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2008/02/15

学園改革支援の『開窓』 -「広報にあらず」-

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【 学園改革を支援する『開窓』 -073-】2008年2月号

私立学校の改革をお手伝いするメールマガジンです。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集。
改革をゴールにせず、スタートにしなければ意味がありません。
そのプロセスを実現するのは、あなたです!

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○○「広報にあらず」○○



寒い日が続いてますね。風邪を召されてはいませんか?
私たちの仕事は体が資本。あなたが欠勤すれば、困るのは生徒たち。
どうかご用心あって、いつでも健康にお過ごしいただきたいと思います。

この時期、入試も本番ですね。私の勤務校も第1回入試を終えました。
二次募集の終了まで、気を抜かずに募集活動を継続していきます。



昨今、私立学校の広報活動について、いささか疑問に思うことがあります。
それは広報戦略のこと。どうも勘違いしている学校が多いようです。
広報イコール宣伝ではありません。広報は戦略そのものです。
有効に資源を活用して、着実な募集活動に繋げていきたいものですね。

広報には2つの思考軸があります。意識しておくことが大切です。
一つは地域の軸です。これは私学にとって重要な意味を持っています。
地域性はすなわち、学風に直結する(左右する)要素でもあります。
集められればどこでも良いという発想は、実は危険な考え方です。

私はいつも募集活動に際して住宅情報誌を参照しています。
住宅価格の上昇した地域と、低下した地域とを比較するためです。
地価や住宅価格の上昇した地域は、総じて私学進学熱も高くなってきます。
私塾の活性化にも繋がり、学習習熟度も高くなる傾向にあります。

対して、地価や住宅価格の低下した地域は、公立志向が強くなります。
それ自体は周知のことですが、ただし平均学習レベルも下がります。
こうした地域では私塾の撤退が目立っていることと思います。
もちろん公立志望者の学力が低いわけではなく、あくまで地域性です。
大まかに見たときの平均レベルの話ですので、誤解なさらないでください。



ところで、ターミナル駅には学校の看板が多いことはご承知でしょう。
乗換人口の多いターミナル駅なら、多くの人が見てくれるという考え方です。
確かに一理ありますが、問題はその看板の「見方」そのものだと思います。

たいていの場合、ターミナル駅はサラリーマンの利用度が高いですよね。
通勤途中のサラリーマンには、景色を楽しむ余裕はありません。
あなたと同じように「今日の予定は」とか、「あの案件は」とか、
仕事の組み立てに意識を使いながら、乗換を急ぐ人たちばかりです。
集中して学校の看板の一字一句など、わざわざ眺める人はいないのです。

駅頭広告看板の難しさはその点にあります。
ただ単に多くの人が使うだけの駅では、効果を発生させるのは困難です。
それなら目立つように、派手なデザインにしてみてはどうでしょうか。
実はこれも逆効果で、教育機関が軽薄な印象を持たれたらおしまいです。

駅広告に関しては、通過人口の多さではなくセグメントを重視しましょう。
お父さんたちが多い駅より、お母さんたちが多い駅の方が有効です。
それ以上に、受験生本人が多く利用する駅の方が効果は大です。
あるいは、塾講師や家庭教師である大学生が利用する駅も有効です。

私の友人の勤務する高校では、ある100円ショップに看板を出しています。
中学生の利用が非常に多いらしく、効果は大きかったという話です。
しかも無料で看板を置かせてくれたということで、彼は喜んでいました。
駅頭の看板は数十万円から、時には100万円単位にもなりますからね。



駅頭広告を例にしましたが、もちろん広報活動はそれだけではありません。
広報活動で一番大切なのは、教職員が一般社会に精通することです。
宣伝重視、イメージ重視、進学率重視、就職率重視、検定合格率重視など。
学校もさまざまですが、大事なことを忘れてはいけません。
「非常識な教員がいる」という噂が立てば、広報活動も一巻の終わりです。

教職員が一般社会に精通し、いわゆる専門バカにならないこと。
これは広報活動の第一歩です。「話の通じる学校」だということです。
規範意識をしっかり持ち、社会の動向を注視してこれに背かないこと。
信頼あっての広報活動であることを、肝に銘じなくてはなりません。
法令順守と説明責任は言うに及ばず、保護者の意を汲み取ることも大切です。

かつて私は、パンフレットのあり方についてもお話ししたことがありますね。
伝えたいことばかりで、保護者や受験生の「知りたいこと」に乏しい、と。
「虚飾に満ちた」とは言いませんが、それに近いものが多いのは事実です。

広報活動は完全に伝達することが最低限の制約条件です。
伝達するとは、「伝え達せしめること」であり、伝えるだけでは半分です。
達せしめるには、相手の立場に立った情報提供が絶対的な条件になります。
自分の言いたいことばかりで、相手の言いたいことを無視してはいけません。
つまり、聞きたいであろうことを、聞かれる前から情報提供するのです。

いつも申し上げていることですが、昨今の保護者・受験生は「消費者」です。
授業料を払う以上、その対価と見返りを要求する傾向が高まっているのです。
「この学校はこちらの意向を重視しているな」と思わせる必要があります。
いい話ばかりでなく、現状における不安と不満の解消を先取りするのです。
そのためには世間一般の動向と教育界全般に関する知識が不可欠ですね。



私は立場上、他校との大規模な合同説明会に参加することが多い人間です。
そうした会場でよく目にするのが、通路に立って学校案内を配る教員たち。
ひどい学校は、他校のブースの前に平気で立ちはだかっていますよね。
まさに学校の教員に特有とも言うべき厚顔無恥。見苦しい限りです。
「非常識な学校だよねー」という中学生の声に、「我が意を得たり」。

欲しくもない学校のパンフレットを押し付けられても、迷惑なだけです。
息子の小学校のPTA活動に参加した折、保護者たちの会話を聞いていて、
「これは気をつけなくてはいけない」と思ったことがありました。
それは「話したくても聞くより先に説明したがるのよねー」という声でした。

確かに広報活動と民間企業の営業とは、その性質に違いがあります。
押し売り同然の学校説明をしたのでは、嫌われるのが当然でしょう。
いや、ここ数年は民間企業の営業でも、一方的な説明は避けています。
まずは相手の要望や不安を受け止め、その解決を図ることから始めるべし。
この鉄則は、仕事以前に、人間関係の基本とも言えることがらです。

先ほど申し上げたように、伝達は、相手に達することが肝要です。
言葉だけを達せさせるのではなく、意思と意思との疎通が伝達なのです。
きらびやかな看板も、巧言令色も、美彩な学校案内やくどい営業も、
相手の立場を度外視してしまえば、ただの目障りな押し売りに堕します。
興味関心をそそられるのは、自分自身の意識にシンクロした時だけですから。



とかく学校案内などの入試関連資料では、デザインや配色が問題になります。
しかし、そのような編集会議をするよりも、大事なことがあるのです。
「受験生は何が不安なのだろうか」ということを、真剣に突き詰めること。
在校生や保護者へのアンケート。受験生との面接でのやり取り。
情報収集はさほど大変なことではありません。肝心なのは、その中身。
学校の都合の良いように誘導するような質問ばかりでは、無駄な徒労です。

広報活動のベースにあるのは、批判をシャワーのように浴びること。
「先生に向かってなんだ!」というような意識では、改善できないのです。
受けた批判の内容を精査し、反省すべきは反省して改善活動に繋げる。
そして「このような声に応えて、こう改善しました」と言い切ること。
その謙虚な姿勢と、前向きな内部からの提案が改革を推進するのです。

受験生や生徒の忌避するものは何か、もう一度、整理してみましょう。
彼らが望んでいるものは何か、もう一度、受け入れていく努力をしましょう。
学校の秩序と規範を乱さない限り、真摯に受け止めていくべきだと考えます。
そうした活動の中から、新たな一手を生み出し続けること。
それを広報活動の中心に据えてアウトプットを更新し続けること。
そうでなければ、「広報にあらず」の謗りを免れることはできないでしょう。




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 【発行者】       【 学園改革を支援する『開窓』】
               スクール・アイデンティティ研究室
                       代表  藤井 宗茂
              http://kaisou.seesaa.net/
             メール:horus_kaisou@yahoo.co
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