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2008/02/13

映画の精神医学 新メルマガがスタートします

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      映画の精神医学
       
●第259号● 2008年2月13日発行 ● 発行部数 :49,549部
 
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    【 目 次 】
■1 はじめに
■2 最新映画批評 「団塊ボーイズ」
■3 【特別寄稿】 クレルモン=フェラン国際短編映画祭 体験記
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■1 はじめに
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●東京・世田谷で住宅3棟焼く、消防車32台が出動
http://egoods.holy.jp/c/kaji.html

 うちの目の前で火事がありました。
 
 この火事現場、うちのアパートの4軒隣。
 30メートルほどしか離れていません。
 
 うちのアパートにも、火の粉が降って、煙がモウモウと
していましたから、本当に恐ろしかったです。

 詳しくは、また後日お知らせします。


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 このたび新しいメルマガをスタートしました。

 その名は、「グルメの心理学」です。

■「グルメの心理学」
http://www.mag2.com/m/0000257512.html

 3000軒のレストランを食べ歩いた精神科医でグルメ評論家の樺沢紫苑が、
三ツ星レストラン、高級寿司店からラーメン、カレーまで。

 日本、アメリカ、そして世界を食べ尽くしながら、食文化、
そして食と人間、現代日本を徹底考察していくメルマガです。

 単なる「食べ歩きメルマガ」「グルメ情報メルマガ」ではなく、
食べ歩きを通して「人間発見」「文化発見」をしていこう、
という「食」に関して、今まで見たことのない切り口の文章を
お届けしていく予定です。


 すでに、「第1号」は発行されています。

バックナンバーはコチラ
 ↓ ↓
http://archive.mag2.com/0000257512/index.html


 「第1号」から、数回にわたって、
「ミシュランガイド」東京版で、
日本人としてフレンチの世界で初めて三つ星を獲得するとともに、
33才。現役、最年少の三つ星を獲得した天才シェフ岸田周氏。
 この岸田シェフの店「カンテサンス」。

 その「カンテサンス」を訪れた樺沢のレポートとともに、
「食と想像力」「食とサプライズ」「究極の美食とは?」
「天才シェフの想像力の秘密」などについて、
連載でお伝えしていきます。

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☆樺沢紫苑の新メルマガ☆
■「グルメの心理学」
http://www.mag2.com/m/0000257512.html



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■2 最新映画批評
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┌────────┐
 「団塊ボーイズ」 2月9日公開
└────────┘ 

 2007年3月に全米で公開されるや否や、
1億ドル突破の大ヒットを記録し、
2007年の興行収入ランキングにおいては、「ダイハード 4.0」や
「オーシャンズ13」といった有名作品を押しのけ、
堂々とトップ10入りを果たした大ヒット作が、
この「団塊ボーイズ」である。


 「団塊ボーイズ」、悪くない邦題である。
 
 原題は、「Wild Hogs」。
 直訳すれば、「野豚たち」。
 何のことか、サッパリわからない。

 「Wild Hogs」は、主人公4人のバイクのりチーム名、
グループ名なのだが、この原題には別な意味が隠されている。

 "go hog wild"で、「夢中になる」という意味がある。
 
 したがって、「Wild Hogs」には
「(バイクに)夢中になった男たち」「熱中する男たち」
といった意味が込められているだろう。


 アメリカの閑静な住宅街に暮らす、ごく普通の中年男たち4人組。
 彼らの人生はそれほど悪くはないもののだが、
4者4様のストレスを抱えていた。

 彼らのストレス発散は、週末に愛車のハーレーにまたがって、
ツーリングを楽しむこと。

 そんな煮詰まった4人の中年男性が、一念発起しアメリカ横断
の旅に出かける。


 一昨日のメルマガで、
 
「あなたは自分のために生きていますか?」
という話をしました。

 「団塊ボーイズ」は、まさに同じテーマで、

「あなたは自分のために生きていますか?」
「あなたは、何か夢中になることがありますか?」

 そんな問いかけを、我々に投げかけてくる。


 先日、「週刊ポスト」の映画評を読んでいたら、
この「団塊ボーイズ」の評価が載っていて、
やたら評価が低くて残念だった。

 アメリカでは、この作品は大ヒットしたが、残念ながら、
日本ではヒットしないかもしれない。


 この映画には、アメリカ人の大好きなものがテンコ盛りにされている。

 そもそも、この作品は「馬」を「バイク」に置き換えただけの
完全な「西部劇」であるし、当然、お約束の「勧善懲悪」の
物語である。


 「いつかは、車やバイクでアメリカ横断したい」というのも、
ほとんどのアメリカ人が持っている「夢」であるし、

仕事や家族のしがらみをおいておいて、
その「夢」を実現してしまう中年男たちは、
まさにアメリカン・ヒーローである。

 自分のやりたいことをやろうよ。

 でも、仕事とか、家族とか、いろいろなことを考えると、
「自分のやりたいこと」など、そう簡単に実行できない・・・。


 そんなジレンマをふまえて、この映画を見て、
初めて「カタルシス」が生まれる。

 「やっぱり、自分のやりたいことは、やっておかないと後悔するな・・・」


 一方で、全く反対のリアクションもあるだろう。

 「仕事や家族もホッタラかして、何週間もバイクで旅行なんかできるか!!
 全くリアリティのない荒唐無稽な話だ」

 こう言ってしまえまば、この映画には何らかの価値も見出すことは
不可能になる。


 「自分」以上に、「仕事」や「家族」を重要視する日本人にとってみれば、
この映画のシュチエーションは、全くリアリティかもしれない。

 「自分を大切にする」ことの大切さを、日本人よりは理解している
アメリカ人にとっては、4人の主人公たちは、非常に身近で、
等身大の存在に感じられたことだろう。

 そして、「自分のために生きる」という考え方が浸透している
アメリカ人にとっては、
「ひょっとしてありえるかも」
「自分も、こんなことしたいよ」
という、日常との連続性の中で、
ありありとしたリアリティを感じるに違いない。


 そんなわけで、仕事のため、家族のために、自己犠牲的に働いてきた
日本の「団塊の世代」に「もっと、自分のために生きようよ」という
問いかけをしているかのような邦題「団塊ボーイズ」は、
良いタイトルだと思うが、その問いかけが日本の観客にどこまで
届くのか・・・。
 
 主人公の4人の中年男を演じるのが、
ジョン・トラボルタ、ウィリアム・H・メイシー、ティム・アレン、
マーティン・ローレンスといった、豪華な俳優陣。

 いずれも、一人で主役を張れる(張っている)大物俳優が4人も集まっている。

 この豪華俳優陣の共演を見られるだけで、映画ファンなら
楽しい時間を過ごせるはずだ。


 とはいっても、この笑いのセンスは、日本人にはつらいかもしれない。
 私がシカゴで見た時に、もっとも受けていたのは、
「ホモねた」のシーンだ。
 ひんなシーンは、日本では、絶対受けないだろうなあ・・・。

 アメリカ人が好きな映画ってどんな映画?
 その答えにピタリと当てはまるのが、この「団塊ボーイズ」である。

樺沢の評価  ★★★★


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■3 【特別寄稿】 クレルモン=フェラン国際短編映画祭 体験記
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■第4目■

 授賞式。

 ついにこの日がやってきた。

 だが、その前にやっかいなイベントが控えている。
 そう、自分の作品について英語での質疑応答に応えなくては
いけないのだ。

 指定された部屋に行くと、壇上の席には監督、通訳、司会、評論家が
並び、いわゆる記者会見のよう。ちょうどギリシャの女性監督が、
かなり深い内容の質問に応えていた。

 10分ほど待ち、いよいよ僕の番。
 通訳のおじさんが笑顔で挨拶してくるが、訛りが強く、
言ってることがうまく聞き取れない(!)。

 質問の内容が分かるだろうかと危惧しつつ、壇上に座る。
 監督した自分自身でも思いつかないような深い視点の質問と、
訛りのある英語訳に頭を悩ませ、少ないボキャブラリーの中から
必死に答えを引き出していく。

 それでも、次第に調子が出てきて、軽いジョークを挟んだり(受けた!)、
逆に質問したりしているうちに、最後の質問へ。

 「オリンピックを前に取り壊される、北京の古い街並みを題材にしているが、
この作品はあなたからの(中国政府への)意見書なのか、抗議文なのか、
そういった意図はあるのか?」。

 僕の答えはこう。
 「最も尊敬する監督のひとり、黒澤明監督はいつもこう言っていました。
 映画のテーマは、監督が語るべきものではない。映画自身がすでに語っている
のだから。あとは、それを観た観客が自由に受け止めるべきものだ、と。
 だから僕も、ここではそれについて語らないことにします」

 とっさに思いついたひと言だったが、これが受け、なごやかな雰囲気で
質疑応答は終了。

 よし、これで残すは授賞式のみだ。
 次にディスカッションするイスラエルの監督と挨拶を交わして、
会場をあとにする。

 時間が少し余ったので、近くにあるミシュラン・ショップで
娘たちにお土産を買い(この町にはミシュランの本社があり、
近くには工場やテストコースがあるのだ)、
さらに地元料理を食べさせるという小さなレストランで
遅い昼食を堪能する(美味しかった!)。


 そして、いよいよ授賞式。

 クレルモン=フェラン国際短編映画祭は、インターナショナルコンペ部門
(海外作品)、フランス映画部門(フランス国内作品)、
ラボ部門(実験的映画部門)という3つのカテゴリーに分かれ、
各カテゴリーに対して別々に賞が授与されるので、
合計20以上の賞があったと思う。

 セレモニーは延々と続き、グランプリが発表されるまでに
2時間はかかっただろうか。

 長時間待たされた上に、1400人の熱気と効き過ぎた暖房で
すっかり疲弊してしまった僕らの耳に、グランプリ発表の声はまるで
他人事のように、遠く、小さく聞こえた。


 結果から言うと、僕らの作品は賞を取れなかった。

 インターナショナルコンペ部門でグランプリを取ったのは、
ドイツのReto Caffi監督の作品「Auf der Strecke」で、さすがに脚本、
撮影、音響、編集など、どれをとっても高いレベルの作品だった。

 「胡同の一日」が賞を取れず、残念だという気持ちはあるが、
悔しいという気持ちはない。いや、これは負け惜しみでも何でもなくて、
それだけ優れた作品がたくさん集まっていたからだ。

 これまで、ショートフィルムというと、長編映画を撮るためのステップと
いう意識が強かったが、今回の映画祭で各国の作品に触れて考えがガラッと
変わった。長編小説に対する短編小説と同じで、それを専門にする作家たちが
存在し、それを求めるマーケット(観客)がいる。

 ショートフィルムとしてのさまざまな技法があり、
独自のストーリーテリングがある。

 そんなことも知らなかった自分の作品が、この素晴らしい映画祭に選ばれ、
たくさんの観客から拍手を受け、さまざまな国の監督やプロデューサーから
意見が聞くことができたなんて、何て幸運だったんだろう。

 今回同行してくれた阿部プロデューサーを始め、すべてのスタッフと
キャストに、心から感謝したい。
 そして近い将来、改めてショートフィルムに挑戦してみたいと思った。


 大会の締めは、夜11時から始まる、クロージングパーティー。
 入り口では、フェリーニの映画を思わせるジプシーチックな楽団が
演奏を披露し、数百人の映画祭関係者が酒を飲み、歌い、踊り、語り合った。


 そうそう、残念賞というわけではないが、「胡同の一日」は
札幌国際短編映画祭の実行委員の方から、「是非うちの映画祭に出品して
下さいよ」と声を掛けられ、アジアと北米の映画祭からもオファーを頂いた。

 最終的に上映作品に選ばれるかどうかはまだ分からないが
(何せ、札幌だけでも2千数百本の候補作から選んでいるのだ)、
是非とも実現して欲しいと思う。ひとりでも多くの観客に、
この作品を観て貰いたいから。


 さまざまな言語が飛び交う会場の喧騒と共に、
クレルモン=フェランの夜は更けていった……。

                        (鈴木勉)

 
 残念。本当に、残念でした、鈴木監督。

 でも、よく考えてみると、これほど競合ひしめく、
世界最高峰の短編映画祭に「正式招待作品」に選ばれた、
ということ自体がとてもすごいことです。

 実は、鈴木監督は、誰もが見たことがある結構有名な
テレビCMなどを作ったりしています。

 映画にもやたらと詳しく、黒澤明の話なんか、私では
全く太刀打ちできないほどです。

 映画とか漫画とかのストーリーテリングをよく研究している
実力者なのです。

 鈴木監督が、劇場長編映画を監督する日も、
そう遠くははないでしょう。
 
 そして、その2、3年後に、

「クレルモン=フェラン国際短編映画祭があったからこそ、
劇場映画につながったね」

なんてことを、笑いながら話せる日が
来るのではないか・・・と私は勝手に想像しています。


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