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化学、SE、マスコミ、作家…稀有な経歴の発行者が発信する新ジャンル「読むテレビ」。自分じゃ気づけない滑稽な部分を、誰かに指摘されることなく自分だけで気づけちゃう納得マガジンです。

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2007/03/27

滑稽な人のフリ見て我がフリ許せ!<第71号>

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自分では、なかなか見ることのできない、自身の滑稽な一面。
誰かに教えてもらうのは、素直になれない。
誰かが教えてくれないと、余計に滑稽になってしまう。
じゃあ、どうすればスマートになれるの?

その答えを、一人でも多くの人に、
さりげなく感じ取ってもらおうと登場したこのマガジン。

テレビドラマを見る感覚で、お読み下さい。

理屈ではなく、自然と自身の環境に照らし合わせ、客観的になれたら、
そこでひとつ、あなたの一面がスマートに。

さて、今シリーズはスピリチュアルな要素満載です。
現実に巻き起こる何かに通じるもの、きっとあります…お楽しみ下さい。



タイトル

《《《    グレー     》》》

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(これまでのお話)

山本一樹、11歳。ちょっとのんびり屋の、でも元気な小学生。
母さんと父さんと暮らす三人家族。
うたた寝をしたある日、一樹は夢の中で「グレー」と名乗る少年と出会う。
その少年の正体は…、一樹の「魂」。
夢の中だけで会える一樹の友人となる。以来、父さん、母さんの意識が
少しずつ変化し、山本家にいろんな”不思議”が訪れ出す。

////////////////////////////////

 〜9〜 現実にするってこと  

////////////////////////////////


「あら、やだ」
「どうした」
「私、いま入院してるおじさんのことを考えたの。そしたら、ほら
 霊柩車が後ろにいる」
「嫌なこというなあ、おまえは。偶然だろが」
「そうだけど、何だか嫌な予感がするわ」

信号待ちをしている、父さんの車。
一樹が、外を見て、ハッとなる。

「みてみて!」
「どうした一樹」
「隣の車から、犬が覗いてる」
「あらま、大きな犬」
「犬、飼いたいな」
「だめだめ、うちのマンションは飼えないの」

「小さな犬くらいなら、いいだろ」
「だめよ。この間、ペットを無断で飼ってるお宅が問題になったもの」

「欲しい!欲しい!」
「だめだめ」

しょんぼりする一樹。
信号が青に変わり、発進する車。と同時に犬を乗せた隣の車も動き出す。
窓から顔を出した犬の髪が、風になびく。

「いいな…」

目が合っていた一樹と犬が、離れていく。
その様子をバックミラーでみている父さん。

「あいつ、そんなに犬が欲しかったのか」
「ううん、気紛れよ。友達の健ちゃんが飼ってるものだから。
 そこのうちから、帰ってくると、犬ほしい〜って言って」
「じゃあ、犬が好きなんだな」
「健ちゃんちが、ウサギだったら、ウサギほしい〜になるのよ」
「……」
「誰に似たのかしら」
「……」

「あっ、また犬!」

一樹が叫ぶ。

「え?さっきの?」
「そう!」
「それにしてもデカイ犬だなあ
 映画のベートーベンみたいだな」

「なになに、それ」
「犬嫌いのお父さんの家に、買い主が見つかるまでという約束で
 飼った子犬が、そこのうちに起きるトラブルを解決するうちに
 その家になくてはならない存在になる話さ」
「そういえば、あったわね。セントバ−ナ−ド犬で、めちゃくちゃ大きく
 なるのよね」
「僕も欲しいなあ」
「ダメっていったら、ダメなの」
「ベートーベンの話の母さんと父さんが逆だね」
「プッ…」父さん、笑う。

「笑ってもダメ。ダメって言ったらダメ!」
「母さんが、ダメっていうなら仕方ないな、一樹」
「そんなあ、何度もあの犬が、こっち見てたのに」
「見てたから何?」
「犬の日なんだ」
「は?」
「僕のところに犬がやってくるって、今日がそういう日なの」
「この子ったら、わけのわからないこと言って…」

「いや、一樹のいうことにも一理あるぞ」
「はあ?あなたまでワケのわからないこと言わないでよ」
「母さんだって、さっき霊柩車をみたから、不吉だなんて言ったじゃないか」
「それは、だって…」

「見たものが、偶然かどうかは、ちゃんと見極めるべきだってことさ」

「じゃあ、一樹が見た犬は、偶然じゃないってこと?」
「そりゃあ、わからない」
「偶然じゃないよ!」

一樹が叫ぶ。

「だって二度も犬と目があったもの。しかも真横で」
「わかったよ、一樹」
「え!!ほんと!」
「ちょっとあなた」
「一樹の気持ちがわかったということで、犬を飼うって決めたわけじゃ無いぞ」
「な〜んだ」

「もう、びっくりした。勢いで飼ってもいいって言い出すかと思った」
「それにしても不思議だな、と思って」
「何が?」

「欲しい欲しいと思っているものが、ちょうど目の前に現れると、
 これが縁かも、って思っちゃうじゃないか」
「そんなの良くある話よ」

「一樹は、犬の日なんて言ってたけど、俺達も結構そうして、
 沸き起こる偶然が、あたかも現実味を帯びて、背中を押してくれる力のように
 感じてるんだよな、無意識に」
「まあねえ」
「お前だって、おじさんの病状気にしてたのも、同じだよ」

「それは、心配だから、余計そう思っちゃうのよ」
「日頃気にして、心配だから?」
「そう」
「だったら、その偶然は、現実とは程遠いな」
「……」
「さっき気づいたんだけど、日頃気にしてないことに、目が止まったらどうだろう」
「どうだろうって?」
「それこそ、何かのメッセージかもしれないな」
「どういうこと?」

「例えば、一樹が犬を欲しがってるわけでもないのに、
 何度も犬と目が合うってことがあったら、その犬を飼えってことかもしれない」
「ふん…」
「だろ?」
「理屈はわかるけど、ちょっとドラマチックな考え方じゃない?」
「ま、そうだな。映画の見過ぎか」
「そうよ、夕べまた独りで遅くまで見てたんでしょ」
「まあな」

おとと、父さん、せっかく目には見えない気づかせってものに、
気が付いて話してたのに、現実的な母さんに遮られちゃったね。
僕らグレーは、個々の魂として、その気づかせるべくメッセージを
必要に応じて、現実に起きている出来事にのっけて、送ってるんだよなあ。

たまたまつけたテレビに出ている状況が、自分と同じだったり、
目の前を通り過ぎるもの、
ちょうど考えていたものと同じだったり、
偶然があたかも現実として色ごく浮き上がってくる経験は誰にだってある。

しかしすべてがそうじゃないんだ。
でも、すべてが違う訳でも無い。

その中のいくつかが、本当に、その人へのメッセージだったりする。

「ちょうど、私、これ欲しかったのよ。
 早速、申し込むわ」

欲しかった商品が、タイミング良くテレビで流れたことが、
Aさんにとって買うべきメッセージでも、

「あ、やってるやってる。今度こそ申し込も!」

とBさんが勢いづいても、Bさんにとっては、本当は無駄遣いで、
実は、その買い物癖、買いたくなる衝動を抑えなさい、という試練だったとしたら、
Bさんは、またしても負けたことになるよね。

という具合に、人それぞれ、同じ偶然が如何様にも意味を持つのだから、
やはり、個人で、もっとその偶然を見極めるよう、心掛けたほうがいいよね。

「あ、また犬」
「今度は違う犬でしょ」
「そう…」
「残念でした」

耳を澄ますって感じで、心を澄ます、って、ちょっと難しいけど、
一樹は感じたみたい。

「うちに帰ったら、キャッチボールしよ!」
「おう」

繋がる感覚が途切れた一樹は、早くも気分はキャッチボールへ。

思わず知らず途切れずにある感覚が、
現実へと繋がる掛け橋。

心を澄まして、その掛け橋を壊さないように…
目の前の偶然を、自分にとって良い方向へ、
現実に導けるといいね、母さん。

「ねえ、おじさんのお見舞い、行っておかなあい?」
「ったく、心配性だな」
「だって…」

悪い方向ばかりだと、本当はそうじゃないのに、
違う掛け橋が取って代って、それ相応の現実を呼んじゃうってことに
なり兼ねないよ。

特に母さん、気を付けて。



                          つづく
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