2009/11/09
「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第60号)
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ◇◆◇◆ 「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第60号) ◇◆◇◆ ◇◆◇◆ (2009.11.09配信) ◇◆◇◆ ◇◆◇◆ http://www.hyogoben.or.jp/ ◇◆◇◆ 発行:兵庫県弁護士会 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ◆ 目次 ◇ ADR認証取得記念行事「紛争解決センターってなに?」の開催について ◇ 今月の法律相談のページ 「助手席で交通事故-運転の夫の過失が考慮される」 執筆者:圓井花織 弁護士 「夫と離婚する-養育費など公正証書に明記」 執筆者:酒井 浩 弁護士 ◇ ニュースの読み方 ~ETCのすり抜け行為~ 執筆者:藤井基安 弁護士 ◇ 法廷のウラ・オモテ(8) ~保釈(まとめ)~ 執筆者:藤本尚道 弁護士 ◇ 編集後記 ■□■□■□ ADR認証取得記念行事 ■□■□■□ ■□■□ 「紛争解決センターってなに?」の開催について ■□■□ 金銭トラブル・交通事故・近隣問題・解雇・離婚・相続・・・ 一人でお悩みじゃありませんか? 兵庫県弁護士会の紛争解決センターは あなたが抱える民事紛争の解決をサポートいたします! 皆さまは、兵庫県弁護士会の紛争解決センターをご存じでしょうか。 当センターは、平成13年から、"和解あっせん"と呼ばれる紛争解決手続を主 宰し、広く市民の皆さまの民事紛争の解決をサポートして参りました。 そして、昨年、いわゆるADR法の施行を機に、当センターは、法務大臣から 同法に基づく認証紛争解決事業者としての認証を受けました。 これを記念し、改めて、市民の皆さまに当センターを身近な存在として親しみ を持って頂きたいと考え、この度、認証取得記念行事を開催することにいたしま した。 多数の皆様のご参加をお待ちしております! ◎プログラム◎ 第1部 ビデオ上映 "和解あっせん"シミュレーション「まちがど奉行、参上!」 第2部 講演 講師・・・子守 康範 氏(フリーアナウンサー) MBSラジオ「子守康範 朝からてんコモリ!」 (月曜~金曜 朝5:00~8:00)パーソナリティなど ◎日時◎ 平成21年11月28日(土)13:00~15:00(開場:12:30) ◎費用◎ 参加無料(事前のお申込も不要です) ◎場所◎ 兵庫県弁護士会館 4階講堂 神戸市中央区橘通1-4-3 ※駐車場はございませんので、公共交通機関をご利用下さい。 ◎問い合わせ先◎ 兵庫県弁護士会事務局 TEL:078-341-7061 ■□■□■□■□ 今月の法律相談のページ ■□■□■□■□ ◇◆ 「助手席で交通事故-運転の夫の過失が考慮される」 ◇◆ 執筆者:圓井花織 弁護士 神戸新聞2009年9月15日掲載 Q:夫の運転する車の助手席で交通事故にあいました。相手は「夫にも過失があ る」という理由で、私の損害も夫の過失を考慮した割合でしか支払わないといい ます。私自身は運転していないのに、支払額を減らされるのでしょうか。 A:質問者は相手の過失で負傷したので,相手方に対し損害賠償請求することが できます。質問者自身に何らかの過失がある場合,その過失割合を考慮した額を 支払えばよいことになります(これを過失相殺といい,両者の公平性を保つため に認められています)。 ここで問題となるのは,質問者は何らの過失もなくとも運転していた夫には過 失があるときには,加害者である相手方に過失相殺が適用され、質問者への支払 額が減額されるのかということです。 結論としては,加害者は,質問者に対して運転していた夫の過失割合を考慮し た割合で支払えばよいことになります。 質問者である妻自身は運転をしていないことからこの結論に疑問を感じるかも しれません。しかし,本件の事故の責任は夫にもあるわけですから,質問者であ る妻の損害については相手方と夫が各自の過失割合に応じて賠償責任を負うこと になります。仮に,妻に対する賠償額に夫の過失割合を考慮せずに全額賠償が認 められたとしても,全額賠償した相手は,夫に夫自身の過失に応じた負担部分を 自らに支払うよう請求できる(これを求償といいます)わけです。 このように,損害全額を支払ってもらったとしても,夫が相手方の求償請求に 応じなければいけないのであれば,始めから夫の過失割合に応じた負担部分を差 し引いた額を支払われる方がよいということになるのです。 つまり,最終的に夫の支払うべき賠償金が夫婦共通の財布から出ていくのであ れば,夫の出費=家庭の出費=妻の出費となると考えてもよいので,妻自身に支 払うべき賠償額から夫の過失割合に応じた負担部分があらかじめ差引かれるので す。反対に,夫婦関係が破綻していて夫の出費=妻の出費とみなすことができな い場合には,質問者は相手方より全額賠償を受けることが可能となります。 ◇◆ 「夫と離婚する-養育費など公正証書に明記」 ◇◆ 執筆者:酒井 浩 弁護士 神戸新聞2009年9月29日掲載 Q:近々、夫と離婚する予定です。知人に相談すると、養育費などの約束につい て、公正証書を作っておいたほうがよいと言われました。どのような利点がある のでしょうか。 A:公正証書とは、公証人という法律の専門家が、契約の成立や、一定の事実関 係などについて、公に証明するために作成する文書のことをいいます。 離婚の際、養育費など金銭面の事柄についてもいろいろと取り決めをすること になりますが、このとき、養育費の支払い約束について公正証書を作成しておく と、次のようなメリットがあります。 まず、相手が養育費を支払わなくなってしまったときに、強制的に相手の財産 から支払わせることができます。たとえば、相手の給料を差し押さえたり、相手 の財産を競売にかけたりして、そこから養育費に相当するお金を回収することが できるのです。このように、相手が支払義務のあるお金を支払わない場合に、相 手の財産から強制的にそのお金を回収することを、強制執行といいます。通常は、 強制執行をするためには、裁判をして、勝訴判決をもらう必要があるのですが、 公正証書があれば、裁判をしなくても、強制執行をすることができるのです。 また、養育費の支払について公正証書を作っておけば、相手は自分の財産から 強制的に回収されることを恐れ、自分から支払うということも期待できます。 このように、公正証書には、相手が養育費を支払わない場合に、強制的に相手 の財産からお金を回収できる、また、相手が強制執行を恐れて、自分から支払う ことが期待できる、という大きなメリットがあるのです。 また、万が一公正証書を紛失してしまった場合でも、公正証書は、公証役場で 長期間保管していますから、この点でも安心です。 公正証書には、これまで述べたような大きなメリットがあります。離婚後の養 育費の支払いは、ご家族の生活を支える大切なものですから、確実に支払いが受 けられるように、その内容について公正証書を作成されておくことが有益です。 ※「今月の法律相談」のページは、神戸新聞に毎月第1、3火曜日に掲載され ている「くらしの法律相談」から、神戸新聞の了承を得て転載しています。 なお神戸新聞のサイトは、 http://www.kobe-np.co.jp/ です。 ■□■□■ ニュースの読み方 ~ETCのすり抜け行為~ ■□■□■□ 執筆者:藤井基安 弁護士 近時、高速道路の渋滞を緩和を主目的として、ETCが導入されました。ETCとは 正式名称Erectronic Toll Collection systemと言います。 本年には、「ETC機利用車両につき(一部)高速道路利用料1000円」とのETC休 日特別割引が適用されることとなり、一時的に車用品店ではETCが売り切れるとい う現象まで生じました。 さて、本日はETC関連のニュースについてお話します。 「ETCすり抜けで逮捕。不正通行1200回か。」 このニュースは「高速道路において、バイクでETCをすり抜けて(料金を支払わ ずに)通行したので逮捕された」というものですが、ETCをすり抜けることにより、 どのような法律違反となり、どの程度の処分が下されるのでしょうか。 本件において適用される法律は、刑法ではなく、道路整備特別措置法という法 律です。簡単に言うならば、「道路の管理と整備」について定めた法律です。同 法58条で「すり抜け行為」についての罰則が定められています。 では、ETCのすり抜け問題につき、なぜこのような特別法で処分が定められてい るのでしょうか。刑法で処罰できないのでしょうか。 ETCすり抜け行為の場合、入口及び出口でETCをすり抜けた者は利用料金支払い 債務を免れたことになり、詐欺罪に該当するとも考えられそうですが、ETCは無人 の機械的処理ですので、詐欺罪の構成要件である欺罔行為(及び錯誤)が存在し ないことになります。そうすると、ETCすり抜け行為は、刑法上不可罰である利益 窃盗と判断せざるをえません。 そのため、道路整備特別措置法でETCすり抜け行為の処罰を明確に定めたのでし ょう。ちなみにその法定刑は、30万円以下の罰金となっています。 ■□■□■□ 法廷のウラ・オモテ(7) ~保釈(まとめ)~ ■□■□■□ 執筆者:藤本尚道 弁護士 おっと、前々回に「あなたの運命やいかに」などと引っ張っておきながら、前 回のメルマガでは「保釈こぼれ話」の方が先に流れてしまいましたね。話の流れ がよくわからなかったよぉ…などと感じられた皆様方には、深くお詫び申し上げ ます。 さて、保釈の請求があったとき、裁判所は法定の除外事由がない限り保釈を許 可しなければなりません。これを「権利保釈」と呼んでいます。法定の除外事由 として挙げられているのは、(1)死刑、無期または短期1年以上の懲役・禁錮に当た る罪の場合、(2)前に死刑、無期または長期10年を超える懲役・禁錮に当たる罪で 有罪の宣告を受けた場合、(3)常習として長期3年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯 した場合、(4)罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある場合、(5)被害者や 証人などの身体・財産に害を加えたり、畏怖させると疑うに足りる相当な理由が ある場合、(6)氏名や住居が不明の場合…などです。 ただし、上記のような「除外事由」が存在しても、裁判所が保釈することを適 当と認めれば保釈を許可することができます。これを「裁量保釈」と呼んでいま す。 あなたの弁護人が保釈請求の手続を行うと、裁判所はまず検察官の意見を聞き ます。検察官がOKの意見なら問題なく保釈されますが、あなたのように容疑を否 認している被告人に対して、検察官は100%間違いなくNOの意見を出します。反対 する理由は「罪証隠滅のおそれあり」です。つまり、あなたは容疑を否認してい るわけですから、身柄の拘束を解いたら罪証隠滅行為を行う可能性が高いという のが検察官の意見なんですね。検察官は判で押したようにそう言ってきます。 裁判所もまた、否認している被告人の保釈は、おいそれとは認めてくれません。 被告人が事実関係を認めている場合ですら、「公判では事実関係を争わない」と の誓約書を提出させられた経験をもつ弁護士は、私だけではないでしょう。です から「否認していると保釈が却下される」という「噂」は、実はホントウなんで すね。 さて、時事通信の報道によると、刑事事件で起訴された被告人のうち、一審判 決前に保釈された割合(保釈率)が、2006年は8年ぶりに15%まで上昇したことが 最高裁の統計(速報値)で分かったそうです。保釈率のピークは1972年の58.4% でしたが、以後は2003年の12.6%まで減少していました。 また、保釈された被告のうち否認している割合は、1978年には16.7%あったそ うですが、2005年には最低の6.3%を記録したそうです。やはり「否認していると 保釈されない」という事実は、統計でも裏付けられた格好です。 保釈が認められない場合、前回に述べた経済的な問題もそうですが、弁護人と 被告人との打ち合わせにも大きな影響があります。勾留中の被告人と弁護人は、 拘置所などの接見室で公判に向けて打ち合わせや証拠書類のチェックなどを行い ますが、拘置所は遠いところにある場合が多いですし、接見時間も無制限という わけにはいきません。 この5月から「裁判員裁判」が始まりましたが、これからは、弁護人と被告人 による公判までの準備がますます重要になります。弁護人と被告人との意思疎通 を十分に保障するためにも、適切な保釈制度の運用が不可欠であることは言うま でもありません。 ■□■□■□■□ 編集後記 ■□■□■□■□ 兵庫県弁護士会メルマガ通信第60号をお届けします。 11月2日には関西でも高い山には雪が積もりました。例年よりも早い雪のた よりですが、一方で今年はエルニーニョ現象のために暖冬という予報もあります。 どんな冬になるのでしょうか。紅葉直前の秋の季節を楽しみながら。 さびしさはその色としもなかりけり 槙立つ山の秋の夕暮 寂連法師(新古今和歌集179) (健)



