2008/12/06
NDPC通信
☆★☆─────────────────────────────☆★☆ NDPC通信 第38号 天然染料顔料会議 Natural Dyes & Pigments Conference http://ndpc.info office@ndpc.info ☆★☆─────────────────────────────☆★☆ 2008年12月5日配信 いよいよ今年最後の通信です。 先日、2004年大会の開催場所だった山口県由宇町の銭壷山に行ってきました。 あのとき日本茜を採取した場所には今年も同じように茜が根をはり実を付けて いました。安心、安心、よく膨らんだ黄櫨の実も見つけました。 すぐ近くの田布施町には黄櫨の実から今も木鑞を作っている保存会があります。 さらっとした木鑞はなかなか味わいのある素材です。 ☆★☆ 目次 ☆★☆ 【1】 藍めぐり 【2】シリーズ「博物館・美術館紹介」(18) 国立民族学博物館 【3】展覧会情報 「寳水堂コレクション」 熊本国際民藝館 【4】社団法人 日本植物園協会 ☆ ★☆─────────────────────────────☆★☆ 【1】藍めぐり 広島 寳水堂コレクション 水野 恵子 ☆★☆─────────────────────────────☆★☆ 前号「博物館・美術館紹介」(17)でご紹介のあった文化学園服飾博物館を 訪ねました。 39カ国の藍染めが一同に並ぶのは壮観でした。 また、各地を比較した場合、藍色そのものへの民族の感覚が 土地による染色の難易度、染織者の社会的地位や宗教とのかかわりなどで 様々な歴史を持つことに驚きました。 たとえば朝鮮では位の高い人の身につける色だが、ウズベキスタンでは 火を使わない染色なのでユダヤ人の仕事であり、喪の色であったことなどなど。 翌日は宇都宮の日下田紺屋さんを訪ねました。 陶器の町益子にあって、ぽつんと昔ながらに並ぶ72個の藍甕で 寒風の中、もくもくと染色されているのには感動しました。 ちょうど茅葺き職人夫婦が、茅葺き屋根の手入れ中でした。 染担当の吉田さんが伝えていかなければ残らないからと仕事の手を休めて、 藍建てについて伝え聞いてきたことを説明してくださいました。 国立図書館等で古い文献を探し、口伝されてきたことの 裏付けなどの勉強も重ねられているそうです。 女人禁制であったのは漬物など女性は塩を扱うことも関係があるのではないか と言われていましたが、塩は藍に悪影響があるのでしょうか? また、糸染めの色合わせには糸自体ではなく糸の”けば”を 自然光に透かして見て合わせるそうです。 先月は島根県広瀬町の天野紺屋さんを訪ねました。 若い後継ぎさんがモンペと頭に巻いた手ぬぐいを魔法のようにモダンに着こなして やはりこつこつと16の藍甕を維持されていました。 傍らでは100年以上前の織機を並べでお父様が絣を織っておられました。 藍は見つかりませんでしたが、東京白金台にある国立科学博物館付属の 自然教育園も訪ねました。 カラスの群れとどんどん増えるソテツに痛々しい 感じでしたが、クヌギやキハダの大樹が大気汚染の中けなげに頑張っていました。 全域が天然記念物で極力手を加えていないそうなので 他の染色植物もあったのでしょうが、私には見つけられませんでした。 何処も何時間でも佇みたいような空間でした。 水野恵子 =============古布・古物 保管展示企画=========== 寶水堂コレクション 〒730-0844 暮らしに 広島市中区舟入幸町3−10 くつろぎを! E-mail:musee(@)mizuno-k.jp (メールされる場合( )を消して下さい。) URL::http://mizuno-k.jp/sougyousha2.html =============================================== ☆★☆──────────────────────────────☆★☆ 【2】シリーズ「博物館・美術館紹介」(18) 国立民族学博物館 天然染料顔料会議会長 牛田 智(武庫川女子大学・教授) ☆★☆──────────────────────────────☆★☆ 国立民族学博物館(みんぱく)は、大阪万博の跡地に建てられている、研究機 関の役割も持つユニークな博物館です。世界中から集められた衣食住や音楽・言 語に関して、膨大な収集品が展示されています。丁寧に見ていたら、いくら時間 があっても足りないでしょう。 みんぱくでは数多くの映像資料を見ることができます。ビデオテークという開 館当初からの設備で、大きな特徴です。現在では、マルチメディア番組28本、15 分程度にまとめた短編番組429本、長編番組78本が見られるそうです。ブースに 座って、オンデマンドで呼び出して試聴します。混んでいる時は、試聴回数は制 限されますが、空いていたらいくらでも見ることができます。染織関係の番組と しては、宮城の正藍染(千葉あやの)、ジャワ更紗、ジャワラ村(セネガル)の藍あ い染め、ダカールの染め屋(セネガル)、芭蕉ばしょう布(喜如嘉)、織物の村チン チェーロ、サチラの機織り(エクアドル)などがあります。新作のお勧めは、次の 1本です。 インドの染色職人カトリー−カッチ地方の絞り染めと更紗 (カトリーの職人の工房で作り出す、絞り染め、更紗、藍染め。様々な染色の工 程) 53分 2006年撮影 2008年制作 監修:三尾稔、金谷美和、上羽陽子 常設展示の隣りに企画展示をする所があり、現在は「インド刺繍布のきらめき −バシン・コレクションに見る手仕事の世界」という企画展が行われています。 既に2008年10月9日から始まっており、2009年3月31日までです。 常設展の隣に、特別展を行う建物もあります。最近では、「深奥的中国─少数 民族の暮らしと工芸」(2008年)「更紗今昔物語 ─ジャワから世界へ─」(2006年) が、染織関係の特別展として、充実した展示が為されました。 「インド刺繍布のきらめき」の企画展と「インドの染色職人カトリー」の映像 を見に、是非出かけてください。 国立民族学博物館 所在地:大阪府吹田市千里万博公園10-1 電話:06-6876-2151 開館時間:午前10時〜午後5時 休館日:毎週水曜日 入館料:350円 http://www.minpaku.ac.jp/ ☆★☆──────────────────────────────☆★☆ 【3】展覧会情報 日本の布文様の美展 熊本国際民藝館 ☆★☆──────────────────────────────☆★☆ 今回「藍めぐり」を書いて下さった水野さんの寶水堂コレクションの筒描きが 熊本で展示されますのでご紹介致します。 熊本国際民藝館は陶磁器の展示中心であったため紫外線対策が十分でなく、 今回展示室の蛍光灯を紫外線防止のものに替えていただきました。(水野恵子) 日本の布文様の美展 会期:1月3日(土)〜2月8日(日)10:00〜16:00 休館日 月曜日(祝日の場合 翌火曜日休館) 会場:熊本国際民藝館 〒861−8006 熊本市龍田1丁目5−2 TEL/FAX 096−338−7504 http://www11.ocn.ne.jp/~kumingei/kanannai.html ☆★☆──────────────────────────────☆★☆ 【4】社団法人 日本植物園協会のご紹介 http://www.syokubutsuen-kyokai.jp NPO法人アースネットワーク 角 寿子 ☆★☆──────────────────────────────☆★☆ ムラサキをはじめ染料植物も絶滅危惧種のリストに上がっていたり,希少種に なってしまった種類があります。私達は2002年よりムラサキや日本茜、クルマバ アカネの栽培を始め、2004年からは自生種ムラサキの観察をはじめました。 第6回生物多様性条約締約国会議で採択された「世界植物保全戦略」では2010年 までに各国の絶滅危惧種の60%を生育域外で保全することを重要な目標の一つと しています。 日本植物園協会は植物研究や保全団体等と連携して保全する仕組みを構築することが 重要な課題ととらえているとのことです。 2006年にインドで開催された国際天然染料シンポジウムでも様々な団体や個人との 連携による保全活動が必要という提言がなされました。 植物から染料や繊維,糊等、染織をするものにとっては植物の生物多様性保全は 積極的に取り組まなければならない問題です。 是非、植物染料や顔料の関係者に積極的な協力をお願いしたいと思います。 ☆★☆──────────────────────────────☆★☆ 編集者のつぶやき・・・・ また1年が終わり、新年を迎える。 ずっと繰り返してきたことだが,また繰り返す・・・ハハハハハハ・・・ *NDPC通信への投稿、NDPC機関誌の原稿をお待ちしています。 ◎NDPC通信−天然染料顔料会議 のバックナンバー・配信停止はこちら ⇒ http://archive.mag2.com/0000140858/index.html このメールに返信すれば、発行者さんへ感想を送れます



