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2009/12/04

「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第61号)

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   ◇◆◇◆ 「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第61号)  ◇◆◇◆
    ◇◆◇◆          (2009.12.04配信)         ◇◆◇◆
     ◇◆◇◆    http://www.hyogoben.or.jp/     ◇◆◇◆
                     発行:兵庫県弁護士会
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◆ 目次

◇ 夜間法律相談の実施について

◇ 今月の法律相談のページ

 「飼い犬が人をかんだら-賠償責任負う可能性高い」
                   執筆者:野口敦子 弁護士

 「知人から借金頼まれ-契約書作成が重要」
                   執筆者:岡田知之 弁護士

◇ ニュースの読み方
   ~マンションでのビラ配布~
                   執筆者:吉田邦子 弁護士

◇ 法廷のウラ・オモテ(9)
   ~覚せい剤事犯~
                   執筆者:藤本尚道 弁護士

◇ 編集後記

■□■□■□    夜間法律相談の実施について    ■□■□■□

            ~法律で解決できる悩みもあるのではないですか?~

 兵庫県弁護士会では、日曜日の夜間に下記のとおり弁護士と精神保健福祉士に
よる無料電話相談を実施します。どなたでもお気軽にご相談下さい。

◎電話番号◎
 0120-110-390(フリーダイヤル)
◎相談日時◎
 来年3月までの第2・第4日曜日 午後5時~午後9時
(12月13日・12月27日・1月10日・1月24日・2月14日・2月2
8日・3月14日)
◎相談料◎
 無料
◎主催◎
 兵庫県弁護士会(兵庫県委託事業)
◎相談内容◎
 解雇、多重債務、生活保護、家庭の問題などに無料で電話相談に応じます。
・派遣切り・雇い止めにあった
・借金を返済しているのに残高が減らない
・消費者金融にたくさん借金をしている。
・生活保護を受けたい
・夫の暴力から逃げたい、離婚したい
など


■□■□■□■□ 今月の法律相談のページ ■□■□■□■□

◇◆  「飼い犬が人をかんだら-賠償責任負う可能性高い」  ◇◆

                執筆者:野口敦子 弁護士
                  神戸新聞2009年10月6日掲載

Q:公園の柵に飼い犬をつないで、近くの店で買い物をしていました。その間、
飼い犬がなでようと近づいてきた女性をかんだようです。私に賠償する責任があ
りますか。

A:民法第718条第1項によると「動物の占有者は、その動物が他人に加えた
損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をも
ってその管理をしたときは、この限りではない」とされています。また同条第2
項によれば「占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う」ことに
なっています。
 相談者は女性をかんだ犬を飼っていたということなので、問題なく動物の占有
者又は管理者に該当します。とすると相談者が飼い犬について相当の注意をもっ
て管理をせずに女性に損害を与えてしまった場合には、女性への損害賠償責任が
発生することになります。
 問題は相談者が注意していたといえるかどうかですで、それは個々のケースに
よって異なります。
 今回の相談のように、つないでいた飼い犬が人にかみついたようなケースでは、
飼い犬が大型犬か小型犬か、どう猛な性格の犬であったかどうか、これまで人に
かみついたことはあったか、犬のつなぎ方やつないでいた用具に問題はなかった
か、つないでいた場所が自宅の敷地内か公の場所か、飼い主がすぐに犬のもとに
戻れる場所にいたか否かなどを考慮することになります。最近の裁判所の傾向と
しては飼い主の責任を安易に否定しない傾向が強いようです。
 今回のケースでは、飼い犬をつないでいた場所は、誰でも出入り可能な公園で、
相談者が現場を離れていたので、基本的には女性に対して相談者の損害賠償責任
が認められる可能性が高いといえます。ただし、女性がことさら犬を興奮させる
ような行動をして犬に近づいたような特別な事情があれば、過失相殺によって損
害賠償額の減額を主張できる場合もあるでしょう。


◇◆  「知人から借金頼まれ-契約書作成が重要」  ◇◆

                執筆者:岡田知之 弁護士
                  神戸新聞2009年10月20日掲載

Q:「100万円を貸して欲しい」と知人から頼まれました。困っているような
ので貸そうかと思うのですが、貸す際の注意点について教えてください。

A:お金を貸したが返済を受けられないことはよくあります。お金を貸す際には、
そのことを十分に認識する必要があります。その上で、貸すのであれば、返済を
受けられる可能性を少しでも高めるように注意することになります。
 そうした観点から契約書の作成が重要です。契約書を作成することで、借り主
に返済することをより意識させることができますし、裁判になった場合重要な証
拠になります。契約書の内容については、基本的には当事者に委ねられますが、
最低限、当事者、貸付額および返済期限などを契約書で明示しておくことが必要
です。なお、利息は法律上は発生しませんので、利息を請求するならば、その旨
の定めが必要です。
 知人との間では契約書を作成しないことが多いと思いますが、今回は金額が1
00万円と高額ですので契約書を作成しておくべきです。
 借り主が返済しない場合への対処方法としては、連帯保証人をつけることが考
えられます。貸し付けをする際は、連帯保証人となり得る人の有無を検討してお
くべきでしょう。
 任意の返済を受けられない場合には、法的手続きにより貸付金を回収する(強
制執行)ことになります。強制執行をするためには裁判などを経る必要があり、
相当な時間を要することがあります。
 そこで、強制執行を迅速に行うため、公正証書で契約書を作成し、支払いを怠
った場合には、強制執行を受けても異議がない旨の条項を入れるという方法があ
ります。迅速な貸付金の回収という観点からは、この方法を検討してみるのもよ
いでしょう。
 上記の配慮をしても、借り主や連帯保証人に財産がなければ、強制執行によっ
ても貸付金を回収することはできません。そのため、繰り返しになりますが、返
済を受けられない場合があることを十分に理解し、納得した上でお金を貸すこと
が大切です。


 ※「今月の法律相談」のページは、神戸新聞に毎月第1、3火曜日に掲載され
ている「くらしの法律相談」から、神戸新聞の了承を得て転載しています。
 なお神戸新聞のサイトは、 http://www.kobe-np.co.jp/ です。


■□■□■ ニュースの読み方 ~マンションでのビラ配布~ ■□■□■□
   
                執筆者:吉田邦子 弁護士

 政党ビラを配布するためマンションの共用部分に立ち入った行為について,住
居侵入罪が成立するとした最高裁判決が,平成21年11月30日,言い渡され
ました。本件では,政治ビラ配布目的の立入りを処罰することが憲法で保障され
た表現の自由の侵害になるかが争われましたが,最高裁は「表現の自由といえど
も無制約ではなく,他人の権利を害することはできない。管理組合の意思に反し
て立ち入ることは,住民の私生活の平穏を害する」と判断しました。

 本件は,一審無罪,二審有罪と判断が分かれていました。無罪というと「一審
は表現の自由を重視していたのか」と思われる方もあるかもしれませんが,一審
判決の判断枠組みとしては,そうでもないのです。そもそも,刑事裁判で,いき
なり憲法問題が争点となることはなく,まずは犯罪構成要件に該当するかが問題
となります。住居侵入罪(刑法130条)は,正当な理由がないのに,人の住居
に侵入する罪ですので,立ち入った建物が「住居」にあたるか,立入行為に「正
当な理由がない」のかについて判断されます。

 一審判決は,マンションの共用部分が「住居」に当たることを前提として,立
入行為を「正当な理由」がないとはいえないとして,住居侵入罪にはあたらない
としました。判決は,「政治ビラの配布が憲法21条で保障される行為とはいえ,
それだけを根拠に立入を正当化することは困難」とした上で,「(ポスティング
業者の存在や共同住宅への立入の実情等に触れ)ビラ配りのために共用部分に立
ち入る行為を処罰することについての社会通念が未だ確立されているとはいえな
い」「(商業ビラ配布を禁止する張り紙はあるが)政治ビラ配布目的の立入を含
む明確な立入禁止の表示がなされていない」等として,「正当な理由」がないと
はいえないと判断したのです。

 これに対し,二審判決は,「本件マンションのような集合住宅で用件のない部
外者の立入が広く認められているような社会情勢にない」「被告人も部外者の立
入が許容されていないことを認識していた」などとして,住居侵入罪が成立する
と判断しました。

 結局,犯罪の成否は,「社会通念」「社会情勢」をどうとらえるかによるとこ
ろが大きいようです。価値観が多様化する昨今,その判断はなかなか難しいかも
しれません。


■□■□■□ 法廷のウラ・オモテ(9)~覚せい剤事犯~ ■□■□■□

                執筆者:藤本尚道 弁護士

 今さらこんなことを言うと「後出しジャンケン」のように思われるかも知れま
せんが、私たち弁護士の業界では、元女優が子どもを預けて行方不明だった間、
彼女に対しても「逮捕状」が出るんじゃないか…などと、まことしやかに囁かれ
ていました。
 と言うのも、覚せい剤は「SEXドラッグ」としての側面が強く、夫婦や男女
関係にあるカップルの一方が覚せい剤使用容疑を受けた場合、他方のパートナー
も同じ容疑について「合理的な疑い」を受けてしまうのが業界常識だからです。
 この点、警察の方針も、たいへんハッキリしており、たとえば夫の覚せい剤使
用が発覚すると、妻に対する「尿検査」が当然のように実施されます。任意の検
査に応じなければ、令状を取って実施することもあるのです。従って、元女優に
も「尿検査」の試練が待ち受けていることは明々白々でした。それを見事にスル
リとかわして身を隠したのですから、「こりゃ彼女もクロじゃないのかぁ…」と
弁護士たちは直感したワケです。
 被告人の供述調書の中で、覚せい剤使用の動機等がどのように述べられるのか
は、まさに興味津々でありますが、意外にも真相に至る事実の記載はあまり出て
きません。もちろん、覚せい剤を使用する者の多くが「SEXドラッグ」として
使っていることは、私たちの業界では常識なのですが、この点をあまりに強調し
てしまうと、逆に一般人の興味をそそったり、いたずらに好奇心を刺激したりし
て、社会的に悪影響を与えてしまう面も否定できないからです。そのため「本当
のこと」をあまりオモテに出せないのが正直なところなんでしょう。
 最近、札幌弁護士会の副会長が覚せい剤所持で逮捕されたとの報道がありまし
た。その恐ろしさを熟知しているはずの弁護士までが…と絶句してしまいます。
再犯率が極めて高いことも、覚せい剤と縁を切ることの難しさを示しています。
さきほど発表された「平成21年版犯罪白書」によると、覚せい剤事犯の再犯率
はなんと56%で、とても尋常な数字ではありません。覚せい剤が「シャブ」と
呼ばれるのは「骨までシャブる」が転じて…と言うのもうなずけます。このよう
に覚せい剤の恐ろしさは私たちの想像をはるかに超えると言っても過言ではない
のです。
 そんなわけで保釈にも微妙な影響があります。証拠隠滅や逃亡のおそれがまっ
たくない事案であるにもかかわらず、覚せい剤事犯では「保釈中の再犯防止」や
「薬物からの強制隔離」というウラの判断(もちろんオモテ向きの理由は別なん
ですが)から、保釈請求が却下されることも珍しくありません。
 ちょっとした好奇心や、誰かに勧められて、あるいは「やせるクスリ」などと
騙されて覚せい剤に手を染めてしまい、その誘惑から逃れようとして苦悩し続け
ている人々もたくさんいます。やめること…ではなく、やめ続けることが難しい
と言われるのが、まさに「シャブ」の恐ろしさなのです。
 覚せい剤が私たち人間の身体を深く蝕むことは間違いありません。「人間やめ
ますか、覚せい剤やめますか」という有名な標語が、本当の「真実」を言い当て
ています。


■□■□■□■□    編集後記    ■□■□■□■□

 兵庫県弁護士会メルマガ通信第61号をお届けします。

 もう12月です。おおかたの紅葉も終わってしまいました。
 私が編集後記を書いている今日は朝から冷たい雨です。このような日にこそ、
定家のこの和歌です。
 
見渡せば花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕暮
                      藤原定家(新古今和歌集)

                                           (健)
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