2009/07/17
映画の精神医学 テレビ出演します(今度は全国ネット)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 映画の精神医学 ●第337号● 2009年7月17日発行 ● 発行部数:47,156部 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■1 はじめに ───────────────────────────────── テレビ出演します。 今までにも、何度かテレビ出演していますが、 地方局だったり、ケーブルテレビだったりと、 見たくても見られない・・・という読者の方が、 ほとんどだったと思います。 今回は、初の全国ネットのテレビに登場します。 ●7月20日(月)19時~ 日本テレビ系 「サプライズ」 です。 カレー特集の中で、スープカレー評論家として登場する予定です。 わさわざ、東京から札幌まで、 一杯のスープカレーをレポートするためだけに、 ロケに行ってきました(笑)。 撮影時間は、だいたい4時間。 これだけ撮って、2分も流れるといい方だと思いますが、 果たしてどんな感じに編集されているのか、私も楽しみです。 帰りに、千歳空港で「花畑牧場」の生キャラメルを買いました。 以前から千歳空港で売られていましたが、在庫があるのを見たことが なかったのですが、この日は、けっこうたくさん残っていたので、 一箱買ってみました。 東京でも買えるようになったので、さすがに希少性はなくなったようてす。 実際に食べてみました。 確かにおいしいのですが、この量で850円はどうみても高すぎます。 私が、北海道に行ったときに、必ず買って帰るスイーツがあります。 今回も買って帰りましたけど、何度食べてもおいしいと思います。 このおいしさ、この量で580円とは、実にリーズナブルです。 あまり知られていないので、お土産でプレゼントしても、 喜ばれると思います。 樺沢お勧めの北海道お土産 →→→ http://01.futako.info/b/myfavoritehokkaidosweats.html ───────────────────────────────── ■2 最新映画批評 ───────────────────────────────── ┌─────────┐ 「ノウイング」 現在公開中 └─────────┘ また、ニコラス・ケイジが世界を救う男を演じている。 大学で宇宙物理学を教えているジョン。 息子ケレイブが50年前のタイムカプセルから受け取った手紙。 その無作為な数字の羅列が、大事故の日にちと死者数であることに気付き、 さらにその暗号から、人類破滅の日を知ってしまう。 息子を救う。そして、世界を救うために奔走する一人の父親を ニコラス・ケイジが熱演しているが、今ひとつ感情移入できなかった。 「謎解き」が重要な鍵を握るわけだが、 お笑い芸人のWエンジン風に言えば、 「これは、●●●●●のパターンのやつや!!」 という感じで、半分も見ないうちに、 だいたいのパターンが読めてしまう。 そして、全くその通りのラストになってしまった。 劇中の、2回の巨大な事故のシーンは、 VFX的にもかなりの迫力で、パニック状態になる人々の演出を 含めて見るべきものがある。 しかし、後半になると謎解き中心になって、 映像的な見所が少なくなってしまい、 ラストに向かって話も映像も盛り上がらない。 主人公のジョンがなぜ宇宙物理学専攻なのか? あるいは、シングル・ファザーとしての息子との関わりの描写など、 おもしろい点もいくつかあるのだが、 展開が読めすぎるストーリーのせいで、 手の込んだディテールも生きてこない。 キリスト教的な描写が随所にあるが、 そうしたものを理解できれば、多少は映画がおもしろくなるとは思うが、 逆に聖書の預言のパターンをあまりなぞりすぎているために、 キリスト教の知識がある人ほど、ラストの意外性はなくなるような 気がしてならない。 超常現象とか預言などに、強い興味のある人にとっては、 おもしろく見られるポイントはいくつかあるが、 娯楽性の高い夏休み映画が多数公開されている今、 強くお勧めする理由は見あたらない。 樺沢の評価 ★★★ (★★★★★が満点。☆は、★の半分) このメルマガの一番下(あとづけのさらに下)に、 「ノウイング」ネタバレ解説 といううことで、「ノウイング」のキリスト教的な面について、 簡単にまとめてみました。 完全にネタバレしていますので、映画を見た人のみ、 お読みください。 ───────────────────────────────── ■3 精神医学の目 ───────────────────────────────── ┌────────────┐ アメリカ人と自己犠牲 └────────────┘ ■ イニシアルが示すもの 前号の「ターミネーター4」の批評で、 なぜ、劇中で、ジョン・コナー。ジョン・コナーとしつこいくらい、 フルネームで繰り返されるのか? ということを 問題提起して終わりました。 「ターミネーター4」の冒頭部のクレジットで、 ジョン・コナーが、救世主なのか、それとも偽預言者なのか? そんな問題提起から、映画ははじまります。 ジョン・コナーは、救世主だったのか? それは映画を最後まで見ると、自ずとわかるでしょう。 しかし、映画を最後まで見なくても、 ジョン・コナーが救世主だろうことは、 そのイニシャルに既に表現されています。 ジョン・コナー、すなわちJ・C。 つまり、Jesus Christ イエス・キリストと同じ イニシアルになっています。 トム・ハンクス主演の映画「グリーンマイル」。 この中で、マイケル・クラーク・ダンカン演じる死刑囚の名前は、 ジョン・コフィ。 死者を生き返らせる奇跡の力を持つ男のイニシャルは、 やはりJ・Cでした。 ■ アメリカ人が自己犠牲が好きな理由 現在公開中の二つの娯楽大作。 「ターミネーター4」と「トランスフォーマー/リベンジ」。 この両方を見た方はいるでしょうか? 後半の展開と、ラストかがあまりに酷似していたのに驚いたと思います。 「自己犠牲」と「復活」が、共通して描かれているのです。 「映画の精神医学」でも、既に何度も書いていますが、 「自己犠牲」と「復活」というのは、 重要なキリスト教のテーマです。 前述の「ノウイング」もそうですが、 自己犠牲をいとわず世界を救おうという主人公が、 ハリウッド映画の定番として頻繁に出てきます。 その理由は、「自己犠牲」はアメリカ人が好むテーマだから。 なぜならば、キリスト教の教えに通じるので、 彼らにとって非常になじみ深いテーマである と言えるのです。 「自己犠牲」を中心テーマにした作品、といえば 最近でいえばクリント・イーストウッド監督、主演の「グラントリノ」。 ウィル・スミス主演の「七つの贈り物」。 「スター・トレック」の冒頭部、カーク船長の父親の行動も、 正に「自己犠牲」です。 アメリカ人は、「自己犠牲」の精神を尊ぶ・・・ というと、アメリカ人はとても自己中心的で、 「自己犠牲」の精神は非常に薄いじゃないか と指摘したくなる人もいるでしょう。 確かに、アメリカ人はエゴが強いというか、 「自分」「自分」を前面に出す人が多いのは 私の3年間のアメリカ生活からみても事実だと思います。 しかし、だからこそ、「自己犠牲」の精神が尊ばれるわけです。 自分たちにないものだから。 自分たちになじみがないから、敢えて強調して、 意識的に実行していかないといけない・・・という。 日本でキリスト教が広まらない理由。 それは、いろいろあると思いますが、 日本人にとっては「自己犠牲」の精神は、 当たり前のものとして定着しています。 会社のために自己を犠牲にし、家族のために自己犠牲を払う。 自己犠牲が実に日常的に行われています。 さらに、「お国のために」「天皇陛下のために」という 大義名分で「命すら」ささげてしまう国が日本です。 日本では、自己犠牲精神が浸透しているので、 「自己犠牲を大切に」というのが「教え」として成立しません。 ■ 救世主の条件 「グリーンマイル」のジョン・コフィ。 「グラントリノ」、「七つの贈り物」の主人公。 そして、「ターミネーター4」と「トランスフォーマー/リベンジ」。 主人公が救世主イメージの映画は山ほどありますが、 その主人公が「本当に救世主だったのか?」を判定する 簡単な基準があります。 それは、「復活」です。 「マトリックス」「スパイダーマン2」「ロボコップ」では、 主人公が一度死にます。あるいは瀕死の重傷を負います。 そこから生き返り、今まで以上に強くなった存在として復活 するのです。 こういう描写があれば、それは「復活」であり、 「復活するのは真の救世主だけ」ということで、 救世主の証明の描写である・・・と考えられます。 ただ、「復活」というのは、単に「生き返る」という意味ではありません。 「心の中で生き続ける」とか「精神的に永遠の存在になる」ということを 含めて「救世主だった」という説明にされることも多いでしょう。 例えば、「アイ・アム・レジェンド」のように。 この辺の話というのはアメリカ人にとっては常識といえるでしょうが、 なかなかキリスト教になじみのうすい日本人では、 知らない人も多いかも知れません。 このくらいの知識を知っていますと、 「ターミネーター4」や「トランスフォーマー/リベンジ」を おもしろく見るのに役立つと思います。 ───────────────────────────────── ■4 家で楽しむおすすめ映画 ───────────────────────────────── 感動した!! ベタな感想ですが、今年見た映画の中で、 最も感動した映画の1本です。 私は「脇役がいい映画」が大好きなのですが、 ここまで「脇役がいい」と思える映画は滅多にありません。 「成長」そして、「老い」ということをテーマにしていますから、 おそらく若い人の心には響きづらいということはあるかもしれませんが、 「老い」というものを意識せざるを得ない年齢の人たちには、 心にグサグサと刺さってくる痛切な問題として響いてきます。 単に登場人物のドラマというだけではなく、 アメリカの歴史、時代の流れを意識した 年代記(クロニクル)風の展開が映画に重厚感をプラスしています。 とまあ難しいことを言ってはみたももの、 何も考えないで見ても、素直に物語に感動し涙が流れるでしょう。 DVDになった今、家族で一緒に見て欲しい作品です。 樺沢の評価 ★★★★★ 【クイズ】この作品名は? →→→ http://01.futako.info/b/dvd0000016.html ──────────────────────────────── メール送信者:(株)樺沢心理学研究所 佐々木信幸(樺沢紫苑) 連絡先: kzion@kabasawa.jp メール送信者情報の詳細: http://www.saikyo.bizshin.com/semi1/hyouji_eisei.html メールマガジン登録/解除: http://www.mag2.com/m/0000136378.htm サイト http://www.kabasawa.jp/eiga/home.html ブログ http://eisei.livedoor.biz/ ビジネス心理学プレミアム ニュース・芸能・映画の心理学 http://premium.mag2.com/mmf/P0/00/69/P0006963.html ■注意・お知らせ 映画の見方は、人それぞれです。このメルマガは、発行者の個人的な見 解であり、他のいろいろな考え方を否定するものではありません。 みなさんから、お送りいただいメールは、メルマガ、ホームページ上で 紹介するかもしれません(もちろん、匿名で)。 ──────────────────────────────── 「映画の精神医学」は、以下のURLより解除することが可能です。 メールマガジンの解除・登録・変更はコチラから http://www.mag2.com/m/0000136378.html ──────────────────────────────── 以下、「ノウイング」のラストシーンを含むオチが 完全にネタバレで、全て書かれています。 映画を見ていない方は、ご注意ください。 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ■「ノウイング」ネタバレ解説 「宇宙人=神」のイメージの映画は、 「未知との遭遇」以降、山ほど作られいます。 「ノウイング」も「宇宙人=神」説に基づいて作られた映画の 一本と言えます。 しかしながら、他の作品と「ノウイング」はある一点において、 決定的に異なります。 「未知との遭遇」では、宇宙人を「神」のイメージで描いては いますが、あくまでも「宇宙人=神」と断定しているわけではなく、 最終的には観客にゆだねられます。 しかし、「ノウイング」では、 「神の正体は、実は宇宙人だった」ということが、 かなり断定的に描かれます。 特に、映画の一番最後の「生命樹」のイメージ・シーンを つけることによって、その断定度はかなり高まっています。 この映画の下敷きとなる「エゼキエル書」。 「エゼキエル書」とは、預言者エゼキエルの言行を書き記した 旧約聖書の一章。 「イザヤ書」「エレミヤ書」とともに、旧約聖書の三大預言書と言われます。 「エゼキエル書」は、エゼキエルが宇宙船を見た体験を記したもの・・・ という解釈は昔からあって、そうした記述を証拠にして、 「宇宙人=神」ではないか? という考えは、かなり昔から存在するのです。 「ノウイング」は、「宇宙人=神」であることをかなり強烈に 示唆してしまうわけですが、 映画観客の大部分がキリスト教徒で占められるアメリカ映画としては、 これが、いいのか、悪いのか? 「神」の存在を否定することにもつながらないとも限らないわけで、 多分「おもしろくない」と思う、アメリカ人クリスチャンも 少なくないのではないか・・・と予想されます。 預言者エゼキエル。 預言者というのは、神の声を聞き、それを一般人に伝えます。 (ヴィジョン、映像を見る場合もあります) 神の声を預(あず)かるので、預言者です。 予知能力で未来を予知する「予言者」とは、根本的に違います。 タイムカプセルの手紙を書いたルシンダ。 ジョンの息子ケイレブとダイアナの娘アビー。 これらの少年・少女は、不思議な「声」を聴く能力を持つ子供ととして 登場しますが、これは彼らが「預言者」であることを示します。 ルシンダやケイレブが、自動書記のように一心不乱に 数字の羅列を書くシーンがありますが、 これは「神の啓示」ということなのでしょう。 こうした「神」の力の原因は何か? ということで映画を見ていくと、 実は「宇宙人」だった・・・という。 ケイレブにつきまとう謎の人物の正体が宇宙人であることが 明らかにされた後も、「宇宙人=神」描写は続いていきます。 例えば、宇宙人が空中に浮き上がるシーンがありますが、 このとき宇宙人の背中に白いモヤモヤとしたものが 浮かび上がりますが、これは正に「天使の羽」という感じです。 この天使とともに少年ケイレブと少女アビーが、ふわりと宙に浮きます。 この映像を見ると、このシーンは間違いなく、 「最後の審判と空中携挙」を意識していることがわかります。 「空中携挙」というのは、 週末の日にイエスが再臨し、イエスが雲に乗って現れ、 敬虔な信者たちを空中に引き上げ、終末のかん難から救す というキリスト教の考え方です。 「最後の審判」は、西洋絵画によく登場する重要なモチーフですが、 この空中浮揚のシーンは、「最後の審判」を映像化したような雰囲気に 包まれています。 ジョンは、息子ケイレブと一緒に連れて行ってくれと宇宙心に哀願しますが、 却下されます。ジョンは「選ばれし者」ではなかった、 最後の審判でNGを突きつけられたわけです。 そして、太陽フレアは「裁きの火」であり、 「裁きの火」によって焼き尽くされる地球は、まさに「地獄」。 一方ケイレブとアビーがたどり着いた世界は、 夢のような「天国」として描かれます。 光り輝く草原を走るケイレブとアビー。 そして、こんもりとした大きな木がうつりますが、 この黄金の木は、「生命の樹」です。 エデンの園の中央に植えられている木が「生命の樹」です。 つまり、ケイレブとアビーは、人類絶滅後のアダムとイブになったことが、 非常に直接的な表現として、このラストシーンで描かれます。 とまあ、キリスト教的な描写をザッと解釈するとこんな感じになるのですが、 キリスト教的な知識があればあるほど、このラストシーンは容易に予想される ものになってしまい、決して映画をおもしろく見ることにはつなからない ・・・と私は思うのですが、いかがでしょうか? もうひとひねり欲しいところです。 (終)


