2009/05/08
広告の真の効果と狙いが見える『CM Marketing eye』vol.30
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 2009.5.8 vol.30 ◇◆◇ 広告の真の効果と狙いが見える ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ \\ CM Marketing eye \\ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ http://www.tems.ne.jp ◇◆◇ 皆さんご存知のとおり草なぎ剛が逮捕されてしまいました。その後、 不起訴が決定しましたが、その影響は大変大きいものでした。 1999年から「昆布ぽん酢」のイメージキャラクターとしていたヤマ サは、2009年7月から予定していたキャンペーンでの起用中止を決 定。大型連休を前に需要が見込めたトヨタレンタリースをはじめ、 NTT東日本などの各社もキャラクターとしての露出を見合わせる ようです。 さて、今回の「CMマーケティングアイ」では、予定を変更して、 タレントCMにおける危機管理についてフォーカスします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【今回のCM&Topic】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◆ ◆◇ ◇◆ 起用タレントの不祥事に備えて ◆◇ ◇◆ ◆◇ 草なぎ剛の復帰は? ◇◆ ◆◇ ◇◆ ------------------------------------------------------------------ ■過去、稲垣吾郎の例では 同じくスマップの稲垣吾郎が、2001年8月24日に起きた事件で逮 捕されています。理由は、公務執行妨害と傷害罪。交通違反をとが めようと、稲垣吾郎が運転する車に手をかけた女性警察官を引きず ってしまい軽症を負わせたという内容でした。 報道では、稲垣吾郎を容疑者と報道せず、「メンバー」という言 葉を使っていたのが印象的でした。 このとき稲垣吾郎は、事件から143日目に芸能界への復帰を果 たしています。そしてCMでは事件から約8ヶ月後に、他社の先陣 をきってANAが2002年4月23日にオンエア。そしてその直後から、 サントリーBOSS、任天堂、日清食品など続々とCMに出演し復 帰していくことになります。 ■ひとりのタレントに依存しないCMづくりが広告主を救う この稲垣吾郎の事件のときも、NTT東日本がSMAPのメンバ ーを起用しました。しかしこの時、メインのCMが香取慎吾と慎吾 ママのバージョンとなっており、大きな痛手を食いませんでした。 そして、そのNTT東日本の「B・フレッツ」のCMに稲垣吾郎 が戻ってこれたのは、事件から約1年7か月後の2003年3月29日で した。 今回、NTT東日本では草なぎ剛の出演しているCMも事件前は、 オンエアしていました。現在は、他に複数もっている「フレッツ光」 の素材のなかから稲垣吾郎と木村拓哉のバージョンを中心に、SM APメンバーによるCMを継続オンエアしています。 ■不祥事には周りの対処も重要に 一方、デジタル放送推進協会、通称「地デジ」のキャンペーンは どうでしょう。 この事件に関し直後に総務大臣が怒りをあらわにした記者会見を 実施。そこでの発言で、取り消したとはいえ草なぎ剛に対して「最 低の。。。」とはいかがなものなのでしょうか。 「地デジ」キャンペーンにとって、総務大臣は一般的にいう広告 主であるはずです。例えば、広告主の社長が不祥事を起こした自社 キャラクターを事件当日にけなすことがあるでしょうか。 企業が「この人」とタレントを決めたからには、その企業の「財 産」であり、「顔」であることは当然です。今回だって、起用して いる他のスポンサーも言いたいことが山ほどあっても、あえてノー コメントを決め込んでいたはずなのです。 総務大臣の発言で、いままで培ってきた地デジ自体のイメージを おとしめ、さらには草なぎ剛の地デジCMへの復帰をほぼ絶望とし てしまったのです。 ■CMにおける危機管理 そもそも草なぎ剛ということに限らず、地デジを一人のタレント に依存しきっていたCM戦略に問題があったといえます。 結局、新たにオリジナルのキャラクター「地デジカ」を1週間で 制作したそうですが、「なんで最初からオリジナルキャラクターと 草なぎ剛のダブルキャラクターで行かなかったのか」と思ってしま います。 タレントひとりの事件であるものの、「政府の危機管理。。。」 という言葉が頭に浮かんできました。 さて、2011年の移行まであと少しに迫った地デジ。その受像機の 普及を推進するにあたって非常に大事な時期といえます。国民に向 けたコミュニケーションを失敗すればテレビとテレビCMの価値が 大きく低下する可能性もあるのです。 そんななかの大臣発言による機会損失とコミュニケーション資産 の自らのおとしめは、国民の税金でまかなわれることも忘れてはな りません。 ■タレントだって人間、肝心なのはその後の対応 草なぎ剛については、タレント事務所との契約違約金の問題等も あり、いままで起用していた企業が継続することは少ないとは思い ます。 しかしながら、賢い民間企業は強いタレント性と誠実感あるキャ ラクターの草なぎ剛をほっておくわけがなく、1年後にはまた新た なCMに出演していることでしょう。 確かに、しでかしてしまったことは法律に触れることですが、人 を傷つけたわけでもなく、その後の反省会見もむしろ好感が持てた との意見もあります。 結果として不起訴にもなり、草なぎ剛の復帰は稲垣吾郎の事件ほ ど時間がかからないと思っています。 タレントは完璧なつくりものでなく、普通の人間のように弱い面 だって持っています。日本のCMにとっても無くてはならないタレ ント「人間、草なぎ剛」、逆境に負けずにがんばれと言いたいです。 <事件当時、草なぎ剛起用のCMスポンサー> ・NTT東日本 ・ヤマサ醤油 ・P&G ・トヨタレンタリース ・AC(公共広告機構) ・デジタル放送推進協会 (2008年〜2009年4月末時点) ■□■マーケティング・ポイント■□■ 契約違約金や損害賠償については、事前のタレント契約に基づき所 属事務所が負担・保証することになるでしょう。 しかしながら、その間に、CMができなくなったり、新CMをつく ったりと企業の負担ははかりしれません。また、既にテレビ局から 放送枠を買ってオンエア準備ができている場合、その払い戻しやキ ャンセルが難しく、代替のCM素材がない場合は、AC(公共広告 機構)のCMに差し替えられてしまいます。 ここで大事なのは万が一に備えて、ひとつの企業がひとりのタレン トに完全に依存するのでなく、複数のキャラクターや他のCM素材 を持ち合わせていることなのです。 もちろん、リスクと予算面の天秤となりますが。。。 ※来週の「CMマーケティングアイ」では企業CM編の第1回目 として「本田技研工業」の「ASIMO」を取り上げます。 お楽しみに。 ◇◆----------------------------------------------------------◆◇ 【発行者】CMコンサルティング (株)テムズ 代表取締役 鷹野義昭 【ホームページ】http://www.tems.ne.jp 【バックナンバー】 http://www.tems.ne.jp/marketing-column/column_backno.html 【ご意見・ご感想・ご質問】info@tems.ne.jp このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用し ています。配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000140927.htm ◇◆----------------------------------------------------------◆◇ (株)ビジネス社から6月8日発刊決定 『 CM好感度No1. だけどモノが売れない謎 』 〜 明日からテレビCMがもっと面白くなる マーケティング入門 〜 最新のCMとマーケティングメソッド、わかりやすい図表も豊富 に取り入れ、現在最終準備作業中です。ご期待ください。 ---------------------------------------------------------------



