2009/07/17
「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第56号)
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ◇◆◇◆ 「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第56号) ◇◆◇◆ ◇◆◇◆ (2009.7.17配信) ◇◆◇◆ ◇◆◇◆ http://www.hyogoben.or.jp/ ◇◆◇◆ 発行:兵庫県弁護士会 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ◆ 目次 ◇ 「憲法についての懸賞作文」募集のお知らせ ◇ 夏休み「裁判傍聴会」のお知らせ ◇ 今月の法律相談のページ 「ネットショッピング-誤って注文、返品できるか」 執筆者:中西大樹 弁護士 「弟が傷害事件の加害者に-被害者にも国選弁護人可能」 執筆者:金子敬之 弁護士 ◇ ニュースの読み方 ~落書き~ 執筆者:坂口裕昭 弁護士 ◇ 法廷のウラ・オモテ ~取調べと自白~ 執筆者:藤本尚道 弁護士 ◇ 編集後記 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ■□■□■□ 「憲法についての懸賞作文」募集のお知らせ ■□■□■□ 当会では、毎年、日本国憲法への理解を深め、また、憲法を巡って行われてい る様々な議論について、市民の方々と一緒に考えるための企画として、憲法にか かわる市民集会を実施しております。 また、この市民集会に併せて、一昨年より一般の市民の方々や学生、小中高校 生の生徒の方々を対象に「憲法についての懸賞作文」を募集しており、小学生か らご高齢の方まで多数のご応募をいただいております。 今年も10月17日(土)に、憲法について市民の皆さんと一緒に考えるため の集会の開催を予定しており、この市民集会にあわせて、より多くの市民や児童、 生徒、学生の方など若い方も含めた多くの方に憲法に関心を寄せて頂くための企 画として、「憲法についての懸賞作文」を下記の要領で募集いたします。 テーマは、「憲法・人権・平和」としていますが、人権・平和の問題、憲法改 正の是非、自分自身の人権や憲法にかかわる具体的な体験談、憲法と身近な話題、 例えば生活保障と憲法、教育を受ける権利と憲法など、日本国憲法にかかわる内 容でしたら何でも自由です。また、憲法にかかわる書籍(子ども向けの本など種 類は問いません)についての読書感想文でも構いません。 なお、憲法について、分かりやすく書かれた絵本「憲法って、何だろう?」が、 日本弁護士連合会から発行されていますので、作文応募の参考にしたいというご 希望がありましたら、下記問い合わせ先までご連絡下さい。無料でお送りさせて いただきます。 日頃、皆さんが日本国憲法について考えていらっしゃること、これを機会に考 えたことなど、どしどしお寄せ下さい。 多数の皆さんのご応募をお待ちしております。 ~募集要領~ 1 テーマ 「憲法・人権・平和」 日本国憲法にかかわる内容でしたら自由です。読書感想文でも構いません。 作品には、それぞれご自身でタイトルをつけて下さい。 2 表彰 作品を審査の上で、最優秀賞・優秀賞として10名程度の方を表彰します。 賞品として、最優秀賞には3万円相当の図書カード、優秀賞には1万円相当の図 書カードを差し上げます。 また、応募数によって、生徒、学生、一般など部門を分けて表彰することもあり ます。 3 応募資格 特に制限はありません。 小中高校生、学生の方など若い方もどしどしご応募下さい。 4 応募方法 作品の冒頭に住所、氏名、年齢、電話番号を明記。生徒、学生の方は、学校名と 学年(大学生の方は学部も)を明記下さい。 また、優秀な作品につきましては、弁護士会が作品を発表することがありますの で、発表時に匿名を希望される場合には、応募の際にその旨を明記下さい。 5 字数 800字から2000字程度まで(400字詰め原稿用紙2枚~5枚程度) 手書きの原稿も可ですが、手書きの場合には原稿用紙に記入下さい。 6 応募先と応募方法 郵送の方は、次の住所まで封書でお願いします。 〒650-0016 神戸市中央区橘通1丁目4番3号 兵庫県弁護士会 懸賞作文係 ※ メールでの応募も受け付けます。下記の応募受付専用アドレスまでお願いし ます。なお、作品は添付ファイルにて送信下さい。 アドレス sakubun@hyogoben.or.jp 7 締切 2009年(平成21年)9月25日必着。 メールでの応募の場合には、9月25日受信分まで有効です。 8 審査結果の発表 入賞者には、本年10月上旬頃に個別にご連絡を差し上げます。また、憲法集会 後に兵庫県弁護士会ホームページに入賞作品を掲載します。(予定) 9 表彰式 入賞者は、2009年(平成21年)10月17日(土)午後1時からの市民集 会の中で表彰し、また、当日集会内で、会場において受賞作品を発表します。 ※2008年度の作文の入賞作品は弁護士会のホームページでご覧頂けます。 http://www.hyogoben.or.jp/topics/index-2008-1027.html ・応募の際の注意 (1) 応募作品は未発表のものに限ります。 (2) 応募頂いた作品はご返却できませんのでご了承下さい。 (3) 入賞作品の著作権は、主催者に帰属します。 (4) 優秀な作品につきましては、弁護士会が作品を発表することがありますの で、発表時に匿名を希望される場合には、応募の際にその旨を明記下さい。 (5) 応募にあたり記載していただいた個人情報は、入賞者への連絡、副賞等の 発送のためにのみ利用し、ご本人の同意無しに第三者に開示・提供することはあ りません。 【本件に関するお問い合わせ先】 兵庫県弁護士会 憲法問題委員会担当 電話:078-341-7061 ■□■□■□■□ 夏休み「裁判傍聴会」のお知らせ ■□■□■□■□ 兵庫県弁護士会では広く市民の方々に裁判制度や弁護士活動を理解していただ くため、「裁判傍聴会」を開催しております。 夏休みの期間には、下記の日程で・中学生・高校生を対象にした裁判傍聴会を 行います。 当日は、弁護士が法廷に同行し裁判手続等について解説をします。ご希望の方 は兵庫県弁護士会までお申し込み下さい。(費用無料) (開催日時) (1)平成21年7月28日(火)午前9時15分~午後13時 (2)平成21年8月20日(木)午前9時15分~午後13時 (集合場所) 兵庫県弁護士会館(本館)3階会議室 ◎実施要領◎ 裁判傍聴日に当会館へお越し頂き、裁判手続等について1時間程度の事前説明 の後、当会所属の弁護士が裁判所にご案内します。 午前10時から2時間、刑事事件の裁判を傍聴します。(法廷の都合上時間が 多少前後することがあります。) 傍聴終了後は、傍聴した事件の解説、質疑応答を行います。 ◎対 象◎ 中学生・高校生 18名まで * お1人からでも応募できます。 * 応募者多数の場合は抽選になります。 * 参加お申し込みが、2名以下の場合は中止させて頂きます。ご了承下さい。 ◎申込方法◎ 住所・氏名・年齢・性別・学校名(学年)・電話番号と傍聴を希望する開催日を 記入のうえ、(1)~(3)何れかの方法でお申し込み下さい。 (1)はがき、(2)当会館受付に備え付けの傍聴申込書 (3)電子メール(bengoshikai@hyogoben.or.jp)※件名を「裁判傍聴希望」と明記下 さい。 詳細については別途ハガキでご通知いたします。 なお、お知らせいただいた個人情報につきましては、裁判傍聴会の 開催に必要な範囲でのみ使用し、ご本人の同意なしに第三者に 開示・提供することはありません。 ◎応募締切◎ 開催日の8日前(必着) ◎申込み連絡先◎ 〒650-0016 神戸市中央区橘通1-4-3 兵庫県弁護士会 司法問題対策委員会 TEL 078-341-7061 ■□■□■□■□ 今月の法律相談のページ ■□■□■□■□ ◇◆ 「ネットショッピング-誤って注文、返品できるか」 ◇◆ 執筆者:中西大樹 弁護士 神戸新聞2009年5月5日掲載 Q:自宅で食べるために,海産物を扱う業者のホームページから干物を注文しま した。4枚注文するつもりが,誤って40枚注文してしまいました。返品はでき るでしょうか。 A:結論から言えば,本件のようにネットショッピングで誤った注文をした場合, 必ず商品の返品が認められるとは限りません。 「クーリング・オフ制度を利用すれば?」と考える方もいるかと思いますが,そ れには少し誤解があり注意が必要です。 というのも,そもそも本件のような日用食料品のネットショッピングには,い わゆるクーリング・オフ制度が存在しないのです。 従って,返品できるかどうかは,返品の可否に関する業者の表示に従うことに なります。つまり,購入画面に返品不可の表示がある場合には,返品はできませ ん。 一方,ネットショッピングでは表示の見落としやミスクリックがあり得ます。 このような場合,契約締結について錯誤無効を主張することになります。 ネットショッピングでは、購入者の勘違いや操作ミスに重大な不注意があって も、業者が購入者向けに意思確認画面などで操作ミスの防止措置を執らない限り、 錯誤無効が認められます。そのため、ネットショッピングの大半は、注文内容を 再確認する画面が表示されるようになっています。 重要なのは,購入者に注文内容について勘違いなどがあったとしても,重過失 (重大な不注意)がある場合には,契約の無効が認められないのが民法上の原則 です。 本件では,最初の購入画面で干物を「4枚」しか購入していないと勘違いし, 再確認の画面で,干物の購入枚数が「40枚」と表示されているのに再度「注文」 ボタンをクリックした場合には,購入者に重大な不注意があり,錯誤無効を主張 することは困難となります。 ネットショッピングを楽しむ場合には,(1)返品に関する表示の確認,(2)再確認 の画面で契約内容をもう一度確認することをお勧めします。 ◇◆「弟が傷害事件の加害者に-被害者にも国選弁護人可能」◇◆ 執筆者:金子敬之 弁護士 神戸新聞2009年5月19日掲載 Q:弟が傷害事件の被疑者として逮捕されました。被害者との示談交渉を依頼し たいのですが,起訴される前でも国選弁護人をつけてもらうことはできるのでし ょうか。 A:被疑者国選弁護制度というものがありますので、それについて紹介します。 以前は、国選弁護人は被疑者の起訴以降しかつきませんでしたが(「被告人国 選弁護人」と呼びます。)、平成18年以降、一定の犯罪については、起訴前の 段階から国選弁護人をつけることを請求できるようになりました(「被疑者国選 弁護人」と呼びます。)。 この制度ができた当初は、殺人、傷害致死、強姦、強盗など一定の重大犯罪に 限り、被疑者国選弁護人をつけることができました。その後、ほかの犯罪につい ても被疑者国選弁護人をつけられるようにすべきとの声が高まり、暴行、器物損 壊、住居侵入など一定の軽微な犯罪を除き、被疑者国選弁護人をつけられること になりました。 裁判員制度が始まる今年5月21日以降は、傷害、窃盗、業務上過失致死、詐 欺、恐喝など多くの犯罪について被疑者国選弁護人をつけることができます。 これらの犯罪については、被疑者に弁護士を雇う資力がない場合、拘置(逮捕 に引き続いてなされる身体拘束。刑事訴訟法では勾留といいます)後に請求すれ ば、被疑者国選弁護人がつきます。資力がないというのは、持っている現金や預 金等の財産が50万円未満であるという意味です。 ただし、被疑者国選弁護人は勾留後しかつきませんので、逮捕されてもすぐに は国選弁護人をつけるように請求することはできません。また、被疑者が請求し ないと被疑者国選弁護人はつきません。 弟さんは傷害容疑で逮捕されたということですので、現金や預金などの財産が 50万円未満であれば、拘置後に請求すれば被疑者国選弁護人をつけることがで きます。被害者との示談交渉については、被疑者国選弁護人に依頼すればよいで しょう。 ※「今月の法律相談」のページは、神戸新聞に毎月第1、3火曜日に掲載され ている「くらしの法律相談」から、神戸新聞の了承を得て転載しています。 なお神戸新聞のサイトは、 http://www.kobe-np.co.jp/ です。 ■□■□■□■ ニュースの読み方 ~落書き~ ■□■□■□■□ 執筆者:坂口裕昭 弁護士 世界遺産にも登録されている姫路城で多数の落書きが見つかり、関係者が修復 の方法や今後の対応に苦慮している、との報道を目にしました。 姫路市が今年3月に行った調査では、国宝に指定されている天守群の内部や、 国の重要文化財に指定されている西の丸「百間廊下」への落書きを含め、600 カ所を超える落書きが見つかりました。また、今年4月1日から5月末まで特別 公開されていた国宝・乾小天守の窓枠から新たに3カ所の落書きが見つかったり、 6月に大天守南側広場の樹木から約30カ所の落書きが見つかるなど、姫路城で の落書きは後を絶たない状態になっているようです。 世界遺産と落書き、という観点からしますと、1年ほど前に、イタリア・フィ レンツェ歴史地区内の大聖堂で日本人による落書きが相次いで発見されたことが 報道され、その後の対応を含めて大きな社会問題になったことも記憶に新しいと ころです。 これらのような歴史的な建造物への落書きに関する報道も多々ありますが、こ のほか、民家や店舗の壁面、電車の車両などへの落書きも含めますと、落書きに 関する報道は枚挙にいとまがありません。 それでは、落書きという行為については、モラルの問題は別にして、どのよう な法的責任が問題となりうるのでしょうか。 刑事上の責任については、まず、軽犯罪法(1条33号)違反が問題となり、 拘留又は科料に処せられる場合があります。 落書きの程度が著しく、建造物その他の物の効用を害する程度にまで至ってい る場合は、建造物損壊罪(刑法260条)や器物損壊罪(刑法261条)に問わ れることもあり、前者であれば5年以下の懲役、後者であれば3年以下の懲役又 は30万円以下の罰金若しくは科料に処せられる場合があります。たとえば、公 園の公衆便所の壁ほぼ全面にラッカースプレーを用いて落書きがなされ、当該落 書き行為が建造物の「損壊」にあたるものと判断された事案があります。また、 電車の車両の側面いっぱいに落書きがなされたような事案で器物損壊罪の成立が 認められています。 そして、冒頭で紹介したような重要文化財や史跡名勝天然記念物などに落書き がなされた場合には、文化財保護法違反(195条1項、196条1項)に問わ れ、5年以下の懲役若しくは禁固又は30万円以下の罰金に処せられる可能性が あります。 その他、落書き行為それ自体については、自然公園法や地方公共団体が定める 条例等に基づいて刑事上の責任を問われる場合もありますし、落書きの内容によ っては、名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(刑法231条)が成立する可能 性もあります。さらに、先に挙げた電車の車両への落書きにより、電車が運休す ることになってしまったような場合などには、威力業務妨害罪(刑法234条) の成立が問題となる場合もあります。 また、刑事上の責任とは別に、民事上の不法行為責任(民法709条以下)も 追及される可能性があります。 落書きを消去するために要した費用はもちろんのこと、落書きによって業務に 支障が生じた場合の損害や慰謝料等についても金銭的な負担を求められる可能性 があります。 スプレー等でなされた落書きを消去したり、歴史的な建造物になされた落書き を消去するためには、想像以上に多大な労力と多額の費用がかかりますので、民 事上の責任も軽視できるものではありません。 いずれにせよ、ほんの軽い気持ちで行った落書き行為が、個人のモラルの問題 を超えて、大きな法的責任問題に発展することもあるということを、今一度、確 認しておく必要があるのではないでしょうか。 ■□■□■□ 法廷のウラ・オモテ 取調べと自白~■□■□■□ 執筆者:藤本尚道 弁護士 「お役人様、あっしが殺りました。お縄を頂戴いたします」 時代劇では潔く 罪状を認めて両手を差し出す場面がありますが、現代の捜査現場ではそう簡単に いくはずもありません。 否認あるいは黙秘している被疑者に対し、あらゆる手練手管を駆使して「自白」 を獲得することが、捜査員の「手腕」と言われてきました。「自白」とは、被疑 (容疑)事実を認める供述のことですが、被疑者の言い分を記録した供述調書の うち「自白」が含まれるものを特に「自白調書」と呼んでいます。 この「自白調書」は、起訴された被告人の有罪を決定づける重大な証拠であり、 従来から「自白は証拠の王様」とも言われてきました。江戸時代の「お白州」で も、下手人が「おそれいりました」と言って罪状を自認することが、あたりまえ の形だったようです。 ただし、現代では「自白調書」を有罪の証拠とするためには条件があります。 例えば、被疑者に拷問を加えて「私がやりました」と言わせて自白調書を作成し ても、これが「まともな証拠」じゃないことは誰の目にも明らかでしょう。そこ で「自白調書」を証拠にするための条件として、自白に「任意性」があることが 求められています。つまり、暴行・脅迫などといった強制がまったくない状況で、 被疑者自身が任意に被疑事実を認める供述をすることが必要とされるのです。 それでは、どうすればこの「任意性」を明らかにすることができるでしょう。 答えは簡単です。取調べの全過程をビデオ録画しておけばよいのです。後で「自 白調書」の「任意性」が問題となった場合、この録画記録を検証すれば、取り調 べの方法や自白した際の状況に問題がないかどうかが明確に判るからです。この ような方策は、耳慣れない言葉ですが「取調べの可視化」と呼ばれています。 ■□■□■□■□ 編集後記 ■□■□■□■□ 兵庫県弁護士会メルマガ通信第56号をお届けします。 そろそろ梅雨が明けたようで、クマゼミの声が聞こえてきます。 これまで古今集を中心に平安時代の歌集から私の気に入った短歌を紹介してき ましたが、古今集などの王朝和歌集には真夏を詠んだ歌がほとんどありません。 これはどのような理由からでしょうか。王朝歌人たちも、夏の暑さにへたって歌 も詠めなかったのでしょうか。それとも暑いだけの真夏は歌心を刺激しなかった のでしょうか。 そんなこんなで今月は短歌の紹介はおやすみです。 (健)


