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2008/01/03

映画の精神医学 2007年のベスト作品は・・・

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      映画の精神医学
       
●第252号● 2008年1月3日発行 ● 発行部数 :49,549部
 
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    【 目 次 】
■1 はじめに
■2 最新映画批評 「AVP2 エイリアンズ VS. プレデター」(ネタバレなし)
■3 精神医学の目 「アイ・アム・レジェンド」の心理学 (ネタバレ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■1 はじめに
─────────────────────────────────

 みなさん、あけましておめでとうございます。
 今年もよしくお願いします。


 いろいろと悩みましたが、
 2007年度の私のマイ・ベスト・ムービーを決定しました。

第1位「幸せのレシピ」

第2位「インランド・エンパイア」

第3位「ホリデイ」


 こんな感じです。


 「幸せのレシピ」「インランド・エンパイア」「ホリデイ」。
 いずれも傑作です。

 
 どれが1位でもおかしくない作品ですが、
レストラン好きの私の嗜好。

 そして、仕事に生きるのか? プライベートを大切にするのか?

 その辺のテーマが、現在の私の心にうまくマッチングしたため、
「幸せのレシピ」が2007年の映画の中で、最も心が動かされた
ということで「第1位」に選びました。

 「幸せのレシピ」DVDは、2月8日発売ですので、
レンタルでもいいですから、是非ご覧ください。


 今年の新作映画ラインアップを見てみると
「テラビシアにかける橋」「ライラの冒険 黄金の羅針盤」
「L change the WorLd」「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」
「スピード・レーサー」「スカイ・クロラ」「ナルニア国物語第2章」
などなど、楽しみな作品が目白押しです。

 今年も、素晴らしい映画が見られますように。


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■2 最新映画紹介     (ストーリー紹介)
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┌──────────────────┐ 
 「AVP2 エイリアンズ VS. プレデター」  
└──────────────────┘ 

 私が、今年、最初に見た映画が、「AVP2」。
 
 もっとお正月らしい映画を見たかったが、他にも見たいのは、
「魍魎の匣」くらいしかなかったので、必然的に「AVP2」に
なってしまった。

 言うまでもなく、「エイリアン VS. プレデター」の続編。

 結論からいうと、「予告編」どおりの作品だった。
 
 「予告編」を見て想像した通りのストーリーで、特に意外性も
サプライズも何もなく、お約束通りにラストまで進んでいく。

 まあ、アクション映画とはそんなものだから、エイリアンとプレデターと
人間の三つ巴アクションを純粋に楽しむべき映画なのだろう。

 ただ、エイリアンとプレデターの合体種「プレデリアン」の登場とか、
エイリアン狩りのスペシャリスト・プレデター「ザ・クリーナー」の
登場とか、マニアックな楽しみはなくもない。

 「予告編」を見て、見たいとと思った人。
 旧作が好きな人は、どうぞ。

樺沢の評価 ★★


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3 精神医学の目 (ネタバレ)
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┌─────────────────┐ 
 「アイ・アム・レジェンド」の心理学 その3 (ネタバレ)
└─────────────────┘ 

■ 救世主としてのネビル

 人類は破滅寸前。自分が人類最後の生き残りなったと思い絶望するネビル。
 そして、自分の妻子を失ったネビルは、神を全く信じられなくなっていました。

 そこに現われた、生き残りの女性アナは信心深い女性で、
全ては神の意志であるとネビルに説きます。
 しかし、ネビルは今まで同様に神を否定します。

 ラストのクライマックス・シーン。
 ナイトシーカーズに追い詰められ、地下実験室の隔離室に立てこもる3人。

 そこで、ナイトシーカーズから普通の人間に戻っていた女性を発見し、
ワクチンが完成したことを悟るネビル。

 血液を抜きアナに手渡すネビル。
 
 次の瞬間、アナ親子を救うために、ネビルは手榴弾を手にして、
ナイトシーカーズの中に飛び込んで行きます。

 このネビルの最後の瞬間。
 ネピルに決断をうながしたキーワードは、「蝶」であることは
誰にもおわかりでしょう。
 
 アナの首筋の蝶のタトゥー。
 
 ガラスのひび割れが蝶の形になる。

 そして、娘の「蝶々だよ」という声を聞きます。


 この連鎖を「神の啓示」と感じたネビルは、神への信仰を
取り戻し、ワクチンを託したアナ親子を救うために、
自己犠牲を決意するのです。


 さて、このシーンですが、「蝶」のキリスト教の象徴的意味を
知っていれば、もっと深く理解することができます。

 キリスト教における「蝶」の意味は、「復活」です。
 イエスの復活。

 ここでは、もう少し広い意味でとらえて、(人類の)「復活」「再生」と
とらえるべきでしょう。

 死滅寸前だった人類の復活、再生の希望のイメージとしての「蝶」
というです。

 そして、自己犠牲を払いネビルは死にますが、彼の開発したワクチンが
人類を救い、ネビルは伝説(レジェンド)となった。

 つまり、人類は「再生」し、ネビルは伝説として、
見事に「復活」を果たした・・・という。


 ここまで書けば、「ネビル=救世主」のイメージが重ねあわされて
描かれていることは、誰にでも分かるはずです。


 ネビルは、「ウィルスを防ぎきれなかった自責の念(罪の意識)」を
持っていた、と前々号で書きました。。

 ネピルの死は、罪の贖い(あがない)。
 つまり、「贖罪」(しょくざい)という意味を持っているでしょう。

 「贖罪」としての自己犠牲です。

 「アイ・アム・レジェンド」において「蝶」の他に、
もう一つ重要なイメージがあります。

 それは「血」です。


 ラストのシーンで、ネビルは回復したナイトシーカーズの血液を採取して、
アナに渡します。
 ワクチン(血清)は、血液に混じっていますので、血そのものが救いと
なります。

 ネビルは、何とかワクチンを開発して人類を救おうとするわけですが、
これは言い換えると「血による救い」です。
 

 この他にも、「血」は、劇中で何箇所か、印象的な使われ方をしています。
 
 例えば、ネビルが自分の血を水たまりにたらして、ナイトシーカーズをおびき
寄せる罠として使ったり・・・とか。


 「血」の聖書的な意味は、いくつかあるでしょうが、最も基本的な
意味は、「贖罪」でしょう。
 
 「イエスの血」は、「血による贖い」、すなわち「贖罪」を示します。


 「ウィルスを防ぎきれなかった自責の念(罪の意識)」を
持っていたネビルは、ウィルスを開発することにより
「血による贖い」をすると同時に、自らの命を投げ出すことによって、
「贖罪」は完了。
 人類を救うとともに、リジェントとして「復活」した。
 
 これが、「アイ・アム・レジェンド」という映画だと思います。

 「救いの映画」「救済の映画」「贖罪の映画」。


 他にも細かい聖書的なテーマを拾っていくとたくさんありますが、
「光」というテーマも重要です。
 
初めに、神は天地を創造された。
地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。
神は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。
神は光を見て、良しとされた。神は光と闇を分け、
光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第一の日である。

 「創世記」第1章。
 神が一番最初に作ったのが、「光」です。
 つまり、「光」とは神の力の象徴です。
 
 光を嫌い、闇の中でしか生きられない、ナイトシーカーズは「悪魔」
あるいは「悪」の象徴。
 「神」と対峙するものです。

 ワクチンを開発してナイトシーカーズすら救おうというネビルは、
「悪」に染まった人間の救済者、というイメージを担っている
かもしれません。


 このように、キリスト教的な側面から、「アイ・アム・レジェンド」を
見直してみると、ネビルの行動とその理由をより深く理解できるのでは
ないでしょうか。

(終)


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