学園改革支援の『開窓』 RSSを登録する

私立だからできる。今すぐ学校改革!先生、あなたが主役です!現場教師が学校を変える技術。

最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
あなたの一票を待っています!まぐまぐ大賞2008
2008/06/26

学園改革支援の『開窓』 −「名称による失敗」−

この記事を取り寄せる

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

【 学園改革を支援する『開窓』 -076-】2008年6月号

私立学校の改革をお手伝いするメールマガジンです。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集。
改革をゴールにせず、スタートにしなければ意味がありません。
そのプロセスを実現するのは、あなたです!

<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<


○○「名称による失敗」○○


忙殺されて発行が滞り、読者の皆さまにご迷惑をおかけしましたこと、
誠に申し訳なく存じます。心より深くお詫び申し上げます。


先般の岩手・宮城内陸地震で被災された方々のニュースを拝見するたび、
同じ国内でも、政治・経済の両面において大きな格差の存在を感じます。
東京在住の私は、実感を持てないニュースの画面を見て戸惑うばかりです。
被災された方々のご健康と、一刻も早い地域復興を専一に願っております。



さて、今回のタイトルは「名称による失敗」とさせていただきました。
御校でも様々なプロジェクトチームが構成されることと思います。
しかしそのプロジェクトチームの活動を振り返って満足できるでしょうか。
時には物足りなさを感じたり、違和感を覚えたりしていませんか。
そう、今回の話題は、プロジェクトの名称についてのお話なのです。

そもそもプロジェクトとは何なのか、という点から間違うケースもあります。
結成されたプロジェクトチームが数年間も存在している学校もあります。
各部署の部長級、または主任級の役職者を集めたチームもあるようです。
中には若手教員だけを集めた「若返り作戦チーム」もあるかもしれませんね。
これらのケースでは、プロジェクトとは何かという基本理念が死んでいます。

上記のようなチーム構成は、プロジェクトとしての意義を有していません。
なぜなら、プロジェクトの要件を一切満たしていないからなのです。
プロジェクトに不可欠な要件は、以下の通りとなります。

1.校内校外の変化に、素早く(または先取り)対応する施策を示すこと。
2.既成の価値観や概念の枠を脱し、新しい価値を産出すること。
3.限られた資源(ヒト・モノ・カネ・トキ・情報)を有効活用すること。
4.特に、限られた時間内で、活動の成果を目に見える形で示すこと。
5.活動の成果において、そこへ至るまでのプロセスを資産化できること。

これらの要件を満たすならば、数年間もチームが存在するはずはないし、
縦割りで役職者を集めたり、感覚的に特定世代に依存したりすることは、
いかなる事情や理由があったとしても、到底認められないはずだからです。
そのくせ立派な名称を冠して、失敗を繰り返すのは愚の骨頂です。
いや、おそらく、中には失敗に気付かない症例もあることでしょう。

上記のプロジェクト必須要件を、御校では満たしていると言えるでしょうか。
行事の名称や、大げさな名称をプロジェクト名に冠してはいませんか。
プロジェクトの目標は新しい価値を創造し、そのプロセスを資産化すること。
その目標をプロジェクトの全メンバーが共有しなければ、失敗は必至です。
また、役職者をリーダーに据えるケースも目立っているように思います。
既存の組織構成に縛られていては、新しい価値など産出できませんね。



今までの話を整理すると、以下のことが言えるのではないかと思います。

1.プロジェクトには、その活動の始まりと終わりが存在するということ。
2.今までにない、新たな価値や状態を生み出す活動であること。
3.したがって、既存の組織構成や概念、職場文化に束縛されないこと。
4.プロジェクト活動のプロセスを、資産として職場で共有できること。

付け加えて言うならば、プロジェクトにはその外側からの監視が必要です。
プロジェクト活動の全容を監視し、コントロールする機能や人が必要です。
しかもプロジェクト活動そのものは、徹底されたPDCAサイクルです。
(Plan 計画、Do 実行、Check 確認、Action 統制・修正)
このPDCAサイクルを徹底するには、目標値や目標地点が必要になります。
「活動すれば何かが生まれるだろう」という発想は、ただのムダです。

そして、最も多い間違いが、「名称による失敗」なのです。
行事名をプロジェクトの名称に使うことほど、無意味なことはありません。
また、形容詞をプロジェクト名に冠することも避けたいものです。
「明るい○○」「楽しい○○」などの名称は感覚的であり不明瞭だからです。
単純でわかりやすく、目指す地点や数値が明確に伝わる名称を考えましょう。



例えば、今まで想定しなかった、斬新な修学旅行を企画しようと思うなら。
あなたが企画委員だとしたら、プロジェクト名称にどちらを選びますか?

A、今までにない斬新な修学旅行を創るプロジェクト

B、充実度と満足度100%の修学旅行プロジェクト


私なら、迷わずBを選びます。

A案は斬新性を素直に前面に出し、その意義を強調できるのがメリットです。
しかし、斬新性のみを主体としたタイトルなので、ある一面に偏重しがち。
そうです。ある一面とは、「教師にとって」という一面のことです。
「こんなに斬新な企画ができた!」と自画自賛するのは職員室だけ。
生徒の側からすれば、教員のナルシシズムに付き合わされるのが関の山。
そんな結果に終わってしまっては、本隊で不協和音が発生するのは必至です。

B案には斬新性を感じさせるニオイがないとも言えるでしょうね。
しかし、充実度と満足度は誰のためなのか、という大前提がスタートです。
充実度は教員サイド、満足度は生徒サイドになろうかと思いますが、
その両者を満たすためには、学年教員と生徒との対話が不可欠になりますね。
お互いにギリギリのラインで譲歩し合うことにより、斬新性が生まれます。
「肉を切らせて骨を断つ」という大げさな表現もできるかもしれません。

この二つの案の相違点は、いったい何だと思われますか?
直観的にわかりやすいのは、明らかにA案の方だと思います。
ただ、A案には、プロジェクトに不可欠な、ある要素が欠けているのです。

プロジェクト名称では、必ずステークホルダーを意識させる必要があります。
ステークホルダーとは、いわゆる「利害関係者」のことです。
A案でプロジェクトを進行させると、利害を共有するのが誰か見えにくい。
その結果、奇抜さだけが重視され、教員サイドだけが満足してしまいます。
実際に本隊で活動を強制される生徒の側にすれば、苦痛にもなりかねません。
プロジェクトの名称には、思索考案の範囲を限定する逆効果もあるのです。

そもそも修学旅行が教育旅行であることを大前提として踏まえるならば、
教員サイドのみの意見に偏りがちな議論は避けなければなりません。
きれいごとのオンパレードになるか、教員向けの観光旅行になるか、
結果的にはそうした議論だけが進んでいくのは目に見えています。
だれがステークホルダーなのかを意識させるプロジェクト名を冠することで、
プロジェクト活動の範囲・帰着点・方向性を明確化するのが効果的です。



他の例を挙げましょう。政治・行政の打ち出す新施策を考えてみてください。
たとえば「後期高齢者医療制度」はどうでしょうか。
メディアでさんざん問題視されたように、施策名称自体が大問題です。
準備段階では当然のようにプロジェクトチームが組まれたわけですが、
そのチーム要員にとってはステークホルダーが見えていなかったのでしょう。

いや、政治家とお役人、あるいは医療関係者と薬事関係者しか見えなかった。
そういう表現のほうが適切かもしれませんね。当の高齢者は意識の外。
実際に保険料を納入する高齢者の方々こそ、第一のステークホルダーです。
しかるに、第一利害関係者であるはずの高齢者に対する配慮が欠如したため、
「後期高齢者」などという無礼千万な名称を冠する愚を犯したのです。

企業で言えば、顧客に向かって「不都合なお客様」と言うのに等しいですね。
顧客の感情や事情を考慮しない経営のようなもので、まさに「慮外」です。
当然、一般企業でこのような愚を犯せば、社会的に抹殺されてしまいます。
この施策を考案した人物は当初、さぞ慢心に満ちた顔をしていたでしょうが、
結果は「私は人の気持ちもわからない愚か者です」と吹聴したにすぎません。

ステークホルダーを意識しない名称でプロジェクトをスタートさせると、
その後の施策や業務運営、経営姿勢まで問われかねない事態になるのです。
冒頭で述べたプロジェクトの要件をもう一度確認してみてください。
なぜか世間一般では「活動の成果」ばかりが強調されがちな気がします。
そのため、システム作りや数値確認しやすい節約効果ばかりが重視される。
そうです。目に見える成果にこだわることで、批判をかわすだけなのです。

成果を出すことも当然大切なことなのですが、それ以上に大切なことは、
「新しい価値を生み出す」プロジェクトにすることではありませんか?
マイナス価値を算出した時点で、そのプロジェクトは失敗なのです。
利害関係者全員が新しい価値を享受できることこそ肝要です。
奇抜さやユニークさを求める活動は、プロジェクトとは呼びません。
それは職場内お遊び活動のようなもので、平常業務に悪影響を生じさせます。

そうした失敗を避けるためにも、プロジェクト担当者の利権を排除すること。
だれが利害関係者なのかを明確に範囲規定できる名称で表現すること。
プロジェクト活動の期間と権限範囲を明確にし、一定の判断を委ねること。
活用できる資産を有効に生かしきるよう、その考察をチームに預けること。
中でも名称に関しては、利害関係者を置き去りにしない工夫が必要です。
その点、特にご注意の上でプロジェクトをスタートさせて下さいね。




メールアドレスは下記「発行者」欄をご覧ください。
読者の皆様からのご質問やご要望など、できる限り取り入れたいと思います。
このメールマガジンへのご意見・ご感想など、ぜひお願いします!

本日もご購読、有り難うございました。



  このメールマガジンは!
  『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して発行しています。
  配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000134521.htm
 発行者メール:horus_kaisou@yahoo.co.jp
  発行者Webサイト: http://kaisou.seesaa.net/
---------------------------------------------------------------------

 【発行者】       【 学園改革を支援する『開窓』】
               スクール・アイデンティティ研究室
                       代表  藤井 宗茂

  著作権:『開窓』    無断商用転載を禁ず。(勤務先内は複写可)

 ※私へのアドバイスや扱ってほしい題材など、メールでお気軽にどうぞ。
 ※このメルマガにあなたも寄稿してみませんか?まずはメールください。
 ※お友達やご同僚にも、ぜひこのマガジンをご紹介ください! 
 ※学内での回覧のみ自由ですが、ご利用の際、必ず出典を明記して下さい。

この記事を取り寄せる
最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る