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2008/03/06

「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第41号)

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   ◇◆◇◆ 「兵庫県弁護士会メルマガ通信」(第41号)  ◇◆◇◆
    ◇◆◇◆     (2008.3.6配信)       ◇◆◇◆
     ◇◆◇◆  http://www.hyogoben.or.jp/  ◇◆◇◆
            発行:兵庫県弁護士会
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◆ 目次

◇・裁判員の選任手続について(その4)
                 執筆者:朝本行夫 弁護士

◇・あなたが裁判員です! パート3
      〜刑事手続の中で裁判員は何をするの?
                 執筆者:富本和路 弁護士

◇ 今月の法律相談のページ
 ・「マンションの契約−未成年でも既婚者なら可能」
                 執筆者:森川 拓 弁護士

◇ ニュースの読み方  〜時効(公訴時効)〜
                 執筆者:藤原孝洋 弁護士

◇ 編集後記

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■□■□   裁判員の選任手続について(その4)   ■□■□
 
                   兵庫県弁護士会 裁判員制度実施本部
                    本部長代行  朝本行夫 弁護士

1 個別事件で,裁判員の選任手続を経て裁判員に選ばれた方そして補充裁判員
に選ばれた方は、裁判長から,裁判員・補充裁判員の方に対して,裁判員として
の権限、義務その他必要な事項の説明を受けます。
 裁判長の説明は,概ね次のような内容です。
「皆さんは,この事件の裁判員に選任されました。
 これから,私たち裁判官と一緒に裁判を行うことになります。どうかよろし
 くお願いいたします。
 ○刑事裁判のルールについて
 まず,皆さんに裁判に参加していただくにあたって,予め知っておいていただ
きたい裁判のルールを説明します。
 裁判は,被告人が起訴状に書かれている犯罪を本当に行ったかどうかを判断す
 るために行われます。
 【証拠とは】
 その判断を行うために,検察官と弁護人から証拠が提出されます。
 証拠というのは,例えば,凶器などの証拠品,現場見取図などの書類,証人や
被告人の話などが挙げられます。(もし,この事件について,新聞やテレビなど
で見たり聞いたりして得た情報があったとしても,それらは証拠ではありません。
 ですから,そうした情報に基づいて判断してはいけないことになっています)
 法廷では,検察官や弁護人は,冒頭陳述や論告,弁論と呼ばれる機会に,事実
がどうであったか,証拠をどのように見るべきかについて,意見を述べます。こ
れも裁判員の皆さんと裁判官の判断の参考にするために述べられるのであって,
証拠ではありません。
 そして,被告人が有罪であることは,検察官が今述べたような証拠に基づいて
明らかにすべきこと,つまり証明すべきことになっています。ですから,検察官
が有罪であることを証明できない場合には,無罪の判断を行うことになります。
 法廷で証人や被告人から話を聞く際には,裁判員の皆さんにも質問の機会があ
ります。もし質問があるときは,その機会に私に申し出てください。
 法廷での手続が終わると,裁判員の皆さんと裁判官は,被告人が本当に起訴状
に書いてある罪を犯したのかどうかを判断することになります。
 【事実認定について】
 過去にある事実があったかどうかは直接確認できません。 しかし, 私たちの普
段の生活でも, 関係者の話などをもとに, 事実があったのかなかったのかを判断
している場合があるはずです。 ただ, 裁判では, 不確かなことで人を処罰するこ
とは許されませんから, 証拠を検討した結果, 常識に従って判断し, 被告人が起
訴状に書かれている罪を犯したことは間違いないと考えられる場合に, 有罪とす
ることになります。逆に, 常識に従って判断し, 有罪とすることについて疑問が
あるときは, 無罪としなければなりません。
 有罪とするときには, 被告人をどのような刑にするのかを決めます。
 結論は,裁判員の皆さんと裁判官が 一緒に話合いをしながら出していきます。
裁判員の皆さんには, 今述べてきたようなルールに従って, ご自分の判断に基づ
いて意見を述べていただきます。 
 裁判官も同じルールに従って意見を述べます。 裁判員と裁判官の意見は同じ 
重みを持ちます。
 なお, 法律の解釈, つまり法律で使われている言葉の意味が問題となる場合に
は, 裁判官がその点について説明しますので, 御安心下さい。

2 裁判員及び補充裁判員の方は,裁判官、検察官及び弁護人の前で宣誓をしな
ければなりません。これまで神戸地方裁判所で実施された模擬選任手続では、法
廷ではなく、選任手続で裁判官から質問を受けて部屋で宣誓が行われています。
 宣誓は、法令に従って誠実に職務を行いますという趣旨が書かれた書面を、裁
判員・補充裁判員が声を合わせて読み上げる方法で行われます。
 尚、正当な理由なく宣誓を拒むと、10万円以下の過料が課されます。
 どのような場合に、宣誓を拒む正当な理由になるか、明らかではありませんが
宗教上の理由なら宣誓を拒めると説明する文献もあります。
 宣誓をしない裁判員・補充裁判員は解任されることになります。

3 審理の対象となる事件の概要説明は,選任手続開始前に行われます。その際
に起訴状に書かれた犯罪事実の内容,被告人の氏名・年齢,被害者の氏名・年齢,
起訴状に書かせた犯罪が行われた住所等の説明があります(被告人・被害者と関
係のある方等は当日質問票にその旨を書いて頂くためです)。
 裁判員及び補充裁判員に選任された方に対しては,これから始める審理を分か
 りやすくするために再度,事件の概要等が説明されていることがあります。

4 次号以下で,タイトルも変えて,実際に裁判員ないし補充裁判員に選ばれた
方が,どのようなことをするのかをご理解頂けるよう,裁判員裁判の流れ等をご
説明させて頂きます。
                                 以上


■□■□■  あなたが裁判員です! パート3   □■□■□
■□■□■ 〜刑事手続の中で裁判員は何をするの? □■□■□

                            富本和路 弁護士

1 はじめに
 パート1及びパート2では、捜査の意味や供述調書の作成、刑事手続の流れや
事実認定などについて、お話させていただきました。
 今回は、実際に裁判員の皆さんが刑事手続の流れの中で、どのようなことをす
ればよいのかについてお話いたします。

2 裁判員としての注意点など
 まず、簡単に刑事裁判の大まかな流れを復習してみます。
 <1>人定質問→<2>起訴状朗読→<3>黙秘権等告知及び罪状認否→<4>冒頭陳述
 →<5>証拠調手続→<6>論告・弁論→<7>判決、という流れでした。
 以下、各流れに沿う形で、裁判員の皆さんが見るべき点・注意していただきたい
点などについて、お話させていただきます。

(1) <1>人定質問における注意点等
 人定質問とは、実際に出頭してきている人物と、起訴状で起訴されている被告
人が同一人物であるかどうかを確認する手続です。
 問題がある場合として、例えば身代わりで出頭して来た場合などがありますが、
ほとんどの場合は問題なく進みます。裁判員としては、出頭してきた人物が、起
訴状に記載されている名前・住所・生年月日などしっかりと間違えずに話してい
るかに注意していてください。

(2) <2>起訴状朗読における注意点等
 起訴状には、検察官が、こういう裁判をしてくださいという、裁判の対象事件
の内容が簡略に記載されています。具体的には、検察官が「公訴事実」を読み上
げ、起訴状に記載されている事件の内容を読んでいきます。
 裁判員の皆さんは、どのような事件なのかについて、把握してください。

(3) <3>黙秘権等告知及び罪状認否における注意点等
 ア 黙秘権等告知
 黙秘権という言葉は、皆さんもよく聞いたことがあると思います。読んで字の
ごとく、黙っていてもよいという権利のことです。ただし、もう少し突っ込んで
説明すると、黙っているからといって、例えば「真実を隠している」とか「やま
しいことがあるから黙っているんだ」などという考えを持ってはならないという
ことです。黙秘権は憲法上明確に保証されている基本的人権のひとつであり、黙
っていることを被告人に不利な事情として考えてはならないのです。
 もっとも、実際の裁判では、全面的に黙秘権が行使されることはほとんどない
です。裁判員としては、裁判長が被告人に説明する内容、具体的には「黙秘権が
あること」「黙秘権を自由に行使できること」、黙秘とは反対に「被告人が任意
に発言できること」「被告人が発言したことは、被告人に有利であっても不利で
あっても証拠となりえること」という説明をしっかりと頭に刻んでください。
 イ 罪状認否
 黙秘権告知の後、裁判長が被告人に対して、先ほど検察官が読み上げた起訴状
に誤りがないかを聞きます。これに対する被告人・弁護人の対応は、パート2でお
話させていただきました。復習すると、被告人は、(ァ)すべて認める、(ィ)違うところ
を主張する、(ゥ)黙秘したまま答えないという態度を取ることがあり、これに対応す
る形で、弁護人が法的観点を付け加えて意見を言う、ということでした。
 裁判員として、注意しなければならないのは、被告人の発言をよく聞き、これ
に対して、弁護人がどのような説明を加えるのかを把握することです。この罪状
認否によって、裁判で争点となる部分が明らかになります。もっとも、この時点
においては、事件内容を簡潔に記載した起訴状に対する意見ですので、それほど
具体的な事実関係の争いは見えてきません。裁判員の皆さんは、まずは大まかに、
「起訴されている事実に争いがあるかどうか」という見極めをすることが必要で
す。具体的な事実関係の争いについては、後に続く「冒頭陳述」によって、明ら
かとなってきます。
 なお、「事実に争いがあるかどうかすら分からないかもしれないんで、不安だ
・・・」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そこはそれほど不安が
ることはないです。というのも、実は、裁判員裁判対象事件については、実際の
裁判が始まる前に、裁判所・検察官・弁護人(被告人)らで、裁判の進め方や争点
について、事前に整理してあります。この整理する手続を「公判前整理手続」
(なお、「前」は「ゼン」とも「マエ」とも読みます)といいます。ですので、
仮に罪状認否で被告人がいろいろと細かなことを言ったとしても、その後に弁護
人が分かりやすく説明してくれるはずですから、被告人の意見を聞くことはもち
ろん重要ですが、弁護人の意見もよく聞いておいてください。
 具体的な例としては、弁護人が「事実は被告人と同じく認めますが、後に述べ
ますとおり、やむを得なかった事情があります。」とか「被告人には殺意はあり
ませんでした。」とか「被告人は犯行当時精神的疾患があり、心神喪失あるいは
心神耗弱(「しんしんこうじゃく」と読みます)状態にありました。」などと意
見を言うことがあります。もちろん、各弁護人のいろいろな言い回し方はありま
すが。

(4) <4>冒頭陳述における注意点等
 さて、罪状認否終了後に、検察官が冒頭陳述を行います。この冒頭陳述は、起
訴状記載の事実関係を、より詳細に述べるもので、一般的には、被告人の経歴、
事件に至る経緯、事件の具体的な状況、事件後の経緯などが主張されます。
 この検察官の冒頭陳述後、弁護側からも冒頭陳述が行われることがあります。
弁護人の冒頭陳述は、検察官とは異なった観点から、事件の経緯などを主張し、
無罪を争う事件では、法的に犯罪が成立しないことなどが主張されることもあり
ます。
 この冒頭陳述での注意点ですが、まず、一番気をつけていただきたいのが、パー
ト2でも述べたとおり、冒頭陳述はあくまで検察官及び被告人・弁護人の「主張」
つまり「言い分」であって、この「主張」が本当かどうかを裁判で明らかにしな
ければならないということです。そして、刑事裁判において重要な点は、「検察
官の冒頭陳述と弁護側冒頭陳述のどちらが自然で正しいと思うか」という観点で
はなく、「検察官の冒頭陳述が正しいのかそうでないのか」について、後に続く
証拠調手続を踏まえて考えていかなければならないということです。
 あと、大切な点としては、双方の冒頭陳述は、初めて聞く場合には、「同じよ
うなことを言っているから、何が問題なのか分からない」と思われることがある
と考えられます。この点に関しても、先ほど述べましたように、公判前整理手続
によって争点が整理されておりますので、裁判長が話す公判前整理手続の結果の
要旨と照らし合わせてみてください。また、検察官は、パワーポイントなどを利
用してわかりやすく事実経緯を説明してくれると思いますし、弁護側も創意工夫
を凝らして、分かりやすい冒頭陳述に務めるであろうと思われますので、あまり
不安がることはないと思います。むしろ逆に、いろいろな創意工夫によって、こ
の冒頭陳述の時点である程度の印象を持ってしまう危険がありますので、「冒頭
陳述は双方の主張に過ぎない」という点を、忘れないで下さい。

(5) <5>証拠調手続における注意点等
 さて、検察官のあるいは双方の冒頭陳述が終了した後、証拠調手続に入ってい
きます。繰り返し述べますが、この証拠調手続で明らかになった証拠に基づいて、
常識的な判断を加えて、検察官の言っている事実が本当にあったのかという点を
判断することになります。
 証拠には、書類や物といった客観的なものと、人が話す証言などがあります。
裁判員裁判では、できるだけ法廷で話すことを中心にして事実を明らかにしてい
こうという運用が期待されておりますので、証人尋問や被告人質問が中心とされ
るべきです。しかし、書類関係が一切なくなるというのも考えにくいです。そこ
で、争いのない事実関係などについては、書類などの証拠で事実を認定していき、
争いのある部分について、証人や被告人から話を聞くという流れになろうかと思
われます。
 まず、裁判員の皆さんは、証人尋問や被告人質問がどのように進行していくの
かについて知っておいて下さい。証人尋問の流れは、おおむね次のとおりです。
まず、検察官又は弁護側が証人尋問をやってくださいと裁判所にお願いをして、
裁判所が採用すれば、証人尋問が行われます。証人尋問が行われることになると、
証人が嘘をつかないという「宣誓」をします。その後、証人尋問を請求した側
(検察官が証人尋問を請求した場合は検察官)から証人に対して質問をして、証
人がそれに答えるということ(「主尋問」といいます)が行われ、主尋問が一通
り終わると、反対側(検察官が証人尋問を請求した場合は弁護側)の質問が行わ
れて証人がこれに答えるということ(「反対尋問」といいます)が行われます。
そして、反対尋問が一通り終わると、もう一度証人尋問を請求した側の質問が行
われ(「再主尋問」といいます)、次いで、再反対尋問が行われ、、、というこ
とが繰返されます。もっとも、通常は再反対尋問ぐらいで終わります。そして、
その後に、裁判官と裁判員の皆さんが実際に証人に質問するということが行われ
ます。検察官、弁護側の質問と証人の返答をよく聞いて、疑問に思ったことやも
う一度聞いてみたいことなど、皆さんは遠慮せずに証人に質問をしてもらいたい
と思います。ただし、質問の際に気をつけていただきたいのは、質問を簡潔にし
て、証人が答えられやすいようにしてください。
 あと、注意点としては、裁判員の皆さんが検察官や弁護人と証人のやり取りを
聞いていて、「何のためにそんなことを聞いているのか分からない」と思われる
こともあると思います。そのような場合であっても、とりあえず、やり取りをよ
く聞いていてください。そうすると、例えば主尋問で答えていたことと反対尋問
での答えが矛盾したり、あるいは逆に、主尋問で答えていたことが反対尋問でよ
りいっそう明確になったりする場合があります。矛盾する答えをした証人は、例
えば記憶違いをしているとか、実ははっきりとは覚えていなかったとか、証言の
信用性があまりないなどの根拠になったりします。ですので、とにかく、裁判員
の皆さんには、検察官や弁護側との証人のやり取りをしっかりと見て、聞いてい
てください。
 被告人質問においても、証人尋問と同じような流れになります。もっとも、被
告人質問の場合は、通常は弁護側が主質問、検察官が反対質問とされて進んで行
きます。被告人質問においても、裁判員の方は、しっかりとやり取りを見聞きし
ていてください。

(6) <6>論告・弁論における注意点等
 証拠調手続がすべて終了した後、論告・弁論が行われます。検察官、弁護側双方
が、証拠の見方、証人尋問の結果を踏まえた証言の信用性などを主張し、裁判に
対する最終的な意見を述べる場です。
 この意見を参考にして、裁判員の皆さんは、被告人が有罪か無罪か、有罪とし
て、どのような刑罰がふさわしいかの判断をすることになります。具体的には、
論告・弁論の後、裁判員・裁判官のみんなで評議を行い、その評議において、皆さ
んに意見を言ってもらうということが行われます。この評議は、そもそもの裁判
員制度の目的のひとつである、国民一人ひとりの経験を裁判に反映させることに
直結すると思われますので、裁判員の皆さんは、ぜひとも自由闊達なご意見を、
遠慮せずに裁判官や他の裁判員にぶつけていただきたいと思います。
 論告・弁論を参考にするに当たっての注意点としては、「冒頭陳述」と同じよう
に、この論告・弁論での双方の意見も、「証拠」ではなく「主張(ないし意見)」
ですので、その点をご注意ください。但し、「冒頭陳述」と異なる点があるとす
れば、論告・弁論では、証拠に対する見方なども主張されますので、同じ証拠に対
して、検察官側の見方と弁護側の見方が異なっていることがあります。裁判員方
は、証拠の見方という点に注意が必要かもしれません。その際にも、「皆さんの
常識に照らして判断する」ということを忘れないで下さい。

(7) <7>判決における注意点等
 論告・弁論が終わり、評議が終了すると、判決が宣告されることになります。判
決を書いたり言渡したりするのは裁判官ですので、評議後に裁判員の皆さんが特
別な活動をすることはありません。しかし、判決は、裁判員の皆さんと裁判官が
同じ立場で評議をし、出した結論ですので、裁判長が言渡す判決をよく聞いてい
ただき、そのときに被告人の表情などにも注意していただければよいと思います。

3 パート3まとめ
 今回は、裁判員の方が、刑事裁判の流れの中でどのような点に注意し、どのよ
うなことを行えばよいのかについて、私の思うところをお話させていただきまし
た。皆さんが、いざ裁判員に選任されて法廷に出て、「何をやっているのかよく
分からない」という印象を抱かれないことを願っています。
                                                                  以 上


■□■□■□■□ 今月の法律相談のページ ■□■□■□■□

◇◆「マンションの契約−未成年でも既婚者なら可能」◇◆

                執筆者:森川拓 弁護士
                  神戸新聞2008年1月15日掲載

Q:私は、18歳になったばかりですが、先日、結婚しました。妻と住むための
マンションを借りようとしたのですが、不動産会社から、私が未成年なので、契
約には両親の同意が必要だといわれました。結婚しても、いちいち両親の同意を
もらわなければいけないのでしょうか。

A:結論からいえば、ご両親の同意をもらう必要はありません。法律上、結婚し
た場合は、未税・圓任△辰討癲∪・・肪・靴燭發里箸澆覆垢箸気譴討い襪燭瓩・・実匸す(成年擬制)。
 まず、法律では20歳未満を未成年者としています。そして、未成年者は、契
約などの法律行為をする場合、原則として法定代理人の同意をもらわなければな
らないとされています。法定代理人とは、未成年者の場合、普通は親(親権者)
ですが、親権者がいないときは後見人が選任されます。なお、両親がいる場合は、
両親双方の同意をもらう必要があります。このように法定代理人の同意が必要と
されているのは、未成年者の判断能力が十分でないことを考慮し、未成年者を保
護しようとするものです。したがって、不動産会社のいうことも、一般の未成年
者について言えば間違ってはいません。
 ただ、前述のとおり、未成年者でも結婚した場合は、成年に達したものとみな
すとされているため、あなたに関していえば、両親の同意は必要ありません。こ
れは、<1>結婚して独立の家庭を持つということは、それだけ精神的能力が成熟し
ているということだから成年と同一視できるということ、<2>結婚した場合は、成
人同様にいろいろな契約をしなければならないのですが、いちいち両親の同意を
もらわなければならないのは、あまりにも煩わしく、また、憲法が定める「両性
の合意のみに基づく婚姻」の独立性を確保できないためです。
 もっとも、成年とみなされるのは、上記の趣旨からであり、肉体的に成年とな
ったわけではありませんので、たばこを吸ったり、酒を飲んだりということが認
められるわけではありません。また、選挙権をもつのは、法律上「年齢満20年
以上の者」とされており、結婚しても選挙権がもらえるわけではありません。
 なお、この成年擬制の効果は、離婚した場合でも消滅することはないと理解さ
れています。


 ※「今月の法律相談」のページは、神戸新聞に毎月第1、3火曜日に掲載され
ている「くらしの法律相談」から、神戸新聞の了承を得て転載しています。
 なお神戸新聞のサイトは、 http://www.kobe-np.co.jp/ です。

■□■□■□■ ニュースの読み方 〜時効(公訴時効)〜 ■□■□■□■□

                執筆者:藤原孝洋 弁護士

 米ロサンゼルス市警は23日、約27年前のロス銃撃事件(ロス疑惑)で殺人
罪などに問われ、最高裁で無罪が確定した三浦和義元被告(60)が22日、1
981年11月に妻、一美さん(当時28歳)を殺害した疑いなどでサイパン島
(米国自治領)の空港で逮捕されたと発表した。空港警察当局者によると、サイ
パン島内の拘置所で身柄を拘束されている。米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子
版)はロス市警当局者の話として、ロサンゼルスで起訴される可能性があると伝
えている。
(中略)
 殺人罪は、日本では25年の公訴時効があるが、米国には時効がない。(毎日
新聞 2008年2月24日 東京朝刊より抜粋)

 公訴時効とは,犯罪発生から一定の期間が経過したあとの訴追を禁止する制度
である。日本の刑事訴訟法は,死刑に当たる罪については25年,無期懲役又は
禁錮に当たる罪については15年で時効にかかると規定している。

 刑事ドラマでは,公訴時効間際の事件を追いかけている刑事が,時効が成立す
る数分前に犯人を逮捕するというような鬼気迫った演出がされることがあるが,
公訴時効期間内に逮捕すればよいというものではない。後に,公訴提起(起訴)
まで必要であることを考えると,逮捕が数分前では遅すぎる。
 これまた刑事ドラマでおなじみの設定であるが,犯人が国外にいた場合,時効
期間が停止するという規定は,刑事訴訟法に実際に存在する。

 この公訴時効の制度が規定されたのは,犯行から時間が経過しすぎると,証拠
が散逸し真実の発見が困難になるからとも,時間の経過により被害者感情が薄れ
るからとも言われる。
 ただ,今回の報道で米国では,殺人罪(特に,一級殺人罪らしい)では時効が
ないということが日本の国民に明らかになり(私も聞いたことがありませんでし
た!),昨今の被害者保護の流れと相まって,時効制度そのものの是非が議論さ
れることになるかもしれませんね。


■□■□■□■□編集後記■□■□■□■□

 兵庫県弁護士会メルマガ通信第41号をお届けします。近所の寺院で見事な梅
の花が咲いていました。2月は寒かったですが、桜前線も近付いているようです。

 君ならで誰にかみせん梅の花 色をも香をもしる人ぞしる
                    紀 友則(古今和歌集)

                                           (健)

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