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2009/08/25

映画の精神医学 「薬物の恐怖」がちっとも伝わらない酒井容疑者の薬物報道

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      映画の精神医学
       

●第341号● 2009年8月25日発行 ● 発行部数:47,156部

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■1 はじめに
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 今年の夏はそれほど暑くはありませんが、
どうも夏ばて気味で、あまりやる気がわかなくて困っています。

 先週の土曜と日曜で連続でセミナーをやったのが、
意外と疲れとして残っているのかもしれません。

 明日の「出版スタートセミナー」
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で、私の今年の夏のセミナー講師ラッシュも一段落するので、
その後は一休みしたいと思います。


 今でこそ、セミナー講師、講演会講師など、人前で話すのが大好きな
樺沢ですが、意外に思う人も多いでしょうが、
昔は人前で話すのが苦手でした。

 そんな私が、ほんの少しだけ考え方を転換しただけで、
人前で話すのが「プレッシャー」ではなく、
「楽しみ」に変わってしまったのです。

 人前で話すのが苦手。
 仕事でのプレゼンテーションが苦痛でしょうがない。
 そんなあなたも、プレゼンテーションが得意になる方法があります。

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■2 最新映画批評 
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 「色即ぜねれいしょん」   現在公開中
└────────────┘   

 思わず「あるある」と言いたくなった。
 共感ポイントが映画のいたるところに山ほどある。

 主人公じゅんの「音楽」を、私の場合は「映画」に置き換えれば、
ほとんど自分の青春時代がそのまま描かれていたような錯覚に陥るほどだ。

 「色即ぜねれいしょん」は、みうらじゅんの自伝的青春小説を
田口トモロヲが監督、映画化した作品。

 かなりの個性派として知られるみうらじゅんも、
高校時代は意外と普通だったか・・・という気もするが、
主人公じゅんは「ごく普通の文化系高校生」でありながら、
その行動力はなかなかのものがある。

 片思いの彼女にラブレターも書くし、
教師が教える「今を生きる」という言葉に触発されて、
学校祭のライブにも自分から立候補する。

 「女の子」のことしか考えられない煩悩だらけの
どこにでもいそうな高校生だが、
いろいと悩み、苦しんだ末に、最後には「行動」にうつる。

 それが成功するか、しないかは映画を見てのお楽しみだが、
このすぐに行動にうつせる「フットワークの軽さ」のせいか、
映画は非常に前向きで、ポジティブなメッセージを放っている。

 悩むのは大いに結構。でも、悩んだ後には行動しよう。
 そんなテーマに、勇気をもらったような気分になる。


 父親役のリリー・フランキー。家庭教師役の岸田繁。
 ユースホステルの世話役、峯田和伸(銀杏BOYZ)など、
肩の力が抜けた脇役陣が秀逸だが、
何といっても主人公の新人、渡辺大知が、
彼らに負けない演技を見せている。

 一言で言えば「普通の高校生」なのだが、「普通」というのは意外と難しい。
 いわば、温水洋一が演じる「普通のおやじ」のようなもの。

 「普通」に演じては、単なる「凡庸」であり、印象にも残らない。
「こういう人って、普通にいるよね」と観客に自然に思われるには、
とうてい普通ではない演技力と存在感が、間違いなく必要なのだ。

 渡辺大知演じる高校生じゅんは、「どこにでもいる普通の高校生」なの
だが、その「普通さ」というものは、非常に貴重なある種の才能とでも
言うべき「普通さ」であり、
2000人を超えるオーディションから選ばれた
というだけのことはある。

 この映画、誰に向けて作られているかわからないのだが、
みうらじゅんと世代的に近い私にとっては、
共感ポイントが山ほどあって、おもしろく見られた。
 
 この映画で描かれる「青っぽさ」というのは、
おそらく世代を超えた普遍的なものではないか・・・と思う。

 それゆえに、若い世代の人、あるいは現役高校生が見ても、
楽しめる作品だと思う。

 樺沢の評価  ★★★★
(★★★★★が満点。☆は、★の半分)


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■3 精神医学の目 
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┌───────────────────┐
 酒井法子容疑者の薬物使用問題と報道について
└───────────────────┘   

 酒井法子容疑者の薬物使用問題が、テレビを賑わしています。
 
 連日、ワイドショーの半分かそれ以上の枠を使った熱の入った扱いには
驚かされます。
 
 しかしながら、酒井容疑者が空白の6日間で何をしていたか・・・とか、
なぜ薬物に手を出してしまったのか・・・・とか、
ワイドショーは酒井容疑者のプライベートに焦点を当てたがるようですが、
そういうことは、正直、どうでもいいことではないか、と私は思います。

 警察、検察の取り調べれで、そのうち明らかになることですから、
公共の電波を使って、そうした予想や推測を毎日何時間も
延々と報じることに、何か意味があるのでしょうか?

 単なる興味本位の報道で、視聴率狙いの番組構成にはうんざりします。
 結局、不倫とか離婚とかと同列の「芸能スキャンダル」の一つ
としてとしてしか扱っていない番組の、なんと多いことでしょう。
 
 薬物汚染が、我々の実に身近にまで迫っていて、
私たち自身や、私たちの子供たちが、
薬物に手を染めてしまう危険性が極めて高いという危機的状況。

 そうした日本の深刻な薬物汚染の現状が、
マスコミ報道からは、ほとんど伝わってこないのは残念です。

 酒井容疑者、押尾容疑者が薬物にどっぷりとつかってしまった
というのは、全く人ごとではないのです。

 明日は、我が身。かもしれません。


 そういう視点での報道。

 コカインや覚醒剤。合成麻薬の危険性について専門家のコメントを交えて
その恐怖や危険性について、きちんと紹介する番組も
あることはありますが、まだまだ少な過ぎるでしょう。


 酒井法子、押尾学容疑者の事件は、
若者たちも非常に興味を持って見ているわけですから、
この事件をきっかけに、マスコミ主導で薬物撲滅キャンペーンのようなものが
巻き起これば、非常に高い教育効果を発揮できるのに残念です。


 しかしながら、覚醒剤やコカイン、合成麻薬など、薬物の恐ろしさを
若者にわかりやすく伝える。これは非常に難しいものがあります。


 私も、今までに高校や少年鑑別所などに呼ばれて、
「薬物の恐怖」について講演したことがありますが、
そうした講演をすればするほど、
「薬物の恐怖」について伝えることの難しさを実感します。

 言葉で語っても、なかなか「実感」として伝わりづらいという。


 大きな精神病院に行くと、覚醒剤の濫用で廃人になってしまい、
全く無表情でボーッとして1日中、
何もしないで立っているような患者さんが、
必ず何人か入院しています。

 どうみても社会復帰は不可能。
 おそらく退院も出来ず、一生、精神病院に収容されるしかないでしょう。


 こういう薬物使用で廃人になってしまった人、というのは
社会から完全に隔離されていますので、
警察とか、精神科医とか、あるいは精神科の看護師とか、
特別な人としか見ることはありません。

 みなさんも、「薬物を使いすぎると廃人になる」という話は、
情報としては聞いたことはあるでしょうが、
そういう人と会ったことのある人はまずいないでしょう。

 じゃあそういう人はいないのかというと、そうではなく、
ひっそりと精神病院に収容されている・・・という。


 本当に、個性も人間性も知性も全て失われて、ただ生きているという。
 正に「生きる屍」のような状態になってしまう。
 これが覚醒剤の恐怖です。、


 なかなか言葉で言っても説明は難しいのですが、 
視覚的なインパクトのある「映画」は、
こういう薬物依存症の恐ろしさを表現するには、
観客に大きな衝撃を与え、
「薬物の恐怖」を伝えるのには適しているといえます。
 
 芸能界で圧倒的な人気を得ていた酒井容疑者が、
薬物使用で全てを失うことになった・・・という、今回の事件から
私は、映画「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」を
思い出しました。

●「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」
http://01.futako.info/b/dvd0000024.html

 カントリー・ミュージシャンとして圧倒的な人気を得ていた
ジョニー・キャッシュ。

 彼がささいなことをきっかけにコカイン中毒となり、
そこから抜け出されず、地位も名声を全てを失う。

 そして、全てを失った完全にゼロの状態から、再起はかる物語です。
 
 キャッシュが入院して、薬物依存症を治療するシーン。
 短いながらも壮絶です。
 薬物の恐ろしさは、かなり伝わると思います。


 私は、薬物使用の害悪というのは、社会人として必須の知識として、
学校の義務教育で教える必要があると思います。

 とりあえず、こういう薬物依存症と戦う映画を見て、
映画について議論するだけでも、
それなりの意味があるのではないか・・・と思います。


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■4 家で楽しむおすすめ映画
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 かなりの号泣映画です。
 
 公開当時は、リアリティがないという批判もありましたが、
新型インフルエンザが拡大する昨今、
この映画のような話も、絶対にあり得ないとも言えなくなっているでしょう。
 
 命がけで診療にのぞむ医師看護師たちのプロ根性がとにかく凄いです。
 私的には、その辺がかなりツボにはまって、号泣させられました。

樺沢の評価  ★★★★☆

【クイズ】この作品名は?
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