2009/06/03
「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第54号)
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ◇◆◇◆ 「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第54号) ◇◆◇◆ ◇◆◇◆ (2009.6.03配信) ◇◆◇◆ ◇◆◇◆ http://www.hyogoben.or.jp/ ◇◆◇◆ 発行:兵庫県弁護士会 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ◆ 目次 ◇ 市民の皆様へ〜平成21年度役員就任のご挨拶 ◇ 今月の法律相談のページ 「内縁関係の夫の遺産−特別縁故者として分与請求」 執筆者:杉浦健二 弁護士 「介護施設で骨折−施設側に過失あれば賠償責任」 執筆者:奥見 司 弁護士 ◇ ニュースの読み方 〜公然わいせつ罪〜 執筆者:藤井基安 弁護士 ◇ 法廷のウラ・オモテ 〜裁判官の「法服」〜 執筆者:藤本尚道 弁護士 ◇ 編集後記 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ■□■□■□ 市民の皆様へ〜平成21年度役員就任のご挨拶 ■□■□■□ 〔 会長 春 名 一 典 〕 平成21年度の会長に就任しました春名一典(はるな かずのり)です。 いよいよ5月から裁判員裁判が始まります。重大事件について、プロの裁判官 と市民が、対等の立場で審理に加わり評議をし、判決の言い渡しにも立ち会いま す。裁判員に選ばれた方々には大変ご苦労をお掛けしますが、「わかりにくい」 と言われる裁判に、主権者である市民の感覚と意見を反映して「わかりやすい」 裁判にしようという、この制度の趣旨をご理解下さい。私ども、弁護士・弁護士 会も裁判員裁判が適切に運用されるよう、基本的人権を擁護し、社会正義を実現 する立場から力を尽くしたいと思います。 また、県下のあらゆる地域と分野で市民や事業者の皆様からのリクエストに応 え、各種の法的サービスを提供していきたいと思いますので、どうぞ弁護士会を ご利用下さい。 〔 副会長 宇 陀 高 〕 副会長の宇陀高 (うだ たかと ) です。 私は、職員人事委員会、財務問題検討委員会、選挙委員会など、主として弁護 士会内部の会員、職員、会計などの分野を担当いたします。 その他、広報委員会、 業務広告調査委員会、司法問題対策委員会、法教育委員会、法曹人口問題プロジェ クトチームなどの委員会を担当いたします。 兵庫県弁護士会としましても各種行事の広報に力を入れているところでありま すが、市民シンポジウムをはじめとして市民の皆様にもご参加いただける行事を 開催することもあります。そのような場合にはぜひ多くの市民の皆様にご参加下 さいますようお願いします。 特に法曹人口問題につきましては昨年度もシンポジウムを開催し、大変多くの 市民の皆様にご参加いただき、ありがとうございました。法曹人口問題は、法曹 の人数、ことに私ども弁護士の人数をどうするかという重要な問題ですし、また 私ども法曹、弁護士の内部の問題であるのみならず、「法曹の質」という広く市 民の皆様に影響を及ぼす問題ですから、引き続いて市民の皆様にはご理解のほど お願い申し上げます。 それではどうぞよろしくお願いいたします。 〔 副会長 荻 野 淳 〕 平成21年度の副会長をつとめます荻野淳(おぎの じゅん)です。 刑事関係、被害者保護関係、被害者加害者対話関係、及び、法科大学院関係の 各委員会を、担当します。 2009年5月21日からは、裁判員制度、被疑者国選の拡大が始まります。市民のみ なさんに、裁判員制度や、被疑者国選制度について、広くご理解をいただくよう 努めたいと思います。 よろしくお願いいたします。 〔 副会長 鴇 田 香 織 〕 平成21年度副会長の鴇田香織(ときた かおり)です。 私の担当委員会は、人権擁護委員会、両性の平等に関する委員会、子どもの権 利委員会、高齢者・障害者総合支援センター運営委員会、災害支援復興委員会、 公害対策・環境保全委員会、司法制度委員会、民法改正検討PT、研修委員会等 です。ご承知のとおり,本年度は,裁判員裁判の実施,被疑者国選弁護の拡大な ど,司法制度改革が計画・立法段階から施行段階に移行します。 これらの新制度の施行にあたって,在野法曹である弁護士により構成される弁 護士会には,真の「市民のための司法改革」を実現すべく,現実に即した迅速か つ柔軟な対応が求められているものと考えます。 〔 副会長 中 上 幹 雄 〕 副会長の中上幹雄(なかじょう みきお)です。 私が担当する委員会は、業務委員会、司法修習委員会、民事暴力対策及び非弁 取締委員会、消費者保護委員会、総合法律センター運営委員会、国選弁護対応態 勢確立等推進プロジェクトチーム等の委員会です。 今年度は、5月21日から被疑者国選弁護の対象が、これまでの法定合議事件 から必要的弁護事件にまで拡大することで弁護士が担当すべき事件数が飛躍的に 増加いたします。それに伴い、弁護士会では態勢を整備いたしましたが、その態 勢に不備がないか不断のチェックが求められます。 また、6月5日には神戸市において民事介入暴力対策全国大会(民暴大会)が 我々弁護士と警察、暴追センター共同で開催されます。多くの市民の皆さまにご 参加いただけますようお願い申し上げます。 ■□■□■□■□ 今月の法律相談のページ ■□■□■□■□ ◇◆ 「内縁関係の夫の遺産−特別縁故者として分与請求」 ◇◆ 執筆者:杉浦健二 弁護士 神戸新聞2009年3月3日掲載 Q:私と夫は,これまで30年間夫婦として暮らしてきましたが,事情があって 婚姻届は出しておらず,いわゆる内縁関係にありました。この度,夫は亡くなっ たのですが,私には夫の遺産を相続する権利はあるのでしょうか? A:内縁関係とは,婚姻届は出していないが,事実上婚姻状態と同様の状態にあ る関係のことを指します。 内縁の場合,婚姻に準ずるものとして,できる限り婚姻の法的効果を及ぼそう というのが判例の傾向です。たとえば,婚姻費用の分担義務や,離婚時の財産分 与義務などは,内縁関係にも準用が認められています。 もっとも,内縁者には相続権は認められていません。相続人となる者は明確に 判断できる必要があることが,その理由のひとつとしてあげられています。 では,内縁関係にあったパートナーが死亡した場合,内縁者がパートナーの財 産を取得できる方法としては,どのようなものが考えられるでしょうか。 まず,パートナーが生存中であれば,遺言を書いてもらう方法が考えられます。 この場合,遺言の内容を相続人の遺留分(一定の法定相続人に対して最低限度の 取り分を保障する制度のことです)を侵害しないものとしておけば,後日のトラ ブル発生を未然に防止できるでしょう。 次に,パートナーが既に死亡している場合であっても,パートナーの相続人と なる者が誰もいなければ,内縁者は特別縁故者として財産分与を請求できる可能 性があります。特別縁故者とは,(1)被相続人と生計を同じくしていた者(2)被相続 人の療養看護に努めた者(3)その他被相続人と特別の縁故があった者−のいずれか に該当する場合のことをいいます(民法958条の3)。相談者はパートナーと 30年以上夫婦同然の生活を続けてこられたということですから,(1)に相当し, 特別縁故者にあたる可能性が高いでしょう。 以上,内縁者には相続権はありませんが,一定の場合にパートナーの財産を取 得できる余地は残されていることになります。 特別縁故者としての請求手続きにはかなりの時間と手間を要することを考える と、生前に遺言を書いてもらっておく方がより簡便な方法と言えるでしょう。 ◇◆「介護施設で骨折−施設側に過失あれば賠償責任」◇◆ 執筆者:奥見 司 弁護士 神戸新聞2009年月日掲載 Q:母は介護施設で暮らしていましたが、先日、施設内で転倒し、足を骨折して しまいました。お金を払って施設に入所している以上、そこで起きた事故は全て 施設に賠償責任を問えると考えていいのでしょうか? A:介護施設において発生した転倒事故によって生じた損害について、どんな場 合でも介護施設側に賠償責任を問うことができるとは限りません。 介護施設に、賠償責任を問うことができるのは、「転倒事故につき、介護施設 側に責任がある」といえる場合なのです。 責任があるとは、介護施設側に「故意または過失」がある場合です。 おおよそ、故意とは「わざと」過失とは「不注意」という意味ですから、施設 側が「わざと」または「不注意」で施設利用者に傷害を負わせた場合に賠償責任 が生じるということになります。 具体例を挙げ説明しますと、例えば単独では歩行が困難な利用者が、「施設の 床が濡れて滑りやすくなっていたのに職員が放置していたため、滑って転倒して 怪我をしてしまった」「介護中に介護者が階段の段差に気付かなかったため、利 用者が転倒してしまった」などの場合には、施設側に責任があるといえるでしょ う。 これに対して、「利用者が突然予測できない行動を採った結果、転倒して怪我 をした」ような場合には、施設側に故意も過失も認められないことがあり、そう なると施設側に賠償責任は生じません。 また、施設側の責任によって事故が起こったといえる場合でも利用者側にも 「落ち度」が有る場合には、全額の賠償責任は認められないこともあります。 施設内での事故の場合、事故の態様や原因の把握、事故後と対応、利用者の素 因、保険など複雑な要素が絡んでくることがありますし、そもそも施設との契約 の中に賠償責任についての特約が含まれている場合も考えられます。 まずは、法律の専門家に相談することをお勧めします。 ※「今月の法律相談」のページは、神戸新聞に毎月第1、3火曜日に掲載され ている「くらしの法律相談」から、神戸新聞の了承を得て転載しています。 なお神戸新聞のサイトは、 http://www.kobe-np.co.jp/ です。 ■□■□■□■ ニュースの読み方 〜公然わいせつ罪〜 ■□■□■□■□ 執筆者:藤井 基安 弁護士 平成21年4月23日。衝撃的なニュースが世間を駆け巡りました。 「SM○Pの草○ぎ剛、深夜の公園、素っ裸で逮捕」。 「まさか!あの人気アイドルが!?」と驚かれた方も多いのではないでしょうか。 草な○くんは、ご存知のとおり、大人気アイドルグループSMAPに所属し、現 在では、アイドルとしてだけではなく、映画、ドラマ、バラエティにおいても活 躍している人気タレントです。 さて、今回、○なぎ君は「公然わいせつ罪」の被疑事実で現行犯逮捕されてし まいましたが、「公然わいせつ罪」とはどのような犯罪なのでしょうか。本日は、 「公然わいせつ罪」についてお話いたします。 公然わいせつ罪は刑法第174条に規定される犯罪です。条文を見ると、「公 然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金ま たは拘留もしくは科料に処する」と規定されています。 本条に言う「公然」とは、「不特定または多数の者が認識することのできる状 態」を言います。「認識することのできる状態(可能性)」であって、「認識さ れたこと」は必要ではありません。例えば、海水浴場近くの海岸で本条の行為が 行われた事案につき、現実には通行人がいなくとも、海上300メートル先を遊 覧船が航行していた場合に、同罪が適用された事例があります。 今回の草なぎ君のように、「ミッドタウン近くの公園で裸になった」のであれ ば、「不特定または多数の者が認識することのできる状態」と言えるでしょう。 次に、本条に言う「わいせつ」とは、「性欲の刺激満足を目的とする行為であ って、他人に羞恥の情を懐かしめる行為」を言います。簡単に言うならば、「他 人の気分を害するような恥ずかしい行為をすること」です。草なぎ君のように、 「公園で裸になる」ことは、原則として「わいせつ」にあたります。 今回、草なぎ君は、泥酔して犯行に及んでしまったのですが、お酒の不注意で、 あまりにも大きい代償を払うことになりました。 4月から6月にかけて、新入社員の歓迎会等、飲みに行く機会も増えるとは思 いますが、皆さま、「飲んだら脱ぐな。脱ぐなら飲むな」を合言葉にお酒を楽し みましょう。 ■□■□■□ 法廷のウラ・オモテ 〜裁判官の「法服」〜■□■□■□ 執筆者:藤本尚道 弁護士 法廷で裁判官が着用している黒い服をご存知ですか? あれは「法服」と呼ば れる裁判官の制服です。テレビ報道などの法廷映像では、檀上の裁判官が黒い法 服を着用しているのがわかりますよね。えっ? それは逆で、黒い服を着て檀上 に座っているから裁判官だとわかる…って(汗)、確かにそうかも知れません (笑)。 法廷の映像をよく見ると、裁判官の一段下に座っている裁判所書記官も同じよ うな黒い服を着用しているのがわかります。でも、書記官の制服は、裁判官の法 服とは素材が違うんです。書記官の制服はコットン(木綿)製ですが、裁判官の 法服はシルク(絹)製なんですね。前者は実用本位なのに、後者は高級感とおし ゃれ感が加わってますよねぇ(笑)。また、ちょっと見ただけではわかりません が、デザインもずいぶんと違うんですよ。 現在はセキュリティの問題等から、裁判官専用の通路(ウラ道)が完備された 裁判所が多くなりましたが、ひと昔前は、どこの裁判所ででも、シルクの法服を なびかせて威風堂々、一般市民と同じ通路を闊歩する裁判官の姿が日常的に見ら れたものでした。 ところで、法服はなぜ黒い色をしているかわかりますか? 白っぽいと汚れが 目立つから…って、ちょっと惜しいですぅ(汗)。でも「黒は汚れにくいから」 が答えではありませんよ(笑)。正解は「どんな色にも染まらない」という裁判 官の気風を表している、つまり「公平無私の象徴」なんだそうです。ちょうど花 嫁さんの「白無垢」が「あなた色に染まります」っていうのと正反対の趣旨なん ですね。 なお、この5月から裁判員制度がスタートします。裁判員にも裁判官と同じ法服 を支給すべきだという意見もありますが、最高裁判所の公式見解は「現時点では、 裁判員に法服を支給することは考えていない」とのことです。多数の裁判員にも 法服を支給するとなると、シルク製ではなくポリエステルなどの化繊製になるか も…との観測が流れたこともありましたが(笑)。 私個人の意見としては、裁判員にも法服を支給した方がいいと思っています。 その方が裁判員個々人の自覚につながるでしょうし、法廷の檀上に色とりどりの 私服姿が並ぶのは何ともイタダケないような気がするからです。私の頭って、ち ょっとカタイのでしょうか? ■□■□■□■□ 編集後記 ■□■□■□■□ 兵庫県弁護士会メルマガ通信第54号をお届けします。 5月下旬から梅雨入りまでの季節は、とても爽やかで、大好きです。ほととぎ すの鳴き声も聞こえてきます。 いまさらに山へかへるな 郭公 こゑのかぎりが我がやどに鳴け (古今集151番) (健)


