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2009/03/10

映画の精神医学 アメリカ人が吸血鬼を好む心理学的理由とは?

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      映画の精神医学
       
●第319号● 2008年3月10日発行 ● 発行部数:47,156部

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■1 はじめに
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■2 最新映画批評
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┌─────────────┐
 「アンダーワールド ビギンズ」   3月14日公開
└─────────────┘    

 拙著のアマゾン・キャンペーンのため、
ここ1週間かかりっきりになってしまった。

 映画も1週間まったく見ていない、ということで、やや禁断症状気味だ。

 丁度、「アンダーワールド ビギンズ」のマスコミ最終試写が
あったので昨日行ってきた。

 テレビでも予告編が流れているが、
スタイリッシュな映像とハードなアクションで良さそうな雰囲気だ。

 実際に見てみると、一言で言えば、
「ロミオとジュリエット」の吸血鬼と狼男版である。
 
 「ロミオとジュリエット」を意識しているな・・・と思ったら、
プロダクション・ノートにも、そう書かれていた。

 前半はアクションも控えめで淡々としているが、
中盤から後半に書けて話もアクションも盛り上がる。

 「ロミオとジュリエット」かと思ったら、
最後には「ロード・オブ・ザ・リング」のような
迫力の大合戦へと突入していく。

 アクション・エンタメとして良くできている。

 この「アンダーワールド」シリーズ。今回で第3作目。
 私は、前作はアメリカにいるときに見たが、
アメリカ人は吸血鬼とか狼男が大好きらしく、
かなりの人気シリーズとして盛り上がっていた。

 でも、この「アンダーワールド」シリーズは、
日本ではそこまで有名ではないはず・・・。


 アメリカ人は、「歴史」がないので、歴史のある「古いもの」に
憧れを持つ。

 アメリカ人は日本文化、例えば武士道とか禅などを好む人が多いが、
それも「歴史コンプレック」の裏返し。
 
 
 ニコラス・ケイジ主演の「ナショナル・トレジャー」シリーズが
アメリカで大ヒットするのは、
「歴史のないアメリカにも、実はこんな隠された歴史があった」
というストーリーが、アメリカ人の「歴史コンプレック」を
くすぐるからだろう。

 そして、「吸血鬼」というのも、元々はヨーロッパ発の伝承に由来
するが、日本の妖怪や怪談のように数百年も伝承される話は
アメリカにはないので、ヨーロッパ発の吸血鬼話を
自分流(アメリカ流、ハリウッド流)にアレンジして、
「歴史コンプレック」を満たしているのではないだろうか?


「アンダーワールド」シリーズの
ディテールにもこだわった緻密な世界観はマニア向けではあるが、
非常によく出来ている。

 地下世界の映像的雰囲気も実に良い。
 90分という時間も丁度良い。

 主演のローナ・ミトラ。
 前作の主演ケイト・ベッキンセイルに負けない美人。

 2人はソックリで(理由は映画を見れば分かる)
最初見たとき
「ケイト・ベッキンセイルは随分と若返ったなあ」と一瞬
思ったほど(笑)。

 ローナ・ミトラは、「ナンバー23」で見たときに、
随分と美人の女優さんだなあ、と思ったが、
スタイルも抜群で独特の雰囲気もあるし、
今後の躍進が期待される。


 前作を見ていない人でも楽しめるように作られているが、
作り込まれている分、全く知らないと楽しめない部分があるのも事実。

 前作を見ている人、シリーズの熱心なファンのほうが、
何倍も楽しめるはず。

 ということで、樺沢の評価は前二作を見ている人、
吸血鬼映画が好きな人にとっては、「★★★★」。
 はじめて「アンダーワールド」シリーズを見る人は、、
「★★★☆」とさせていただいた。
 
 樺沢の評価  ★★★☆
 (前二作作を見ていれば★★★★)

 (★★★★★が満点。☆は、★の半分)

 アクションはかなりハード。
 グロい描写もあるので、小さいお子さんや残酷描写が苦手な人は注意。


吸血鬼映画、樺沢のイチオシはコチラ
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よっぽどのホラー映画ファンでないと知らないB級作品。
しかし、非常に作り込まれた作品。

アメリカのテレビドラマのファンであれば
泣いて喜びたくなるような設定は最高だ!!


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■3 精神医学の目
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┌──────┐
 無知と差別 
└──────┘

 ひどい事件が起きました。

 日光を浴びてはいけない「ポルフィリン症」のため、
上半身を覆う黒い頭巾を着用していた鳥取県の高3男子に対し、
米子署員が職務質問の際に「お前はタリバンか」と発言し
頭巾をとるよう求めたことが、最近明らかになりました。

 ポルフィリン症はと、光線過敏症の一種で、日光を浴びると皮膚が
腫れ上がったり水泡ができたり、火傷のような状態になる病気です。
 長時間、日光を浴びると命に危険が及ぶ場合もあります。

(なお、ポルフィリン症にはいくつかの型があって日光過敏を
呈さない型もあります)

 以前、テレビのドキュメントでやっていましたが、
ポルフィリン症は、希な病気で患者数が少ないこともあり、
「難病指定」を受けられずに、患者さんは相当苦労されている様子です。

●全国ポルフィリン代謝障害友の会
http://www.sakuratomonokai.com/


 この警察署員は、別に悪気があったわけではないと思います。
 「タリバン」という言葉が不適切であることは間違いありませんが、
「ポルフィリン症」について知っていれば、こんなことは
言わなかったでしょう。

 「ポルフィリン症」という病気について全く知らなかった。

 単なる知らなかったという、「無知」が原因で
これほどの差別発言につながってしまったわけです。


 県警は、この病気を紹介するDVDを県内全署に配布し、
病気への理解を深めるよう指示した、と言いますが、
「ポルフィリン症」以外にも差別や偏見の対象となる病気は
たくさんあって、特に「精神病」がそうですが、
差別発言の根本的な解決にはならないと思います。


 アメリカ人は、「うつ病はセロトニンの低下によって起きる」
ということを常識のように知っています
(少なくとも、大卒くらいの人はたいてい知っています)。

 日本人は、大卒でも理系でも、かなりのインテリでも
「うつ病はセロトニンの低下によって起きる」ということを
知らない人がたくさんいます。

 「うつ病はセロトニンの低下によって起きる」と知っていれば、
うつ病の患者さんに向かって

「おまえの怠け心のせいで、そんな病気になるんだ」とか

「そんなもの、根性で乗り切れ。根性がないから、そんな病気になるんだ」
とか、非科学的な差別発言を平気で言うことはないでしょう。


 これらの差別発言も、単に「無知」に帰因します。


 だから「正確な知識を身につける」だけで、
種々の差別はかなり少なくなるのではないか、と
私は考えています。

 実は、拙著「1億稼ぐ人の心理戦術」。
 稼ぐためのビジネス・ノウハウの雰囲気を漂わせながら、
一章を丸ごと「メンタル・ヘルス」に関連させた話をしています。

 それも、精神疾患をわずらう人への差別が減って欲しいから。
 早く病院を受診して、うつ病やその他の精神疾患を
長期化させないで治していただきたいからです。

 
 そうえば、先日、うれしいことがありました。

 とある「警察署」で、警察署員向けに「うつ病、自殺予防」の
研修をして欲しい、と依頼が来たのです。

 警察官の方は、「自殺」の現場、あるいは
今自殺しようとしている人たちと直接、接する可能性がある人たちです。

 そういう人たちに、本当に正しい「自殺」「自殺予防」の知識を
話せるというのは非常に光栄ですし、今からとても楽しみです。


 ビジネス書を出しながらも、私の基本的なスタンスは精神科医なので、

♯うつ病を減らしたい
♯3万人もいる日本の自殺者数を減らしたい
♯そのためるに、精神疾患に対する差別、偏見を減らしたい

ということを常に考えています。

 「1億稼ぐ人の心理戦術」は、ビジネスの心理ノウハウでありながら、
「働きすぎて病気にならない方法」でもあり、
仕事を効率化、時間短縮して家族と過ごす時間を増やそうとか、
仕事一辺倒のライフスタイルに対して見直しを提言している本でも
あります。

 そう言う視点で「1億稼ぐ人の心理戦術」を読んでいただけると、
私の本当の出版意図を理解していただけるかみしれません。


 さて、話は変わりますが・・・
「アンダーワールド ビギンズ」 を見て気付きました。

 吸血鬼族の人は、日光に当たると肌が焼けただれて、
水ぶくれになって、火傷のようなひどい状態になって、
直射日光を浴びると死んでしまいます。

 これってポルフィリン症じゃないの?


 ドラキュラ伯爵のモデルは、ルーマニアのトランシルバニア地方出身の
貴族と言われますが、吸血鬼伝説というのは、ヨーロッパ全土、
特に北欧などに昔から多く見られます。

 昼間は外に出られず夜しか活動できない。
 日光を浴びると、火傷のように肌がただれるポルフィリン症の患者さんは、
中世やそれ以前はモンスター的な扱いを受けて差別されていた可能性は
十分にあるでしょう。

 ちなみに、中世の「魔女狩り」のときは、
精神病者が「魔女」のレッテルをはれて、相当たくさん殺されました。

(政治犯などが魔女として殺され話は知られていますが、
精神障害者の虐殺についてはあまり知られていません)。


 いずれにせよ、「病者」への差別は、大昔から続いているわけで、
それを減らすためにも、「無知」を少しずつでも
克服していかなくてはいけない、と思います。


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