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化学、SE、マスコミ、作家…稀有な経歴の発行者が発信する新ジャンル「読むテレビ」。自分じゃ気づけない滑稽な部分を、誰かに指摘されることなく自分だけで気づけちゃう納得マガジンです。

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2008/02/07

滑稽な人のフリ見て我がフリ許せ!<第81号>

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読者の皆さん、
はかまたかずこです。

立春も過ぎ、旧暦での新しい年がはじまりました。
やさしい陽射しが待ち遠しいですね…

まだまだ毎日寒すぎますから…
皆さんのひとときに、あったかい話題を届けられるよう、
がんばりますp(^^)q

さて、お知らせです。
新刊「ひとのフリ見てわがフリ許せ!」が、
紀伊国屋書店(名古屋名鉄店)で、週刊ベストセラーにランクインしました!
名古屋地区の皆さん、ありがとうございますm(^0^)m
この感激をお裾分け…書店風景をぜひこちらから。
http://www.geocities.jp/wakowako772004/index.html

これからもいろんな動きがある予感…随時ご報告いたします!
楽しみにしてて下さいね!

それでは…81号ストーリー、スタートです!!

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>>> 滑稽な人のフリ見て我がフリ許せ! <<<

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どうすればスマートな振るまいになれるの??

その答えを、一人でも多くの人に、
さりげなく感じ取ってもらおうと登場したこのマガジン。

テレビドラマを見る感覚で、お楽しみ下さい。
理屈ぬきで客観的になれたら、
そこでひとつ、あなたの一面がスマートに。。。

今シリーズでは、
謎の男「僕」が、いきつけの喫茶店「マギー」で、
さまざまなシーンに遭遇します。それはブルースのごとく展開され…

(これまでの話)
気にしやの主人公「僕」、昨年末めちゃ込みのマギーで、
バイトの女店員に、自分の印象を悪くしたことを気にしている。
これ以上、彼女に嫌われまいと、この日マギーに長居することを止め、
開きかけたメニューを閉じ、退席しようと心に決めたその瞬間、
その女店員が、水のサービスに「僕」のテーブルに訪れ…


タイトル

《《《   マギーブルース     》》》


////////////////////////////////

 〜7〜 そんな”マギー”にだ〜まされ〜

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「ツナサンド」

口走ってしまった。

コップに水を注ぐ彼女。
見上げる僕。
彼女の表情は穏やかだった。

「飲み物はよろしかったですか」

注がれる水同様、流れるような彼女の質問に…

「……じゃあ、珈琲、おすすめをもう一杯」

と僕が言い終えるや否や、

「おすすめ一つ!ツナサン、ひとつ!」

軽くドスのきいた彼女の叫び声で、目が覚めた。

(しまったっ)

優しい彼女の物腰に、僕はうかつにも、もたれかかってしまった。

(しまったしまったっ)

もう遅い。
やっぱり取り消します、なんて言おうものなら、
去年の暮れに見た以上の表情を…容易に想像できる。

一般客に溶け込みたいところに、特別な動きをすれば、
もっと彼女の記憶に「変なヤツ」と刷り込んでしまう。

(本末転倒だ……なにやってんだ、俺は)

情けない落ち込みをするも、

(いや、待てよ。
 このオーダーを素直にこなせば、僕は変な客から脱却できるかも)

少し安心してツナサンドを待つ事にする。

(ツナサン?)

落ち着くと、どうでもいいこだわりが出てくるものだ。
さっき彼女は確かに叫んだ「ツナサン」と。

(ツナサンかよ、たまごサンドは、”たまサン”か)

くだらん突っ込みをしながら、彼女の後ろ姿を見た。

今日は髪をきちんとまとめている。
あのときは”ボサボサ”と形容したくなるほど、
テンパっていた彼女。

(名前はなんて言うのだろう)

「もういいよ、今日は帰って。混みそうもないし」

マスターが彼女に促した。

(帰すなよ)

思わず僕は心の中で叫んだ。

「じゃあ、そうしよっかな」

(従うなよ)

案の定、ツナサンドと珈琲は、マスターが僕のところに運んできた。

「はい、お待たせしました」

配膳は慣れないのだろう、マスターの手が少々震えている。

いれたての本日のおすすめ”マンデリン”。
朝一番で飲んだのより、酸味がきつく感じるのは、
この無愛想なマスターのせいであることは間違いない。

ツナサンを食べながら、
朝からの雨が小降りになってきたことに気づく。

天気と客が連動していることが、手に取るようにわかる。
どやどや集団客が入ってきた。

マスターは、読みがはずれたものだから、若干の動揺が見られる。

(だから彼女を帰さなきゃよかったのに…)

誰よりもマスターがそう思っているだろう。

50歳前後のおばさん集団が、雨のしずくを拭う仕草をしながら、
矢継ぎ早に、

「わたしトマトジュース」
「わたしはミックス」
「そうねえ、わたしも同じもの」
「わたしは紅茶、ホットで」

マスターは、声に出さずうなずくだけで、伝票に走り書きしている。

(そんな無愛想な対応だと文句言われるぞ)

そんな心配は必要なかった。
おばさんたちは、自分たちの話題に夢中だ。

「わたし、嫌だわ、それ」
「でしょ〜」
「くちゃくちゃ、いっつも」
「うちの主人も」
「うちは、お茶」
「ああ、お茶ね。あるある」

どうやら、食べるときの「音」が話題らしい。

「ズーズーしないと、飲んだ気がしないって」
「聞かされる方は、気分悪いのに。やーね」
「おそばなんかもそうでしょ」
「ああ、それは私もやっちゃうかな。のどで食べるって言うじゃない」
「そういえばラーメンとかも、思いっきりズルズル食べたくなるとき、ない?」
「あるある!たまに一人で入るラーメン屋、そんとき思いっきり」

どんぶりを持ち上げ、汁をたいらげるジェスチャーをし、
皆の笑いをとるおばさん。

(あっぱれだ……)

何が感心って、話がすり替わっていることに何の躊躇もないことだ。
はじめ「音」は嫌だ、と言っていた。
けれど、しまいには「音」を立てて食べるのが楽しいになっている。

誰もその変化に気づこうともしない。いや、気づいても
気にしないで、話は前へと進む。

(すばらしい)

話の中身よりも、話の展開に対する順応性は、
そこらの中間管理職のおっさんよりも、ずば抜けた才能を持っている。

「お待たせしました」

カタカタ小刻みに震えながら、マスターが集団の飲み物を運んできた。

「はいはいはい……あんた、トマトだっけ?」
「そう、わたし」
「はい、これミックス、で、あんたなんだっけ?」

(さらにすばらしい)

マスターがお盆からテーブルに移さなくても、
おばさんたちが、勝手にお盆から飲み物を奪い取ってくれている。

マスターは、おばさんペースにうなずくだけで、
あとは軽くなったお盆に、ぺらっと乗っかった伝票をテーブルにのせる、
それだけだ。

今日だけじゃない。おばさんの潜在能力には、いつも感心させられる。

駅やスーパー、郵便局…公共の場で、おばさんたちは、
なんともたくましい。

目を背けたくなるような仕草や態度だってあるが、
感心するほうがそれを上回る。

子供が泣きわめこうが、込み合っていようが、
風邪が流行っていようが、どしゃぶりだろうが強風だろうが
我が道を行く…そうして明るい。

それを思えば、さっきからマギーの店内を、
ピンボールのように、あっちこっち飛び交うおばさんたちの笑い声、
せっかくのBGMを打ち消しているが…仕方ない、受け流してやろう…

と思うのは、僕だけのようだ。

顔をしかめ、乱暴にタバコを消している、もう一人の客…
OLと思われる女性が、たまりかねたように帰り支度を始めている。

「ありがとうございました!」

フライング気味のマスターの声。

(ちょっと早すぎるんじゃないか?!)

女性もそう思ったらしい。
コートを羽織る手が止まり、ぎろっとマスターを睨んだ。

                      つづく


*次回をお楽しみに!



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