3】は、「軽度」から「重度」まで様々ですが、よく見ら
れるケースを挙げてみました。
大事なのは【2】の段階で、どれだけ自分を「客観的」に見ること
ができるかどうか、という点です。
【2】で挙げた「責任感が強い人」「プライドの高い人」「負けず
嫌いな人」「頑固な人」「融通の利かない人」「自分の考えを人に
伝えるのが苦手な人」「切り替えの弱い人」は特に要注意です。
まずは、自分がそうなっているかもしれない、ということを認める
ことが肝要です。
「いや、自分はうまくやっている。うまく問題を解決している。う
つ病なんかになるわけがない」と思いこんでいる人は、まさに【2】
の「ストレスがかかった状態が長期間続く」という危険性を持って
います。
まずは「自分が客観的でなく、バランスもとれていないかもしれな
い」と認めることが大切です。
これは車の運転も同じで、「自分は安全運転をしても、それでも見
落としがあるかもしれない、事故を起こすかもしれない」というよ
うに自分を疑う目を持つことが必要なのです。
危険予測というのは、このように「自分は完全ではない」というこ
とを認めながら、発生しうる様々な状況を想像することなのです。
─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・
実は、私の大学時代の友人が、4年前に亡くなりました。
私はそのことを今年の4月に(つい先月)知りました。
とても仲良くしていた友人でした。
その友人は学生時代からまさに「頑固」で「負けず嫌い」でした。
上記の段階を経て、うつ病になっていったのだろうと容易に想像が
つきました。
亡くなった原因はよくわかりません。しかし亡くなる直前に私が会
った時には、既に重度のうつ病にかかっているのが明らかなほど、
生気がなく、自己批判を繰り返し唱えるような状態でした。
友人の中では、私が彼に最後に会った人間だろうと思います。
私と会った2カ月後に亡くなったとのことでした。
この友人に対して、自分がしてやれたことはなかっただろうか?
私は友人の死の知らせを受け、自分の非力さを痛感しました。
悔しさと、悲しさとが入り交じり、共通の友人と電話で話をしなが
ら、私は泣きました。声もうわずるくらいに泣きました。
私達のように人に教えたり、人を育てたりしようとする人間は、相
手がどのような精神状態であるか、どのような価値基準を持ってい
るか、よく観察しなくてはなりません。
そして、その上で、上記のような「うつ病」へのステップを踏む前
に、なんとかその危険性を伝え、自覚させなくてはなりません。
「危険はない」と思っている人には危険予測はできません。
しかし、今回私が二種免許の取得時講習で学んだように、「危険と
いうのはこういうところにある」ということを他人から話してもら
うだけでも危険を認識できるようになります。
つまり、人に教えたり、人を育てる現場において私達ができること
は、上記のような「うつ病」の危険性を人に話し伝えることなので
す。
そして、このメルマガをお読みの皆さん自身も、是非、自分を客観
的に観察し、「自分を疑う目」を持ってバランスをとって頂きたい
と思います。
うつ病は誰でもなる可能性がありますが、「危険予測」を行うこと
で、その可能性を減らすことができるのです。
自分の身を守るのは、他でもない「自分」だけなのです。
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さて、今日はここまで!
ご意見・ご感想などありましたら、是非お便り下さい。
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それでは、次回の「人に教える技術・人を育てる技術」をお楽しみ
に!
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