2008/09/04
「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第46号)
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ◇◆◇◆ 「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第46号) ◇◆◇◆ ◇◆◇◆ (2008.9.4配信) ◇◆◇◆ ◇◆◇◆ http://www.hyogoben.or.jp/ ◇◆◇◆ 発行:兵庫県弁護士会 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ◆ 目次 ◇ 憲法集会「活かそう憲法〜表現の自由の今」の開催について ◇ 第2回高校生模擬裁判選手権 執筆者:朝本行夫 弁護士 ◇ 裁判員制度と取調べの可視化 執筆者:富田智和 弁護士 ◇ 今月の法律相談のページ ・「自筆遺言と公正証書−内容違えば新しい方が有効」 執筆者:森川 拓 弁護士 ・「亡父の借金の請求書−相続放棄し、負担を回避」 執筆者:中野宗一郎 弁護士 ◇ニュースの読み方 「リフォーム詐欺」 執筆者:吉田邦子 弁護士 ◇ 編集後記 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ■□■□ 憲法集会「活かそう憲法〜表現の自由の今」の開催について ■□■□ ■□■□ 日弁連第51回人権擁護大会 プレシンポジウム ■□■□ 憲法は、私たちの生活の遠くにあるものと思っていませんか。 憲法は私たちひとりひとりが幸福に生きるために大切なことをたくさん定めた ものです。 特に、私たちが考えたこと、思ったことを自由に表現できる権利である「表現 の自由」は、私たちが活き活きと生活できるために不可欠なものです。また、国 が国民のための政治をするように、さらに、国が国民の利益や権利を侵害しない ように、監視するためになくてはならないものです。 けれども今、様々な事情で、表現したいと思っても自由にそれができないよう なことが起こりつつあります。(日教組ホテル使用拒否問題、映画「靖国」問題 など) 憲法を活かすこととは何か、特に表現の自由を活かすことの意味について共に 考えてみませんか。 ◎日時◎ 2008年9月20日(土)午後1時〜4時30分ごろ(開場午後0時30分) ◎場所◎ 兵庫県弁護士会(本館)4階講堂 神戸市中央区橘通1−4−3 ※参加無料・予約不要、会場へは公共交通機関をご利用下さい。 ◎内容◎ 第1部 基調報告 松山秀樹(兵庫県弁護士会憲法問題委員会委員長) 第2部 作文「みんなで憲法を考えよう」優秀作品発表・表彰式 第3部 講演「奪われる自由と人権〜管理・監督国家の暴走を止めるために」 安田浩一氏(ジャーナリスト) ◎主催・問い合わせ先◎ 兵庫県弁護士会 電話:078−341−8227(憲法問題委員会担当事務局) ◎後援◎ 日本弁護士連合会 〜講師の紹介〜 安田浩一(やすだこういち) 1964年静岡県生まれ。 「週刊宝石」(光文社)、「サンデー毎日」(毎日新聞社)記者などを経て独立。 記者時代は各種事件以外に、警察不祥事、監視国家問題などを手がける。 現在は外国人労働者の人権問題をはじめ、雇用・労働、憲法、表現規制などの分 野について幅広く取材。 【主な著書】 「JRのレールが危ない」(金曜日)、「JALの翼が危ない」(金曜日)、 「告発!逮捕劇の深層」(アットワークス)、「外国人研修生殺人事件」(七つ 森書館)、 「肩書だけの管理職」(旬報社)、「日本をだめにする40の悪法」(共著・合同 出版)など。 ■□■□■□■□ 第2回高校生模擬裁判選手権 ■□■□■□■□ 兵庫県弁護士会 裁判員制度実施本部本部長代行 弁護士 朝本行夫 1 2008年8月9日(土)に第2回高校生模擬裁判選手権が,東京(日弁連) と大阪(大阪弁護士)で開催され,東京大会,大阪大会と呼んでいます。 参加校の高校生は,刑事裁判手続を学ぶ教育の一環として,刑事裁判の教材集 (起訴状と証拠)が与えられ,教材集の証拠に基づき,検察側,弁護側の各立場 に立って,裁判員制度での主張・立証活動を行います。高校生の活動を,会場の 審査員(裁判官,検察官,弁護士,大学教授,マスコミ関係者)が採点し,各会 場の優勝校を選びます。高校野球のように,抽選で対戦相手校が選ばれること, 各大会の優勝校が,決勝を東京で行いますので,高校生模擬裁判選手権と名前が 付けられました。 参加校は,東京大会6校,大阪大会6校の合計12校です。今後,参加校が益 々増えて欲しいですね。 2 兵庫県弁護士会では,私と新井大介弁護士,富田和路弁護士が支援チ−ムを 組んで,大阪大会に参加した西宮市立西宮東高等学校の支援・指導を担当しまし た。 最初は,刑事裁判のイロハから教え,裁判員裁判において,裁判員の心をどの ようにして掴むか,そのための冒頭陳述,尋問,弁論はどうすべきか,まで一通 り指導をしましたが,本番はどうなることやら,と不安一杯で大会当日に望んだ のが偽らざる心境でした。 しかし,本番では東校の生徒諸君は,裁判員裁判を意識した,本物の検察官, 弁護人そのものでした。正直,これは感動しました。神戸地裁,神戸地検そして 兵庫県弁護士会で行なってきたこれまでの裁判員裁判の模擬裁判では,覚えたセ リフ風の尋問や,書面の棒読み弁論もなされたことがあり,それに比べると,生 徒諸君の方が優れていました。 検察官の冒頭陳述で利用されたパワ−ポイントも,無駄を省き要点を分かりや すく提示するもので,模擬裁判で弁護人が作ったどのパワ−ポイントよりも優れ ているのは間違いありません。 3 大阪大会では,京都教育大学附属高等学校が優勝しましたが,西宮市立西宮 東高等学校は,その出来からして多分,準優勝かと思います。敗因は,尋問の所 々の完全誘導や異議への対応の失敗・困惑かと考えられ,これは,指導弁護士が 手を抜いてしまった部分です。 4 高校生模擬裁判選手権を通して,生徒諸君は,裁判員に,どう説得するかの 試行錯誤により,刑事裁判の原則,そして裁判員裁判の意義を身を以て学んでく れたと思います。 高校生模擬裁判選手権を経験した生徒諸君,そして高校内の模擬裁判を傍聴し た生徒達が,実際の裁判員裁判で裁判員に選ばれた場合,きっと,誠心誠意,そ の職務を果たしてくれるものと思います。 ■□■□■□■□ 裁判員制度と取調べの可視化 ■□■□■□■□ 弁護士 富田智和 1 皆さんは「取調べの可視化」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?今 日はこの取調べの可視化と裁判員制度との関係について述べたいと思います。 2 取調べの可視化とは、警察官や検察官による容疑者(法律用語では「被疑者」 といいます)の取調べの様子を全てテープに録音したり、ビデオに録画すること をいいます。これにより、警察官や検察官に対するプレッシャーとなり、強引な 取調べが行われにくくなります。鹿児島県で起訴された人全員の無罪が確定した 選挙違反事件(いわゆる「志布志事件」)や富山県で無実の人が強姦の罪で長期 間刑務所に服役していた事件(いわゆる「氷見事件」)でも警察官の強引な取調 べの末に嘘の「自白」がとられていることからも分かるように、警察官や検察官 による強引な取調べは決して過去のことではありません。このようなことを防ぐ ためにも、取調べの可視化は絶対に実現しなければならないといえるでしょう。 ところで、この取調べの可視化は、直接的には警察官や検察官による強引な取 調べを防ぐために必要とされるものです。では、この取調べの可視化が裁判員制 度とどう関係するのでしょうか?実はこの両者は大きく関連しているのです。 3 これまでのように取調べが密室で行われ、取調べの可視化が実現していない 場合、容疑者の「自白」が警察官や検察官による強引な取調べの末にとられたも のであるのか、それとも容疑者が本当に心から反省して自らの意思で自白したの か(これを「自白の任意性」といいます)を裁判で確定させることは大変難しい ことでした。 これは当然のことで、取調べにあたった警察官や検察官が法廷に呼ばれた場合、 「自分は強引な取調べをして自白させてしまいました。すみません。」などと謝 るはずがありません。「取調べに問題はありませんでした。」と言うでしょう。 これに対して被告(法律用語では「被告人」といいます)が、「警察官や検察官 に自白を強要されました。強引な取調べに耐えられなくなり、嘘の自白をしてし まったのです。」と述べた場合、密室のもとでは他に何の証拠もないことから両 者の主張は完全な水掛け論となります。そして、この自白の任意性を判断するた めに、延々と取調べにあたった警察官や検察官の証人尋問が続くということも珍 しいことではありませんでした。このことが裁判の長期化の原因にもなっている と批判されてきました。 ところが、原則として3日以内の審理で判決を出すことを目指す裁判員制度の もとではこのように自白の任意性をめぐる争いのために長期間裁判員を拘束する ことはできません。そこで、自白がどのようにしてとられたのかを裁判員が一目 瞭然で判断できる方法として、取調べの可視化が求められるのです。 4 現在は、裁判員裁判の対象となる事件の取調べのうち、検察官による取調べ については、一部の事件で取調べの一部録画が行われています。これは取調べが 完全な密室で行われていた時代と比べると大きな進歩といえます。 しかし、現在行われているのは検察官による取調べの一部のみを録画するもの であり、残念ながら全面的な取調べの可視化にはほど遠いといわざるを得ません。 例えば、これまで「自分はやっていない。」と言っていた容疑者が「自白」に転 じた場合、自白に転じた後の取調べのみを録画しても自白の任意性をめぐる争い には何ら意味がないことは明らかでしょう。 全面的な取調べの可視化を実現することが裁判員制度を成功させるための必要 条件であるといえます。 ■□■□■□■□ 今月の法律相談のページ ■□■□■□■□ ◇◆「自筆遺言と公正証書−内容違えば新しい方が有効」◇◆ 執筆者:森川 拓 弁護士 神戸新聞2008年7月15日掲載 Q:先日亡くなった父の部屋を整理していると、遺言が2通見つかりました。1 通は3年前に作成された父の自筆による遺言で、もう1通は10年前に作成され た公正証書遺言でした。内容は少し異なるのですが、どちらを優先すべきなので しょうか。 A:結論からいえば、いずれの遺言も有効ですが、内容に抵触する部分がある場 合には、後の遺言で前の遺言を撤回したとみなされますので、その部分について は後の遺言が有効になります。抵触しない部分については前の遺言も有効です。 まず、遺言は、法律上定められた方式で、作成しなければなりません。そして お父さまが、10年前に作成されたのは公正証書遺言、3年前に作成されたのは 自筆証書遺言にあたると思われます。 ところで、公正証書遺言は、証人二人以上が立ち会い、公証人に作成してもら わねばならないのに対し、自筆証書遺言は遺言者がその全文、日付、名前を自書 し、押印するだけで作成できます。 感覚的には、厳格な手続で作成された公正証書遺言が、簡易な手続で作成され た自筆証書遺言に優先するように思われるかも知れません。しかし、法律上は、 前記のとおり遺言の方式にかかわらず、いずれも有効であり、内容に抵触する部 分がある場合には、抵触する部分については後の遺言が有効になります。 従って、自筆証書遺言により公正証書遺言を撤回することも可能なわけです。 もっとも、次のことには注意して下さい。自筆証書遺言は、簡単な方法により 作成できる反面、偽造したり、隠したりすることもできるため、家庭裁判所で検 認という手続を経なければなりません。また、封印のある場合、家庭裁判所で相 続人らの立ち会いのもと開封しなければなりませんので、勝手に開けてはいけま せん。 さらに、自筆証書遺言については、一人でも作成できることから、方式違反を 理由に、無効となることもあります。例えば、過去の裁判例では、日付として 「昭和四拾壱年七月吉日」と記載したため、無効とされたものもありますので、 そもそも遺言として有効か注意する必要があると思います。 ◇◆「亡父の借金の請求書−相続放棄し、負担を回避」◇◆ 執筆者:中野宗一郎 弁護士 神戸新聞2008年7月29日掲載 Q:事業をしていた父が亡くなりました。兄と私が相続ですが、事業を承継する 兄が全ての財産を相続することとなりました。ところが、父にお金を貸していた という人から、私に請求書が送られてきました。私は支払わないといけないので しょうか。 A:お父さまにお金を貸していた人をA氏とします。A氏への借金も、相続債務 として相続の対象となりますので、A氏は相続人に対して貸金の請求ができます (民法896条)。あなたとしては、お父さま財産はお兄さまが全て相続してい るのに、借金だけ支払わなければならないというのはたまらないでしょう。 借金の負担を回避するための最も確実な方法は、相続の放棄です。相続を放棄 すれば、相続人ですらなかったことになります(民法939条)。相続人でない ため、親の借金を相続することもありません。相続放棄は、相続開始から原則と して3ヶ月の熟慮期間のうちに家庭裁判所に対して申述する必要がありますから (民法915条)、あなたがこの手続きを取っていれば、A氏支払う必要はあり ません。まだ三ヶ月経過していなければ、手続きを急いで下さい。熟慮期間を経 過したことが明らかな場合、家庭裁判所は相続放棄の申述を受理してくれません。 相続放棄をしていなかった場合、あなたは、相続人として本件借金(金銭債務) を共同相続人であるお兄さまとの間で2分の1ずつ分割して負担することになり ます(民法899条)。その後、あなたとお兄さまとの間で、お兄さまに全ての 財産を相続させる旨の遺産分割協議が成立した場合でも、本件借金のあなたの負 担分をお兄さまに引き受けさせることをA氏が了承しない限り、結論は同じです。 つまり、あなたが相続放棄をしていない限り、A氏に対するお父さまの借金の 半分を支払わなければならないことになります。後は、借金をお兄さまに引き受 けてもらい、ご自分の負担をなくすことができるよう、あなたとお兄さまとA氏 の三者で協議すべきでしょう。 ※「今月の法律相談」のページは、神戸新聞に毎月第1、3火曜日に掲載され ている「くらしの法律相談」から、神戸新聞の了承を得て転載しています。 なお神戸新聞のサイトは、 http://www.kobe-np.co.jp/ です。 ■□■□■□■□ ニュースの読み方 ■□■□■□■□ 吉田邦子 弁護士 リフォーム詐欺:元社長らに実刑判決 京都地裁 リフォーム会社「幸輝」(大阪市北区)の詐欺事件で、特定商取引法違反と詐 欺の罪に問われた元社長の谷尻浩被告(43)らの判決公判が15日、京都地裁 であった。増田耕児裁判長は「会社ぐるみの犯行。被害者は老後の生活費を支払 い、結果は重大」として谷尻被告に懲役4年6月(求刑・懲役6年)を言い渡し た。 幸輝は05年、リフォームで全財産を失った埼玉県富士見市の認知症姉妹と契 約を交わした業者の一つで、悪質リフォームが社会問題になるきっかけともなっ た。この日は元幹部らの判決もあり、元営業本部長、浜田宏一郎被告(40)に 同(求刑・同)▽元施工管理部長、南亘被告(64)に同3年(同5年)▽元営 業部次長、森本稔被告(48)に同3年6月(同)▽法人としての同社に求刑通 り罰金300万円−−を言い渡した。全員控訴した。 判決によると、谷尻被告は05年2〜5月、従業員と共謀し、京都市下京区の 女性(当時77歳)ら4人に「地震で家が崩れる」とうそを言って屋根裏補強工 事をし、現金358万円をだまし取った。【熊谷豪】 2008年8月15日 19時46分配信 ・・・以上,毎日新聞HP「毎日jp」より引用 ○ 悪質リフォーム問題 今回取り上げた記事は,住宅リフォームに関する刑事裁判で,リフォーム会社 の元社長らに有罪判決が言い渡されたニュースです。 住宅リフォーム契約をめぐっては,以前から「モニターだから無料と説明され ていたのに,後から工事代金を請求された」「不要な床下換気扇を取り付けられ た」等の苦情が報告されてきましたが,基本的には消費者と業者との間の契約上 のトラブルと考えられてきました。 しかし,記事にもありますが,05年,埼玉県富士見市の高齢の認知症の姉妹 が,不要なリフォーム契約を次々と結ばされ,数千万円に上る被害を受けて自宅 まで失いかけるという事件が発生し,悪質リフォームが社会問題としてとらえら れるようになりました。また,07年には,床下点検を装って自ら排水管を壊し, 「水が漏れている」として修理代金をだまし取ろうとした札幌市の業者が起訴さ れ有罪判決を受けるなど,住宅リフォームが刑事事件になるケースも増えました。 ○ 特定商取引法違反と詐欺罪 記事によれば,元社長らは,特定商取引法違反と詐欺の罪に問われています。 特定商取引法とは,消費者トラブルを生じやすい訪問販売などの取引形態につ いて,業者による不公正な勧誘などを取り締まり,また,業者と消費者の間の法 律関係を規定する法律です(いわゆるクーリングオフが定められている法律です)。 業者が消費者の自宅を訪問してリフォームを勧誘する行為は特定商取引法上の訪 問販売にあたり,この法律の規制を受けます。 特定商取引法は,訪問販売業者が勧誘の際に,消費者に対して事実と異なる事 項を告げる(不実の告知)などの行為を禁止しており(特定商取引法6条),こ れに違反すると,改善指示や業務停止等の行政処分の対象となり,また,2年以 下の懲役または300万円以下の罰金が科されます(特定商取引法70条1条)。 本件では,業者が「地震で家が崩れる」と述べたことなどが不実の告知に該当す ると判断されたようです。 また,元社長らは詐欺罪にも問われています。詐欺罪は,他人を欺いて誤解に 陥らせて財物を交付させる犯罪で,10年以下の懲役が科せられます(刑法24 6条)。 詐欺罪は,特定商取引法違反よりも法定刑が重いので,悪質なケースについて は詐欺罪を適用して厳罰に処することが期待されます。しかし,特定商取引法に 違反するが詐欺とまではいえないというケースもありますし,また,詐欺罪に該 当するようなケースであっても,被害者が高齢で証言が得られないなど証拠不足 で立件できないケースもあるようです。 ○ 被害回復について 今回の記事は,リフォーム詐欺の刑事裁判についてのもので,被害者の被害回 復については触れられていません。刑事裁判は,被害者の経済的被害を直接回復 するものではないので(会社には罰金300万円が科されていますが,これは国 庫に帰属し,被害弁償には充てられません),被害回復のためには,被害者自ら が業者に対して民事上の請求を行わなければなりません。 リフォーム詐欺の場合,特定商取引法によるクーリングオフ(特定商取引法9 条)や不実告知による契約の取消し(同9条の2),詐欺による契約の取消(民 法96条)などを主張して支払った代金の返金を求めたり,不法行為に基づく損 害賠償請求(民法709条)をしたりすることが考えられます。しかし,被害者 が民事訴訟を提起するなどの法的措置をとるにはそれなりの負担が掛かりますし, 法的措置をとったとしても業者側に資力がなければ現実に被害回復を受けること は難しくなります。 「このままでは家が倒れますよ」などと不安をあおられると,あわててリフォー ムを頼んでしまうものかもしれませんが,不要な契約をすることで,かえって大 きな損害を被るおそれもあります。本当にリフォームが必要かどうか,工事費用 が妥当かどうか,慎重に検討した上で契約をすることを心がけたいものです。 ■□■□■□■□ 編集後記 ■□■□■□■□ 兵庫県弁護士会メルマガ通信第46号をお届けします。 今年の8月下旬は、天候が不順なためかそれほど暑いという気がしませんでし た。しかし9月に入って再び残暑がぶり返してきたようです。皆様、どうぞ体調 にはご注意下さい。 夏と秋と行きかふそらの通い路は かたへすずしき風やふくらん (新古今集168番) (健)



