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2008/06/13

映画の精神医学 映画への情熱がみなぎる傑作とは・・・

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      映画の精神医学
       
●第275号● 2008年6月13日発行 ● 発行部数 :48,366部
 
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    【 目 次 】
■1 はじめに
■2 最新映画批評 「ザ・マジックアワー」
■3 精神医学の目  (ネタバレ注意)
          「カスピアン王子」のキリスト教的解読

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■1 はじめに
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 悲惨な事件が起きてしまいました。

 死傷者17人を出した秋葉原無差別殺傷事件。

 「なぜこんな事件が起きるのか?」と多くの人は、
疑問に思うかも知れません。
 
 今回の事件は非常に突発的に起きているように見えますが、
私はこんな事件が起きることを予想していました。

 ある意味必然的に起こった事件といえます。

 なぜ、必然的なのか?

 現在、日本で進行している、
精神的な問題をいくつか列挙してみましょう。。

・キレやすい子供
・モンスター・ペアレント
・多発する自殺

 そして、今回の「秋葉原無差別殺傷事件」。

 これは、全て同じ原因と起きていると、私は考えます。
 元をただせば、全て同じです。

 ひれは一言で言うと、
「衝動のコントロールがきかない」ということです。

 怒りをコントロールできないとか、
感情のなすままに行動してしまうと・・・。

 それは、一言で言ってしまうと「衝動のコントロールがきかない」。
 分かりやすく言えば、「我慢弱い」ということ。

 「モンスター・ペアレント」のような若い親たちが増えているという話を
聞いていて、こうした衝動性のコントロールがてきない今の若者が、
そのうちとんでもない事件をおこすだろうなあ・・・と思っていたら、
やはり今回のような事件が起きてきました。


 多くの人たちは、「異常者の犯罪」とか「非常に特殊な事例」という
ことで、「我々とは無関係な話」として片付けたいと思うのでしょうが、
実はそうはいきません。

 これは「例外的な事件」ではなく、
むしろ「氷山の一角」と考えるべきではないのでしょうか?

 「衝動のコントロールがきかない」けども、
犯罪にまでは至らない人たちが水面下に山ほどいるのです。

 そうした突発的な行動を犯してもおかしくない予備軍が、
何万、何十万人もいるのではないかと・・・。

 次号、6月15日発行の「映画の心理学」は、
「秋葉原無差別殺傷事件」についての樺沢の意見をズバリ書きます。

 タイトルは、

「秋葉原無差別殺傷資源を考える 
  〜 衝動性のコントロールと日本人」

です。


 当然映画の話も出てきますが、登場する映画は、
読んでのお楽しみ・・・ということで。

 なぜ、「こんな残虐な事件が起きてしまったのか?」

 今回の事件と現代日本人の多くが抱える心の病理については、
次号「映画の心理学」をお読みください。

→→→  http://01.futako.info/a/eishin.html

 「映画の心理学」は、初月無料でお読みいただけます。
 
 とりあえず登録して、
「秋葉原無差別殺傷資源を考える 〜 衝動性のコントロールと日本人」
をお読みください。
 月末までに解除すれば、課金されません。


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■2 最新映画批評
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┌────────────┐
 「ザ・マジックアワー」
└────────────┘

 三谷幸喜監督の「ザ・マジックアワー」がおもしろい。

 大いに笑い、大いに泣いた。

 日本では、コメディ映画で場内が笑いにつつまれることは
滅多にないが、「ザ・マジックアワー」では、
かなりの笑いが巻き起こっていた。

 そして、映画館から出てくる観客のほとんどが、
「おもしろかったね」という言葉を口にしていた。
 こんな映画も珍しい。

 暗黒界のボス(西田敏行)の愛人マリ(深津絵里)に手を出した
子分の備後(妻夫木聡)は、命の代償に伝説の殺し屋「デラ富樫」を
探し出すことになる。
 デラを見つけ出せない備後は、無名の三流役者・村田(佐藤浩市)を雇い、
「映画の撮影」という名目で「デラ富樫」を演じさせることに・・・。

 売れないの三流役者を演じる佐藤浩市のはじけっぷりががお見事!!
 演技モードと素のモードの演じ分けが、大爆笑を誘う。

 「ザ・マジックアワー」は、佐藤浩市の最高傑作と
いっていいのではないか?

 最初、「ギャング映画」かと思ったていが、全くそうではない。
 「映画製作の裏舞台を描いた映画」といった方が正しい。
 
 そして、映画ファンが楽しめる仕組みが、随所にほどこされている。

 村田が大好きな映画「暗黒街の用心棒」は、
まんま「カサブランカ」だし、その他にも
名映画のパロディ、オマージュが目白押しだ。

 三谷幸喜監督が、ビリー・ワイルダーを敬愛する熱狂的な映画ファン
であることは有名だが、「ザ・マジックアワー」には、
その三谷監督の映画に対する情熱にあふれかえっている。

 そして、その情熱が三流役者村田というキャラクターに、
そのまま注ぎ込まれているのだ。

 映画ってこんなに楽しいんだよ。
 映画ってこんなにおもしろいんだよ。
 
 そんな、三谷監督のメッセージが、ガンガン伝わってくる。

 同じ映画を何度も繰り返し劇場で見たり、
黒澤やエイゼンシュテインの映画論について熱く語ったり・・・。

 こんな映画ファンは、最近では少なくなってしまったかもしれないが、
映画を愛する村田に映画好きの自分自身が投影され、
ボロボロと涙があふれてきた。

 あなたが、熱心な映画ファンであれば、
「ザ・マジックアワー」は、間違いなく楽しめるはずだ。

樺沢の評価  ★★★★☆

 (★★★★★が満点。☆は、★の半分)


追伸 脇役が凄い。
 この人がこんな役で!? というのが、次から次へと出てくるので
目が離せない。


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■3 精神医学の目 (ネタバレ)
─────────────────────────────────
┌───────────────────┐
 「カスピアン王子」のキリスト教的解読
└───────────────────┘

・・・・・注意・・・・・注意・・・・・注意・・・・・注意・・・・・  

 以下、「ナルニア国物語 第2章:カスピアン王子の角笛」の
ストーリーについてネタバレ的な記述があります。

 詳しいストーリーについて知りたくない方は、
映画をご覧になってからお読みください。

 


・・・・・注意・・・・・注意・・・・・注意・・・・・注意・・・・・
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   ↓

 「ナルニア国物語 第2章:カスピアン王子の角笛」。
 公開から3週間ほど経ちましたので、見たい方はだいたい
ご覧になったと思います。

 エント人? パワーアップしたガンダルフ?
 ニュージーランド・ロケした豊かな自然とか、
「ロード・オブ・ザ・リング」を彷彿させるシーンが随所にありますが、
盛りあがる個所は盛り上げ、人物描写もそこそこできていて、
それなりに楽しめた作品だと思います。

 第一作もそうですし、そもそも原作がそうですが、
「ナルニア国物語」は、キリスト教の影響を強く受けて書かれています。

 つまり、映画「ナルニア国物語」は、キリスト教的な解釈をすると、
より映画の深い部分が見えてくる、ということです。


● アスランは、なぜもっと早く来なかったのか?

 「カスピアン王子の角笛」を見た人の多くは、
「アスラン、こんなに強いならもっと早く来て助けてやれよ」と
思ったに違いありません。

 しかし、この「アスランがなかなか助けに来ない」という点に
重要なメッセージが隠されています。

 「ナルニア国物語 第1章」で、死んだと思われたアスランが
「復活」をとげましたが、この描写から
「アスラン=救世主」のイメージとして描かれています。

 キリスト教では、「信じるものは救われる」といいますが、
逆にいえば「信じないものは救われない」ということになります。


 最初、アスランが助けに来ることは誰も信じません。
 アスランの姿を見たというルーシーの言葉すら、誰も信じません。
 唯一、ルーシーだけが、アスランを信じ続けます。

 そして、テルマール人との決戦。

 ナルニア軍は、圧倒的な不利で敗北を意識します。

 そして、「困った時の神頼み」よろしく
ようやくアスランの助けを期待します。

 アスランの再臨を待望するわけです。

 救世主が助けに来るか来ないのかというのは、
救世主の意志ではなく、受け入れる側の意思が重要です。

 受け入れる側の心の準備状態が大切なのだと・・・。


 よくキリスト教を宣伝する看板に、
「主をお迎えする準備をしなさい」ということが書かれています。

 主をお迎えするためには、心の準備が必要なのです。


 要するにナルニアの人たちは、主をお迎えする準備が
できていなかったわけで、そんな状態では「救世主」が現れても、
見ることすらできないのです。
 ルーシー以外の三人が、アスランを見られなかったように・・・。

 「アスランは、なぜもっと早く来なかったのか?」
 
 受け入れる側の準備ができていなかったから。
 彼らの信じる心が足りなかったから。

 そう考えと、アスランの遅い登場も、実に納得がいきます。


● カスピアン王子のゆるし

 カスピアン王子は、自分の父を殺したミラースへの復讐の
チャンスを得ます。
 
 しかしなんと、カスピアン王子はミラースをゆるしてしまいます。

 「ぬるいこと言ってないで、さっさとやっちまえ」と思った
人もいるかもしれません。

 そもそも城に侵入した際も、ミラースを殺すチャンスがあったのに、
グズグズしていたせいで、ミラースに逃げられて、
おまけにナルニア人に大きな犠牲を出してしまいました。


 好戦的で野心的なミラースが権力を握ったからこそナルニアとの
全面戦争になったわけで、ミラースさえいなければ、
ナルニアの仲間たちにもこれほどの犠牲はでなかったでしょう。

 カスピアン王子は「ぬるいことを言うお坊ちゃん」という印象は
ぬぐえませんが、カスピアン王子がミラースをゆるすのにも、
重要な意味が隠されています。

 この物語が「キリスト教的価値観」を基盤にしているから
こうなるのです。

 キリスト教の重要な教えに、「ゆるし」があります。

 最もゆるしがたい、「自分の父親の仇」をゆるす。
 最も憎むべき相手だからこそ、ゆるさなければいけない。
 ここには、非常にキリスト教の影響が反映されています。

 もしここで、カスピアン王子がミラースを殺してしまうと、
今度はミラースの赤ん坊が、父の仇ということで、
永久に仇打ちが続いてしまうということになるでしょう。


 憎しみの連鎖を断ち切るには、「まず自分から」ということで
ミラースをゆるしたカスピアン王子はすばらしい、
とういうことになります。

 というわけで「ゆるし」のテーマというのが、
この作品の根底にあるわけですが、
現実に目を向けると、キリスト教国のアメリカが、
一番憎しみの連鎖を断ち切るべきで、
「ゆるし」とは縁遠い行動をし続けているので
何とかしてほしいものです(笑)。


 映画(原作)の描写と聖書の具体的な記述を付き合わせる
こともできなくはありませんが、そこまで細かく見なくても、
キリスト教の概略だけでも理解していれば、
このように映画を楽しむのには十分ではないか、と思います。


 ちなみに、「ナルニア国物語 第1章」のキリスト教描写に
関しては、以下の無料レポートにまとめてありますので、
是非、お読みください。

●「ナルニア国物語」に秘められたキリスト教文化を大解説
〜これを知れば7倍楽しめる〜
http://01.futako.info/a/narunia.html


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■4  編集後記
─────────────────────────────────

 監督スティーブン・スピルバーグ、製作総指揮ジョージ・ルーカスの
「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」が、
明日、先行上映されます。

 う〜ん、待ちに待ったという感じですね。

 インディ・シリーズの新作の話は、かなり昔からありましたから、
一体何年待たされたかも、数えられません(笑)。

 とりあえず、明日、見てきます。


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