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2007/02/20

★★ 小林秀二の不動産ファイナンス・マガジン ★★

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★★★ 小林秀二の不動産ファイナンス・マガジン 第15号(2007.2.20)★★★
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不動産ファイナンス・マガジンの第15号をお届けいたします! 

目次
1.ニュースの裏読み 1つ
2.役立つファイナンス理論
3.お役立ち(書籍のご紹介)
4.情報 いっぱい!
5.編集後記
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1.ニュースの裏読み
 
★マンションの分譲価格付けは競馬のハンディキャップ付けと同じである

NIKKEIプラス1にマンション価格の「ヨコとタテ」の法則というコラム
がありました。それに補足してみます。

「マンション価格の設定は4階の南向きの部屋を基準階として東と西向き
は▲10%、東南角は+5%程度、階が1つ上に行くにしたがって3〜4
%加算してゆき、下がると割り引いてゆく」とのこと。これは、評価の専
門用語では階層別・位置別効用比といいます。このほか、間取りや眺望な
ど個別要因で調整します。分譲会社は経験に基づく価格設定マニュアルを
持ち新築分譲価格の設定をしているのです。それ自体は社外秘なんでしょ
うけど、公表される分譲価格を見れば割り出すことができます。同業者や
業界関係者はそれを分析します。

この他、鑑定評価や都市再開発の権利変換などにおいても、この評価は重
要なデータになりますから、専門家などもかなりの分譲事例のデータを収
集します。自分で探さなくても東京カンテイのような専門業者もあるので
それを活用します。

それらを分析してみると、各社さん他の情報も参考にしますのでだいたい
似通ってきます。たまにウン?という価格もありますが、たいてい何か理
由があるようです。そういう意味では、価格を見ればその部屋のグレード
もわかるわけです。それらは市場の平均的な人を基準にしているので、た
とえば低い階が人より好きとか、太陽光にそれほど価値を見出さない職業
の人もいたりして主観的な好みもあるので、うまく売れることになるので
しょう。

注意したいのは、売れ残りがあったり、ずーっと売れなかったマンション
は新築分譲価格はもちろん割り出された効用比もハナから信じることはで
きないということです。そういう情報は隠されますが分譲価格(比)だけ
が一人歩きしている例があります。実際、中堅デベロッパーの評価の現場
を覗いたことがありますが、「今度任されたんです」と若いお兄ちゃんがエ
ンピツ舐めなめ付けいるのを見てがっかりしたことがあります。こちらは
苦労して収集しているのに裏はコレかい、と

ですから重要なのは、決められた分譲価格ではなくて、売れ行きや倍率の
情報です。この情報とセットでないとミスリードを起こしてしまいます。

しかも、新築の要因格差と中古の要因格差が縮まると業界では言われてい
ます。アメリカの住宅購入手引きには「その地域で平均的な物件を購入せ
よ」と書いてあります。つまりはこういうことなんでしょうな。

投資の目的は利潤最大化ですから分譲会社の設定目標は、完売することは
もちろんですが、各部屋1人づつキレイに購入希望が出て売れることです。
ある部屋に希望が集中したり全然売れない部屋が出てはいけません。これ
は価格差(効用比)付けを失敗したことになります。

それから、倍率が非常に高くなるのもダメです。売れたからひと安心かも
しれませんが、これは基準部屋の価格を低くしすぎた失敗の証拠になりま
す。せっかく高く売れるものをみすみす安く売ってしまったことになりま
す。本当は一番高く買う1人だけが手を挙げてもらい、そうでない人は高
いと思うわけですから最初から諦めて他の部屋に手を挙げてもらうのが理
想です。

つまり、この価格付けは競馬のハンデ戦の負担重量の設定と同じです。馬
券購入額を最大化させる目的で競争を面白くするため、各馬の能力を査定
して48kg〜63kgまで0.5kgきざみで調整してゆきます。その
究極的な理想は全ての出走馬がゴール前一直線に並んだ大混戦となること
です。しかも、その総重量は小さくしないと馬がかわいそうです。一番情
報を持っている主催者が一番強いと思った馬は、一番重いハンデを背負わ
された馬ですから、馬知らずともハンデを見ればわかるということになり
ます。競馬の場合、オッズを通して他の馬券購入者がどう修正しているか
も判明します。こうして主催者、他の購入者、自分の3つの間の駆け引き
となります。

(とはいえ走るのは結局畜生ですから、いくら考えてもね・・・)

強い馬がぶっちぎりで勝つレースだとみんなそこに賭けてしまい、オッズ
は下がり魅力は薄れ、全体としての売上は下がってしまいます。マンショ
ンもせーのでお花が1つづつ付くのがいいのです。

ただし、マンションでは工区が複数ある場合などは次に繋ぐため営業的
に倍率をワザと高くすることもありますから一概には言えませんが。

この場合は、先の工区を安くすると後が売りにくくなります。マーケッ
トインパクトもあるとさらに需要は減ります。だからと言って先の工区
の価格を高めに後を安くしたりすると将来に疑心暗義を残すことになっ
てしまいます。工区全体とか事業全体で利潤最大化を考えなければいけ
ないわけです。そろりと売ってゆく段階オプションというわけですね。

ですから時間が経つと不動産価格が上がる市況だけ計画しやすいのです
が逆の状況ではただでさえ売りにくいものがさらにひどくなるというわ
けです。マンション分譲業界は大量に捌くことで規模の利益もあります
がこういったマイナスも大きいわけです。

この上げ下げを平準化する金融商品が欲しいところですが、そういった
ヘッジ手段を設計するような動きはないようです。

その代わり伝統的なのがエイエイオーとかはちまきする押し込み営業で
す。こういうことをずーっと繰り返しているのがこの業界なのです。で
すから花がバーっと付いて即完売!が良いとされているのです。

閑話休題。

コラムには特殊な例として豊洲の32階建てのマンションの例が紹介さ
れていました。このマンションは西側にレインボーブリッジが見えるの
に対して東側は空き地です。東側には何が建つかわかりません。同じよ
うなマンションが建つ可能性もあります。一方、西側は目の前は東京湾
ですから建つ心配はありません。そこで西側は東側の3割以上高い設定
にしたそうです。結果として、完売はできましたが西側は購入希望者が
10倍超になったので、この調整でも不足だったことがわかりました。

こういう場合、ヘドニック(回帰分析)など統計処理の場合、部屋の向
きの評価は画一的にしていますが、そういう修正がないと変なことにな
ってしまいますね。

この前、私もあるウォーター・フロントの新築マンションを見たら、眺
望は素晴らしいのですが、窓から見える正面の倉庫の壁面に「○○○」
と大きくしかもネオン付きで光っていて「うーん」と唸ってしまいまし
た。倉庫を持つ会社にもマンション分譲会社にも、ましてや営業マンの方
にも罪は全くないのですが、住居地域でなかったところに突然マンション
ができるのだからこういうこともあるだろうなと思いました。
営業マンさんは「東京都がオリンピックのため指導している。当社として
もお願いしている」と苦しい言い訳をしていましたが、努力の及ぶところ
ではないので正直大変だなあと思いました。

このように価格比を見積もることは難しいのですが、影響するのは各部屋
の分譲価格だけではありません。実は、マンション敷地の持分の比率にも
なります。通常、専有面積比で持てばいいと思われがちですが、土地の持
つ空間価値の配分には建物効用を控除する必要があります。共用部分の持
分はすでに効用比に入っているので改めて考える必要はありません。この
ように建物と敷地に分ける作業は思ったより難しい作業なのです。

この比率に計算し直した物が地価配分比率になります。土地はこの比率で
持分を配分しなければおかしいことになります。土地持分が大きいと担保
価値等には有利になるかもしれませんが、税金は高くなります。

うれし悲しですね。

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2.役立つファイナンス理論

Q Which of the following is NOT a relevant incremental cash flow 
in analyzing a capital budgeting project?

A.    Sunk costs.
B.    Externalities.
C.    Cannibalization.
D.    Opportunity costs.

Answer A
投資プロジェクトの評価においてサンクコストはincrementalではない。
ExternalitiesとCannibalizationは既存売上の減少になる。機会コスト
は考慮する必要がある。

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3.お役立ち(書籍の紹介)

★「不動産ファイナンス入門
 ―リスクマネジメントのための不動産金融工学―」

  体裁:A5判、320頁、ハードカバー
  定価:3,780円(本体3,600円+税)
  発行:株式会社ビーエムジェー
  発売:丸善株式会社
    在庫なくてすみません。今、第2刷に入っています!

購入はこちら⇒ 
http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=refe-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4990200950&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000ff&bc1=000000&bg1=ffffff&f=ifr
 
 
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5.情報

★  金融財務研究会セミナー

    2月26日(月)14時〜17時
    日進ビル会議場(茅場町)
    「DCF法(不動産評価)入門」
    有料
  講師 小林秀二
    http://www.kinyu.co.jp/


★ シンポジウム「継続賃料鑑定評価マニュアルの作成に向けて」が開催されます

    2月27日(火)ヴィアーレ大阪(御堂筋線本町)
    参加費用8000円(昼食付き)
    主催 社団法人大阪府不動産鑑定士協会
    八田達夫(ICU)、松岡久和(京都大学)、大野喜久之輔(神戸大学)など
  小林秀二もパネラーとして参加いたします。
  http://www.rea-osaka.or.jp/


★  公開講演会 「スポーツ・ファイナンスへむけて」

    2月27日(火)18時〜20時
    早稲田大学大学院ファイナンス研究科(コレド日本橋)
    二宮 清純 氏ほか
    会員2000円、非会員1万円
    日本リアルオプション学会
    http://www.realopn.jp/


★ 大阪大学「金融・保険教育研究センター」特任教員公募

     公募締切:平成19年2月28日(水)必着


★  日本不動産金融工学学会2007年定期大会

   3月3日(土)10時20分〜17時30分
  早稲田大学ファイナンス研究科(コレド日本橋)
  会員無料 非会員8000円
  懇親会あり
  小林秀二も研究発表いたします  
    http://www.jarefe.com/

★ 「JAREFE・ARES 不動産投資インデックスセミナー2007」

  3月5日(月)14時〜18時
  泉ガーデンコンファレンスセンター(六本木)
  無料
    インデックス紹介のほか川口有一郎教授の講演など
     http://www.ares.or.jp/works/seminar/jpindex2007.html

★   Roppongi BIZ

    3月8日(木)15時〜17時
   「東急リバブル株式会社のソリューション事業」
    北川登士彦統括部長
      http://www.academyhills.com/biz/hudousan_biz25.html

★ 京都大学経済研究所主催 シンポジウムのご案内

   「応用金融工学(野村グループ)寄附研究部門」シンポジウム2007
  3月9日(金) 9時45分〜17時30分
   丸ビルホール
  「金融工学の新潮流2007」「さらに進化する価値創造ERM経営の展望」
  無料
  レセプションあり
     http://www.kier.kyoto-u.ac.jp/fe-nomura/

★  BMJセミナー

    3月15日(木)13時〜17時
    グランパーク プラザ401ホール
    「不動産ファイナンス理論の活用戦略」
    有料
    講師 小林秀二
     http://www.bmjnet.com/index.html

★ 大和証券グループ2006-2大和ファイナンス研究会

    日程:2007年3月22日(木)
    場所:京都大学 法・経総合研究棟3階311演習室
    京都大学大学院経済学研究科
     http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/daiwa/index-j.html

★  都市持続再生シンポジウム

   「人口減少に向かう都市社会と都市計画」
  3月26日(月)13時〜17時15分
  東京大学本郷キャンパス
  無料
    東京大学大学院に都市計画分野の社会人
    大学院(修士コース東大まちづくり大学院)ができるそうです。
    http://www.due.t.u-tokyo.ac.jp/mps/index.html

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4.編集後記

そろそろ日本も眺望とか街並みとかに配慮するのはどうでしょうか。アジアの
ガサツ&ギラギラも少し残してもいいですがどうにかなりませんでしょうか。
ドイツや北欧へ一足飛びには無理でしょうが。一種の環境問題とも言えましょ
う。

日本人の場合、不動産となると異常な権利意識があって「おれの地所に何を建
てようとおれの勝手じゃ」「うちの商売さえ儲かればよいからオレンジ色の看板
を」という人が多くてイヤになります。富士山を世界遺産にしようとしたら、
富士河口湖町の小佐野町長は「開発への規制が増えると町民から反発が起きて
いる。河口湖を登録地域から外すよう山梨県にお願いをした」という。こんな
人ばっかり。

東大まちづくり大学院もいいですけど、こういうのは都市計画家や建築家がい
くら叫んでも、文化人が啓蒙活動してもダメです。かといって渋沢栄一の田園
調布とかハワードの田園都市構想の東急など実業家に頼る時代でもないしね。
ある程度規制や罰則も必要だと思いますが、まずは成功例をつくりたいですよ
ね。

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■■■  不動産ファイナンス・マガジン ■■■
発行:有限会社不動産金融工学研究所
URL   http://www.refe.co.jp/
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