2008/05/29
広原盛明のつれづれ日記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2008/5/29 広原盛明のつれづれ日記 vol.119 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.hirohara.com/ ◆目次◆ つれづれ日記 ・08年5月16日:「居直り政局」を選択した自民・公明党 (国民の「虎の尾」を踏んでしまった福田自公政権、その4) ・08年5月23日:橋下大阪府知事の人物像を解剖する (「疾風怒濤の時代」の幕開け、その2) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 08年5月16日:「居直り政局」を選択した自民・公明党 (国民の「虎の尾」を踏んでしまった福田自公政権、その4) 国民の圧倒的多数が福田自公政権に「ノー」を突きつけ、解 散総選挙で「民意を問うべきだ」との世論が形成されているの に、国会では「そんなの関係ないよ!」とばかりに、道路特定 財源法が再可決され、政局は膠着状態に入っている。 朝日と日経のシナリオからみると、事態は明らかに日経が予 想した通り、いやそれ以上の展開だ。日経の予想は、シナリオ 1が「解散・来年初頭までに」、シナリオ2が「解散・来春以 降に」、シナリオ3が「首相退陣」というものである。つまり 年内は少なくとも解散しないというシナリオだった。 ところが最近になって、小泉元首相らが「解散は任期一杯ま でやることはない。解散すれば自民は政権担当能力を失う」と 発言するなど、国民の総意を無視した無責任そのものの態度に 出ている。福田内閣が身動きできないのは、小泉時代の政策の 後始末に足を取られているからであり、それが最低の支持率の 原因になっていることなど、まるで知らぬ顔だ。とにかく民意 はどうあれ徹底的に居直って、来年秋までは解散せずに突っ走 れとの意向である。 こうした情勢を反映してか、解散回避のために一部政策の手 直しの動きが急に出てきた。ひとつは道路特定財源法を再可決 しておきながら、その直前に特定財源の一般財源化を閣議決定 して、国民の目にはいかにも教育や福祉などに道路財源を利用 できるかのような幻想を振りまくことである。もうひとつは、 後期高齢者医療制度の制度そのものは死守するが、その運用面 では一部手直しをして、公明党支持層などの不満をなだめるこ とである。 こんな子供だましみたいな手が通じるはずがないと思うのだ が、それでも自民党から堂々と出てくるあたり、案外見通しが あるのかもしれない。しかし、もし民主党がこんな手に乗るの であれば、そのときの国民の失意と反発は想像を超えるエネル ギーとして噴出するに違いない。背後に総選挙を控えているだ けに、そんなに簡単な妥協はできるはずがないからだ。 とすると次の政局の分水嶺は、民主党代表(党首)選挙が行 われる今年の9月あたりになる。小沢代表が再選されるのか、 それとも自民党と組んだ民主党内の親自民グループが一旗揚げ るのか、はたまた政党横断的な政界再編にまで発展するのか、 その行方は全く予断を許さない。「野党」であるべき民主党が 政策面では「寄木細工」のような複合政党であるために、政局 状況は与野党の対決というよりは、与野党横断型の政界再編と 連動して展開することになる公算が大きいからだ。 それからもうひとつ、福田内閣が当分は現状のままで何とか 政権を維持できると考えている背景には、7月の洞爺湖サミッ トなど一連の国際イベントの開催に加えて、8月には隣国・中 国で北京オリンピックが開催され、これらに集中するマスメデ ィアによって、国民の目が国内問題から一時期逸らされる可能 性があるということだ。 加えて、5月12日に中国四川省で突発した大地震は、その 被害の大きさからも、また北京オリンピックに与える政治的影 響からも国際的な大ニュースとして今後とも継続的に「報道の 的」になり続けることを考えれば、今回の政局の焦点となった 一連の国内問題が「脇役」に押しやられることも予想される。 福田政権はこのような国際情勢をフルに利用して時間を稼ぎ、 次の民主党を含めた政界再編に備えるのではないか。 かっての政界常識は、今日ではその多くが通用しない。内閣 支持率が20%という「危険水域」に入れば、自動的に党内派 閥の政治力学によって政局転換への動きが準備されるといった 事態は、もはや過去のこととなった。それほど自民党政権の行 き詰まりは深刻であり、政策転換への期待もできない。道路財 源の一般財源化も部分的には行われるであろうが、その大本は 道路族によって維持され続けるであろう。後期高齢者医療制度 問題も貧困層の一部運用手直し程度にとどまり、公明党は支持 層の「説得」に乗り出すだろう。 だが、この局面がそう長く続かないことはだれもが知ってい る。小泉元首相がいくら発破をかけたところで、総選挙は来年 秋に必ずやってくる。そのときまでに政界再編が起こるか、そ れを機に起こるかはわからないが、いずれにしても「政界大変」 は間近に迫っていることは間違いない。(終り)、(次回から 橋下大阪府政を取り上げる予定です) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 08年5月23日:橋下大阪府知事の人物像を解剖する (「疾風怒濤の時代」の幕開け、その2) いま地方政治の舞台で最も脚光を浴びている人物は、橋下徹 大阪府知事だろう(宮崎県はそろそろ賞味期限切れだ)。日本 には他の知事がいないのかと思うほど、連日テレビや新聞に見 たくもない顔が出てくる。先日、大阪に行っていろんな人に会 ったときも、話は自然と橋下知事の言動や人物像(最近は「キ ャラ」というらしい)のことになった。「いったい彼はどんな 人物なのか」(実際の言葉でいえば、「どんな奴や!」)とい うわけだ。みんな大阪の人間なのに、彼の人物像を計りかねて いる様子である。 実際、まともな人間ほど「彼の言動が理解できない」という 人が多い。「いままで見たこともないキャラだ」という言葉も 何遍も聞いた。それほど大阪府民は橋下知事の言動に戸惑って いる。私とて(テレビ以外に)会ったこともないし、直接話を したこともないのだから、どうこういえるわけでもないのだが、 しかし石原東京都知事と同根の「ファッショ的な匂い」がする 極めて危険な人物であることは間違いない。 石原氏と橋下氏に共通する体質は「愚民思想」であり、行動 様式は「大衆操作」ということだ。要するに、「選挙民は馬鹿 で、ウソも百回いえば通る」という信条の持主だということで ある。東京の人間にいわせると、「大阪の人間は駄目だ。ノッ クで懲りているはずなのに、またもや橋下か!」ということに なるが、石原氏を3度も知事に選んでいる東京の人間にそんな ことをいう資格はない。「どっちもどっちだ」ということだろ う。 しかし石原氏と橋下氏の間には違いもたくさんある。第1に 年齢と気質が物凄く違う。石原氏は75歳、往年の活字時代の 文壇スターだったのに対して、橋下氏は38歳、現役の弁護士 でテレビ時代のスーパータレントだ。3選目の石原氏は、最近 になって新銀行東京の破産問題、臨海副都心開発事業の破綻、 築地市場移転先の土壌汚染問題などで往年の「威光」が薄れ、 傲慢で横柄な態度も手伝って人気は「がた落ち」だというが、 橋下氏はまだ当選したばかりだから「海のものとも山のものと もわからない人気」が続いている。 それにパフォーマンス(演技、演出)の振り付けも違う。石 原氏が週に2〜3回しか登庁せず、実務は悪名高い副知事に任 せてほとんど仕事をしなかったというが、橋下氏は土曜日曜も 登庁して「仕事」をする振りを続けている。大阪府の職員にい わせると、これでは「秘書の身体がもたない」ので、3人交代 で付き合っているそうだ。 それに最も対照的なのがマスメディアへの対応(利用)の仕 方だろう。通常、知事の定例記者会見といえば月に1回、それ も事前に広報課が膨大な資料を用意し、念入りにブリーフィン グ(事前説明)してから、おもむろに知事が会見に臨むという ものだ。しかし石原氏の場合はとりわけ記者個人に対する好き 嫌いが激しく、マスメディアとの会見も消極的で、彼の「お気 に入り」の記者だけが個人的に取材できるという慣行をいつの 間にか作り上げてしまった。 これは、密室政治を好む石原氏らしい情報コントロールのや り方だ。記者は取材しなければ記事やニュースにできない。取 材するためには、石原氏に「気に入られないような記事やニュ ースを書く」ことには気をつけなければならない。こうしてい つの間にか自粛をすることが習慣になり、真正面から石原知事 を批判する記事がほとんど見られないというような空気が都庁 のなかに出来上がってしまった。 これに対して橋下氏は、「じゃじゃ漏れ」ともいうべき露出 ぶりだ。日に何度もテレビの「お立ち台」に立って取材を受け る。というよりは、自ら情報を発信することが「大好き人間」 なのだ。発表に値するような大した内容でもないのに、とにか く「何かいわないと気がおかしくなる」ような露出ぶりなので ある。毎日のようにテレビのトークショーに出ていたので、そ の瞬間その瞬間に「何か面白いことをいう」癖が現在も続いて いるのだろう。またそれを見ている府民の側も、彼が「何をい う」のかではなく、彼の「顔を見る」ことで何がしかの存在感 を感じるようになってしまっているのだろう。テレビ時代の大 衆心理を巧みに掴んで操作するやり方だ。 また出身階層も違う。石原氏が大企業役員の家庭で育ったこ と、神奈川の湘南ボーイだったことなどを自慢する「セレブ」 気取りなのに対して、橋下氏は「貧困のどん底」から這い上が ってきた経歴をむしろ自虐的に暴露することによって庶民の気 持ちを掴もうとする。私などは、彼の「子どもが笑う」という 知事選のスローガンは「子どもを大切にする」という政策だと 思っていたが、その実は、自分に「子どもが沢山いる」ことを 宣伝して選挙戦を有利に戦おうとする選挙戦術にすぎなかった のだ。ことほど左様に、橋下氏の言動は常識では理解できない 空気で包まれている。だがそんな幻惑を意識的にまき散らしな がら、橋下知事の狙うところは別にある。(続く) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本メールマガジンは、HP「広原盛明の市民フォーラム」にて 掲載された「つれづれ日記」をまとめて、 週1回配信しております。 発行:広原盛明 メールアドレス:hirohara@skyblue.ocn.co.jp URL:http://www.hirohara.com/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


