2008/08/01
「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第45号)
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ◇◆◇◆ 「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第45号) ◇◆◇◆ ◇◆◇◆ (2008.8.1配信) ◇◆◇◆ ◇◆◇◆ http://www.hyogoben.or.jp/ ◇◆◇◆ 発行:兵庫県弁護士会 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ◆ 目次 ◇ 五菱会系ヤミ金融事件被害者説明会の開催について ◇ 「憲法についての懸賞作文」募集のお知らせ ◇ 「取調べの可視化」出前講座のご案内 ◇ 裁判員制度で刑事裁判はどう変わるか? 執筆者:富田智和 弁護士 ◇ 今月の法律相談のページ ・「マンション住人行方不明に−裁判で明け渡し請求可能」 執筆者:滝下加代子 弁護士 ・「示談交渉−弁護士資格がなければ違法」 執筆者:韓 検治 弁護士 ◇ 編集後記 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ■□■□ 五菱会系ヤミ金融事件被害者説明会の開催について ■□■□ 1 開催の趣旨 本年5月にスイスから日本へ返還された山口組系旧五菱会によるヤミ金融事件 の犯罪収益29億円について、検察庁により被害者に対する被害回復給付金の支 給手続が開始されています。 検察庁が把握している被害者数万人に対しては「犯罪被害財産支給手続開始決 定通知書」が送付されていますが、本事件の全被害者はその数倍に及ぶとも推測 され、被害者がせっかくの被害回復の機会を逃さないためにも、更なる「被害の 掘り起こし」を行うことが非常に重要であると言えます。 そこで、当会においても下記要領にて今回の被害者支給手続に関する説明会を 開催することとしました。 2 開催日時・場所 (1)実施日時:平成20年8月8日(金)午後6時〜8時(開場午後5時30分) (2)場 所:(1)兵庫県弁護士会館4F講堂 神戸市中央区橘通1丁目4番3号 電話:078-341-7061 (2)兵庫県弁護士会姫路支部会館 姫路市北条1-408-6 電話:079-282-8458 (※(1)(2)共に車での来館はご遠慮願います) (3)対 象:五菱会系ヤミ金融グループの被害者であると思われる方 (4)内 容:(1)今回の支給手続の対象となるか(五菱会系ヤミ金融グル ープの被害者であるか)の判断についての助言 (2)申請方法(申請書の記入・証拠書類などについて)の説明 (3)説明会後の継続相談などについての情報提供 3 説明担当者 兵庫県弁護士会消費者保護委員会委員 4 説明会後の対応について 説明会終了後も兵庫県弁護士会にて電話による相談の受付を行います。 (1)電話番号:078−341−7061(兵庫県弁護士会) (2)内 容:被害内容の確認や簡単な手続の説明をした上で、必要に応 じて下記(3)の相談担当弁護士を紹介します。 (3)相談担当:兵庫県弁護士会所属弁護士 (当会消費者保護委員会の委員を中心として30名程度の 「相談員弁護士」を編成します。) 5 説明会に関する問い合わせ先 兵庫県弁護士会事務局 電話:078−341−7061 ■□■□■ 「憲法についての懸賞作文」募集のお知らせ ■□■□■ 当会では、毎年、日本国憲法への理解を深め、また、憲法を巡って行われてい る様々な議論について、市民の方々と一緒に考えるための企画として、憲法にか かわる市民集会を実施してきております。 この市民集会に併せて、昨年はじめての企画として一般の市民の方々や学生、 小中高校生の生徒の方々を対象に「憲法についての懸賞作文」を募集しましたと ころ、小学生からご高齢の方まで多数のご応募をいただきました。なお、学生の 部の最優秀賞には小学生の作品が選出されました。 今年も、当会では、憲法について、市民の皆さんと一緒に考える集いとして、 2008年(平成20年)9月20日(土)午後1時より当会会館におきまして 「活かそう憲法〜表現の自由の今〜」(仮題)と題した市民集会を開催します。 この市民集会にあわせて、より多くの市民や生徒、学生の方など若い方も含め た多くの方に憲法に関心を寄せて頂くための企画として、「憲法についての懸賞 作文」を下記の要領で募集いたします。 テーマは、「憲法・人権・平和」としていますが、人権・平和の問題、憲法改 正の是非、自分自身の人権や憲法にかかわる具体的な体験談、憲法と身近な話題、 例えば生活保障と憲法、教育を受ける権利と憲法など、日本国憲法にかかわる内 容でしたら何でも自由です。また、憲法にかかわる書籍(子ども向けの本など種 類は問いません)についての読書感想文でも構いません。 なお、憲法について、分かりやすく書かれた絵本「憲法って、何だろう?」が、 奈良弁護士会から発行されていますので、作文応募の参考にしたいというご希望 がありましたら、下記問い合わせ先までご連絡下さい。無料でお送りさせていた だきます。 日頃、皆さんが日本国憲法について考えていらっしゃること、これを機会に考 えたことなど、どしどしお寄せ下さい。 多数の皆さんのご応募をお待ちしております。 〜募集要領〜 1 テーマ 「憲法・人権・平和」 日本国憲法にかかわる内容でしたら自由です。読書感想文でも構いません。 作品には、それぞれご自身でタイトルをつけて下さい。 2 表彰 作品を審査の上で、最優秀賞・優秀賞として10名程度の方を表彰します。 賞品として、最優秀賞には3万円相当の図書カード、優秀賞には1万円相当の 図書カードを差し上げます。また、応募数によって、生徒、学生、一般など部門 を分けて表彰することもあります。 3 応募資格 特に制限はありません。 小中高校生、学生の方など若い方もどしどしご応募下さい。 4 応募方法 作品の冒頭に住所、氏名、年齢、電話番号を明記。生徒、学生の方は、学校名 と学年(大学生の方は学部も)を明記下さい。 また、優秀な作品につきましては、弁護士会が作品を発表することがあります ので、発表時に匿名を希望される場合には、応募の際にその旨を明記下さい。 5 字数 800字から2000字程度まで(400字詰め原稿用紙2枚〜5枚程度) 手書きの原稿も可ですが、手書きの場合には原稿用紙に記入下さい。 6 応募先と応募方法 郵送の方は、次の住所まで封書でお願いします。 〒650−0016 神戸市中央区橘通1丁目4番3号 兵庫県弁護士会 懸賞作文係 ※ メールでの応募も受け付けます。下記の応募受付専用アドレスまでお願いし ます。なお、作品は添付ファイルにて送信下さい。 アドレス sakubun@hyogoben.or.jp 7 締切 2008年(平成20年)9月5日必着。 メールでの応募の場合には、9月5日受信分まで有効です。 8 審査結果の発表 入賞者には、本年9月中旬頃に個別にご連絡を差し上げます。また、本年10 月頃に兵庫県弁護士会ホームページに入賞作品を掲載します。(予定) 9 表彰式 入賞者は、2008年(平成20年)9月20日(土)午後1時からの市民集 会の中で表彰し、また、当日集会内で、会場において受賞作品を発表します。 ※2007年度の作文の入賞作品は弁護士会のウェブサイトでご覧頂けます。 http://www..hyogoben.or.jp/topics/index-2007-1206.html ・応募の際の注意 (1) 応募作品は未発表のものに限ります。 (2) 応募頂いた作品はご返却できませんのでご了承下さい。 (3) 入賞作品の著作権は、主催者に帰属します。 (4) 優秀な作品につきましては、弁護士会が作品を発表することがありますの で、発表時に匿名を希望される場合には、応募の際にその旨を明記下さい。 (5) 応募にあたり記載していただいた個人情報は、入賞者への連絡、副賞等の 発送のためにのみ利用し、ご本人の同意無しに第三者に開示・提供することはあ りません。 【本件に関するお問い合わせ先】 兵庫県弁護士会 憲法問題委員会担当 電話:078−341−8227 ■□■□■□■□ 「取調べの可視化」出前講座のご案内 ■□■□■□■□ 〜ご存知ですか?「取調べの可視化」〜 1 密室での取調べによって冤罪が次々と発生しています わが国の警察や検察で行われている密室での取調べは、捜査官の暴行・脅迫・ 利益誘導等を誘発し、虚偽の自白による冤罪を生み出しています(古くは免田事 件・財田川事件・松山事件・島田事件など。ごく最近のものは志布志事件・氷見 事件など。)。これらの冤罪事件では、無実の人が長期間身体拘束されてしまう など、取り返しのつかない人権侵害が発生しています。 2 冤罪を防ぐためには取調べの可視化(取調べの全過程の録画)が不可欠です 捜査官による違法・不当な取調べや虚偽の自白による冤罪を防ぐためには、取 調べの全過程を録画して、その内容を検証できるようにすることが必要です。 ただし、取調べの一部のみを録画しても、録画されていない部分で自白強要が なされる可能性があり、冤罪を防ぐには不十分です。取調べを録画する際は、取 調べの全てを録画することが必要不可欠です。 3 裁判員裁判の実施には取調べの可視化が必要です 供述調書の任意性が争われた場合、これまでの裁判では、取調官の尋問や被告 人質問を延々と行うなどしていました。 しかし、2009年5月までに開始予定の裁判員裁判において、これまでと同 様の審理を行うことは不可能です。 取調べの全過程の録画が実現すれば、任意性をめぐる争いを避けることができ ます。任意性に争いが生じた場合にも、取調べの様子を事後に検証することが容 易になり、裁判員にも判断しやすくなります。 4 取調べの可視化は世界の潮流です 取調べの可視化は、アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリア等の欧米、 オセアニア諸国の他、香港、台湾、韓国等のアジア諸国・諸地域でも行われてい て、今や取調べの可視化は世界の潮流となっています。 兵庫県弁護士会は、このたび、「取調べの可視化講師無料派遣」を企画いたし ました。この企画は市民の皆さんに、現在の問題点と可視化実現に向けた弁護士 会の取り組みなどをご理解いただくために、弁護士を無料で派遣することにしま した。DVDの上映、弁護士の話、質疑応答と参加者との意見交換を2時間程度 行おうというものです。 是非、ご活用下さい。 ◎「取調べの可視化」講師無料派遣の内容 1 申し込みの資格 10名以上の参加者があれば、個人でも団体でも結構です。 (但し、DVD再生機・テレビ(ディスプレイ)等はご用意下さい。) 2 派遣の範囲 兵庫県内ならどこでも可 3 講師の交通費、謝礼 無料 4 内容(合計2時間程度) (1)DVD上映(2)弁護士の話(3)質疑応答・意見交換 (取調の可視化の資料として、日弁連作成のパンフレットを参加人数分用意し ます。) 5 実施期間 平成20年8月1日から平成21年5月20日まで 6 申込方法 希望日時・希望場所・人数・連絡先(代表者の方の電話番号)を、兵庫県弁護 士会取調べの可視化実現本部事務局(〒650-0044 神戸市中央区東川崎町1-1-3 神戸クリスタルタワー13階、FAX078-341-8227)まで郵送もしくはFAXにてお知 らせ下さい。 ■□■□■□■□ 裁判員制度で刑事裁判はどう変わるか? ■□■□■□■□ 弁護士 富 田 智 和 1 平成21年5月21日の裁判員制度の実施まであと1年を切りました。「裁 判員制度によって刑事裁判はどう変わるの?」という質問を一般の方からよく受 けます。そこで、今回は裁判員制度によって刑事裁判がどう変わっていくのかに ついて述べたいと思います。 2 まず、裁判員制度によって刑事裁判は「法廷で調べられた証拠によって事実 を認定する刑事裁判」へと変わります。もっとも、こう言ってもピンと来ない方 が多いと思います。そこで、この意味について従来の刑事裁判との比較で説明し たいと思います。 これまでも刑事裁判では、法廷で調べられた証拠によって事実を認定するとい う原則(これを「公判中心主義」といいます。)が採られていました。ところが、 従来の刑事裁判を一度でもご覧になった方であればお分かりだと思いますが、従 来の刑事裁判では、この原則は十分に生かされていませんでした。従来の刑事裁 判では、検察官が膨大な書類(例えば、被告人が警察官や検察官の取調べのとき に語ったことをまとめた書類(これを「供述調書」といいます。)がその典型例 です。)を裁判所に提出し、裁判官がこれらの書類を裁判官室に持ち帰ってじっ くりと読んでから事実を認定するという方法が採られてきました。そのため我が 国の刑事裁判は、法廷で調べた証拠よりも供述調書によって事実を認定するとい う意味で、「調書裁判」などと呼ばれて批判されてきました。 ところが、一般の方が裁判に加わる裁判員制度のもとでは、これまで裁判に関 わったことのない裁判員の方がそのような膨大な書類(大きな事件ではロッカー 一杯分以上にもなります)を読むことは予定されていません。そこで、法廷での 証人の証言や被告人の言い分を聞くことによって事実を認定するという公判中心 主義の原則に従った審理を行う必要が出てくるのです。つまり、この裁判員制度 は、長らく「調書裁判」と呼ばれて批判されてきた我が国の刑事裁判のあり方を 変える大きなチャンスにもなります。 3 次に、裁判員制度によって刑事裁判は「分かり易さを意識した刑事裁判」へ と変わります。 これまでの刑事裁判はプロの裁判官のみが審理を担当していたため、必ずしも 分かり易さを意識したものではありませんでした。そのため、「訴因」「公訴事 実」「特信状況」といった一般の人に耳慣れない言葉が当然のように使われてい ました。また、検察官・弁護人ともに事前に用意してきたメモを棒読みするだけ ということも当然のように行われてきました。 しかし、これまで裁判に関わったことのない裁判員が審理に参加する以上、裁 判員の方に分かりやすい審理を心がけなければこの制度を生かすことはできませ ん。 そこで、現在日本弁護士連合会では裁判員に分かりやすい審理を実現するため に様々な研修を行っています。例えば陪審員制度の本場であるアメリカから講師 を招いて各弁護士に裁判員制度を意識した実演を行わせる「法廷弁護技術研修」 を各地で行っています。その研修では、「裁判員を説得しようと思えば裁判員の 目を見て話をしなければならない。」、「法廷では予め用意したメモを棒読みし てはならない。」といったことが繰り返し強調されています。目を見て話すだと かメモを棒読みしないだとかは考えてみれば当たり前のことかも知れませんが、 そのような当たり前のことがこれまでの刑事裁判では意識されてこなかったので す。裁判員制度を前に我々弁護士も意識の変革を求められているといえます。 4 このように裁判員制度によって刑事裁判は大きく変わります。これを機に皆 様方も刑事裁判に興味を持っていただければと思います。 ■□■□■□■□ 今月の法律相談のページ ■□■□■□■□ ◇◆「マンション住人行方不明に−裁判で明け渡し請求可能」◇◆ 執筆者:滝下加代子 弁護士 神戸新聞2008年6月3日掲載 Q:私は、マンションの大家をしていますが、突然賃借人が家財道具を残し、失 踪しました。部屋を明け渡してもらいたいのですが、賃借人が行方不明であれば 裁判もできないのでしょうか。 A:裁判で明渡請求できます まず、部屋を明け渡してもらうためには賃貸借契約を解除しなければなりませ ん。延滞賃料請求の催告と、解除の意思表示をすることが必要ですが、賃借人が 所在不明のため、解除の通知が賃借人に到達せず、解除の効力が生じないという 点が問題となります。 この点に関しては、賃貸人は、マンションの明け渡しを求める裁判を提起する 際、訴状で解除の意思表示をして、公示送達の手続(裁判所に2週間訴状を掲示 することで相手方に訴状が送達されたとみなされる)を取ることで解除の効力が 認められ、裁判できます。その際、行方知れずということを、所在調査報告書を 作成し、裁判所に証明しなければなりません。 そして、明け渡してもらうためには、解除の意思表示、マンションの明渡請求 と延滞賃料の支払い請求を訴状に記載して裁判を提起し、確定判決を得た上で、 家財道具に対して強制執行を申立て、競売するとよいでしょう。 ただ、この方法によっても、時間がかかり、処分費用が高かったりすることも 多いので、契約時の保証人に明け渡しの手続きをしてもらい、家財道具を引き取 ってもらうことが出来れば最善でしょう。 なお、保証人による対応が出来ない場合、面倒だからといって、無断で賃借人 の部屋に入り、家財道具の運搬、処分をすることは、住居侵入罪、窃盗罪に該当 する犯罪行為となり、民事上も不法行為となり損害賠償責任が生じますので、や はり法的手続が必要となります。 実際の事例では、延滞賃料額、敷金の有無などいろいろな事情を考慮する必要 があり、事例ごとに判断が異なることもありますので、お困りの際は、弁護士な どの専門家に相談することをお勧めします。 ◇◆「示談交渉−弁護士資格がなければ違法」◇◆ 執筆者:韓 検治 弁護士 神戸新聞2008年6月17日掲載 Q:知人の知人が交通事故に詳しいとのことです。弁護士等の資格はないのです が,交渉費用も安くしておくから示談交渉は任せなさいと言われています。依頼 しても良いのでしょうか。 A:結論的には,弁護士等の資格のない「知人の知人」という方(仮に「Aさん」 とします)がご相談者の依頼を受けて交通事故の示談交渉をした場合,Aさんの 行為は,いわゆる「非弁活動」として弁護士法に違反する可能性が高いと言えま す。 「非弁活動」とは,わかりやすく言えば,弁護士資格のない人が,法律上の根 拠なく,「報酬を得る目的」で,他人の権利や義務に関する争いごとに介入し, 他人の法律事務を扱うことを「業とする」ことです。典型的な例としては,他人 のために役所に出す書類を作成したり,相手方と交渉したりして,その見返りに 金品を受け取る行為を何度も行っているような場合があります。 ポイントは,「報酬を得る目的で」「業とする」という要件を同時に満たす必 要があるということですが,注意すべきは「報酬を得る目的」さえあれば,たと え実際には金品を受け取らなくても,あるいは「謝礼」などの名目で受け取った としても「非弁活動」に当るおそれがあるということです。また「業とする」と は,一般的には,その行為を繰り返し行うことを指しますが,仮に1回しか行わ なくとも,その行為を繰り返し行う意思があると認められれば,やはり「業とす る」場合に当り,「非弁活動」となるおそれがあります。 ご相談内容によれば,交渉費用を安くしておくからとの発言から,Aさんに 「報酬を得る目的」があることは明らかですし,交通事故に詳しいとのことです から,これまでにも他人の交通事故の示談交渉等を行っている可能性があり, 「業とする」という要件にも当てはまりそうです。従って,Aさんが依頼を受け て示談交渉を行えば「非弁活動」に当る可能性が高いため,ご相談者としては, 知り合いの弁護士か,お近くの弁護士会に相談されるのがよいでしょう。 ※「今月の法律相談」のページは、神戸新聞に毎月第1、3火曜日に掲載され ている「くらしの法律相談」から、神戸新聞の了承を得て転載しています。 なお神戸新聞のサイトは、 http://www.kobe-np.co.jp/ です。 ■□■□■□■ ニュースの読み方 〜賄賂(ワイロ)〜 ■□■□■□■□ 執筆者:井上 篤 弁護士 大分県の小学校教員採用汚職事件に関連した同県佐伯市の校長、教頭の3人に よる不正昇任事件で、県警は22日午後、校長らの勤務先の小学校や自宅などを 家宅捜索する。捜索は21日に引き続き行われ、昇任を巡る異例の汚職事件の全 容解明を目指す。 21日の捜索は、元県教委参事、江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕、 懲戒免職=が佐伯市立小の女性校長(53)と男性教頭(50)、女性教頭(4 9)から金券計110万円を受け取ったとされる収賄容疑で行われた。この日の 捜索は贈ったとされる校長、教頭の贈賄容疑とみられる。 調べでは、3人は3月下旬、管理職任用試験で便宜を図ってもらった謝礼として、 別府市内のホテルのレストランで江藤容疑者に計110万円を贈った疑いが持た れている。校長に就任した女性は金券10万円を、教頭に昇任した男性と女性は それぞれ同50万円を渡したという。 この宴席は江藤容疑者の昇進祝いとして開かれ、3人を江藤容疑者に紹介したと される元県教委参事、矢野哲郎容疑者(52)=贈賄容疑で再逮捕、懲戒免職=ら も同席していたという。 21日は佐伯市教委と県教委佐伯教育事務所を捜索した。【金秀蓮、村尾哲】 (7月22日12時33分配信 毎日新聞) 教職員の採用及び昇進についての汚職事件が報道されています。 今回問題になっているのは、賄賂の罪ですが、一般の方々にはなじみがないと思い ますので、簡単にご説明したいと思います。 賄賂(わいろ)とは公務員の職務に関する不正の報酬としての利益を言います。 これには、社交的慣習や儀礼と判断されない限り、およそ人の需要や欲望を満た すものであれば、如何なるものであるかを問いません。例えば、お世話になった 公立小学校の先生に対してお中元やお歳暮を贈ることも、社交的慣習や儀礼の範 囲を超えていれば賄賂と判断される可能性があります。 贈賄(ぞうわい)とは、賄賂を贈ること、収賄(しゅうわい)とは賄賂を受け取る ことを言います。公務員がその職務に関し賄賂を受け取ったり、賄賂を要求したり すれば、公務員に収賄罪が成立します。公務員に対して、賄賂を渡したり、渡すこ とを約束したりすると、その人には、贈賄罪が成立します。 贈賄罪と収賄罪は、賄賂の罪であり、職務の公正に対する社会の信頼、つまり、公 務員が、その携わる仕事に関してお金などの利益を受け取れば、公務員ひいては公 務そのものが適正に行われている事に対して、一般市民が信頼しなくなることから 処罰されています。噛み砕いて言えば、公務員が仕事に関して給料以外に何らかの 利益を得れば、一般市民は誰も国や地方公共団体を信用しなくなり、権力の行使を 公務員に任せている現代の国家構造そのものが成り立たなくなるのです。 全く同じ仕事をしていて、同じように、お金を受け取ったとしても、その人が、公 務員であれば処罰されるのに対し、一般私人であれば処罰されません。例えば、お 世話になった公立小学校の先生に対して度を過ぎたお中元やお歳暮を贈ると、贈賄 罪になりますが、私立小学校の先生に渡したのであれば、贈賄罪は問題にならない のです。 贈賄罪と、収賄罪とを比較すれば、贈賄罪が3年以下の懲役又は250万 円以下の罰金であるのに対し、収賄罪は、最も軽い罪でも5年以下の懲役であり、 お金を受け取った方が、お金を渡した方よりも罪が重くなっています。これは、賄 賂の罪の目的が、上記のように賄賂の罪を規定した目的が、職務の公正に対する社 会の信頼にあり、公務員としての立場及び職務を利用した公務員の方がより責めら れるべきであると考えられているからです。 なお、一般の方々は、公務員に対して特別な頼み事をして、それに対して賄賂が渡 された場合に賄賂の罪が成立すると誤解されているかも知れません。しかし、上記 の例のように頼み事が何もなくても賄賂を渡せば賄賂の罪は成立します。これは、 頼み事がないにせよ、公務員が、自身の仕事に関連してお金を受け取れば、公務が 適正に行われていることに対する一般市民の信頼が損なわれるからです。頼み事が あれば受託収賄罪として7年以下の懲役、公務員が職務に違反する行為を行えば加 重収賄罪として1年以上の懲役となり、公務員の罪責が重くなります。 公務員の方にお世話になった場合、お礼をしたいという気持ちがあるのは人として 当然のことと思います。先に挙げた例であれば、小学校の先生に度の過ぎたお中元 やお歳暮を贈ると、贈ったあなただけではなく、受け取った先生にも収賄罪が成立 しご迷惑がかかります。贈ったあなたは、罰金で済んでも、受け取った先生は、処 罰されるとすれば懲役しかありません。迂闊にお中元やお歳暮を渡すことは止めて 、お礼は、言葉や態度で示してください。 ■□■□■□■□編集後記■□■□■□■□ 兵庫県弁護士会メルマガ通信第45号をお届けします。 神戸市灘区の都賀川で悲惨な事故が起きてしまいました。一件平和で安全に見 える都市に死角が潜んでいることを思い知らされました。亡くなれた方のご冥福 をお祈りします。できる限り危険や危機に対する感覚を失わないようにしなけれ ばならないと、改めて思いました。 (健)


