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2008/05/27

広原盛明のつれづれ日記

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2008/5/27 広原盛明のつれづれ日記 vol.118  
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http://www.hirohara.com/ 



◆目次◆

つれづれ日記

・08年5月2日:福田内閣支持率と自民党支持率低下の
         連動が意味するもの
 (国民の「虎の尾」を踏んでしまった福田自公政権、その2)

・08年5月7日:「ねじれ国会政局」の行方に関する
          シナリオ・ライティング
 (国民の「虎の尾」を踏んでしまった福田自公政権、その3)


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08年5月2日:福田内閣支持率と自民党支持率低下の
        連動が意味するもの
 (国民の「虎の尾」を踏んでしまった福田自公政権、その2)

 今朝の新聞を見た福田首相や自民・公明の与党幹部はいった
いどんな気分がしただろうか。ガソリン税の上乗せ法案の衆院
再議決を受けて、4月30日夜から5月1日夜にかけて実施さ
れた朝日新聞と日経新聞の全国緊急世論調査によると、朝日で
は福田内閣支持率が20%にまで落ち込み、発足以来最低だっ
た4月中旬の25%からさらに下落した。 ただし不支持率は
59%(前回60%)で変わらずだ。

 一方、日経では、これも内閣支持率21%と4月中旬の前回調
査29%から急降下して、内閣発足以来最低の数字となった。
加えてその反転からか、不支持率の方は59%から一挙に9ポイ
ント上昇して68%になり、過去最高の水準を更新した。

 朝日と日経の世論調査は対象も方法も異なるので一概にはいえ
ないが、一般的にいって、これまでの調査結果では日経の方が保
守的世論が強く出る傾向にあり、朝日の方は革新的傾向が強かっ
た。しかし今回は、内閣不支持率が日経で急上昇して7割近くに
達していることにも見られるように、もはや各社の調査方法の違
いを超えて、国民的規模で「福田自公政権ノー」の世論が拡がっ
ていることは間違いない。

 加えてさらなる興味を引かれるのは、政党支持率の劇的な変化
だろう。朝日では自民24%(前回26%)、民主28%(同2
2%)でついに与野党の支持率が逆転した。民主が自民を上回る
のは、安倍内閣時代の参院選挙後の昨年8月以来だという。また
「いま投票するとしたら」との質問に対する衆院選挙比例区の投
票先でも、民主39%、自民22%で大差がついた。今年2月の
時点では、民主32%、自民30%と接近していたにもかかわら
ずにである。

 日経の政党支持率でも同様の傾向が出ている。自民33%(前
回38%)、民主36%(同29%)でこれも与野党の支持率が
逆転している。内閣支持率と政党支持率との関係では、これまで
は自公連立内閣の支持率が低下しても自民支持率はそれほど低下
しないという傾向があった。それが今回は、両者の支持率が連動
して低下したところに新しい特徴がある。つまり自民支持層のか
なり固い部分のなかから民主党支持への鞍替えが起こっているの
である。

 このことは「首相の首」をすげ替えれば、自民党の支持率を維
持できる、あるいは若干低下した場合でも回復できるというこれ
までの「政治力学」が働かなくなることを意味する。かって森内
閣が支持率16%(2001年2月)の最低水準にまで落ち込んだとき、
小泉内閣(2001年4月)へ政権交代によって支持率の劇的な回復に
成功したような「芸当」はもはや不可能になったのである。

 とすれば、福田内閣はガソリン税、年金、後期高齢者医療制度
の「国民生活3点セット」に関して劇的な政策転換を図り、国民
世論(民意)に応えるしか事態打開の方策はないのだが、それが
出来ないところに福田自公政権の行き詰まりの深刻さがある。そ
れどころか、自公が結束してガソリン税の上乗せ法案を再可決し、
連休明けには道路特定財源法案までを再可決する意向だというで
はないか。まるで「毒を食らわば皿まで」といった居直り姿勢だ
が、なぜ彼らはかくも頑なのか。

 いまから振り返ってみると、福田首相と民主党小沢代表の間で
密かに進められた「大連立構想」こそが、福田内閣の命綱だった
ということだ。福田首相は民主党が参院で多数派を占める「ねじ
れ国会」の下では、政策転換を図ることなく政権を維持できる最
善の方法として「大連立構想」に全てを懸けたのである。だから
民主党内の「反乱」でそれが潰れたとき、福田政権の政治生命も
終わったのと同然となった。なぜなら、福田内閣には「政策転換」
という選択肢が与えられていなかったからである。

 これからの福田内閣の行く先は、「行き着くところまで行って
政権を投げ出す」ことになるだろう。それが洞爺湖サミット後な
のか、それとも別の機会になるのかはわからない。しかし遠から
ずして福田自公政権の崩壊が起こることは間違いない。問題は、
「ポスト福田」の政治情勢がどのような構図を描くかということ
であり、それにともなってどんな政変が引き起こされるかという
ことだ。

 政治学者でもない私がこんなことをいうのは気が引けるのだが、
今後の「政変シナリオ」を考えるにあたっての私なりのいくつか
の判断の根拠を示しておきたい。

 まず第1は、現在の日本の支配層がこれからも「政策転換」を
認めない状況が依然として続くということだ。御手洗経団連会長
は「消費税の増額」を広言して憚らないし、日銀の超低金利政策
は総裁が変わっても変わらないし、大蔵(財務)官僚は社会保障
財源の削減方針を取り下げないし、食糧自給率回復のための国内
農業振興策は無視されたままであり、マスメディアでも「小泉構
造改革の旗を降ろすな」のキャンペーンが続いているからである。

 第2は、「政策転換」なしに政権を維持しょうとすれば、自公
政権に代わる新たな政権の枠組みが必要だということだ。「大連
立構想」は現在お蔵入りしているので、それに代わる「ミニ連立
構想」がいくつか出てくると考えるのが現実的だ。たとえば、自
民党と民主党の「構造改革派」が連立・合併して「構造改革政党」
を結成するとか、自民党道路族と農林族が手を結んで独立し「地
方保守政党」をつくるとかの動きである。そして「構造改革政党」
が主導した内閣を造り、これに「地方保守政党」が閣内協力ある
いは閣外協力して、「地方の反乱」や「国民の反乱」をなだめな
がら政権を維持していくといった事態は充分に予測できる。その
ときは公明党が棄てられるときでもある。

 第3は、民主党が政権を取る可能性も一概には否定できない。
しかし民主党の政策が基本的に構造改革路線である以上、野党の
ときのような「パフォーマンス」だけで政権を維持することはで
きない。本気で政権担当のための政策討論が始まり、政策決定の
局面に直面したときには、現在の民主党を維持することは困難で
あり、分裂を回避することは不可能だろう。(続く)


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08年5月7日:「ねじれ国会政局」の行方に関する
        シナリオ・ライティング
  (国民の「虎の尾」を踏んでしまった福田自公政権、その3)


朝日・日経新聞に1日遅れて、5月1、2の両日、毎日新聞と
共同通信社が内閣支持率に関する緊急世論調査を実施した。そ
れによると、毎日の福田内閣支持率は、前回4月調査から更に
6ポイント低下して18%、不支持率は4ポイント増の61%
となった。政党支持率は、自民20%(前回24%)、民主2
8%(同22%)で、前回の自民・民主の拮抗状態から民主が
大幅に支持率を伸ばした。原因は、後期高齢者医療制度に対す
る回答が「評価しない」77%、ガソリン税の上乗せ再可決へ
の回答が「評価しない」74%と圧倒的な数字に達しているよ
うに、「二つの問題が政権を直撃している状況が浮かび上がっ
た」(毎日解説)からである。

 一方、共同通信の内閣支持率も同様の傾向を示していて、支
持率は前回4月調査から7ポイント低下して20%、不支持率
は7ポイント増の67%となった。同社は、「支持率が20%
を割り込んだのは、2001年参院選を前に退陣した森内閣以
来で、危機的水準となった」とコメントしている。また政党支
持率は、自民24%、民主30%でこれも民主が逆転した。原
因も同じで、後期高齢者医療制度に対する不満(「廃止すべき
だ」47%)とガソリン税の上乗せ再可決への批判(「適切で
ない」72%)が主たるものだ。

 また両社は、この他さらに踏み込んで今後の政局を左右する
いくつかの質問をしている。その回答は、首相問責決議提出に
「賛成」(毎日59%、共同55%)、可決された場合の首相
の対応は「衆院解散、総選挙」(共同68%)、その時期は
「7月のサミット後、年内解散」(共同60%)、次期総選挙
での自民・民主政権の選択は「自民」(毎日24%、共同27
%)、「民主」(毎日51%、共同50%)というものだ。

 このような世論動向をみるかぎり、政局はすでに「ポスト福
田政権」をめぐる総選挙の前哨戦が始まっているとみるべきだ
ろう。私は前回の5月2日の日記で、次のように書いた。
「いまから振り返ってみると、福田首相と民主党小沢代表の間
で密かに進められた「大連立構想」こそが、福田内閣の命綱だ
ったということだ。福田首相は民主党が参院で多数派を占める
「ねじれ国会」の下では、政策転換を図ることなく政権を維持
できる最善の方法として「大連立構想」に全てを懸けたのであ
る。だから民主党内の「反乱」でそれが潰れたとき、福田政権
の政治生命も終わったのと同然となった。なぜなら、福田内閣
には「政策転換」という選択肢が与えられていなかったからで
ある。」

 だから、いま私たちの前で繰り広げられている政局は、「政
策転換なき政局転換」を如何にして実行するかという政府・財
界の戦略に沿って展開しているのであり、それをめぐってさま
ざまなシナリオ(選択肢)が描かれているのだといえよう。そ
して5月5日には、朝日と日経の両紙が同時に「衆院解散・総
選挙後の3つのシナリオ」を掲載した。

 まず朝日のシナリオの特徴は、総選挙が真近に迫っているこ
とを前提にして、(1)自公両党が衆院議席の過半数を維持し
た場合、(2)自公両党が過半数に届かない場合、(3)自公
両党が過半数を大きく割り込み、民主党が過半数に迫る場合の
3つの予想を立て、それぞれの場合の政局の動向を予測すると
いうものだ。これは、朝日が社説等で度々主張しているように、
総選挙の洗礼を受けていない安倍・福田政権では「民意を付託
されたことにはならない」という正論に基づくものであろう。
しかしその裏には、朝日もまた「小泉郵政選挙」のドンチャン
騒ぎに悪乗りした幾分かの「引け目」があるのかもしれない。
いずれにしても、朝日のシナリオでは「早期解散」が自明のこ
ととして受け取られていることが政局認識の特徴となっている。

 これに対して日経のシナリオは、何としても「早期解散」だ
けは避けたいという、自民党の党利党略に忠実に相乗りしたシ
ナリオになっている。それは、「郵政民営化」だけを選挙争点
にして獲得した小泉選挙の議席を最大限活用して、その他のあ
らゆる政治課題を突破してしまおうという党利党略を正当化し
ようというものだ。だから日経のシナリオは、(1)現時点で
解散を考えず、来年初頭までに解散がある場合、(2)内閣改
造で当面の危機を乗り切り、解散を来年春以降に延期する場合、
(3)福田首相が退陣に追い込まれて早期に解散がある場合と
あるように、民主党を「話し合い」の場に引きずり出し、水面
下での談合を重ねながら、可能な限り解散を先のばしにするシ
ナリオが中心となっている。

  両社の政局予測に関するシナリオは、単なる予測というより
は、現局面を同打開するかという政略と直結したものであるだ
けに、そのシナリオを「読み解く」こともまた政治動向を考え
る上で大きな参考になる。次回はその分析を試みてみよう
(続く)。


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本メールマガジンは、HP「広原盛明の市民フォーラム」にて
掲載された「つれづれ日記」をまとめて、
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発行:広原盛明
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