啄木の歌とともに  RSSを登録する

石川啄木の短歌から一日一首を読み、思い浮かんだイメージを歌にします。「三行日記」のつもりで気軽に書いていきます。「一握の砂」「悲しき玩具」「一握の砂以前」の短歌を終了し、現在は詩集「あこがれ」を取り上げています。

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2009/10/21

啄木の歌とともに・・・第237号

第237号 2009.10.21(毎週水曜日発行)              2004.6 創刊
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   啄木の歌とともに

    (その四) 


  「あ こ が れ」

      -34-


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啄木の歌を手本に手慰み
一日一首
ただあるがまま  (一郎)
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参考資料「石川啄木作品集 第一巻」昭和出版社(昭和三十八年十二月一日発行)

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 あ こ が れ    

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啄木

    秋風高歌(雑詩十章甲辰初秋作)


(十章のうち残りの五章)

    柳

ああ君こそは、青淵(あおぶち)の
流轉(るてん)の波に影浮けて
しなやかに立つ柳なれ。

流轉よ、さなり流轉よ、それ遂に
夢ならず、また影ならず、
照る世の生日(いくひ)進み行く
生命の流れなればか、春の風
燻じて波も香にをどり、
ひと雨毎に梳(くしけ)づる
愛の小櫛(をぐし)の色にして、
見よ今、枝の新装(にひよそひ)、
青淵波もたのしげに
世は皆戀の深緑(ふかみどり)。
                     (九月十四日)

    愛の路

高きに登り、眺むれば、
乾坤(けんこん)愛の路通ふ
青海原のはてにして、
安らかに行く白帆影。――
  波は休まず、撓(たゆ)まずに
  相嚙み、くだけ、動けども、
  安らかに行く白帆影。

路のせまきに、せはしげに
蠢(うご)めく人よ、來て見よや、――
  花を虐げ(しひた)げ、景を埋め、
  直なるみちをつくるとて、
  狭き小暗(をぐら)き愁嘆の
  牢獄(ひとや)に落ちし子よ、見よや、――
大海(おほうな)みちはなくして、緃横の
みちこそ開け、愛の路。
                     (九月十四日)

    落ちし木の實

秋の日はやく母屋(おもや)の屋根に入り、
ものさびれたる夕をただひとり
紙障をあけて、庭面(にはも)にむかふ時、
庭は風なく、落葉の音もたえて、
いと静けきに、林檎の紅(あけ)の實は
かすかに落ちぬ、波なき水嶛(みづたまり)。

夕のあはき光は、箒目(ほうきめ)の
ただしき地に隈(くま)なくさまよひて、
猶暮れのこるみ空の心のみ
一きは明くうつせる水嶛(みづたまり)
今色紅の木の實の落ちし來に
にはかに波の小渦(ささうづ)立てたれど、
やがてはもとの安息(やすらぎ)うかべつつ、
再び空の心を宿しては、
その遠蒼(とほあお)き光に一粒(いちりふ)の
りんごのあたり縁どりぬ。

ああこの小さき木の實よ、八百千歳(やほちとせ)、
かくこそ汝(なれ)や静かに落ちにけむ。
またもも年の昔に、西人が
想ひに耽る庭にとおとなひて、
尊とき神の力の一鎖(くさり)、
かくこそ落ちて、彼には語りけめ。

我今人のこの世のはかなさに
つらさに泣きて、運命(さだめ)の遠き路、
いづこへ、若きかよわきこのむくろ
運ばむものと祕(ひそ)かに惑(まど)へりき。
落ちぬる汝を眺めて、我はまた、
辛からず、はたはかなき影ならぬ
たふとき神の力の世をば知る。

汝(なれ)何故にかくまで静けきぞ、――
人はみづから運命(さだめ)に足りかねて、
さびしき廣みはてなき闇(やみ)の野の
躓(つまづ)き、にがき悲哀の實を喰(は)むに、
何故汝のかくまで安けきぞ、――
足るある如く、落ちては動かずに
心に何か深くも信頼(たよ)る如。

夜の歩みは漸く迫り來て、
羽(は)弱(よは)か、
群れに後れし夕鶴
寂(さび)ある聲に友呼ぶ高啼きや、
水面(みのも)にうきしみ空の明るみも
消えては、せまきわが庭黝(くろず)みぬ。
ああこの暗(やみ)の吐息のただ中よ、
灯ともす事も、我をも忘じては、
よみがへりくる心の光もて
か黒き土のさまなる木の實をば
打眺めつつ、静かに跪づく。
                     (九月十九日夜)

    祕   密

花蠟もゆる御簾の蔭、
琴柱(ことぢ)をおいて少女子(をとめご)の
小指(をゆび)やはらにしなやかに、
絃より絃に轉ずれば、
さばしり出づる幻の
人醉はしめの樂の宮、
ああこの宮を祕め置きて
とこあらたなる琴の胸、
祕密ならずと誰か云う。

八千年(やちとせ)人の手に染まぬ
神の世界の大胸に
深くするどくおごそかに
我が目うつれば、ちよろづの
詩(うた)は珠なし、清水なし、
光の川と溢れくる。
ああこの水の美しく、
休むことなく湧き出(づ)るを
祕密なりとは誰か知る。
                     (九月十九日夜)

    あ ゆ み

始めなく、また終わりなき
時を刻(きざ)むと、柱なる
時計の針はひびき行け。
せまく、短く、過ぎやすき
いのち刻むと、わが足は
ひねもす路を歩むかも。
                     (九月十九日夜)
                      『秋風高歌』畢



(以下、前回掲載分の五章)


    黄金向日葵

我が戀は黄金向日葵(ひぐるま)、
曙いだす鐘にさめ、
夕の風に眠るまで、
日を趁(お)ひ光あくがれ、まろらかに
眩(まば)ゆくめぐる豐熱の
彩(あや)どり饒(おほ)きこがねの花なれや。

これ夢なれば、とこしへの
さめたる夢よ、こがねひぐるま。
これ影ならば、あたたかき
瑞雲(みづぐも)まとふ照日(てるひ)の生ける影。

圓(まろ)らかなれば、天蓋の
遮りもなき光の宮の如。
まばゆければぞ、王者にすなる如、
百花、見よや芝生にぬかづくよ。

今はた、似たり、かなたの日輪も、
わが戀の日にあこがれて
ひねもすめぐる空の向日葵(ひぐるま)に。
                     (八月二十二日)

    我が世界

世界の眠り、我れただひとり覺め、
立つや、草這う夜暗(やあん)の丘の上。
息をひそめて横たふ大地(おほつち)は
我が命に行く車にて、
星(ちりば)めし夜天の浩蕩(こうたう)は
わが被(かづ)きたる笠の如。

ああこの世界、或は朝風の
光とともに、再びもとの如、
我が司配(つかさどり)はなるる時あらむ。
されども人よ知れかし、我が胸の
思の世界、それこの世界なる
すべてを超えし不動の國 なれば、
我悲しまず、また失はず、
よし、この世界、再びもとの如、
蠢く人の世界となるとても。                  
                     (八月二十二日)

    黄の小花

夕暮野路を辿りて、黄に咲ける
小花(をばな)を摘めば、涙はせきあへず。

ああ、ああこの身、この花、小さくも
いのちあり、また仰ぐに光あり。
この野に咲ける、この世に捨てられし、
運命(さだめ)よ、いづれ、大慈悲の
かくれて見えぬ惠みの業(わざ)ならぬ。

よし我、黄なる花の如、
霜にたふるる時あるも、
再び、もらす事なき天(あめ)の手に
還るをうべき幸(さち)もてり。

ああこの花の心を解くあらば
我が心また解きうべし。
心の花しひらきならば、
またひらくべし、
見えざる園の門。
                     (八月二十二日)

    君が花

君くれなゐの花薔薇(はなさうび)、
白絹かけてつつめども、
色はほのかに透きにけり。
いかにやせむとまどひつつ、
墨染衣袖かへし
掩へども掩へどもいや高く
花の香りは溢れけり。

ああ祕めがたき色なれば、
頬にいのちの血ぞ熱(ほて)り、
つつみかねたる香りゆゑ
瞳に星の香りも浮きて、
佯(いつ)はりがたき戀心、
熄(き)えぬほざらの火の息に
君が花をば染めにけれ。
                     (九月五日夜)

    波は消えつゝ

波は消(き)えつつ、碎(くだ)けつつ
底(そこ)なき海の底(そこ)より湧き出でて、
朝より眞晝、晝より夜に朝に
不斷の叫びあげつつ、帶の如、
この島根をば戀ふなり。

ああ詩人(うたびと)の興來(きようらい)の
波も、消えつつ、碎けつつ。
はかり知られぬ『祕密』の胸戸(むなど)より、
劫風(ごふふう)ともに千古の調(てう)にして、
不滅の(ふめつ)の敎宣(をしへの)りつつ、勇ましく
人の心の岸には寄するかな。
                     (九月十二日夜)


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参考「goo辞書」http://dictionary.goo.ne.jp/
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参考資料「石川啄木作品集 第一巻」昭和出版社(昭和三十八年十二月一日発行)

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ご意見、ご感想、短歌の投稿をお待ちしています。
ichirof55@hotmail.com
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◇◇ひとりごと◇◇

2009/10/21 

mixiコミュ「しあわせになるために。」~トピック「今日の一言。」より 


2009年10月14日 

ホ・ジュンよ 
わしの死を誰よりも 
悲しむであろうお前に 
この遺書を残す 

わしは わが身に訪れる死を 
喜んで迎えようと思う 
死は この世に生まれた 
瞬間から定められた運命であり 
決して悲しむことではない 

60の齢(よわい)を生きてきたわしに 
悔いなどあるはずもないが 
忍び来る死の足音を聞きながら 
わしは ひたすらに考えた 

おくるみに包まれた赤子から 
世の中が望む有用な人材まで 
生涯を人のために 
尽くして生きる人から 
贅沢もできず苦労ばかりで 
死んだ哀れな人まで 
これらの命を死に至らしめる 
万病の正体を暴き 
彼らが天寿をまっとうできる 
道を追い求めること 
これは医員の本分であり 
何度 生まれ変わっても 
医員を目指す者には 
切なる願いであろう 

だが 
不治の病に侵されたわしには 
もはや病と死の正体を 
暴く力はない 
ここに わしの 
生前の願いをお前に託し 
この病身をお前に委ねる 

よいか 
腐りだす前に 今すぐ 
わしの体を切り割くのだ 
そして 人間の五臓六腑の 
形と働きを確認し 
全身に広がった360骨の 
つながりと十二経脈を見極め 
お前の医術のさらなる進歩に 
役立ててほしい 

先生・・・ 

先生 

先生 


DVD「ホジュン 宮廷医官への道」(1999年 韓国ドラマ)より 
http://ichirof60.ddo.jp/siawase/hojyun2.wmv 
(自宅サーバーのため、オフラインのときは再生されません) 


2009年10月15日 

先生 私は国法を破った罰を 
受けていますが 
医員の道は踏み外していません  
先生の教えに従い 
心医になろうとしています 
ここで私が倒れたら 
彼らは不当な制度を盾に 
病人を 
ないがしろにするでしょう 
どうか私に力をお与え下さい 


DVD「ホジュン 宮廷医官への道 37話」(1999年 韓国ドラマ)より 
http://ichirof60.ddo.jp/siawase/hojyun3.wmv 
(自宅サーバーのため、オフラインのときは再生されません) 


2009年10月16日 

これほど美しい光景は初めて 

お誕生日おめでとう 

新しい一日に乾杯 


DVD「マリー・アントワネット」(2006年 アメリカ映画)より 
http://ichirof60.ddo.jp/siawase/asahi.wmv 
(自宅サーバーのため、オフラインのときは再生されません) 


2009年10月20日 

お願いがあるの 

いいよ 

目を閉じて 何も言わないで 

目を閉じたよ でもダメだ 
全部 見える 
目を開けてるのと同じ 
君が近づいただけ 
僕を押し上げる 

押し上げるって? 

内側だよ 
コーラの泡みたいだ 
振ると泡だって 
栓を押し上げる 

すぐ治まるわ 

この感覚を知ってるの? 

女の子には“泡”はないわ 

じゃあ 何? 

さあ 知らないわ 
氷の塊かしら 

どんな感じ? 

そうね 
ずっと中に置いておくと 
氷は溶けちゃう 
だから女の子は すぐ泣くのよ 
涙は溶けた氷なの 


DVD「天使の宿り木」(2004年 フランス)より 
http://ichirof60.ddo.jp/siawase/tensi1.wmv 
(自宅サーバーのため、オフラインのときは再生されません) 


一郎

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