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2008/03/22

広原盛明のつれづれ日記

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2008/3/22 広原盛明のつれづれ日記 vol.115  
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http://www.hirohara.com/ 



◆目次◆

つれづれ日記


・08年3月5日:「ダミー村山氏」に関する掲示板の声
         (2008年京都市長選挙に思う、その4)

・08年3月19日:大阪府知事選における選挙公約の意味
         (2008年京都市長選挙に思う、その5)


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08年3月5日:「ダミー村山氏」に関する掲示板の声
        (2008年京都市長選挙に思う、その4)
 
 近く発行される『ねっとわーく京都』(かもがわ出版)の2008
年4月号で、京都市長選挙に関する私の論評が掲載される予定に
なっているので、次の日記はその反応について書こうと思って
いた。ところが、普段はほとんど投稿のないホームページの「掲
示板」に、3月4日の深夜、私の京都市長選挙の分析についての
批判の声が寄せられた。掲示板の「レス」に応答してもよかった
のだが、見る人も少ない頁なのでここに再録して内容を紹介した
い。

 匿名氏(ハンドルネームも記されていない)の文面は、以下の
通りである。

 「楽しく拝見しました。ご自身で「あくまでも仮説にすぎない」
としながらも、良くもまあこれだけ勝手な分析ができるもんだな
と感心いたします。門川氏が村山氏に隣保館実態を調査させたと
か、立候補への道筋をつけたとか、笑うしか無いですね。ではま
ち美化センターにTVクルーを連れて乗り込んだのは桝本前市長の
企てだったとなるんでしょうね。桝本前市長は自身の企てで辞任
直前にまで追い込まれたと。与党各派の同和予算に悉く賛成して
きたとありますが、99%の落札率の工事契約に賛成した共産党19議
員は何なんでしょうね。民主党出身松沢神奈川県知事の政治秘書
とありますが、確かに松沢知事は民主党出身です。ですが村山氏
が秘書を務めていたのは新進党松沢議員です。間違った情報から
推察されてもどうかと。中村氏が当選されていても、こんな分析
をされたのでしょうか?こんな笑うしか無い分析を堂々と公開さ
れる感覚が951票という差になったんでしょうね。」

 文面から見る限り、相当文章を書き慣れた、しかも市政の事情
にかなり詳しい年配の男性らしい。おそらく門川陣営か村山陣営
の選挙関係者ではないだろうか。私の日記を読んで、とりわけ
「村山ダミー説」のところに反応されたところが面白いし、また
興味をそそられるというものだ。そこで掲示板の意見に直接応答
するのではなくて、私がこの批判の声をどのように感じたかを記
してみたい。

 まず第1に、こうした「声」が寄せられたという“事実”その
ものに注目したい。いままではどんなことを書いても反応がなかっ
たのに、今回はどうしてわざわざ掲示板に「書き込み」があった
のか。おそらく、私の「村山ダミー説」が無視できないものとし
て匿名氏の目に留まったのであろう。端的にいえば、「痛いとこ
ろを突かれた」との思いを抱かせたのではないか。

  私の論旨は、今回の市長選挙の投票結果をマクロに分析して、
「村山氏は、個人の意図はどうあれ、客観的には門川氏のダミー
としての役割を果たした」というものだ。もちろんこのような政
治的役割は表には出ることがないので、私が具体的な証拠を握っ
ているわけではない。しかし選挙情勢をマクロにみると、そうし
か言いようがないので「仮説」として書いたのである。

 「仮説」が「定説」になるまでには相当の時間がかかる。それ
は「仮説」の拠って立つ事実が検証されるまで、一定の時間を要
するからだ。また関係者が喋らなければ、事実がそのまま「闇」
のなかに葬られることも多い。政界の大事件にでもなれば、真相
は「墓まで持っていく」のが普通だとされているのである。

 「仮説」は、複雑な現実を分析する「メガネ」にすぎない。
「そういう眼で見れば、見えない背景も見えてくる」というのが
「仮説」の意味であり、機能である。今回の市長選挙に関する数
多くの新聞記事や解説のなかにも、多くの「仮説」が含まれてい
る。ただそれが「本質に関わる仮説」なのか、それとも「単なる
風聞程度の仮説」なのかの違いだけだ。匿名氏にとっては、私の
「仮説」が何らかの行動を起こすに足るほどの影響を与えたわけ
で、その意味ではかなり「本質に関わる仮説」であることを匿名
氏自らが立証してくれたというわけだ。

 第2は、村山氏が立候補するに当たって作成した同和行政の実
態レポートの性格についてである。匿名氏は、村山氏の隣保館調
査などと桝本・門川陣営の関係を一笑に付している。だが私が問
題にしているのは、村山氏がテレビ・クルーを引き連れて派手派
手しく隣保館に乗り込んだなどという「現場レベル」の話ではな
く(この程度のことなら「やらせ番組」でいくらでもできる)、
彼が市会議員を2期8年も務めながら、なぜ今回に限って、突然、
かくも華々しく同和行政の実態調査に乗り出したのかという「背
景」の問題なのである。

 私の「仮説」は次のようなものだ。同和行政責任者としての門
川氏に対する厳しい市民の批判を逸らそうとすれば、村山氏が同
和行政の批判者として登場するのが一番であり、そのためには同
和行政の乱脈を暴いた実態レポートが必要になる。また、だれに
でも読まれる手軽な新書にして出版するのが効果的だ。こんな一
連の手筈を素早く整えられるのは、政界や選挙に通じた相当なプ
ロでなければ不可能であり、それが与党側陣営と「あうんの呼吸」
でつながっていても何の不思議もないのである。

匿名氏は、私の「仮説」に対しては、彼自身の「仮説」で語らな
ければならない。その背景説明なしに「一笑に付す」というだけ
では、著しく説得力に欠けるというものである。匿名氏はきっと
京都政界の内幕に詳しい人物だろうから、ペンネームでもいいか
らどこかの雑誌で書いてほしいと思う。

最後に、村山氏が政治秘書をしていたのは新進党時代の松沢議員
であって、民主党員になった松沢神奈川県知事の時代ではないか
ら、民主党との関係についてはあたかも「関係ない」とする匿名
氏の書き振りについてはどうか。実はこの一節は、匿名氏が問わ
ず語りに民主党関係者ではないかと推察させるに十分なものであ
るが、私が言いたかったことは、村山氏が自民党や民主党と同じ
人脈に連なる政治思想の持主であるがゆえに、決して「反門川」
を掲げて立候補した人物ではないということだ。

 松下政経塾出身の松沢氏は、民主党副代表の前原氏と同じく、
自民党国防族顔負けの改憲論者であり軍備論者であることは周知
の事実である。松沢氏が一時期新進党に属していたからといって、
その時代と現在で彼の思想が変わったとは誰も思っていないだろ
う。石原知事と同じく最近はますます右翼的体質に磨きがかかっ
てきているのが実態であり、安倍前首相肝入りの「教育再生会議」
のメンバーだった門川氏と同類とみなして何の矛盾もない。その
子飼いだった村山氏が「反門川候補」などというのは、それこそ
「笑うしかない」のではなかろうか。

 最近の京都のオール与党は世論の批判を気にしてか、これまで
のように「そのものズバリ」の野合大連立を組みにくくなった。
その代わり数々の小業を使って、今回のようなダミー候補を立て
たというのが私の「仮説」である。この「仮説」を崩すには、匿
名氏の「木を見て森を見ない」ような屁理屈ではなく、もっと本
格的な政治論を構築する必要がある。次回の投稿を期待したい。
(続く)



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08年3月19日:大阪府知事選における選挙公約の意味
         (2008年京都市長選挙に思う、その5)
 
 京都市長選挙からもう1カ月余り経った。各紙を通して新市長
の動向をウオッチしているが、あまり情報がない。橋下大阪府知
事や平松大阪市長の記事は連日紙面に溢れているというのに、京
都市長の記事(それに京都府知事も)は恐ろしく少ない。各紙の
本社が大阪にあるということもあろうが、やはり京都は「支局」
程度のマイナーな存在なのかと思ってしまう。

  もちろん大阪の知事・市長はマスメディアのタレントややキャ
スターの出身だから、取り上げやすいのかもしれない。いわゆる
「絵になる」という人物なのだろう。同じことをしても普通の人
なら滅多にニュースにはならないが、九州あたりのどこかの県知
事がやれば全国ニュースになるという現象だ。今回は、京都市長
選挙の最終回に入る前に、少し大阪のことにもふれておきたい。

 聞くところによると、橋下知事には特別秘書に芸能事務所スタッ
フがついているという。おそらくタレント感覚の延長で、絶えず
「話題」をつくるように知事を行動させているのだろう。テレビ
タレントのように「高視聴率」を稼がなければというわけだ。し
かしこんな調子では政治家は長持ちしないこと請け合いだ。首長
の存在意義は選挙中の公約を誠実に実行することであって、テレ
ビでの出演回数を稼ぐことではないからである。

 しかしよく考えてみると、大阪の知事・市長は当選からそれほ
ど日も経たないのに、もうどれほど「公約」を撤回したり変更し
たりしていることだろう。橋下知事の「子どもが笑う大阪」とい
う公約など、その最たるものだといわねばならない。そもそも
「子どもが笑う」ことを選挙中の公約にしておいて、当選後は一
転して「子どもが泣く」ような方針をどんどん打ち出すに至って
は、これはもう「公約違反」のレベルをはるかに超えている。明
らかに府民に「ウソ」をついたということではないか。それも意
図的にである。

 これでは、まるで「ナチス」ばりの宣伝ではないかとさえ思っ
てしまう。ヒットラーは「大衆は大きなウソをつくほど騙されや
すい」といったというが、しかし「子どもが笑う」という彼の公
約は、庶民の生活感覚に根ざした「小さな小さな約束」だから、
大阪の有権者はそう簡単に騙されるわけにはいかないだろう。そ
のうちに「公約の化けの皮」が剥がれてきて、手痛いしっぺ返し
を食らうことは必定だ。大阪の人たちはそれほど甘くないのであ
る。

 このような橋下氏の言動をみると、どうやら彼は東京都の石原
知事をモデルにしているのではないかと思えてくる。乱暴な態度
で人を馬鹿にしたような言葉を連発するところなど、まるで「石
原知事のソックリさん」なのだ。石原知事が空前の得票数で再選
を果たしたことを目の当たりにして、自分も石原流の言動の真似
をすれば、「小型慎太郎」になれるとでも思い込んでいるのだろ
うか。

 だが、東京と大阪は違う。全国の金と情報それに権力が集中し
ている東京には、石原知事のような人物をよしとするビジネスマ
ンや富裕層の金持ちがたくさんいる。いわゆる「新自由主義」の
信奉者であり、「小泉構造改革」の支持者であり、「市場経済」
の受益者軍団である。彼らはあり余る東京都の税金を、都心のビ
ジネス街にジャブジャブ注ぎ込んでくれる石原知事が大好きなの
だ。もっぱら経済紙だけを読んでいるようなこの種の人達は、彼
が何をいおうと気に留めることはない。株価が上がってくれるよ
うなことをやってくれれば、それでよいのである。

 しかし大阪は違う。大阪経済は低迷を続けているし、人口も減っ
ている。大阪企業の本社が東京へ移っていく流れが止まらないし、
チキンラーメンの元祖までが東京に本社を移す状況なのだ。犯罪
件数や不祥事件などあまり芳しくない社会統計ひとつをとってみ
ても、大阪はどれもこれも「ワースト上位」にランクされる有様
なのである。もはや「地方」のひとつに過ぎなくなった大阪には、
「小型慎太郎」イメージの橋下知事に拍手を送るビジネスマンや
富裕層はそれほど多くないのである。

 いま現在、大阪府民が府政に対して求めているのはそれほど大
きなことではあるまい。それは「日々の暮らしの幸せ」や「子ど
もの笑顔」が見られるようなごくささやかな日常生活上の要求な
のだ。だから多くの有権者が「子どもの笑顔」という橋下氏の公
約を真に受けて票を投じたのだろう。ところがどうだろう。当選
後の橋下氏の言動は一転して「大阪府の財政を建て直す」ことの
一本槍だ。「全ての施策を見直す」として、府民の生活に密着し
た施策を次々とカットし、女性や子どものための施設も容赦なく
切り捨てようとしている。そして「財政建て直しをなし遂げた歴
史的に評価される知事」として名を残したいと居直る始末なのだ。

 問題はどんな目的のために税金を使うかだろう。同和事業など
利権と不正の温床となっている予算は「タブー」にして、府民の
生活に不可欠な公共サービス予算を集中的に削減するのであれば、
それはもはや自治体行政の名に値しない。先日も知人の考古学者
から聞いたが、歴史博物館なども予算カットのターゲットにされ
て、来年度の事業の見通しは全く立たなくなったという。高度成
長期に乱暴な工業開発で歴史文化や景観を徹底的に破壊したこと
が、大阪の品格や地域イメージの低下につながり、大阪から次の
世代を担う知識産業や文化産業の流出を招いていることを知らな
いとでもいうのだろうか。そんなやり方なら、経営の傾いた会社
の資産をたたき売る「バッタ屋」の手法と何ら変わることがない。

 小泉構造改革の「化けの皮」が剥がれるまで数年もかかった。
しかし各紙の論説委員クラスにはまだまだ構造改革論者がウジャ
ウジャといて、相変わらず改革推進の「論陣」を張っている。こ
の点では朝日も日経も全く同じで変わることがない。こんな連中
が橋下氏の「財政再建一本槍」の言動を支えているのだからやり
切れないが、しかし同じ新聞でも社会面では新しい変化があらわ
れていることに注目したい。小泉構造改革によって引き起こされ
た貧困や社会格差を無視するわけにはいかなくなったので、同じ
新聞でありながら、その日の社会記事と論説が真っ向から矛盾し
た論調を展開するようになってきているのである。

 おそらく、意外に早く橋下知事の「化けの皮」が剥がれるとき
がやってくるのではないか。彼を担ぎ出した自民党府議団は相変
わらず「お追従質問」を続けているが、府下の保守系市町村長の
間ではすでに「あんな知事とはやっていけない」との声が公然と
上がっている。また「子どもの笑顔」を期待したお母さんたちの
間でも失望感が次第に大きくなってきている。現在の情勢は、も
はや「誰が橋下リコールの口火を切るか」という段階に差しかかっ
ているのである。

 この点で注目したいのは、過日の府職員への知事訓示の最中に、
若い女性職員(建築技術職だと聞いている)が公然と知事批判の
意見を述べたことだ。私はこの女性の勇気ある発言に感動を覚え
るとともに、それが「万羽の水鳥を一斉に飛び立たせる最初の号
砲」になるのではないかと瞬間感じた。心ある指導者はこの女性
の発言の意味を鋭く受け止め、次の適切な行動提起をすることが
求められる。(次回は『ねっとわーく京都』の反響について述べ、
このシリーズの最終回とします)


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発行:広原盛明
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