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2008/01/30

映画の精神医学 うつ病って、治るんですか?

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      映画の精神医学
       
●第255号● 2008年1月30日発行 ● 発行部数 :49,549部
 
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    【 目 次 】
■1 はじめに
■2 最新映画批評 L change the WorLd
■3 精神医学の目 うつ病って、治るんですか?
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■1 はじめに
─────────────────────────────────

 「テラビシアにかける橋」、早速見てきました。
 いいものは、何度も見てもいいです。

 2回目をみると、一回見たたげでは絶対にわからないような部分も
詳しく見えてきて、さらにおもしろくなってきます。

 もう一回は、見に行きたいですね。



 前回、ご紹介しました、樺沢特別対談講演『理想の親像』ですが、
定員50名のところ、すでに30名ほどのお申し込みを
いただいております。


 いじめ。いじめ自殺。
 学級崩壊。
 ニート、引きこもり。
 親殺しや兄弟殺し。

 深刻な問題が、子供たちを苦しめています。

 その原因は何か?

 私は、非常にシンプルに考えています。

 核家族化が進み、親と子供のかかわり方の形態が、
20年前とは完全に違ってしまっている。

 親子のかかわり方の変化が、諸悪の根源ではないか・・・と。

 具体的にいえば、「父親の役割」「母親の役割」が
機能していないということです。


 親は、子供に何をすべきなのか。
 あるいは、子供に何をしてはいけないのか?

 「理想の親像」というものが見えなくなっている今、
「コドモ塾」の主催者であり心理カウンセラーでもある
ユキさんと精神科医の樺沢が

それぞれの立場から意見をぶけあい、
今の時代の「理想の親像」について語ってみたいと思います。

■特別対談講演『理想の親像』

■日時:2008年2月10日(日) 13:30〜16:00

■会場:東京 JR市ヶ谷駅から徒歩2分
 「アルカディア市ヶ谷」
 http://www.arcadia-jp.org/top.htm

■タイムスケジュール

 13時15分 開場
 13時30分 開演
 13:30-14:15 第一部(コドモ塾、ユキさん)
 15分休憩
 14:30-16:00 第二部(ユキさんと樺沢との対談)
        質疑応答を含む

■参加費

 2,980円

■定員

 50名 (現在のお申し込みは、30名)

■お申し込み

 以下のフォームよりお申し込みください。
  ↓  ↓
http://egoods.holy.jp/c/taidan.html


 ユキさんは、大変、エネルギッシュな方で、
非常に盛り上がる対談講演になるでしょう。

 樺沢も、教育系の講演は、帰国後初の試みとなりますが、
お子さんをお持ちの方に役立つ話を、
たくさんしたいと考えています。


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■2 最新映画批評
─────────────────────────────────
┌───────────┐
  L change the WorLd    2月9日公開
└───────────┘ 

 「DEATH NOTE デスノート」シリーズで“キラ”と対決した
もう1人の主人公「L」を主役にしたスピンオフ・ムービー。

 前後編で完結した「DEATH NOTE デスノート」とは違う新たな視点から
Lの謎に迫り、Lの最期の23日間を追うサイドストーリーが展開する。


 23日後に死が決まっている「L」の一挙手一投足に悲哀感が漂い
センチメンタルな作品として仕上がっている。

 子役の少年と少女。
 そして、子供と「L」のからみの部分で、
「L」が意外な表情やリアクションを見せる。
 その辺が、この作品の魅力だろう。


 ただ、「デスノート」の世界感をあまりに期待し過ぎると、
期待を裏切られるだろう。

 「死神が存在する」というリアリティのない話を、
圧倒的なリアリティで描きこんだ原作と前作の2本の映画。

 殺人ウィルスを散布して世界の人口を大幅に減らそうという
テロリストの犯行動機は、陳腐というか、全くリアリティが
感じられない。

 高嶋政伸と工藤夕貴の大げさな演技にも辟易するが、
これも監督の指示なのか・・・。

 監督は「リング」の中田秀夫監督。
 彼の実力からして、もってクオリティの高いものが作れると
思うのだか・・・その辺も残念だ。


 というわけで、「L」や子供たちの人物描写は楽しいが、
アクション・シーンなどは、ちょっとお粗末。
 その辺を覚悟しておけば、十分に楽しめる一本である。

樺沢の評価  ★★★☆


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3 精神医学の目
─────────────────────────────────
┌─────────────┐
 うつ病って、治るんですか?
└─────────────┘ 

 最近、セミナーや講演会などを開いているせいか、
いろいろな人とお会いします。

 そこで、懇親会の席などいろいろな質問を受けるのですが、
結構同じ質問もされます。

 最近、よくある質問の一つとして、

「うつ病って、治るんですか?」

というのがあります。


 最近、書店の健康のコーナーに行くと、「うつ病」に関する本が
たくさんならんでいます。

 それらをいくつか手にとると、「うつ病は心の風邪」と書かれています。

 そうした状況を受けて、

 「うつ病は心の風邪といいますけど、うちの家内はもう10年以上
うつ病で治療を受けています。
 ちっともよくなりませんけど、うつ病って、本当に治るんですか?」

 こんな感じの質問を、たびたびされます。

 
 統計的な話をすれば、うつ病になった人の、
約10%が「遷延化」「難治化」するといわれています。

 「遷延化」「難治化」とは、うつ病が簡単に治らなくなる
ということです。

 こうした、うつ病の症状に長期にわたって苦しめられる人は、
うつ病患者さんの約10%存在する、ということです。


 反対に言えば、「うつ病患者さんの約90%は、
きちんと治療を受けて治っている」ということです。


 ただ、治るといっても、「症状が消失する」という意味で、
一度重たいうつ病になった人は、再発を防止するために、
抗うつ薬を長期に飲み続ける必要があるでしょう。


 うつ病というのは、早期に発見して、早期に治療すれば、
「風邪」ほど簡単ではありませんが、きちんと治る病気である
と言えます。


 しかし、「遷延化」「難治化」すると、かなり大変です。
 
 患者さんは苦しい症状がとれず、あるいは良くなったと思ったのに
またすぐに悪くなったりと、症状が安定しません。


 そうなれば、定職につくこともできず、家で横になっている状態で
何年もすごすことになりかねません。


 うつ病が「遷延化」「難治化」するパターンですが、
私はザックリ分けると次の3パターンになると思います。


(1) 治療開始するのが遅い

 うつ病は、早期に治療を開始すればするほど早く治ります。
 
 逆にいえば、治療開始が遅くなればなるほど、治りが悪くなります。

 軽い状態で精神科に来院していただければ、外来で抗うつ薬をもらって
飲むだけで治りますが、重症になると、3か月くらいに入院が必要になります。
 あるいは、3か月ですまない場合も出てきます。

 要するに、精神科を受診した段階で、なかばうつ病が「固定化」したような
状態になっていると、治りづらいし、そういう人は、「遷延化」「難治化」
しやすいのです。

 そうならないためには、うつ病の徴候が出たら、
できるだけ早く精神科を受診するということです。


(2) きちんと治療を受けていない

 おそらく、「遷延化」「難治化」する患者さんで、最も多いのが
このパターンだと思います。

 精神科を受診して薬をもらっていても、自分で調整して、
勝手に減らしてしまう。

 あるいは、自分の調子に合わせて、減らしたり増やしたりする。
 
 「今日は調子がいいので、2錠を1錠にしよう」とか。

 よくなったということで、薬をやめてしまったり、あるいは
通院をやめてしまったり・・・とか。


 現在、抗うつ薬の主流となっているSSRIですが、
これは決められた量を4〜8週間毎日服用して、
効果がでてくる薬です。


 ですから、勝手に減らして飲んだり、2、3日飲まなかったりと
自分なりの飲み方で服用すると、「全く効果が出ない」ということに
なります。


 また、効果発現までに、4〜8週間はかかりますが、その前に
「良くならないから」といって薬をやめてしまったり、
病院を変えてまた別な種類の薬を処方してもらったり・・・と
いうことをすると、治るものも治らなくなります。


 このように薬を自己調整したり、通院中断したりするうちに、
うつ病が悪化し、長期化し、結果として
うつ病が「遷延化」「難治化」してしまうのです。


 抗うつ薬は、必ず「用量用法を守って、処方されたとおりに」
正確に服用してください。

 そうすれば、ほとんどのうつ病患者さんは治ります。


(3) お酒を飲んでいる

 さて、精神科にもきちんと通院しているし、薬も処方されたとおりに
正確に飲んでいる。
 
 それでも治りません・・・という患者さんがいるのも事実です。


 そうした患者さんは、たいていの場合、アルコールを常用しています。

 毎日のようにお酒を飲んでいる・・・ということです。

 
 毎日のようにお酒を飲んでいるうつ病の患者さんは、
うつ病は治りません。

 なぜならば、アルコール(お酒)というのは、
神経系の活動を低下させるからです。

 ザックリ言うならば、「お酒はうつ病の原因となる」と言っていいでしょう。

 実際、アルコール依存症の患者さんは、
ほとんどうつ状態に陥っています。


 精神科医が「お酒を飲んでいますか?」と患者さんに尋ねても、
「そんなにたくさんは飲んでいません」とか、
毎日飲んでいても、「たまに飲むくらいです」とだいたいは過少申告
します。

 本人は「たいした量ではない」と思っているので、過少申告するのでしょうが、

うつ病の治療をしている間は、お酒は一滴も飲むべきではないでしょう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 とにかく、うつ病を治そうと思ったら、お酒をやめることが
100%必要です。

 お酒をやめることができないのであれば、
うつ病を直すことは、無理だと思った方がいいでしょう。


 お酒は、確実に、うつ病を悪くします。


 気分がめいる時に、お酒を飲んで「パーッとストレス発散しよう」
というのが、日本人によくあるストレス発散法としてありますが、
もし軽い「うつ病」にかかっているとしたら、
「お酒でストレス発散」というのは、全くの逆効果にしか
ならないでしょう。

 抗うつ薬は、神経の働きを高める作用があります。
 お酒は、神経の働きを低める作用があります。
 つまり、全く反対の薬を同時に飲んでいるようなものです。

 ですから、これでうつ病が治るはずがありません。

 うつ病を直したいのなら、まずはお酒をやめることです。



 あなたの身の回りに、うつ病が治らなくて苦しんでする人がいましたら、
今回の話を参考にしていただけましたら、幸いです。

 うつ病の早期発見のためのうつ病の初期症状に関しては、
拙著「自殺という病」(秀和システム)に詳しく書かれていますので、
参考にしてください。


●「自殺という病」(秀和システム) 佐々木信幸著
http://egoods.holy.jp/c/suicide4.html


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