映画の精神医学 自殺直前の心理とは
ええっ! 嘘でしょう!?
あらゆる治療法セラピーを試してきて
それでも克服できなかった恐怖症が
こんな簡単な方法で改善してしまうなんて・・・
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映画の精神医学
●第266号● 2008年4月1日発行 ● 発行部数 :49,549部
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【 目 次 】
■1 はじめに
■2 最新映画批評 「ジャンパー」
■3 精神医学の目 「CONTROL」その2 あるミュージャンの自殺
■4 最近見た映画と評価
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■1 はじめに
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4月1日。新しい年度の始まり。
本日、入社式という方も、いらっしゃるでしょう。
私も、気分一新して、新しいことに挑戦していきたいと思っています。
詳しくは、近日、発表できると思います。
先週末は、「花見」を予定されていた人も多いでしょうが、
天候が崩れてしまい、残念でした。
幸い、私は先週の木曜は九段下、千鳥ヶ淵。
金曜は上目黒、目黒川に花見に出かけました。
特に、目黒川沿いのカフェ。二階の窓から見た景色が素晴らしかったです。
私は北海道生まれの北海道育ちですから、
これほどたくさんの桜が満開で咲くのを見るのは、実は初めてのことです。
北海道の桜というのは、「雪」の影響をさけるためか、枝が横に
広がらないで縦に伸びていきます。
ですから北海道の桜は、花が咲いているのが、2メートル以上の高い
ところで、全く手が届かない位置で花が咲いています。
視線と同じ高さで桜の花が見られる、というのは本州の人から見れば、
当たり前のことなのでしょうが、そんな当たり前にビックリしています。
あと、東京の桜の名所で桜が美しいのは当然として、自分の近所も
含めて、いたるところで桜が見られるというのにも、驚かされます。
東京も、意外と自然が豊かというか、非常に身近なところに
美しい植物がたくさんあるということてだけで、何かホッとするものです。
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■2 最新映画批評
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「ジャンパー」 現在公開中
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人間は「時間」と「空間」に束縛されている。
時間を超越する話。タイムスリップ、タイムマシンものというのは、
映画、小説の世界では、定番というか、数えられないほどの作品が
作られ、傑作も数多くある。
一方で、「空間」を超越して移動するというのは、「スター・トレック」
シリーズにおける「転送」とか「ワープ」。
あるいは、「ザ・フライ」のような転送装置の開発の話とか、
劇団四季のミュージカルになった「壁抜け男」とかいろいろある。
しかしながら、「テレポーテション」によって、パリ、エジプト、
ニューヨーク、さらにはエベレストの頂上など、どこにでも
瞬間的に移動できて、その移動する回数などにも全く制限がない。
唯一制限があるとすれば、「移動する先の場所が明確にイメージできる」
というだけで、それも移動先の写真があればテレポートできるわけだから、
実質、無制限に近い。
この「ジャンパー」のように、ほぼ無制限で世界中をテレポート
しまくる話というのは、非常に珍しいだろう。
この映画「ジャンパー」の面白さは、ローマ、ニューヨーク、パリ、東京と
世界中の都市を瞬間移動して構成されるダイナミックな映像とストーリー
ということになる。
一方で、「ジャンパー」のつまらなさは、どこにでもほとんど無制限で
テレポートできるという自由度の多さにある。
「ジャンパー」を見た人からは、「あまりにもテレポートしすぎじゃないか」
という突っ込みが入るに違いない。
自分だけが逃げるのは実に簡単。そこで、主人公の「恋人を守る」
という「足かせ」によって、ようやく物語はおもしろくなる。
主人公のデヴィッドを演じるのが、スター・ウォーズのアナキン役の
ヘイデン・クリステンセン。そして、ジャンパーを抹殺しようとする組織
パラディンのローランドを演じるのがスター・ウォーズで
ジェダイ・マスター、メイス・ウィンドウを演じたサミュエル・L・ジャクソン。
メイス・ウィンドウは、アナキンのせいで死んだようなものだから、
その恨みをこの「ジャンパー」で晴らそうというのか(笑)。
いずれにせよ、明らかに、スター・ウォーズを意識したキャスティングである。
このパラディン。犯罪行為を行うジャンパーを捕まえて殺す
というのは大義名分がありそうだが、ジャンパーの家族や恋人に
危害を加えるのはどうみてもやり過ぎ。
というか、犯罪行為を行うジャンパーは「悪役」でパラディンは「いい者」
であるはずが、それが逆転していて、本当は「いい者」であるはずのパラディン
が悪役になっているという価値観の逆転がおもしろい。
そして、サミュエル・L・ジャクソンの悪役ぶりがはまっている。
彼は最近では刑事役が多いが、典型的な悪役顔で悪役を演じた方が
やっぱり様になる。
ヘイデン演じるデヴィッドは、過去のジャンバーと比べ卓越したジャンプ
能力を持っていて、いわばジャンパーの救世主的存在。
この辺の設定も、スター・ウォーズのアナキンの設定とソックリ。
はたして、デヴィッドはパラティンとジャンパーに調和をもたらすのか?
3部作の第1話ということで、「ライラの冒険」のように中途半端で
終わるのはしょうがないといえばしょうがないが、
このラストはやや物足りない。
樺沢の評価 ★★★☆
(★★★★★が満点。☆は、★の半分)
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■3 精神医学の目 (ネタバレ)
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「CONTROL」その2 あるミュージャンの自殺
└──────────────────────────┘
イギリスの伝説的ポスト・パンクバンド、
「ジョイ・ディヴィジョン」のリードシンガー、イアン・カーティス。
彼の成功の軌跡と23歳の若さで自殺するまでの経緯を描いた
伝記的作品が映画「CONTROL」です。
■映画「CONTROL」オフィシャルページ
http://control-movie.jp/indexp.html
前回は、イアンが抱える「てんかん」という病気について説明しました。
読み見逃した人は、バックナンバーからお読みください。
http://archive.mag2.com/0000136378/20080322113000000.html
さて今回は、イアン・カーティスの「自殺」をめぐって、
考察します。
この「CONTROL」という作品は、主人公イアンの精神的な苦悩と、
自殺に至る経緯が描かれいます。
しかしながら、映画を見た人は、彼が自殺した理由。
なぜ、大スターへの第一歩でもある全米ツアーに出発する前日に
彼が自殺しなければいけなかったのか?
その理由が、映画を見てもハッキリと理解できない、と思います。
映画では自殺の一番の原因として、イアンが妻と愛人との
板挟みになっていたことが、描かれています。
妻は最後には愛人と別れれば全て許すといっているのに、イアンは
愛人が別れてくれないと弁解します。
イアンが愛人と別れると言えばまるく収まったようにも思えますが、
彼はこの時点で精神的に非常に不安定な状態になっていて、
冷静な判断ができなくなっていたのでしょう。
自殺の直前。イアンは、非常に混乱した精神状態であり、
そういうこともあって、自殺の理由がはっきりしないわけですが、
これ自体は「非常にリアル」な描写に思えます。
だいたいにして、「自殺の理由」などというものは、第三者に、
簡単に理解できるものではないのです。
例えば、新聞を読むと「借金を苦にした自殺」といった報道が
みられますが、人間は借金をしたくらいで自殺はしません。
日本の消費者金融の利用者は、約1400万人といわれます。
とんでもなく多い数です。
このサラ金利用者のうちどれだけが自殺するのでしょうか?
自殺者の自殺動機として「生活経済問題」は、20%を占めます。
日本の自殺者数が、約3万2千人なので、その20%だと6400人。
実際は、それ以下と推測されます(生活経済問題を抱えていても
借金していない人もいるから)。
とりあえず、「借金で自殺する人」を、多めにみて6400人とすれば、
借金をかかえる人1400万人に対して、借金に悩んで自殺する人の割合は
0.04%にしかすぎません。
すなわち、2500人に1人です。
借金に悩んでいる人が2500人いたとしたら、2499人は自殺しないのです。
この事実を踏まえると、自殺した人が借金していたからといて、
「借金」がその主たる理由であるとは、断定できないでしょう。
実際は、いろいろな原因が複雑に絡み合って「自殺」というものはおきます。
単純に「●●が原因で自殺した」と断定できるほうが、おかしいのです。
このイアンの場合も、「女性関係のもつれ」「有名になることの
プレッシャー」そして、「てんかん」によってしばしば発作で倒れ、
気分の浮き沈みが激しくなっていたこと。
これらが複雑に絡み合って、自殺に至ったと考えるべきで、
「女性関係」とか「成功のプレッシャー」とか、単純には割り切れない
と思います。
一つだけ確実なのは、彼の「自殺」は、突発的なものではなかった
ということです。
映画を見ると、「自殺」が突発的、偶発的に起きているように思えますが、
彼は自殺を決行するかなり前から、自殺への抜け出しがたいスパイラルに陥り、
自殺について考え続けていたと推測されます。
その理由は、彼の行動に、見事に自殺の徴候が見られているからです。
明確な徴候は二つあります。
一つが、「自罰的、自責的傾向」です。
発作でステージをだいなしにしてしまったイアン。
滅茶苦茶になった舞台を見ながら、バンドの仲間や家族が自分のことを
責めているに違いないと言います。
さらに、自分の娘も自分のことを責めていると言います。
バンド仲間が自分のことを責めているという考えは、
まだ理解できますが、赤ん坊である娘がイアンのことを責めるはず
がありません。
これは彼が強烈に「自責の念」を抱いており、それが病的なレベルに
達しているということの現れです。
自殺に至る人は、ほぼ必ずと言っていいほど、
「自罰的、自責的傾向」に陥ります。
自分が他人に迷惑をかけている。
失敗するのは、全て自分の責任だ。
自分なんかいない方がうまくいく。
こうした考えを抱き、こうした考えが強まると「自分は価値がない存在だ」
「自分は存在する意味がない」(無価値観)に発展し、自殺に至るのです。
イアンが「娘が自分を責めている」と言った時点で、すでに
自殺の危険性が高い状態になっている、といえます。
さらに、重要な自殺の徴候は、「家族に会いに行く」ことです。
漠然と映画を見ていると、家族に会いに行くシーンが唐突に入ってくる
理由がわかりませんが、「自殺」という観点から見れば、
その行動の理由は明確です。
自殺を考える人は、自殺する少し前に
・家族や古い友人に会いに行く
・家族や古い友人に電話をする。手紙を書く
という行動をとるのです。
これは重要な自殺の徴候です。
「お別れを言いに行く」という意味もありますが、
「何とか自分の心境に気付いて助けてほしい」という
気持ちもあるかもしれません。
彼は自殺する何日か前(?)に、久々に実家に帰省します。
母親は「部屋は昔のままよ」と言っていますから、かなり久しぶりの帰省
であったと推測されます。
母親は受容的に接するものの、父親はぶっきらぼうな感じ。
家族で黙ってテレビを見るシーンが彼らの関係性を示しています。
そして、ツアーの前日、イアンは自分の家に戻ります。
なかなか帰宅しない妻にいらだちながら、やっと戻ってきた妻とも
口論となります。
妻は愛人と別れれば全て許すという内容のことを言います。
彼女としては、最大の譲歩でしょう。
愛人と別れるならば、イアンを再び受け入れるということです。
しかし、イアンは愛人が別れてくれないと、意味不明な弁解をし、
すぐに怒り出して妻に出て行けと言います。
自分から和解話をぶちこわしているようにも見えます。
自分で感情がコントロールできないのでしょう。
焦燥感が強まっていて、自殺の危険性が非常に高い状態です。
映画を見ていると、ここで夫婦喧嘩をして、和解話が決裂したから
自殺したように見えるかもしれません。
妻が別な態度をとれば、イアンの自殺を防げたのではないか・・・と。
しかし、私は全く逆のように思えます。
妻に会いに来たのは、和解話をしに来たのではなく、
死ぬ前に一度、妻に会いたかったから、ではないのでしょうか。
家族と同様に「お別れ」的な意味合いで、家に戻ったように思えます。
イアンの自殺は、決して突発的なものではなく、ステージ上で発作を起こして
倒れた頃から、自殺に向かうジェットコースターはすでにスタートしていたと考
えられるのです。
妻が、この最後のお別れの際に、もっと別な態度で接していれば、
この日は自殺しなかった可能性もありますが、おそらく別な日に
自殺したのではないか・・・と思います。
彼の気分の不安定さが自殺に関与したことは間違いないので、
薬をきちんと飲んで「てんかん」をコントロールしていれば、
自殺にまでは至らなかったかもしれません。
「てんかん」者は、非常にエネルギッシュで、ドストエフスキーのように、
創作、芸術分野で活躍し、目覚ましい成果を上げる人もいます。
また、「てんかん」者は、ナポレオンやシーザー、あるいはチンギスハーンの
ように時代の変革者としても活躍します。
「ジョイ・ディヴィジョン」の音楽は、シンプルながら鋭く心の琴線に
触れるギターのリフとメロディ。
社会や大人を声高に批判するのではなく、自らの内面を見つめるかの
ような歌詞、当時大きな話題を呼んだライヴでの破壊的なパフォーマンスなど、
ジョイ・ディヴィジョンのスタイルはイギリスのみならず、世界中のロックバン
ドに後世まで大きな影響を与えた、と言われます。
「ジョイ・ディヴィジョン」は、当時のロック界に革命を起こしたと
言えるわけですが、こうしたロックの歴史に残る業績と、
イアンの「てんかん」という病気は無関係に思えません。
仮にイアンがこうした病気を患っていなかったとしたら、
自殺することはなかったかもしれませんが、ミュージシャンとして
これほどの成功を残すこともなかったでしょう。
「自殺」の心理について、さらに詳しく学びたい人は
→→→ http://01.futako.info/a/suicide.html
■映画「CONTROL」は、渋谷シネマライズ他で上映中
http://control-movie.jp/indexp.html
※以上の考察は、映画「CONTROL」に描かれたシーンをもとに
考察したものです。
※以上、「てんかん」について、簡単に説明しました。
多少説明不足の点もありますので、詳しく知りたい方は、
さらに以下のサイトなどをご覧ください。
●日本てんかん協会 http://www.jea-net.jp/
●ウィキペディア http://01.futako.info/a/014.html
参考サイト
●「ジョイ・ディヴィジョン」プロフィール
http://wmg.jp/artist/joydivision/profile.html
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■4 最近見た映画と評価
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3/24 最高の人生の見つけ方 ★★★★☆ (試写会)
ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマンという二大名優の共演。
そして、ロブ・ライナー監督でおもしろくないはずかない。
人生の意味とは何か? 誰のための、何のための人生か? という普遍的な
テーマは、心に響く。涙なくしては見られない映画。
3/31 ノーカントリー CONTROL ★★★☆ (公開中)
一言で言えば、「血なまぐさい映画」。
「血なまぐさい映画」を見たい人にはおもしろいのだろうが、
そうでない人には全くお勧めできない。
娯楽的な演出を一切排除し、ドキュメンタリーのように淡々と進行する
演出はリアリズムがあり、「恐怖」につながる。
この淡々とした演出に、「すごさ」を感じる人もいるし、「つまらない」と
感じる人もいるだろう。
「暴力」や「残虐性」を、冷徹に描きぬいたコーエン兄弟のテーマ性は
理解するが、最近「血なまぐさい映画」が苦手な私としては、あまり
楽しめなかった。
3/31 犬と私の 10 の約束 ★★★☆ (公開中)
「犬の映画」ではなく、田中麗奈演じるあかりの成長物語
になっている点が、犬映画期待する人には期待はずれなのかもしれないが、
予想外に壮大なストーリーで、私は楽しめた。
「動物」プラス「病気」という、お涙ちょうだいの禁じ手が
次々繰り出されているストーリー展開にあざとさを感じながらも、
やはり泣かずにはいられない。
父親役の豊川悦司がいい味を出している。
「犬を飼いたい」とせがむ子供に、「犬を飼うことの責任」を
教えるために見せる映画としてお勧めできる。
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