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2009/03/19

映画の精神医学 WBCに熱狂しすぎる日本人の心理

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      映画の精神医学
       
●第321号● 2008年3月19日発行 ● 発行部数:47,156部

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■2 最新映画批評
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┌──────────────────────┐
 「ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー」   2月7日公開
└──────────────────────┘    

 ディズニー・チャンネルのオリジナル・TVムービーとして放送され
大評判となった「ハイスクール・ミュージカル」。
 その前2作の続編にして最終章である劇場版映画が、
この「ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー」です。

 前2作は、極めて高い視聴率を獲得し、
アメリカのティーンを熱狂させましたが、
この「ザ・ムービー」では、
ミュージカル映画のオープニング興行収入記録をたたき出しました。

 ミュージカルが盛んではない日本では、当然のごとくそこまで
ヒットはしませんでしたが、そこには「文化ギャップ」が
あるからでしょう。

 その辺の「文化ギャップ」を理解すると、
この映画もそうですし、たくさんのアメリカ映画を
もっともっとおもしろく見られるのではないか・・・と思います。


 例えば、クラスでミュージカルを作る。
 脚本や作曲や振り付けまで、学生がやってしまう・・・というのは、
日本的にみればあり得ない話、ご都合主義的な作劇に見えますが、
アメリカでは「ごく日常的なシュチエーション」と言えるのです。

 日本では学芸会などの定番の演目といえば、
「合唱」とか楽器の演奏とかが多いでしょうが、
アメリカではもっぱら「劇」(演劇やミュージカル)が盛んなのです。

 私が、アメリカ人の友人に聞いたところ、
「シェークスピアの劇に出たことのないアメリカ人はいない」
「アメリカ人なら、『ロミオとジュリエット』の名場面くらいは、
暗唱できるのが当たり前」と言っていました。

 これは、「合唱をしたことのない日本人はいない」と言い換えると
わかりやすいと思います。

 演劇やミュージカルといった、舞台芸術というのは、
アメリカでは非常にポピュラーで、何らかの形で、
学生の頃から既に経験しているのが普通なのです。

 そうした裾野の広さが、ハリウッドやブロードウェイといった、
映画や演劇、ミュージカルの質の高さを支えているわけです。

 だから、クラスに一人くらいは、ミュージカル・スターを目指して、
ダンスのレッスンをしている子がいたり、
あるいは将来の脚本家、劇作家を目指す子がいて、
オリジナルのシナリオを書きあげてしまったり、
というのは、別に「ハイスクール・ミュージカル」の
映画の世界の話ではなく、よくある話。
 チョー日常的な話と言えるわけです。

 近日公開の「チャーリー・バートレットの男子トイレ相談所」という
作品でも、高校生がクラス全員で協力して「劇」を作るという話が
出てきますが、このクラスで協力して「劇」や「ミュージカル」を作る、
というのは、アメリカでは本当によくあるシュチエーションなのです。

 また、「ハイスクール・ミュージカル」は、アメリカ人的には、
「あるある」のオンパレードと言えるでしょう。

 派手な子。地味な子。目立たない子。
 スポーツの才能を持つ子。学業優秀な子。
 卒業も危ない劣等生。キモイといじめられる子。

 などなど、ありとあらゆるパターンの男の子、女の子が登場していて、
必ず誰か一人は、自分と似た人物を見いだせる・・・という
感情移入しやすい作品になっています。

 楽曲が良い。のりが良い。といった音楽点な魅力は当然として、
高校生や高校生を経験した全ての人に高校時代の甘酸っぱい思い出を
想起させるような「感情移入しやすい設定とストーリー」。

 これが、「ハイスクール・ミュージカル」が
アメリカで大ヒットした理由ではないかと思うのです。


 アメリカ映画が好きで、アメリカ文化が好きで、
アメリカらしいミュージカルやコメディが好きな樺沢としては、
「ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー」は、
多くのアメリカ人と同様に「チョー楽しい映画」として
大いに楽しめました。

 おそらくは、生のミュージカルを見たことがない人が多い
多くの日本人にとっては、あまりワクワクしない映画なのかなあ・・・
ということで残念な気もします。


 私は、平日の昼間に見に行ったのですが、
高校生、大学生くらいの20歳以下、あるいは20歳前後の客が
たくさん来ていたのにはビックリしました。
 というか、30歳以上の客は、私以外に誰もいなかった・・・という。

 そういえば、大学などは既に「春休み」に入っているからなのでしょうが、
若い人たちが、こういう「アメリカらしいアメリカ映画」に足を運んでいる
という現実を非常に微笑ましく思いました。

 樺沢の評価  ★★★★
 (特にミュージカルへの思い入れがない人は、★★★〜★★★☆)

 (★★★★★が満点。☆は、★の半分)


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■3 精神医学の目
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┌────────────────┐
 WBCに熱狂しすぎる日本人の心理
└────────────────┘

 WBC、サムライ・ジャパン、決勝トーナメント進出決定!!
 非常にうれしいニュースです。
 
 イチロー選手も復調し、キューバに快勝。
 明日の韓国戦につながる試合でしたね。

 WBCの高視聴率が話題になっています。
 
 3月7日の韓国戦が、視聴率37.8%で、
今年のテレビ最高視聴率だったそうです。

 放送時間にもよるでしょうが、
準決勝、決勝では、さらに高視聴率が出るかもしれません。

 この高視聴率の原因には、いくつかあるでしょう。

 サブフライムローンの破綻以来、暗いニュースが続いており、
サムライ・ジャパンの躍進は、久々の明るいニュースです。
 
 日本人の多くが明るいニュースを待望している
ということが大きいと思います。


 最近、「テレビばなれが進んでいる」と言われていますが、
単に「おもしろいテレビ番組」「見たい番組」がなかったから、
という気もします。

 デレビ視聴率が低迷する一方で、テレビというメディアの影響力は、
確実に大きくなっているように思います。

 テレビで紹介すると、国民全体が一気にそちら流れるような傾向、
全体主義的傾向、というと少し違うのでしょうが、
「他の人と同じ行動をとりたい」という元々日本人に強くあった
行動傾向が、より先鋭化しているような気がします。

 このWBCの高視聴率も、テレビや新聞などマスコミ上げての
WBC応援の結果でしょう。

 映画でいうならば、
「おくりびと」のアカデミー賞受賞は、たいへん喜ぶべきことですが、
アカデミー賞をとったというだけで、
いままで滝田洋二郎監督の名前すらしらなかった人たちが、
「おくりびと」の公開館に大挙して押し寄せている
という現象が起きています。

 あるいは、映画「20世紀少年」の大ヒットのように、
テレビ局とタイアップして、CMや関連番組をバンバン流せば、
劇場に客が流れて大ヒットするという。

 もっと「自分の判断」「自分の意志」というのはないのか・・・
と気になります。

 
 心理学的にみれば、
不況、経済的な低迷に基づく不安状態のもと、
同調行動をとりやすくなっている、と言えるでしょう。

 心理学者のアッシュは、
「同調行動」(他人と同じ行動をとること)は、
集団の中で自分だけが浮いてしまわないようにするための
「自己防衛行動」であると言います。

 現在のような、経済的に不安で先行きの全く見えない状態では、
人間は自己防衛的にならざるを得ません。

 つまり、人と同じことをしていれば安心。
 結果として、「同調行動」をとりやすくなるということなのでしょう。

 今の日本が「戦争」するということは考えられませんが、
歴史的にみると、戦争に突入する直前の国家は、
こうした極度の先行き不安感に支配されていて、
結果として「同調行動」をとりやすく、
マスコミの煽動に簡単にのせられてしまう、
という共通点を持っています。

 今の日本も、おかしな方向に向かう危険性は十分にあります。


 WBCのサムライ・ジャパンの決勝トーナメント進出は
実におめでたいことですが、
普段、野球なんか全く見ない人たちが
テレビに張り付いて熱狂している様子を想像すると、
私は少し恐ろしい感じがするのです。


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■4 DVD、家で楽しむおすすめ映画
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 映画ファンであればあるほど楽しめます。
 あなたの映画ファン度を測る、バロメーター的作品といってもいいでしょう。
 
 ほとんど映画をみないという人はあまり楽しめないでしょうが、
映画ファンであれば、抱腹絶倒しながら、最後にはしんみりと
泣かされるはずです。

 「ハイスクール・ミュージカル」は、みんなで「ミュージカル」を
作る映画でしたが、この作品は、みんなで「映画」を作る映画です。
 
 アメリカ人というのは、もともと人種や出身国が異なる、
異民族の集団ですから、
「みんなで協力して何かをやる」ということに非常に燃え上がるし、
特別な価値感を見いだすのです。
 
 ふだんは「個性」を振りかざし全くバラバラな存在が、
あることに「共通の価値感」を見いだし、
一致協力する姿は、実に感動的です。

 そんな意味で実にアメリカらしい映画。
 笑いあり、涙あり。テーマ性も素晴らしい傑作です。

樺沢の評価  ★★★★☆

【クイズ】この作品名は?
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■5 編集後記
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 3月4日発行の「たらい回しにあいました」で紹介した
救急車で搬送した患者さんですが、先日、無事退院されました。

 特に後遺症もなく、退院後も以前と同じように通院されています。
 本当に良かったです。 


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メール送信者:(株)樺沢心理学研究所 佐々木信幸(樺沢紫苑)
連絡先:  kzion@kabasawa.jp
メール送信者情報の詳細:
http://www.saikyo.bizshin.com/semi1/hyouji_eisei.html

メールマガジン登録/解除:
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サイト  http://www.kabasawa.jp/eiga/home.html
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ビジネス心理学プレミアム  ニュース・芸能・映画の心理学
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関連サイト
http://www.hosoki.bizshin.com/
http://www.saikyo.bizshin.com/ref/top3.html

■注意・お知らせ
 映画の見方は、人それぞれです。このメルマガは、発行者の個人的な見
解であり、他のいろいろな考え方を否定するものではありません。
 みなさんから、お送りいただいメールは、メルマガ、ホームページ上で
紹介するかもしれません(もちろん、匿名で)。
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