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2006/09/18

学園改革支援の『開窓』 −「破壊なくして創造なし」−

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【 学園改革を支援する『開窓』 -059-】2006年9月18日号

私立学校の改革をお手伝いするメールマガジンです。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集。
改革をゴールにせず、スタートにしなければ意味がありません。
そのプロセスを実現するのは、あなたです!

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○○ 「破壊なくして創造なし」 ○○


市場もまだまだ冷え込んでいますが、外気はひと月先を行くようですね。
時おり寒ささえ感じる陽気です。雲もずいぶん高くなりました。
私は今、末期癌に侵された妻の看病のため、休職して広島県に来ています。
そのため発行が不定期になる可能性がありますが、どうかお許しください。



さて皆さん、無頼派の小説をお読みになったことはありますか?
今日のテーマは「破壊なくして創造なし」、実に無頼なテーマです。
石川淳の『至福千年』や坂口安吾の『堕落論』『青鬼の褌を洗う女』。
これらの小説には、ある共通する主題が顔を見せています。

それは恒久絶対の根源的価値を求めて、既成概念を破壊しようとする意思。
社会的な通念と思われる価値体系を破壊することに、期待を示す姿勢です。
一見すると実に乱暴で、反社会的な(無政府主義的な)内容です。
しかし、そこには老子にも通じる恒久普遍の真理への追求が見えます。

わが国では特に儒教的な概念が社会的価値の根幹をなしていると思われます。
歴史的な経緯もあり、価値観が自然に収斂された結果なのでしょう。
ところがこの儒教的な価値体系は、使い方を誤ると危険要因になるのです。
カテゴリーが違うのでここでは詳述しませんが、ご存知のことと思います。

無頼派の文士たちが考えたのは、まさにそうした危険な国家状況の打破。
彼らは既成の表面的・形骸的な価値観を滅ぼすことを目標としていました。
老子の「無為自然」のような、天然自然の原理を虚構世界に展開したのです。
その革新的エネルギーを「破壊」という概念に求めたのでした。



さて、まるで文学論のようになってしまいましたが、あくまで私見です。
文学の専門家に対抗する気持ちは毛頭ありませんので、お許しを。
私がこの話題を持ち出したのは、「破壊」のイメージを伝えるためです。
無頼派の文士たちほど激しい考えは持っていませんが、思考の参考までに。

既成の概念を打ち破ると言っても、暴動やテロを言うのではありません。
皆が当たり前と思っていることでも、疑ってかかるということなのです。
わかりにくいでしょうから、ひとつ例を挙げて説明したいと思います。



今から約20年前の軽自動車といえば、安価で間に合わせの商売道具でした。
運転を楽しむ車でもないし、ファミリーカーとしても力量不足。
街中で商品を運ぶ以外には使い道のないゴーカート程度の存在でした。
ところがこの既成概念に大きな風穴を開けたのがスズキ自動車です。
斬新なパッケージングと清新なスタイルの「ワゴンR」の誕生でした。

「軽自動車は狭くて遅くてカッコ悪くて、絶対に乗りたくない!」
当時の若い人たちは、誰でも口をそろえて同じことを言いました。
ところがこの「ワゴンR」はアメリカの大型ミニバンを意識させるスタイル。
乗用としては今までにない背の高さ、アップライトなシート、精悍な顔つき。
日本人の軽自動車に対する差別感を、簡単に払拭してしまいました。

実はダイハツも同様の車種を開発中でしたが、発表が遅れてしまいました。
スズキ自動車はなぜ「ワゴンR」の開発を成功させられたのでしょうか?
それは真剣に物事を疑う目を堅持していたからではないでしょうか。
「軽自動車は中小企業や農家の商売道具。マイカーとは呼びたくない。」
そうした世間の声にメーカーとしての危機感を感じ、真摯に悩んだのです。
「今までの開発手法を、根底から覆す必要がある」と考えたのです。



どんなに優秀な製品でも、時の流れとともに、最後は陳腐化します。
安定的といわれる白物家電でさえ、半年に一度バージョンアップされます。
「優秀な商品を開発して大当たり。さあこれで万事が安泰!」
成功の度合いが大きいほど、人々はその成功にすがりつきます。
でも、それでは社会から離反されるし、いずれ会社はつぶれます。

一度システムが出来上がってしまうと、社員はそこに胡坐をかきます。
一度製品の安定供給が可能になると、社員はそこに安心感を覚えます。
これと同じ状況がもし、あなたの学校で起こっているとしたら?
学校改革に成功して、いつまでもその余韻から抜けきれない職員室。
私はいくつかの学校の教員たちから、そうした悩みを聞かされています。

何度も繰り返して言いますが、改革は成功の瞬間から陳腐化が始まります。
成功したならまだマシです。日々を無難に過ごすだけの教員もいますから。
いかなる状況であれ、現状に危機感を抱かなくなれば、組織は終わりです。
「成功は失敗の始まり。勝って兜の緒を締めよ。改革に終わりはない。」
まるでどこかの総理大臣のようですが、私の考えは口先だけではありません。



あなたの学校が現在、栄耀栄華を誇っているなら、危険な状況です。
なぜなら、多くの教職員が既成の成功価値や概念を疑っていないからです。
あなたの学校が現在、危機的状況に瀕しているなら、これはチャンスです。
真剣に意見を出し合えば、きっと多くの方策や手法が出てくるでしょう。
ただし「今できることを頑張って進める」などという「逃げ」はダメです。
今できることでどうにもならないため、危機的状況に瀕しているのですから。

「学校とはこれこれこういう場所だ」といった既成概念を壊せませんか?
「本校はこれこれこういう学校である」なんて頭の硬い教員はいませんか?
まさか今さら特進クラスだのスポーツクラスだの、時代遅れなことは?
それぞれの学校が持つ根源的な価値を堅持しつつ、新たな価値体系を。
あなたの上司は、何かと言えばインフラや学校予算を言い訳にしませんか?
もしそうだとしたら、上層部の方々に強いショック療法が必要です。

私学に求められているのは、お上品な体裁屋を育成することではありません。
生きる価値を自ら創造し、社会に新しい価値をもたらす人材の育成です。
ですから形式にはまった受験ロボットにしないため、人間性が重要なのです。
ただしこれは、教育する側の教職員についても同じことが言えます。
生徒一人一人へのコンサルが大切です。同じ一個の人間として関わるのです。

とかく教師の頭の中では、学校が神聖化・神格化されているように思います。
だから自分自身をも気高い存在だと勘違いする輩も後を絶ちません。
いまだに戦時中の将校のような態度で生徒に接する教員もいますよね。
はっきり言いますが、生き残りを考えるなら、そんな教員は免職すべきです。
本来は世の流れの先を見なければならないのに、彼らは過去の遺物です。
学校の社会的価値と評価を低下させる行為は、私学には命取りです。



世間で当たり前とされている価値体系を疑う目を持つこと。
既成のダラダラした成功概念を打ち破り続けること。
それらはすなわち、新しい価値を創造しようと毎日考え続けることです。
時代が進もうとする方向性に、軌道修正を加えるくらいの意識が必要です。
一人でも多くの教員を巻き込み、この考え方をぜひ共有してください。
「破壊なくして創造なし」。新時代の私立学校の合言葉にしたいですね。



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 【発行者】       【 学園改革を支援する『開窓』】
               スクール・アイデンティティ研究室
                       代表  藤井 宗茂
              http://kaisou.seesaa.net/
             メール:horus0204@ybb.ne.jp

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