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2009/08/21

「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第57号)

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    ◇◆◇◆ 「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第57号)  ◇◆◇◆
     ◇◆◇◆     (2009.8.21配信)      ◇◆◇◆
      ◇◆◇◆  http://www.hyogoben.or.jp/  ◇◆◇◆
             発行:兵庫県弁護士会
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 ◆ 目次
 
 ◇ 2009年度子どもの権利・全国イベントのお知らせ
 
 ◇ 今月の法律相談のページ
 
  「内定取り消し-和解金の支払いで解決多い」
                    執筆者:坂本幸子 弁護士
 
  「妻の借金、夫に返済義務?-「日常家事」なら返済義務」
                    執筆者:木下雅之 弁護士
 
 ◇ ニュースの読み方
   ~薬物犯罪~
                    執筆者:森川 拓 弁護士
 
 ◇ 法廷のウラ・オモテ
   ~取調べの可視化~
                    執筆者:藤本尚道 弁護士
 
 ◇ 編集後記
 
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 ■□■□■□2009年度子どもの権利・全国イベント□■□■□■
 
       「少年事件裁判員裁判シミュレーション」
          -この子はどうなる?-
                                                                        
  本年5月から、国民の司法参加を実現するため「裁判員裁判」が実施されます。
  これまでのマスコミなどの報道を見ると、「成人の刑事事件について、裁判員
 裁判が始まるとどうなるのか?」ということについて議論されているのが大部分
 です。
  しかし、「少年の重大事件」についても「裁判員裁判」は実施されます。
  少年事件には、単に少年を罰するのではなく、「少年の健全な育成」を図ると
 いう「保護主義」の理念が働いています。少年法の理念は「裁判員裁判」であっ
 ても変わるものではありません。
  少年の重大事件について、「裁判員裁判」を行った場合、どのような問題がお
 こりうるのでしょうか?裁判員の皆様に少年法の理念を理解してもらうにはどう
 すればよいのでしょうか?
  これまで余り議論されてこなかった「少年事件裁判員裁判」について、兵庫県
 弁護士会所属弁護士が劇によるシミュレーションを行った上で、その課題につい
 て皆様と一緒に考えてみたいと思います。
  是非多数の皆様のご参加をお待ちしております。
                                    
 ◎内 容◎ 
 第1部  少年事件裁判員裁判シミュレーション
        「この子はどうなる?」
            出演:兵庫県弁護士会所属弁護士
 第2部  第1部解説
                解説者:野口善國弁護士(兵庫県弁護士会所属)
 第3部  パネルディスカッション「少年事件裁判員裁判の課題」
                パネリスト:兵庫県弁護士会所属弁護士など
 ◎日 時  
 平成21年8月22日(土)
  午後1時から3時30分
 (開場:午後0時30分~)
 ◎場 所◎
 兵庫県弁護士会館 4階講堂
 神戸市中央区橘通1-4-3
    JR神戸駅・高速神戸駅・地下鉄大倉山駅 より徒歩5分 
 (駐車場はございませんので、公共交通機関をご利用の上お越しください)
 ◎参加費◎
 無料(事前申込みも不要です)
 ◎主催・問い合わせ先◎
 兵庫県弁護士会(日本弁護士連合会共催)
 お問い合せ先  TEL078-341-7061(兵庫県弁護士会)
 
 
 ■□■□■□■□ 今月の法律相談のページ ■□■□■□■□
 
 ◇◆  「内定取り消し-和解金の支払いで解決多い」  ◇◆
 
                 執筆者:坂本幸子 弁護士
                   神戸新聞2009年6月2日掲載
 
 Q:企業から内定を得ていましたが、不況を理由に、内定が取り消されてしまい
 ました。そのため、大学を留年し、再度就職活動をしています。
  内定を取り消した企業に対し、何か請求できるのでしょうか。
 
 A:採用内定者の取り消しを考える場合、まず、採用内定者と会社の間に労働契
 約が成立しているかが問題になります。
  会社ごとに採用内定事情が違いますので、労働契約の成立時期は、個々の事情
 を見て判断されることになります。
  一般的には、学生の申込に対して会社が内定通知を出すと、学生が提出する内
 定承諾書や誓約書と相まって、採用内定者と会社の間に、卒業できない場合など
 に解約権を留保した労働契約(始期付解約権留保付労働契約)が成立すると判断
 される場合が多いようです。始期付というのは、初出社日を就労の始期とすると
 いう意味です。
  このような関係にある場合、卒業までの在学期間であっても、採用内定者は、
 法律上、労働者として扱われます。内定取消は解雇と同様に考えられますので、
 会社は、採用内定者との合意や正当な理由がない限り、内定を取り消すことはで
 きません。
  相談者は、不況を理由として採用内定を取り消されています。これが正当な理
 由があるといえるかどうかですが、会社が経営努力を尽くしたのでなければ、正
 当な理由にはならないと考えられます。
  そこで、相談者は採用内定取消が無効であることを主張して、会社で働けるよ
 う交渉したり、出社予定日から支払われる予定だった賃金相当額や慰謝料等の損
 害賠償の支払いを求めて交渉したりすることが考えられます。
  しかし、会社で働くことを求め、それが認められても、入社後周囲とうまくや
 っていけるのか不安が残ります。そのため会社が採用内定者に和解金を支払うこ
 とで、採用内定取り消し問題を解決することが多いのが実情です。
  当事者の話し合いでは解決が難しい場合、労働局のあっせん手続や、弁護士会
 のあっせん手続き、裁判所の労働審判手続きを利用して、第三者を交えて話し合
 い、解決する方法もあります。一度、労働局が設置している相談センター、弁護
 士会、法テラスなどの各種相談窓口で相談することをお勧めします。
 
 
 ◇◆「妻の借金、夫に返済義務?-「日常家事」なら返済義務」◇◆
 
                 執筆者:木下雅之 弁護士
                   神戸新聞2009年6月16日掲載
 
  夫婦は家族の生活を維持するために、生活必需品の購入などさまざまな行為を
 する必要がありますが、例えば、妻が日用品を買った場合に、夫が「妻がしたこ
 とであって私は知らない」といって代金を支払わないようであれば、特に妻が専
 業主婦で収入がない場合など、相手の人は困ってしまいます。
  そこで、法律は日常の家事に関する行為について夫婦の連帯責任を定めていま
 す。
  すなわち、妻がした日用品の購入などは、夫のためでもありますので、相手の
 人は夫に対しても代金の支払を求めることができることができます。
  では連帯責任を負うこととなる「日常家事」に関する行為とは、具体的にどん
 な行為を指すのでしょうか。
  この点、夫婦の家計は家庭によりさまざまなため、いくらまでの買物や借入で
 あれば「日常家事」の範囲内だということを法律で一律に定めておくことはでき
 ません。
  結局、「日常家事」にあたるか否かは、その夫婦の財政状態などを考慮して個
 別に判断されます。一般的には、家庭用の食料品や衣料品の購入、光熱費、医療
 費の負担などは「日常家事」の範囲内であると解されます。
  ご質問のケースでも、妻のした200万円の借金が「日常家事」にあたるか否
 かが問題となります。この点、一般的な家庭においては、200万円もの高額の
 借金が日常的に必要となることは稀であると考えられますので、「日常家事」に
 はあたらないと考えられるでしょう。
  したがって、ご質問者は知人からの請求に対し支払いを拒むことができます。
  もっとも、この場合でも、妻が子どもの入院医療費など適当な名目を示して知
 人に借金を依頼し、知人も今回の借金が日常家事の範囲内の行為であると信じた
 ことにつき正当性が認められるような場合には、夫にも借金返済の責任が認めら
 れることがあります。
 
 
  ※「今月の法律相談」のページは、神戸新聞に毎月第1、3火曜日に掲載され
 ている「くらしの法律相談」から、神戸新聞の了承を得て転載しています。
  なお神戸新聞のサイトは、 http://www.kobe-np.co.jp/ です。
 
 
 ■□■□■□■ ニュースの読み方 ~薬物犯罪~ ■□■□■□■□
 
                 執筆者:森川 拓 弁護士
 
  最近,薬物犯罪による芸能関係者の逮捕が相次いでいます。そこで,最近の薬
 物犯罪の状況についてご説明します。
  まず,薬物犯罪といっても,規制する法律は一つではなく,覚せい剤取締法,
 大麻取締法,麻薬及び向精神薬取締法,あへん法など,複数の法律によって規制
 されています。
  警察庁の発表によれば,平成20年の検挙人員は,覚せい剤事犯が1万102
 5人,大麻事犯が2758人となっています。覚せい剤事犯の検挙人員は,全薬
 物事犯の77.2パーセントであり,薬物問題の中心となっています。また,大
 麻事犯の検挙人員は過去最高値となっています。
  これら薬物犯罪の怖い点の一つは,一度でも使用してしまうと,止めたくても
 止められない危険が高いという点にあります。特に覚せい剤の場合その傾向は明
 らかで,上記検挙人員のうち56.1パーセントが再犯者です。私たち弁護士が
 薬物犯罪の弁護をする際に,同じ前科のある方から依頼を受けることも少なくあ
 りません。
  ですから,薬物と関わりを持たないことが,何より重要です。また,既に薬物
 に依存してしまって,自分の意志だけでは止められないという場合には,医療機
 関の他に,薬物依存者の回復を目的とした民間団体も存在しますので,このよう
 な第三者の援助を受けることも考えるべきです。
  ところで,社会一般,特に若者に多大なる影響を持つ芸能関係者が,薬物犯罪
 を犯すことについては強く批判されるべきです。ただ,一度過ちを犯したとして
 も,薬物依存と戦っている方々に,自らの努力,周囲の援助により,薬物と縁を
 切ることが可能と示すためにも,再度芸能界で頑張って頂きたいとも個人的には
 思います。
 
 
 ■□■□■□ 法廷のウラ・オモテ ~取調べの可視化~■□■□■□
 
                 執筆者:藤本尚道 弁護士
 
  前回「取調べの可視化」の問題に少し触れましたが、今回はその続きです。
  ご存じのとおり、我が国の「冤罪」は、密室での過酷・強引な取調べによって
 「虚偽の自白」が作出されることが原因となっています。「やってもない人がど
 うして自白するの?」という素朴な疑問を持つ人もいますが、あまたの冤罪事件
 はいずれも「虚偽の自白」を引き出した捜査員の「手腕」のたまものなのです。
 皆さんの記憶に新しいところでは、「足利事件」や「志布志事件」でも、正に
 「虚偽の自白」が出来上がっています。
  だからこそ、「取調べの全過程を録画すべきだ」という私たち弁護士会の主張
 には合理的な理由があるのですが、警察も検察もこのような取調べの適正化の徹
 底には非協力的です。警察や検察が録画して残すのは、「自白調書」の内容を確
 認して、被疑者が署名・押印(指印)をしている場面だけなのです。例えるなら、
 出来上がった料理は見せるが、料理の過程やレシピは企業秘密だというのと同じ
 です。
  実際に、私が弁護を担当し、いま正にリアルタイムで進行している刑事事件で
 も、被疑者が暴力的・脅迫的な取調べを受け続けています。もちろん被疑者を直
 接殴ったりはしませんが、机を叩いたり、椅子を蹴ったり、頭ごなしに大声で怒
 鳴ったりして被疑者を威嚇する捜査手法は、いまだに存在しているのです。信じ
 られますか?
  このような暴力的・脅迫的取調べで、精神的にボロボロになった被疑者は自暴
 自棄になって、早くこの場を逃れたい、早く眠らせて欲しいといった思いから、
 間違った内容の供述調書にサインしてしまうのです。
  これは、いまだに警察や検察が「自白獲得」に偏重した捜査手法を改めようと
 しないことを意味します。地道な捜査によって、客観的証拠や状況証拠を積み上
 げたうえ、さらに科学的捜査による裏付けを怠らないようにするのは、確かに手
 間ひまのかかる捜査手法でしょう。
  しかし、適正な手続による真相解明が刑事裁判の使命であり、折しも裁判員裁
 判制度が導入されて、裁判所に「新しい風」が吹く御時世なのですから、警察や
 検察も、江戸時代から連綿と続く「自白偏重型裁判」とはきっぱり別れを告げて、
 密室での取調べという「ブラック・ボックス」を手放して欲しいものです。
  そのためには、警察や検察もすぐさま「取調べの全過程録画」を開始すべきで
 す。必要な機械装置は既に揃っているわけですから、その気になれば、今日から
 でもすぐに出来るはずなんですが…。
  「取調べの全過程録画」は、数多くの先進国が導入しており、「世界標準」と
 さえ思える至極当然の手続です。しかし、この点に関して我が国はまだまだ「発
 展途上国」で、本当に恥ずかしいことだと私は感じています。
 
 
 ■□■□■□■□    編集後記    ■□■□■□■□
 
  兵庫県弁護士会メルマガ通信第57号をお届けします。
  なかなか梅雨が空けませんでした。ある気象研究者によると、2008年は2
 1世紀に入ってから最も地球規模での平均気温が低かったそうです。果たして地
 球は温暖化しているのか、寒冷化しているのか。
  異常気象だといいながら、季節は確実に移ろいます。夏の終りに風情を感じて
 頂きたく、なんとか歌を探してみました。
 
  秋近きけしきの森に鳴く蝉の涙の露や下葉染むらん
 
                       後京極摂政(新古今和歌集)
 
                                           (健)
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