2008/10/03
「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第47号)
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ◇◆◇◆ 「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第47号) ◇◆◇◆ ◇◆◇◆ (2008.10.3配信) ◇◆◇◆ ◇◆◇◆ http://www.hyogoben.or.jp/ ◇◆◇◆ 発行:兵庫県弁護士会 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ◆ 目次 ◇ 全国一斉多重債務相談キャンペーン無料相談会の実施について ◇ 市民集会「取調べの可視化で刑事司法を考えよう!」 ◇ 高齢者・障害者権利擁護なんでも110番のお知らせ ◇ 模擬裁判・傷害致死事件(その1) 執筆者:朝本行夫弁護士 ◇ 今月の法律相談のページ 「HPの写真掲載−著作者と被写体の許諾必要」 執筆者:森田将弘 弁護士 「離婚した夫が破産−免責でも養育費は請求可能」 執筆者:森川 拓 弁護士 ◇ ニュースの読み方 〜「ADR」ってご存じですか?〜 執筆者:茂木立 仁 弁護士 ◇ 編集後記 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ■□■□ 全国一斉多重債務相談キャンペーン無料相談会の実施について ■□■□ 兵庫県弁護士会では、全国一斉多重債務相談キャンペーン(9月〜12月)の 期間中に、各地の会場において弁護士による無料相談会を開催しています。この 機会にぜひご相談にお越し下さい! 1.夜間土曜相談を実施致します!(キャンペーン期間中のみ) ●日時(予約制) ・夜間相談:毎週水曜日 午後5時30分〜午後8時 ・土曜相談:毎月第2・第4土曜日 午後1時〜午後4時 ●場所 ・兵庫県弁護士会神戸相談所(神戸クリスタルタワー13階) ●予約先 ・電話:078−341−1717 (予約受付時間:月〜金、9:30〜12:00、13:00〜16:00) ●相談料 ・初回無料 2.兵庫県と合同無料相談会を開催いたします! 10月〜12月の各月に各地域を重点地域に指定し、弁護士、司法書士、行政 の多重債務者相談員が一同に会し、多重債務者からの相談にあたります。 ●10月 【阪神地区】 ・10月1日(水)13:00〜16:00 三田市まちづくり協働センター 予約先:079−559−5032 ・10月2日(木)13:30〜16:30 芦屋市役所内 予約先:0797−38−2179 ・10月7日(火) 川西市役所市民相談室 予約先:072−740−1333 ・10月20日(月)13:00〜16:00 宝塚市役所内 予約先:0797−81−4185 ●11月 東播磨・北播磨・丹波・淡路地区(予定) ●12月 神戸・中播磨・西播磨・但馬地区(予定) ※兵庫県弁護士会神戸相談所・尼崎相談所・西播磨相談所では、上記期間中以外 も、無料多重債務相談会を実施しています。 お電話でご予約の上、お気軽にご相談にお越し下さい。 【総合法律センター サラ金・クレジット・多重債務特別相談】 (初回無料/予約制/面談) ●神戸相談所(予約先→078−341−1717) 神戸市中央区東川崎町1−1−3 神戸クリスタルタワー13階 相談時間→毎週月曜〜金曜、10時〜12時、13時〜15時 ●西播磨相談所(予約先→079−286−8222) 姫路市北条1−408−6 相談時間→毎週月曜・木曜、15時〜17時 ●尼崎相談所(予約先→06−4869−7613) 尼崎市七松町1−2−1フェスタ立花北館5階501C 相談時間→毎週火曜・金曜、13時〜16時 ■□■□ 市民集会「取調べの可視化で刑事司法を考えよう!」 ■□■□ 〜志布志(しぶし)事件から可視化を考える〜 ◎日時◎ 10月18日(土) 午後1時30分〜午後4時45分 ◎開催場所◎ 兵庫県弁護士会館4階講堂(参加無料) 神戸市中央区橘通1−4−3 TEL078−341−7061 ◎内 容◎ (1)ドキュメンタリー映画「つくられる自白−志布志の悲劇−」(短縮版)上映 (2)報告「取調べの可視化の現状と課題」 (3)講演「志布志事件から可視化を考える」(仮題) ※ 毛利甚八氏「つくられる自白」の脚本家,「家栽の人」の原作者。 (4)パネルディスカッション 「捜査の可視化で刑事司法は変わるか−志布志事件を題材にして−」 ○コーディネーター 赤松範夫弁護士 (兵庫県弁護士会取調べの可視化実現本部本部長代行) ○パネリスト 毛利甚八氏 粟野仁雄氏(フリージャーナリスト) 川畑幸夫氏(志布志事件被害者) 志布志事件弁護人 〜パネリストの紹介〜 ●毛利甚八(もうり・じんぱち)氏 ライター,漫画「家栽の人」等原作者,写真家 1986年より漫画「家栽の人」の原作を手掛ける。『季刊刑事弁護』(現代人文 社)に「事件の風土記」(文と写真)で4回にわたり福岡事件を連載。メールマ ガジン「月刊少年問題」の編集長や,中津少年学院で篤志面接委員として活動。 日弁連製作のドキュメンタリー映画「つくられる自白−志布志の悲劇−」の脚本 も手掛ける。単行本に漫画原作作品の「家栽の人」(小学館)などのほか,ルポ ルタージュ「宮本常一を歩く」(小学館),インタビュー集「裁判官のかたち」 (現代人文社)などがある。 ●粟野仁雄(あわの・まさお)氏 ジャーナリスト。1956年、兵庫県西宮市生まれ。大阪大学文学部西洋史学 科卒業。ミノルタカメラを経て、1982年より共同通信記者、2001年退社。 社会問題を中心に週刊誌、月刊誌に執筆中。神戸市在住。 (主な著書) ・「警察の犯罪 鹿児島県警志布志事件 2008/8ワック社 ・アスベスト禍 2006/01 集英社 ・あの日、東海村でなにが起こったか 2001/09 七つ森書館 ・ナホトカ号重油事故(共著) 1997 社会評論社 ・瓦礫の中の群像 1995 東京経済 ・サハリンに残されて 1994 三一書房 ■□■□ 高齢者・障害者権利擁護なんでも110番のお知らせ ■□■□ 高齢者・障害者の権利擁護に関する法律相談を広くお受けするため、10月か ら来年3月まで、毎月一回無料の電話・FAX相談を実施いたします。 ご本人からの相談のみならず、ご家族からのご相談についても、また相談員な ど生活支援や相談業務に関わっておられる方々からのご相談についても、丁寧に 対応させていただきますので、ご遠慮なく、お気軽にご相談下さい。 ◎日時◎ 2008年10月〜2009年3月の毎週第3火曜日 午後1時〜午後4時 (10月21日、11月18日、12月16日、1月20日、2月17日、 3月17日) ◎内容◎ (1)電話相談 受付電話番号 078−362−0074 (2)FAX相談 受付電話番号 078−362−0084 (FAXでのご相談の際には、相談者の連絡先をご記入下さい) 相談例:(1)虐待や権利侵害に関する相談、(2)親族による年金の取り込みに関する 相談、(3)悪徳商法や消費者被害に関する相談、(4)成年後見や財産管理に関する相 談、(5)利用している福祉サービスに関する相談、など ◎主催、問い合わせ先◎ 兵庫県弁護士会(高齢者・障害者総合支援センター) 電話:078−341−0550 ■□■□■□■□ 模擬裁判・傷害致死事件(その1) ■□■□■□■□ 兵庫県弁護士会 裁判員制度実施本部 本部長代行 朝本行夫 弁護士 1 神戸地方裁判所,神戸地方検察庁及び兵庫県弁護士会は,それぞれが裁判官, 検察官,弁護人,そして職員等から被告人や証人役を出して裁判員裁判の模擬裁 判を何回も行って来ましたが,平成20年10月27日及び28日の2日間,傷 害致死の罪名で起訴された事件を対象にした模擬裁判を実施します(神戸地方裁 判所は,模擬裁判を一般には公開しておらず,傍聴は裁判員選任手続に裁判所ま でお越しいただきながら,裁判員に選任されなかった方しか傍聴はできません。 申し訳ありません)。 このメルマガで,模擬裁判で弁護人がどのようなことをするのかをお話しさせ ていただきます。これをお読み頂ければ,実際の刑事事件での弁護人の役割もあ る程度,ご理解いただけると思います。 2 刑事裁判は,検察官が起訴状を裁判所に提出することから始まります。 この事件の起訴状は,次のような内容です。 起 訴 状 平成20年9月1日 神戸地方裁判所 殿 神戸地方検察庁 検察官 検事 ○ ○ ○ ○ 下記被告事件につき公訴を提起する。 記 本籍 甲県B市東町7丁目8番9号 住居 同県A市西町3丁目2番1号 西町マンション209号室 職業 会社員 勾留中 島 拓 郎 被告人は,平成20年4月26日午前2時50分ころ,同県A市北町9丁目8 番7号所在のもみじ食堂内において,島田英一(当時46年)と飲酒中,口論と なって立腹し,同人に対し,左手でその胸ぐらを掴みながら右手拳でその顔面を 数回殴打して同人を椅子から床上に転倒させるなどの暴行を加え,よって,同人 に頭部打撲損傷の傷害を負わせ,同日午前4時18分,同視中央6丁目5番4号 所在の甲県立病院において,同人を同傷害に基づく外傷性くも膜した出血により 死亡させたものである。 罪名及び罰条 傷害致死 刑法205条 3被告人の島拓郎さんは,起訴される前の捜査で,警察官・検察官に対して,そ の起訴事実を全て認めています。 弁護人は,事件記録を検討しても,傷害致死そのものは争うことは困難と判断 しました。 しかし,全く争いがない訳ではありません。 次号以下で,弁護人の主張等をご説明させて頂きます。 ■□■□■□■□ 今月の法律相談のページ ■□■□■□■□ ◇◆「HPの写真掲載−著作者と被写体の許諾必要」◇◆ 執筆者:森田将弘 弁護士 神戸新聞2008年8月5日掲載 Q:私が開設しているホームページ上に,他人のホームページで見つけた写真を 載せようと思います。法的に何か問題がありますか。 A:ホームページ上の写真について,著作者である写真撮影者には「著作権」が 発生します。著作権法は写真を著作物の例にあげており(10条1項8号),著 作物とは,「思想または感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美 術または音楽の範囲に属するもの」(2条1項1号)を指しますので,人が普通 に撮影した写真も著作物になりうるとされています。 したがって,今回の質問のような場合には,まずサイトにアップする前に写真 の著作権者(著作権が譲渡されていない限り撮影者)から許諾を得ておくことが 必要です。また,アップすることについての許諾を得ても,著作者に無断で写真 にトリミング(切除)を施すと,「同一性保持権」(20条1項)すなわち,著 作物及びその題号につき,自己の意思に反して変更,切除その他の改編を受けな い権利の侵害になるので,この点も気を付けて下さい。 また,写真の被写体との関係についても考えなければいけません。写真の被写 体となった人物はどのような権利を有しているのでしょうか。 人物の顔などの容姿は個人を識別・特定する重要な情報です。にもかかわらず, 勝手に自分の写真がインターネットのホームページ上に掲載されていたら,多く の人は嫌悪感や羞恥心などを感じたりするはずです。そこで,顔など人物の肖像 そのものについては,「肖像権」という権利が認められています。また,被写体 が芸能人やスポーツ選手といったいわゆる著名人の場合には,その肖像や名前の 持つ顧客誘引力自体の経済的利益・財産的価値を保護する必要がありますので, 「パブリシティー権」すなわち肖像や名前の持つ経済的利益・財産的価値を排他 的・独占的に利用する権利が認められています。 今回の質問のケースにおいて人物写真を利用する場合にはその写真の著作者の 許諾に加えて,被写体とされている人物に対しても利用の許諾を得ておくことが 必要になります。 ◇◆「離婚した夫が破産−免責でも養育費は請求可能」◇◆ 執筆者:森川 拓 弁護士 神戸新聞2008年8月19日掲載 Q:1年前に夫と離婚しました。その際,財産分与として100万円,子供の養 育費として月5万円を支払われるよう約束をしました。けれども,夫は一度も支 払わないまま,破産してしまいました。私は,前夫に何も請求できなくなるので しょうか。 A:結論からいえば,財産分与としての100万円については,請求できなくな る可能性が高いといえます。ただ養育費については,請求することが可能です。 離婚時に,財産分与,養育費についてきちんと取り決めれば,当事者間の合意 であっても法的に有効であり,あなたには前夫に請求する権利があります。他方 で,多額の借財などにより支払い困難になった方のために,破産手続きというも のがあります。この破産手続きの中で,裁判所から免責の決定をしてもらえれば, 借財などの支払いを免れるとされていることから,あなたの持つ権利と衝突する ことになるのです。 そこで,まず前夫が免責の決定をしてもらえなければ,あなたは今まで通り請 求することができます。もっとも前夫が破産に至った事情にもよりますが,一般 に免責の決定をもらえることの方が多いといえます。そこで以下は,免責の決定 をもらえることを前提にお話しします。 免責決定をもらった場合,破産するまでに生じた借財などの債務について原則 として責任を免れることになります。したがって,財産分与としての100万円 については,前夫は責任を免れることになります。ただ,法律上,免責決定によ っても免責されない権利というものがあります。これまでの法律では,養育費に ついても,破産前に発生している部分については,免責決定により免責されてい ました。しかし,養育費については,その性質上保護の必要性が高いと考えられ たため,平成17年に改正された破産法で,養育費については責任を免れないと されたのです。したがって,養育費については,免責決定の有無にかかわらず, 請求することが可能です。 なお,前夫に一定の資産がある場合には,財産分与,養育費いずれに関しても 破産手続き内で一定の配当の対象となることがあります。このような場合,債権 届け出など,法律で定められた手続きを行うことが必要です。 ※「今月の法律相談」のページは、神戸新聞に毎月第1、3火曜日に掲載され ている「くらしの法律相談」から、神戸新聞の了承を得て転載しています。 なお神戸新聞のサイトは、 http://www.kobe-np.co.jp/ です。 ■□■□■□■□ ニュースの読み方 ■□■□■□■□ 〜「ADR」ってご存じですか?〜 茂木立 仁 弁護士 1 ADR、ADR法 みなさんは、ADRという言葉をご存じでしょうか?意識してみていると、新 聞などにも時々出てくる用語です。ADRとは、Alternative Dispute Resolutionの略で、日本語では、裁判外紛争解決手段や裁判外紛争解決手続と訳 されています。要は、訴訟以外の紛争解決を図る機関のことをいいます。日本全 国で、全国の弁護士会だけでなく、様々な団体がこのようなADRを設置・運営 しています。スポーツ仲裁などといわれているのもこのADR機関の一つです。 それぞれの専門的分野でその分野に強いADR機関を様々な団体が運営していま す。 兵庫県弁護士会は、平成13年に、愛称を「まちかど奉行」として、兵庫県紛 争解決センターを設立し、運営しています。そして、平成19年4月1日から、 「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(ADR法)が施行され、法 務大臣による認証を受けることができるようになり、兵庫県弁護士会紛争解決セ ンターも、平成20年9月24日に、この認証を受けることができました。 少し難しくなりますが、ADR法の制定は、司法制度改革審議会においてAD Rの制度的基盤の整備と関係機関の連携強化に取り組む必要性が提言されたこと に由来しています。ADR法の目的は市民の紛争解決手続に対する多様なニーズ に応えるため、第三者の専門的知見を利用した裁判外紛争解決手続を紛争当事者 に提供し、もって権利利益の実現をはかることにあるとされています。この目的 を実現してくには、解決内容と共に当該裁判外紛争解決手続それ自体が法に照ら して適正なものであることが必要があり、その実効を図るために法務大臣による 認証制度が作られたのです。 2 認証制度のもつ意義 認証制度の具体的制度内容については、ADR法に規定されています。この認 証制度は民間紛争解決手続の業務について、その適正性を確保するために必要と なる一定の要件に適合することを確認した上で法務大臣が認証することとされて います。 そして、このような認証を受けた民間紛争解決手続の業務に関し、(1)時効中断 効(2)訴訟手続の中止(3)調停前置(調停の手続きを経なければならないということ) の特例という法的効果が付与されています。これによって当該紛争解決手続をよ り便利にさせることになり、ひいてはADRに対する信頼性を確保しようとするもの です。 具体的に何が便利なのかといえば、以下に説明する調停は相手方の住所地を管 轄する裁判所へ申し立てなければならないですが、ADRにはそのような制限が ない場合があり、便宜であることなどが考えられます。 3 裁判所での調停 以上は、いわゆる民間で行われるADR機関の話です、これに似たようなもの としては、家庭裁判所や簡易裁判所で行われる調停制度があります。この調停の 手続きについては、法律に基づいて、当然に様々な法律効果が付与されています。 調停についても、裁判と異なって、ADRと同様当事者の話し合いが前提であ り、基本的には、当事者で合意ができない場合に、裁判所が第三者として終局的 な判断を下すということはありません。 たとえば離婚事件などの場合は、法律的に調停前置とされ、調停手続きを経な ければなりません。それは、裁判所が判断を下す前に、当事者により、きっちり と話し合いを行って、当事者に納得を得る解決をはかっていく趣旨であると思わ れます。 用語として、裁判とか判決とか、命令、決定など、裁判所が下すものでも、似 たようなもので、実は違う用語がありますが、これはまたの機会に説明したいと 思います。 4 まとめ 以上のようなADRにおいても、調停においても、結局は、当事者の自主的な 解決を第三者が手伝いをするという手続きとして予定されています。この基本的 なところを理解して、どこでどのような手続きがされているのかを意識してみて もらうといいのではないかと思います。万が一、自分が紛争に巻き込まれた場合、 裁判所だけでなく、外の機関での手続きということも考えてみてはいかがでしょ うか。 ■□■□■□■□ 編集後記 ■□■□■□■□ 兵庫県弁護士会メルマガ通信第47号をお届けします。 ここ数日、肌寒い日が続きます。ようやく暑さともお別れ。 秋の野の草の袂か花すすき ほにいでて招く袖とみゆらん ありはらのむねやな (古今集243番) (健)


