2006/06/25
山岳プロガイドによる『山歩き』からの『登山』入門 Vol.011
************************************************************************ 山岳プロガイドによる『山歩き』からの『登山』入門 【011】2006/6/25 ************************************************************************ <<今回のお題>> ■山歩きの部■ ・実践山歩紀行−『大江高山(おおえたかやま/808M/島根県)』 □登山の部□ ・アルピニズム的こころ『天気図を見ましょう・第4回』 〜低気圧に伴う前線の周囲の様子〜 ◇お知らせ◇ ・『事故に遭わない登山者のための講座』 ・2006年山岳ガイドプラン ************************************************************************ ■山歩きの部■********************************************************** △ 実践 △ △△ 山歩紀行 △△ 『大江高山(おおえたかやま/808M/島根県)』 --------------------------------------------------------------------- コ−ス:飯谷バス停〜大江高山山頂〜山田側頂上(昼食)〜山田登山口 --------------------------------------------------------------------- ◎以下の記事(写真入)はこちらでもご覧頂けます → http://www.cbn-inc.com/yama/articles/01_ooetakayama.htm 大江高山は、三瓶山とともに石見を代表する秀峰。808Mと標高は高くありま せんが、山頂から山田側ピークへ、ちょうどラクダのこぶのような尾根を縦走 するこのコースは、ちょっと“登り甲斐”のあるコースです。 飯谷バス停で支度を整え、準備体操をした後、前方遠くに大江高山山頂を見 ながら、山辺八代姫神社に向かいます。 春先ならば、神社の周囲にはミヤマカタバミやヤマエンゴサクの可憐な早春 の花が見られます。特に眼を引くのはユヅリハの大木。古には、「ユヅルハ」 と呼ばれていた樹木で、古い葉の葉腋に花が咲き、やがて枯れ落ち、新葉に その場を譲るという世代交代が顕著なことから「ユヅリハ」という名前がつい たといわれます。 神社の左奥が登山道の入り口です。 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama001.jpg 《写真:飯谷バス停から登山口への長閑な田園》 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama002.jpg 《写真:神社への参道を登る》 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama003.jpg 《写真:山辺八代姫神社》 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama004.jpg 《写真:神社の奥から急登 右には拝殿と本殿が》 神社脇の登山道に入ったとたんに急登が始まります。場所によっては斜面と いう表現では適当でないくらいの“崖”のようなところもあり、登山道の火山 灰土質(黒土)はずるずると滑りやすい(特に雨が降ったあとは)と思います が、植林のスギが登る手助けをしてくれます。パーティーでは前を歩く人たち が滑り跡を付けて行くことになるので、特に後方のメンバーはスギに掴まって 登ることになるでしょう。 30分ほどで大砲岩を左に見る開けた地点が最初の休憩地で、ここから右手 に三瓶山が展望できます。ここまでの急傾斜は山頂まで続くので、ゆっくり休 める平地はこの大砲岩の休憩地点を含めて2箇所くらいしかありません。 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama005.jpg 《写真:ほんとに急な斜面で しかも滑りやすい・・・》 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama006.jpg 《写真:大砲岩を左に見る開けた場所 春先にはダンコウバイの黄色い花の群落》 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama007.jpg 《写真:この辺りから風が通るようになってきます》 大砲岩の休憩地から20分くらい登るとブナ林に入り、さらに20分ほどで 稜線に出ます。ここまで来ると登りもかなり楽になってきて、「あと100m」 の看板に元気が出ます。 大江高山山頂広場には、大きな石標の一等三角点があります。見晴らしの良 い山なので、晴れた日には360度の展望が楽しめます。 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama008.jpg 《写真:頂上への林間ルート》 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama009.jpg 《写真:やはり急傾斜です・・・》 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama010.jpg 《写真:山頂まで「あと100m」の看板》 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama011.jpg 《写真:大江高山山頂 標識の真下に一等三角点が見えます》 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama012.jpg 《写真:三瓶山が見える山頂広場》 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama013.jpg 《写真:特に北から西、南方面の眺望が素晴らしい》 山頂から馬の背の稜線を辿り、30分位で山田側ピークに到着します。馬の 背は、道幅は狭いものの両側に樹木が繁り、気持ちよく歩けるでしょう。 この山田側ピークからの眺望は、北の日本海の海岸線、仙山(銀山)、要害 山(山吹城跡)、矢滝城山、西には島星山、室神山(浅利富士)、そして南の 阿佐山、冠山へと開けており、石見や芸北の山々の眺望が素晴らしいところで す。 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama014.jpg 《写真:山頂から山田側ピークへ向かう》 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama015.jpg 《写真:南側・登山口方面の集落 あまり高さがないことが分かります》 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama016.jpg 《写真:西のピークは779m ここも素晴らしい展望》 山田側ピークから山田側登山口に向かって下山するための登山道、飯谷ルー トよりも傾斜は緩やかですが、滑りやすいことに変わりはありません。つづら 折りの道が終わると桧林に入ります。 林を抜けた広い場所に出て振り返ると、大江高山の二つのピークが見送って くれます。大山まで続く火山帯を形成し、200万年前に出来た休火山と言わ れる大江高山の麓、民家のある集落まで降りてくると、庭先の黄色いラッパズ イセンや、路傍のツクシ、フキノトウ、セリが春の山里の幸せを教えてくれる のんびりした舗装道路を歩き、山田登山口に到着します。 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama017.jpg 《写真:緩やかな下山ルート》 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama018.jpg 《写真:やがて里山に変わり・・・》 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama019.jpg 《写真:山田の田園に着きます》 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama020.jpg 《写真:農家の庭先》 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/ooetakayama021.jpg 《写真:山田側ピーク(左)と大江高山(右)を振り返る》 (^^)メールはこちらまで→ mailto:yamahiro@cbn-inc.com □登山の部□************************************************************ ◇◇アルピニズム的こころ◇◇ 『天気図を見ましょう・第4回』 〜低気圧に伴う前線の周囲の様子〜 --------------------------------------------------------------------- ◎以下の記事(写真入)はこちらでもご覧頂けます → http://www.cbn-inc.com/yama/articles/02_20060624_kishou4.htm □低気圧に伴う前線の周囲の様子□ 前回の講座では、天気の移り変わりは、空気・大気の流れがもたらす水分の 変化で、天気への影響が大きい気象現象として、高気圧や低気圧の基本構造(断 面)を解説しました。 今回は特に低気圧について、それに伴って発生する前線(温暖前線と寒冷前線) が起こす天気の変化について考えてみましょう。 ---------------------------------------------------------------------- 低気圧では下の図のように前線が発生することがあります。図中の赤い半円 の模様のついているのが『温暖前線』、青い三角模様のついているのが『寒冷 前線』です。そしてそれぞれの前線は、それぞれに違った天気の変化をもたら します。 結果的には、先にやってくる温暖前線付近では、高いところに発生した雲が 長い時間をかけて少しづつ下がってきて、やがて雨が降り始めますが、どちら かというとシトシトとした降り方で、雨域は広くなります。 寒冷前線付近では強い雨やにわか雨が降ることがあり、雷(界雷)を伴うこ ともあります。また、突風が吹いたり、ひょうが降ることもあり、寒冷前線が 通り過ぎると急に気温が下がるという特徴があります。 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/kishou3_4.jpg ---------------------------------------------------------------------- このような天気の変化を、前線の断面図で理解しましょう。 【温暖前線の構造】 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/WFront1.jpg ○北の冷たい空気の上へ、暖かい空気がゆっくりと流れて登って行きます。 ○広い範囲で西から東へと天候が移り変わって行きます。 ○雲が高→低・券雲→層雲 【寒冷前線の構造】 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/CFront1.jpg ●北からの冷たい空気が、暖かい空気の下に急激に潜り込もうとします。 ●冷たい空気の温度が低いほど、暖かい空気との、温度差が大きいほど、急激 な上昇気流が発生。 ●積乱雲・にわか雨・雷(界雷) ●通過後にまた急激に気温が低下することに注意 ---------------------------------------------------------------------- http://www.cbn-inc.com/yama/articles/WFront1.jpg 温暖前線のでは、南側にある暖かい空気と北側の冷たい空気が出会います。 そのとき、暖かい空気は冷たい空気よりも軽いので、冷たい空気の上に乗り上 げて、冷たい空気のゆるい坂を少しずつ上昇してゆきます。水分を含んだ空気 は、上昇することにより水蒸気が水滴となり、雲を発生させます。 温暖前線が接近するにしたがって、これらの雲が低く下がってきて、やがて 雨を降らせます。その様子はちょうど下図のようなパターンが典型的です。 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/teikiatu.gif ---------------------------------------------------------------------- http://www.cbn-inc.com/yama/articles/CFront1.jpg 寒冷前線では、上図のように冷たい空気が暖かい空気にぶつかるときに、暖 かい空気の下側にもぐりこむようになります。これも冷たい空気と暖かい空気 では、冷たい空気が重く、暖かい空気が軽いからです。こうして暖かい空気は 急激に押し上げられてゆきます。 このため、寒冷前線付近では雲が垂直に発達し、短時間に強い雨が降ります。 雨域(降水域)は狭いのでやがて雨は上がりますが、その段階では冷たい空気 の圏内に入るので、気温が急激に下がります。 夏山でも、雨にぬれた後で体温が下がり、低体温症や疲労凍死などの遭難事 故が起きるのは、この天気変化のパターンによるものも多いと思います。 ---------------------------------------------------------------------- 第5回講座では、気圧配置が日本の天候をどのように決めているか、また夏山 で特に注意が必要な雷(熱雷・界雷)を勉強しましょう。 --------------------------------------------------------------------- 第1回 『天気図を見ましょう』 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/02_20050305_kishou1.htm 第2回 『天気図の見方・気象用語の整理』 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/02_20060417_kishou2.htm 第3回 『高気圧と低気圧の中の空気の流れと天気の関係』 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/02_20060512_kishou3.htm 第4回 『低気圧に伴う前線の周囲の様子』 http://www.cbn-inc.com/yama/articles/02_20060624_kishou4.htm 第5回 『気圧配置と日本の天候・雷のメカニズム』 第6回 『気圧配置と日本の天候・気象通報の詳細 /天気図の購入方法/r2win32 の紹介』 (^.^)/~~~メールはこちらまで→ mailto:yamahiro@cbn-inc.com ◇山登りなんでも相談掲示板◇******************************************** http://www.cbn-inc.com/treebbs2/3/index.html 山登りについてのいろんな疑問や不安について、たとえば..装備の選び方、 山の天候のこと、バテない登り方とか、何でも相談してください。 山岳プロガイド山崎、またはそれぞれのご相談に適した専門家が回答します。 ◇お知らせ◇************************************************************ □山陽新聞『実践登山教室・イェティ』 〜事故に遭わない登山者のための講座 〜 http://www.cbn-inc.com/yama/plan.htm#school 増加する登山者は、ハイキングのレベルから本格的な山岳登山まで多様な 活動を実践していますが、それに伴う山岳遭難事故が増加しています。 本講座では、登山における入門段階を経過し、自主的に登山活動を継続し て行う方々を対象に、遭難事故にあわないための知識と、事故に遭遇してし まった場合のセルフレスキューなど、山岳事故を防止するための実践的準備 が出来る登山者のための基礎知識の提供から実践までのトータルなカリキュ ラムを提供します。 ○第1回シリーズ (平成18年9〜11月/3ヶ月) 【机上講座・全3回】 9月 1日(金)『道迷い遭難を防ぐ・地図講座 第1回』 10月 6日(金)『道迷い遭難を防ぐ・地図講座 第2回』 11月17日(金)『もしもの時の知識 −テーピング・救急法・セルフレスキュー』 【実践教室・全5回】 9月10日(日)森林公園(岡山) 『第1回机上講座』の実践登山 ・・・道迷い実験 ・・・道迷いメカニズムの体験と対策 9月24日(日)船通山(島根・鳥取) 『第1回机上講座』の実践登山 ・・・通過点での毎回読図の実践 ・・・現在位置の確認方法各種の習得 10月22日(日)泉山(岡山) 『第2回机上講座』の実践登山 ・・・単純な地形での読図 ・・・現在位置の確認方法各種の実践 11月5日(日)三瓶山(島根) 『第2回机上講座』の実践登山 ・・・複雑な地形の読図 ・・・現在位置の確認方法各種の実践 11月23日(日)操山(岡山) 『第3回机上講座』の実践登山 ・・・セルフレスキュー(事故時の自身安全確保の方法) ・・・ロープによる安全確保〜初歩的なレスキュー (同行者に対する方法) ・・・初歩的な応急措置の実践 【詳しくはこちらへ】 山陽新聞カルチャープラザ http://sanyo-culture.kir.jp/ --------------------------------------------------------------------- □2006年度個人・グループ向ガイドプラン(2006年4月〜2007年3月)を公開し ました。どちらかと言えば凝ったルートです。初心者よりは経験者の方、あり きたりの登山ツアーではない内容をお探しの方には良いと思います。決して楽 ちんルートではありませんが、ガイドと顧客がひとつのチームとなって、特別 な経験を共有するための少人数向ガイド山行プラン。今年は以下の4つの企画 のみ実施します。 ○黒部川源流・雲の平から黒部湖へ ○北アルプス表銀座“ゆっくり”縦走 ○蒜山三山テント泊縦走(冬期) ○伯耆大山・北壁バリエーションルートガイド(冬期) http://www.cbn-inc.com/yama/plan.htm#plan ************************************************************************ ◇次号掲載予定◇ ・『三倉岳(ミクラダケ/広島県)』 ・『アルピニズム的こころ−天気図を見ましょう・第5回』 〜気圧配置と日本の天候・雷のメカニズム〜 ************************************************************************ ※図表が崩れて見える方は、 http://www.mag2.com/faq/mua.htm を参考に、 等幅フォントに設定してご覧ください。 ************************************************************************ 【発行者略歴】 山崎裕晶(やまざきひろあき)。1966.3.3兵庫県出身。山岳プロガイド。 アルピニスト。岡山大学山岳会会員。国内難ルート冬期登攀。ガッシャブルム 主峰(8,068m)西陵の初登攀などの海外遠征。ニュージーランドでの山岳ガイド を経て、国内山岳ガイド多数。過去5年間のガイド登山で述べ7,000名以 上をガイド。現在も毎月約120名をガイド。 アルバム=> http://www.cbn-inc.com/yama/history/01.htm Eメール => mailto:yamahiro@cbn-inc.com ************************************************************************ 【発行者】山崎裕晶(やまざきひろあき) 【発行者サイト】 http://www.cbn-inc.com/yama/ ************************************************************************ このメールマガジンは『まぐまぐ!』http://www.mag2.com/ を利用して 発行しています。 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000143198.htm ************************************************************************ ※許可無く転載することを禁じます。 ※受信者個人の責任においてご利用ください。 ************************************************************************ Copyrights Hiroaki Yamazaki 2004-2006 All Rights Reserved ************************************************************************ ↓まぐまぐからのお知らせ↓


