2008/07/14
「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第44号)
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ◇◆◇◆ 「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第44号) ◇◆◇◆ ◇◆◇◆ (2008.7.14配信) ◇◆◇◆ ◇◆◇◆ http://www.hyogoben.or.jp/ ◇◆◇◆ 発行:兵庫県弁護士会 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ◆ 目次 ◇ 「裁判傍聴会」のご案内 〜裁判員制度実施にむけて〜 ◇ 高齢者・障害者権利擁護なんでも110番のお知らせ ◇ 今月の法律相談のページ ・「賃貸住宅の注意点−『原状回復』の範囲、確認を」 執筆者:三木麻鈴 弁護士 ・「賃貸アパートの雨漏り−修繕義務は原則家主さん」 執筆者:吉田 憲 弁護士 ・「認知症の父がお金を贈与−成年後見制度の利用も」 執筆者:岡 英男 弁護士 ・「金貸した知人が破産−配当受けても少額の可能性」 執筆者:中森真紀子 弁護士 ◇ 編集後記 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ■□■□ 「裁判傍聴会」のご案内 〜裁判員制度実施にむけて〜 ■□■□ 兵庫県弁護士会では、市民の方々に裁判制度や弁護士活動を理解していただく ため、「裁判傍聴会」を開催しております。 下記の日程で、弁護士が刑事裁判の法廷に同行し、裁判手続等について解説を 行いますので、ご希望の方は、兵庫県弁護士会までお申し込み下さい。(費用無 料) ◎日程◎ ・平成20年 8月 6日(水)12:15〜16:00 9月10日(水)12:15〜16:00 10月 8日(水) 9;15〜13:00 11月13日(木)12:15〜16:00 12月10日(水) 9:15〜13:00 ・平成21年 1月14日(水)12:15〜16:00 2月12日(木) 9:15〜13:00 3月11日(水)12:15〜16:00 (夏休み、春休み裁判傍聴会) 夏休み、春休み裁判傍聴会は小学校高学年(保護者同伴)・中学生・高校生を 対象とした裁判傍聴会です(一般の傍聴会はありません)。 ・平成20年 7月30日(水) 9:15〜13:00 8月20日(水) 9:15〜13:00 ・平成21年 3月25日(水) 9:15〜13:00 ◎実施要領◎ 裁判傍聴当日、当会館にお越しいただき、裁判手続等について1時間程度の事 前説明の後、当会所属の弁護士が裁判所にご案内します。1時間30分から2時 間、刑事事件の裁判を傍聴し、傍聴終了後は、傍聴した事件の解説、質疑応答を 行います。(法廷の都合上、時間が多少前後することがございます。)また、2 009年5月までに導入される裁判員制度の説明も行います。 ◎定員◎ 各回定員18名 ※お一人からでも応募できます。応募者多数の場合は抽選になります。 ◎申込方法◎ 希望日、住所、氏名、年齢、性別、職業、電話番号をご記入のうえ、 (1)はがき、 (2)当会会館備付の傍聴申込書、 (3)電子メール (bengoshikai@hyogoben.or.jp) ※件名を「裁判傍聴希望」と明記下さい。いずれかにてお申し込み下さい。詳細 については、後日、はがきにてご通知致します。 ※多人数でのお申し込みの場合、代表者の連絡先、参加人数、参加者される方の お名前をご記載下さい。ご連絡は、代表者の方に差し上げます。なお、お知らせ いただいた個人情報につきましては、裁判傍聴会の開催に必要な範囲でのみ使用 し、ご本人の同意なしに第三者に開示・提供することはありません。 ◎応募締切◎ 各開催日の8日前(必着) ◎申込連絡先◎ 〒650−0016神戸市中央区橘通1−4−3 兵庫県弁護士会司法問題対策委員会 電話:078−341−7061(代) FAX:078−351−6651 E-mail bengoshikai@hyogoben.or.jp ■□■□■ 高齢者・障害者権利擁護なんでも110番のお知らせ ■□■□■ 高齢者・障害者の権利擁護に関する法律相談を広くお受けするために、無料の 電話・FAX相談を実施しています。 ご本人からの相談のみならず、ご家族からのご相談についても、また相談員な ど生活支援や相談業務に関わっておられる方々からのご相談についても、丁寧に 対応させていただきますので、ご遠慮なく、お気軽にご相談下さい。 日時:7月の毎週火曜日 午後1時〜午後4時 (7月8日・7月15日・7月22日・7月29日) 内容: (1)電話相談 受付電話番号 078−341−7177 (2)FAX相談 受付電話番号 078−341−5141 (FAXでのご相談の際には、相談者の連絡先をご記入下さい) 相談例:(1)虐待や権利侵害に関する相談、(2)親族による年金の取り込みに 関する相談、(3)悪徳商法や消費者被害に関する相談、(4)成年後見や財産 管理に関する相談、(5)利用している福祉サービスに関する相談、など 主催、問い合わせ先:兵庫県弁護士会(高齢者・障害者総合支援センター) 電話:078−341−0550 ■□■□■□■□ 今月の法律相談のページ ■□■□■□■□ ◇◆「賃貸住宅の注意点−『原状回復』の範囲、確認を」◇◆ 執筆者:三木麻鈴 弁護士 神戸新聞2008年4月15日掲載 Q:最近,賃貸住宅から退去する際,借主側でどこまで修復をするか紛争になる ケースが多いと聞きました。このたび,新たにマンションを借りるのですが,ど のようなことに気をつけておけばよいですか。 A:賃借人が賃貸住宅から退去する際、賃借人は、賃貸住宅を元の状態に修繕 (これを「原状回復」といいます)して、賃貸人に明け渡す義務があります。通 常,賃貸住宅から退去する際、原状回復にかかる費用は、賃借人が賃貸人に預け ている敷金の中から差し引かれます。そのため、退去時に賃貸人と賃借人の間で 原状回復の範囲をめぐりトラブルになることがあるのです。 判例上、賃借人が社会通念上において通常の使用をした場合に生じる物件の劣 化や価値の減少(これを「通常損耗」といいます)は特約のない限り、賃貸人の 負担とすることになっています(最高裁判例平成17年12月16日)。 そこで、新たにマンションを借りる際は、賃貸借契約書で賃借人の原状回復義 務の範囲がどのように定められているのか,通常損耗まで賃借人の負担とする特 約がないかなどを契約前に確認しておきましょう。 次に、退去時の損耗が賃借人によるものではなく、入居時から既に存在してい たことを明らかにしておくために,賃借人は、入居時の室内の状況を写真撮影し ておく必要があります。傷痕(きずあと)、へこみ、クロスの汚損などがあれば, 入居時に賃貸人に伝え、賃貸人・賃借人双方立会いで確認しておきましょう。 最後に、原状回復でトラブルが多い壁や天井のクロスの汚損について説明しま す。通常、クロスのクリーニングで除去できる程度の汚損であれば通常損耗に当 たるので原状回復義務は発生しません(ただし、ハウスクリーニング費用を賃借 人の負担とする特約がある場合を除きます)。しかし、通常のクリーニングで除 去しきれないようなたばこのヤニの付着等があると、クロスの張り替えまで必要 となり、その張替費用を賃借人が負担しなければならないことがあります。張替 面積が大きいと費用も高額になるので、室内でたばこを吸われる方は十分注意し て下さい。 ◇◆「賃貸アパートの雨漏り−修繕義務は原則家主さん」◇◆ 執筆者:吉田 憲 弁護士 神戸新聞2008年4月29日掲載 Q:現在住んでいる賃貸アパートは,雨漏りするような状態です。家主さんに直 すようお願いしていますが,なかなか直してくれません。このような状況でも契 約通り家賃を支払わなければならないのでしょうか。また,自分で直した場合, その費用は家主さんに請求できますか。 A:ご相談内容の前提として,誰が賃貸アパートの雨漏りを修繕する義務を負う のかが問題となりますので,その点からお答えします。 賃貸人は,賃借人に家屋などを適切に利用させる義務がありますので,原則と して賃貸人が家屋などを修繕する義務があり,賃借人には修繕の義務はありませ ん。 ただし,賃貸人と賃借人の間で「賃借人が家屋などを修繕する」という約束を した場合,賃借人に修繕の義務が生じます。実際にはほとんどの賃貸借契約書に このような約束が記載されています。しかし,賃借人が大きな出費を払ってまで 家屋などを修繕しなければならないとすると,賃借人の不利益が大きすぎます。 そこで,事案にもよりますが,賃借人が修繕するという約束があっても,賃借人 は屋根の修理など大きな修繕までする義務は負わないと考えるべきであり,判例 も賃借人の修繕義務を狭くする傾向にあります。 そうすると、賃貸アパートの雨漏りを防ぐため、屋根の修理など大きな修繕が あってもなくても、相談者は屋根の修繕義務を負わない可能性が高いといえます。 従って、屋根の修繕義務を負う家主さんに対し、相談者は、賃料の支払いを拒 んだり、賃料の減額を請求できたりします。また、相談者自らが修繕した場合、 修繕費用を請求できますし、賃料と相殺することもできます。 なお、実際の事例では、賃料額などのいろいろな事情を考慮する必要があり、 事例ごとに判断が異なることもありますので、お困りの際は、弁護士などの専門 家に相談することをお勧めします。 ◇◆「認知症の父がお金を贈与−成年後見制度の利用も」◇◆ 執筆者:岡 英男 弁護士 神戸新聞2008年5月6日掲載 Q:先日,父が複数の知人に多額の金銭を贈与していることが分かりました。父 に聞いても要領を得ないので,病院に連れて行ったところ,認知症と診断されま した。いままで贈与したお金を返してもらうことはできますか。また,同じよう なことを防ぐ方法はありますか。 A:認知症の程度は軽いものから重いものまであり,お父さんの認知症がどの程 度なのかは分かりません。お父さんが判断能力を全くなくしているような状態で あれば,成年後見人の制度を利用することが考えられます。 この制度は,判断能力を欠く状況にある人について,家庭裁判所が後見開始の 審判をして,本人の権利を守るために成年後見人を選任するものです。 子であるあなたは,お父さんの住所地を管轄する家庭裁判所に成年後見の申し 立てをすることができます。家庭裁判所は,調査官による調査や精神の状況につ いての鑑定などを行います。その結果,後見を開始する場合,最も適任と思われ る人を成年後見人に選任します。 あなたがお父さんの成年後見人に選任された場合,あなたには,代理権・取消 権という権限が付与されます。代理権とは,お父さんを代理して財産管理ができ る権限です。取消権とは,お父さんのした財産上の行為を取り消すことができる 権限です。 ところで,行為の結果を判断するだけの精神能力がない人のした行為は,法律 上無効とされています。お金を贈与した当時,お父さんが認知症によってこの能 力を欠いていた場合,贈与は法律上無効となります。そして,あなたが成年後見 人に選任されていれば代理権がありますから,お父さんに代わって贈与の無効を 主張し,金銭の返還を求めることができると考えられます。 また,あなたには成年後見人として取消権もありますから,今後お父さんが同 じように贈与をしたとしても,その贈与を取り消すことができるようになります。 ◇◆「金貸した知人が破産−配当受けても少額の可能性」◇◆ 執筆者:中森真紀子弁護士 神戸新聞2008年5月20日掲載 Q:お金を貸していた友人が破産したと裁判所から通知がありました。今後どの ような手続きがあるのでしょうか。また、貸し付けたお金は少しでもお金は返っ てくるでしょうか。 A:裁判所から届いた通知は、あなたの友人について破産の手続が始まったこと を知らせる通知です。 破産の手続きは、個人や会社の借金などがかさみ、全ての財産を充てても、借 りたお金など支払わなければならない債務を支払うことができない場合、その財 産をお金に換えて、債権者全員に公平な割合で分配(配当)するための手続です。 破産者が負っている債務を調査→破産者の財産を調査→それを売却するなどし て現金化→その結果得られたお金を配当−といった一連の手続きがあります。あ なたの友人の財産が極端に少ないという場合を除いて、今後これらの手続きは、 裁判所から選ばれる財産の管理人(破産管財人)によって行われることになりま す。 あなたは債権者ですから、配当が受けられれば、少しでも貸したお金を返して もらうことができます。配当を受けるためには、裁判所から送られてくる債権届 出書という書面に、必要な事項を記載して裁判所に返送することが必要です。 また、あなたがこの破産手続きについての情報を得たり、意見を述べたりした ければ、裁判所で記録を閲覧したり、債権者の集会で破産管財人に説明を求める ことができます。 配当がある場合、配当額は、原則としてほかの債権者と平等に、貸した金額の 割合で決まることになります。 なお、あなたが配当を受けることができたとしても、少額であることが多いの が現実です。しかも、破産者は、残った債務について支払うべき義務を免れるの が通常ですので、配当を受けられない額については、あなたは、残念ながら、友 人に支払いを求めることができなくなります。 ※「今月の法律相談」のページは、神戸新聞に毎月第1、3火曜日に掲載され ている「くらしの法律相談」から、神戸新聞の了承を得て転載しています。 なお神戸新聞のサイトは、 http://www.kobe-np.co.jp/ です。 ■□■□■□■□編集後記■□■□■□■□ 兵庫県弁護士会メルマガ通信第44号をお届けします。 気象庁から梅雨明け宣言はまだ出されていませんが、すっかり夏本番の天気で す。今年の夏は、どんな思い出ができるでしょうか。 (健)



